ある一日の戦い

 

 

 

 

 

 

 

「今日は遠野家主催のパーティーへようこそ」

ロングの黒髪をたなびかせた少女とも取れる女性が言う。

彼女の名は遠野 秋葉。

わずか16という年齢で名家、遠野家の君主である少女だ。

「え〜、では。乾杯と参りましょう」

そう言って秋葉が手を上げた瞬間・・・。

「ぐぉぉぉぁぁぁぁ!!!!」

部屋の後ろの大きな扉をぶち破って・・・全身を黒服で覆い、両手には小太刀を持った青年が吹き飛んできた。

「・・・・・・・」

あたりに静寂が訪れる。

「寝ているつもりか・・・さっさとおきろ」

そう言って・・・扉の向こうから学生服を着た・・・少年が右手にナイフを持って入ってきた。

「なんて強さだ・・・」

そう言って黒服を着た青年は立ち上がる。

「はぁぁぁぁぁ!!!!」

黒服の青年は幾つもあるテーブルの上を走りながら学生服を着た少年に向かって行く。

「ふっ!!」

対して、少年もテーブルの上を走り、青年に向かって行く。

「らぁぁぁぁぁっ!!!」

「おぉぉぉぉぉっ!!!」

二人の武器が交差し、武器やテーブルの軋む音がまわりに響く。

「ひぃぃぃ!!!」

会場にいる何人かの客は既に恐怖に震えている。

「はぁっ!!!」

黒服の青年が指の間から針を飛ばす。

「ふっ、そんなもの!!!」

しかし、学生服を着た少年は軽々それをかわす。

そして、その飛ばされた針が少年の後ろにあった酒瓶に直撃し、瓶が砕ける。

「はぁぁぁ!!!」

少年は避けたと同時に疾走、青年の肩を蹴りつける。

「ぐほぉぁ!!!」

蹴られた衝撃によって青年は立っていたテーブルを叩き壊して、地面に衝突する。

「貴様・・・眠っているのか?」

少年は冷めた眼で青年を見ながら言う。

「ふっ・・・甘い考えだっ!!」

そう言って青年は今度は鋼鉄の糸を結びつけた針を少年に飛ばす。

「ちぃっ!!」

少年は避けようとするが、運悪く持っていたナイフの柄に糸が巻きつく。

「はぁぁぁぁらぁぁぁ!!!!」

青年は針を自分の剣に巻きつけ、持ち上げる。

「うぉっ!!」

そして、その反動で少年は浮かぶ。

「らぁぁぁぁぁぁっ!!!」

そして、青年は浮かび上がった少年は思いっきり壁に向かって投げつける。

「ぐぅぅ・・・ぐはぁっ!!!」

少年は受身を取ろうとするが、間に合わず壁に叩きつけられる。

「はぁ・・・はぁ・・・まだ・・・これでも寝ているといえるか?」

青年は息を荒くしながら言う。

「ふん・・・その命・・・極彩と散れ」

そう言って少年も口元の血を拭い、立ち上がる。

「けりをつけるぞ・・・」

「良いだろう・・・」

そう言って二人は構える。

「はぁぁぁぁ!!!!!」

「あぁぁぁぁ!!!!!」

二人は同時に駆け出す。

「・・・・貴方達・・・」

そこで・・・秋葉の声は震えていた。

恐いから震えているのではない・・・。

怒りによって全身が震えているのだ。

「止めないさいっ!!!!!」

秋葉が一際大きな声を出す。

それにより・・・戦っていた二人が止まる。

「貴方達・・・自分が何をしているのか判っているんでしょうね?」

秋葉が声をわなわなと震わせながら言う。

「大事なパーティーだというのに・・・貴方達は・・・」

そう言う秋葉の髪の色は・・・徐々に真っ赤に染まってきていた。

紅赤朱と呼ばれる、遠野の血によって起こる秋葉の状態である。

「兄さん!!!貴方は自分が何をしたのか判っているんでしょうね!!!?」

秋葉は髪の毛を真っ赤にして少年に言いかかる。

「いや・・・その・・・」

その威圧に気おされ、少年は先程とは違ううろたえたような声を出す。

「貴方もです!!恭也さんっ!!!確かにボディーガードを依頼はしましたがこれはどういう了見ですか!!!?」

次に秋葉は青年に言いかかる。

「うぅ・・・それは・・・」

青年も、先程とは全然違う声で言う。

「一体何故こうなったのか全て聞かせてもらいますからねっ!!!」

「「はい・・・」」

秋葉の威圧に迫られ、二人は声をそろえて言う。

 

 

 

時刻はパーティーの始まる1時間前・・・。

遠野家主催のパーティーだけあって、著名人が数多くこのパーティーに出席をしていた。

そこで、万が一に備えて、秋葉は最近噂に聞く凄腕のボディーガードの事を聞いた。

そして、安全上のため、ボディーガードとして呼ばれたのが恭也である。

その恭也は入り口付近をかためていた。

「ふぅ・・・このまま何事も無ければ良いが・・・」

そう言って恭也は辺りを見回す。

「異常は・・・!!?」

林の中を見て・・・恭也は驚きの声をあげる。

「誰か・・・いるのか・・・」

恭也は腰の後ろに帯刀している愛刀 八景に手を伸ばす。

「神速っ・・・」

恭也は周りに気付かれないように林の中へと駆け入る。

「貴様は・・・」

そして・・・恭也はその林の中で先程の影を見つける。

「物騒なもの持ってるな・・・怪しさこの上ないな」

その影は少年だった。

少年の名は遠野 志貴。

このパーティーの主催者遠野 秋葉の兄である。

「なら・・・ここで仕留めないとな・・・」

少年はそう言って眼鏡を外す。

「っ・・・・」

その瞬間・・・恭也は言いようの無い戦慄を感じた。

「脅えるな・・・すぐに死が貴様を迎えてくれよう・・・」

志貴は口元を歪め笑う。

「貴様・・・名は・・・?」

恭也は剣を少しだけ鞘から抜いて聞く。

「吾は面影糸を巣と張る蜘蛛・・・殺人鬼・・・七夜 志貴・・・」

そう言って志貴はポケットからナイフを取り出す。

彼の既に体の一部といって良いほど馴染み、使ってきた・・・七ツ夜。

「・・・斬っ!!!」

志貴は名乗りいきなり恭也に向かってナイフを振るう。

「うぉっ!!!」

いきなり斬りつけられたが、恭也は持ち前の反射神経でそれをかわす。

「何っ!!?」

恭也がかわした志貴のナイフが空を斬る。

「はぁっ!!!」

そして、剣の柄で志貴の背骨を打ち付ける恭也。

「ごほぉ!!」

多少なり威力があり、志貴は地面に倒れる。

「くっ!!!」

しかし、志貴は倒れたと同時に両手で地面を蹴って恭也の腹に蹴りを喰らわせる。

「ぐぅっ!!!」

腹に決まり、恭也は少し後ろに下がる。

「全力でかからんとな・・・気を抜けば死ぬか・・・許せ、お前の技量を見誤っていた」

そう言って志貴は重心を低くし、構える。

「しっ!!」

志貴は全力で跳躍・・・。

通常なら3歩ほどかかりそうな距離を立った一歩で恭也に近寄る。

「なぁっ!!!」

恭也は驚きで少しだけ隙が生じた。

「そらっ!!!」

その瞬間を志貴は見逃さなかった。

またもやは恭也の腹に対してナイフの柄をぶつける。

「がぁぁぁぁっ!!!」

そして、恭也はかなりの距離を吹き飛ばされた。

志貴が今使ったのは鉄甲作用と言う志貴の先輩にあたるシエルから教わった埋葬機関秘伝の投擲技法の一つである。

「ごほっ!!ごほっ!!」

恭也は少量の血を吐きながら立ち上がる。

「くっ!!!」

恭也は指の間から鋼糸を志貴に向かって放つ。

「んっ!!!?」

志貴がそれに気付いた時には、既に鋼糸が志貴の腕に絡まっていた。

「せぇぇぇぇ!!!!」

そして、恭也は力のかぎり志貴を投げ飛ばした。

「ぐぉぉぉぁぁぁぁ!!!」

そして、志貴は会場の地下駐車場の入り口を転がり落ちていった。

「追いかけないとな・・・」

そう言って恭也も走って中に入る。

「どこだ・・・」

恭也は広い駐車場に意識を広げていく。

「・・・・・・・・・」

恭也は眼をつぶり、無言であたりを探る。

「・・・・・そこっ!!!」

恭也は眼の前に向かって飛針を3本ほど飛ばす。

「ハズレだっ!!!」

しかし、志貴は恭也の頭上後ろから恭也に向かってきた。

「甘いのは貴様だっ!!!」

しかし、恭也はもう片方の手に持っていた飛針を志貴に向かって飛ばす。

「ふっ!!!」

しかし、志貴はその飛針をことごとく殺していく。

「無駄だらけだっ」

そう言って志貴は着地したと同時に恭也に掴みかかる。

「くっ!!!神速っ・・・!!!」

しかし、恭也は志貴にとっては文字通り神速の速さで動いたように見えた。

「貴様・・・何をした・・・?」

志貴は恭也を見て言う。

「御神流奥義・・・神速だ」

そう言って恭也腰に帯刀していた小太刀を2本とも抜く。

「ここで大人しくなってもらおう」

「それはこっちの台詞だ」

そう言って二人は構える。

「しかし・・・この薄暗闇の中・・・貴様は俺を見つけられるかな・・・」

そう言って志貴は加速したと同時に・・・消えた。

「消えた・・・?」

恭也は先程同様意識をあたりに広げる。

「・・・・・・・・・馬鹿な・・・」

恭也は眼を開けて呟く。

「気配が・・・しないだと・・・?」

そう言って恭也は出口へと走っていく。

恭也は志貴が既にここにいないと判断した。

それは間違い・・・。

「斬刑に処す!!!その6銭・・・無用と思えっ!!!」

恭也が出口のドアを握った瞬間、志貴は恭也の後ろに出てきた。

「何っ!!!!?」

恭也は振り返るが・・・。

「そろそろ逝くか!!?」

志貴は恭也に高速の4段蹴りを喰らわせた。

「ごぁぁぁぁ!!!!」

しかし、背に壁がついていた為、仰け反る事も出来ない恭也のダメージは思った以上だった。

「ふん・・・そこで寝ていろ」

そう言って志貴は出口から中へと入って行った。

「こ・・・のっ・・・待て・・・」

恭也は傷だらけの体を引きずって志貴の後を負う。

「誰一人・・・殺させてたまるか・・・!!!」

そう言って恭也は神速の領域に入る。

恭也の眼に映る風景全てがモノクロへと変わる。

その中を、恭也は疾走していく。

「行かせるかぁぁぁぁっ!!!!!」

恭也は志貴を見つけたと同時に神速の領域から抜け出し、志貴に掴みかかろうとする。

「奇襲をする時に叫ぶのは愚か者のする事だぞ」

そう言って後ろから来た恭也をすんなりかわす志貴。

「眠っておけ!!!」

そう言って間髪入れず、志貴は恭也の背骨を蹴り飛ばす。

「ぐぉぉぉぁぁぁぁぁ!!!!!」

恭也は叫びながら・・・目の前のドアをぶち壊していった。

そして、志貴もその後を追って中へと入って行った。

 

 

 

「で、それがちょうどここだった、と言うわけですか?」

秋葉はまだ怒りに震えている。

「すまん・・・秋葉・・・」

志貴は逆らった所で無駄だと判断し、素直に謝る。

「俺にも落ち度はある・・・こいつだけのせいではない」

恭也も、自分に落ち度があるといって謝る。

「兄さんが、最初に自分の事を言えば何も問題は無かったのではないですか?」

う゛・・・」

志貴は焦る。

「まぁ、まだ怪我人がいなかったから良しとしましょう・・・今回だけですからね!!」

「「はっ、はい!!!」」

二人は同時に返事をして、立ち上がった。

「では、お二人にはここの片づけをお願いします」

そう言って秋葉は部屋から出て行く。

「皆様も、このようなことがありましたが、別の部屋でパーティーを再開しましょう」

秋葉にそう言われ、参加者達は次々と部屋から出て行く。

「・・・・やりましょうか?」

「そうですね・・・」

そう言って二人はもくもくと掃除を始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                                              <END

 

 


あとがき

 

 

あははははは、もう笑うしか出来ないね。

フィーア「そう・・・じゃあ・・・そろそろ逝きなさい」

まっ、待てっ!!!その物騒な物をおろしてくれ!!

フィーア「嫌よ、もうあんたにいう事は何もないわ。毎回毎回ネタの使い回しして・・・」

(ぐっ、何とか言い逃れを・・・)

まぁ、落ち着けよ、フィーア。ほら、浩さんも言ってただろう、人なんだからネタが思いつかない時もあるって。

フィーア「美姫さんも言ってたわよ、それでも書かせなきゃいけないって・・・」

鬼か・・・お前等は・・・。

フィーア「あらぁ、こんな美女二人に対して鬼なんて・・・いけない子ねぇ・・・」

ひぃぃぃぃぃっ!!

フィーア「夜空の星になるといいわぁぁぁぁぁ!!!!」

ごほぉぉぉっ!!浩さん先に逝って待ってるぜぇぇぇぇぇぇ・・・・・・(キラン)

フィーア「うふふふ、では、またね」




……………先に逝ってるってことは、俺も飛ばされるのか?

美姫 「うふ♪」

何だ、その気持ちの良いぐらいの笑顔は。

美姫 「くすくす。アハトさんにとんでもない事を教えた罰よ」

とんでもないって、当たり前の事を言っただけじゃないか。
それを言うなら、美姫の方がとんでもない事をフィーアさんに……。いえ、何デモアリマセンヨ。

美姫 「くすくす。準備OK?」

ちょっと、待って。今、準備運動を……。

美姫 「くす☆待たない♪」

い、いや……、ちょっと待てって。は、話せば……。

美姫 「分からな〜い。浩には星すら勿体無いわ。宇宙の塵とおなり!」

ぎょわぁぁぁぁぁぁ〜〜〜!!ア、アハトさん、今行くよ〜。

美姫 「くるよ。と、まあ面白くない冗談はこの辺にして、投稿ありがとうございます〜。
    フィーアちゃんも頑張ってね〜♪」



頂きものの部屋へ戻る

SSのトップへ