ロベリア編

 

 

 

 

 

 

 

 

「そうだな……ロベリアに、付き合おう」

恭也のその言葉の後、ロベリアは嬉しそうに頬を緩める。

そして選ばれなかった3人はかなり肩を落とす。

「当然だな」

勝ち誇った笑みを浮かべ、ロベリアは三人に対して言う。

「何でロベリアなの、恭也っ!?」

ルビナスの叫びに、オルタラもイムニティも頷いて、恭也を見る。

「いや、まぁ……」

「ふん、私といたほうがお前達より有意義になるからさ」

言いよどむ恭也の言葉を遮って、ロベリアが3人に向かって言い放つ。

「さぁ、判ったら今回は退きな」

「ぐっ……判ったわ、でも早く帰ってきなさいよ」

悔しそうな視線をロベリアに向けて、ルビナスとオルタラ、イムニティは宿へと戻って行った。

「ロベリア、言葉に棘がありすぎないか?」

「あれぐらいでちょうどいいんだよ」

言って、ロベリアは恭也の腕を取って組む。

「さぁ、さっさと行こう。 思わぬ所で時間をかけてしまったからな」

ロベリアの言葉に頷いて、二人は歩き出した。

「とりあえず、先に何か食べに行かないか?」

歩きながら、恭也は隣のロベリアに尋ねる。

「そうだねぇ……ここは、恭也に任せるよ。 しっかり、エスコートしてもらおうか」

「あぁ、判った」

ロベリアの言葉に頷き、恭也達は食事をする場所を探すために街の中へと繰り出していった。

 

 

 

「うふふふっ、ロベリア……貴方一人に美味しい思いはさせないわよ……」

傍から見ればかなり怪しい笑を浮かべながら、ルビナスが二人の後をつけていた。

「ルビナス、その怪しい笑いは止めてください」

「そうね、私達も同類に思われるわ」

訂正しよう……ルビナスとオルタラ、イムニティが恭也とロベリアの後ろをつけていた。

あの後、ルビナスは帰る振りをして恭也達が見えなくなった所で二人を尾行し始めたのだ。

むろん、それはオルタラやイムニティも同じ考えだったらしく、協力する事になった。

流石にあの二人を見失わないように距離を詰める必要があったので、オルタラとイムニティの力で気配を遮断。

そのあと、物陰などに隠れながら二人の後を追っているのだ。

しかし、周りの人達から見ればその行為は怪しすぎるのである。

美形に分類されるであろう3人が、怪しげな行動を取りながら一組のカップルを追っているのだ。

何かがあるのでは、と3人に声をかけようとする者もいたが……

3人に声をかけた瞬間、強烈に睨み返され、声も出せず何処かへと去って行ってしまったのである。

「あっ! ロベリア、恭也と腕なんて組んでぇぇっ!!」

どこからか取り出したハンカチをかみ締めながら、ルビナスが言う。

「近づきすぎですね、ロベリア……」

冷めた表情で恭也とロベリアを見るオルタラ。

あまりにロベリアが羨ましい為に、冷めた表情になっているのだが……

「このまま消し炭にしてあげようかしら……」

手から揺らめく炎を出して、イムニティがつぶやく。

そして、ロベリアと恭也が移動し始めたために、ルビナス達もそれをつけるように歩き出した。

 

 

 

「ふむ、やはり昼時はどこも一杯だな……」

街にある食事所は、どこも昼時という事もあってかなり混雑していた。

「ロベリア、どこかの屋台で買って、公園かどこかで食べないか?」

自分の右腕を持って寄り添うように歩いているロベリアに尋ねる恭也。

「言っただろ、恭也に任せるって」

「そうか、ならそうしよう」

ロベリアの言葉に頷き、恭也達は屋台を探し始める。

そして見つけたのはたいやきの屋台。

「ロベリア、たいやきにしよう。 あれは中々美味いぞ」

恭也の言葉に頷き、二人はたいやきを買いに行く。

ロベリアは結構甘いものが好きで、よくケーキなどを食べている事がある。

それを見て少女趣味だといわれたことも過去幾度となくあるが……

ロベリアは普通の餡子と、カスタード。

恭也は、チーズとカレー……はなかったので、普通に餡子を二つ買った。

ついでに飲み物を買って、近くの公園のベンチに座った。

「流石に、できたては美味い」

一口食べて、恭也は少し頬を緩めながら言う。

「確かにな……今まで食べた事のない味だ」

ロベリアも美味しそうに頬張り、食べた感想を言う。

「喜んでもらえて何よりだ」

そう言って、恭也はまた一口、たいやきを口に運ぶ。

「……恭也、それを一口……もらえないか?」

少し遠慮がちに、ロベリアが恭也に尋ねる。

「どうした、これはお前と同じものだぞ?」

不思議そうに、恭也はロベリアに尋ね返す。

「そんな事はどうでもいいだろっ、それを、貰うぞ」

言って、ロベリアは恭也の手にあった食べかけのたいやきを食べる。

俗に言う、間接キスであるが……恭也はそんな事を考えるわけがない。

「ロベリア、人のものを勝手に食べるのは感心しないぞ?」

少し肩をすくめて、恭也がロベリアに言う。

「ふっ、ふん……じゃぁ、私のを食べさせてやるよ」

言って、ロベリアは恭也に自分の食べかけのたいやきを突き出す。

「いや、別に俺は構わんが……」

「良いから、私が食べろって言ってるんだから食べろ」

微妙に顔の赤いロベリアに恭也は小さく肩をすくめる。

「そこまで言うならば、貰おうか」

「そっ、そうか……なら……あっ、あ〜ん……」

かなり顔を真っ赤にして、ロベリアが恭也に言う。

嗚呼、恋する乙女のなせる業か。

普段のロベリアからは絶対に想像できないその仕草に、恭也は不覚にも顔を赤くした。

そして、差し出されたロベリアのたいやきを一口食べて……

 

 

「「「やりすぎよ(です)っ!!! ロベリアッ!!!!」」」

 

 

叫び声を上げて、ルビナス、オルタラ、イムニティの三人が茂みから飛び出してくる。

流石にそれには驚いたのか、ロベリアも恭也も固まっている。

「おっ、お前ら!! まさか……ずっとつけて来てたのかいっ!!?」

かなり顔を赤くして、ロベリアは叫ぶ。

「誤算だったわ……まさかロベリアにあんな事をする度胸があったなんて……」

ぶつぶつと、ロベリアの言葉を聞かずにルビナスは呟く。

「三人とも、帰ったんじゃなかったのか?」

至極当然な疑問を、恭也が三人に尋ねる。

「えっ!? たっ、たまたまに決まってるじゃない、いやね恭也ったら……私達が尾行なんてそんな事する筈が……」

そこまでルビナスが言って、ロベリアの目つきが変わる。

それは戦闘中の目……妖術剣士としての、ロベリア。

ルビナスの隣では、オルタラとイムニティが憐れみの目でルビナスを見ている。

(墓穴を掘りましたね、ルビナス……)

(無様ね……)

そんな事を思うオルタラとイムニティだが、重大な事を忘れている。

「つまり、ずっとつけてきたと言う事か……ふっ、ふふふふふ……いい度胸じゃないか、お前らっ!!!」

叫び、ロベリアはダークプリズンを呼び出す。

「ちょっ、ロベリアッ!! こんなとこで召喚器を呼び出して、ひゃぁぁっ!!」

言い終わる前に、ルビナスの横を紅い剣が通り過ぎる。

そして、オルタラとイムニティにも襲い掛かるロベリア。

標的はルビナスだけではない……オルタラとイムニティも、ロベリアの中では同罪なのだ。

せっかくの恭也とのデートを邪魔されたのだ。

ロベリアの怒りはまさに最高潮に達しているといっても過言ではない。

「わっ、私は宿に戻るわっ!!」

そんなロベリアから逃げるように、イムニティはテレポートで消える。

「あぁっ!! イムニティの裏切り者ーーーっ!!」

「ルビナスッ!!」

涙目になって、ルビナスは逃げ惑う。

そんなルビナスを召喚器を持って追い回すロベリア。

静かな公園が、一気に騒がしくなる。

「はぁ……なんなんだ、一体……」

ベンチにもたれて、恭也は空を見上げる。

「恭也さんがいけないんですよ」

そんな恭也の隣に、逃げていたはずのオルタラが座る。

「俺の何がいけないんだ?」

不思議そうに、オルタラに尋ね返す恭也。

「恭也さんが、ロベリアと……その……」

言いよどむオルタラ。

ハッキリとそんな事、言えるわけがないと、オルタラは思った。

(恭也さんと間接キスしたのが羨ましかった、なんて言える訳がありません……)

少し顔を赤くして、内心ため息をつくオルタラ。

「オルタラァッ!!!」

そんなオルタラに向かって、剣を持って襲い掛かるロベリア。

ロベリアの後ろではかなりつかれた顔をしたルビナスが寝そべっていた。

しかし、オルタラは瞬時に宿に向かっててレポートして、そのロベリアから逃げる。

「ちぃっ、逃がしたか……」

忌々しげに呟き、ロベリアは召喚器を送還する。

「ロベリア、落ち着け」

なだめる様に恭也はロベリアに言い、ロベリアを椅子に座らせる。

「また付き合ってやるから、今日はもう戻ろう」

「……そうだね、今日はもう疲れたよ」

ため息をついて、ロベリアは立ち上がる。

それに続いて恭也も立ち上がり、二人は宿に戻って行った。

「うぅぅぅ……私、は……」

疲れきって倒れているルビナスをほって……

 

 

その後、ロベリアは宿についてからオルタラとイムニティにもきっちり今日の報復をした。

さらに、後日恭也とまた二人で出かける約束を全員の前でした。

これについてはルビナスとオルタラ、イムニティは何もいえなかったのだが。

当然の如く、ミュリエルとアルストロメリアが面白くなさそうな顔をして、ルビナス達を見ていたのは当然だろう。

そして、ルビナス、オルタラ、イムニティは当分の間買出しとなった。

ロベリアとミュリエル、アルストロメリアはそれぞれ恭也との時間ができて嬉しかったそうな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


あとがき

 

 

アンケート結果のロベリアをおおくりしました。

フィーア「できるのが遅いんじゃないの?」

そうはいってもね、こっちも忙しかったわけだからね。

フィーア「でも、ロベリアのあれには驚いたわ」

まぁ、デートとしては定番かな、と思って。

フィーア「で、2位のオルタラも少しいい思いしたわけね」

本当に少しだけどね……

フィーア「次回作のめどはたってるの?」

片言娘か、堕ち鴉のどっちか。

フィーア「じゃ、さっさと書きなさい」

ラジャー

フィーア「ちなみに集計結果はロベリアが4票、オルタラが2票、ルビナスとイムニティが1票ね」

投票してくださった皆様、どうもありがとうございました。

フィーア「ではまた次回にお会いしましょう」

ではでは〜〜




アンケート一位、ロベリア〜。
美姫 「女の子らしいところを見せるロベリア」
うんうん。本当に可愛いじゃないか。
美姫 「良いわね〜」
最後はちょっとドタバタしたけれど。
美姫 「これも面白いわね」
アハトさん、ありがとうございます〜。
美姫 「ありがとうね〜」



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