注)これは私が書いている『破滅の中の堕ち鴉』シリーズのオリジナル設定の話です。

DUEL SAVIOR本編のどのシナリオにも属していませんので、ご了承を。

話的にはハーレムルートのガルガンチュワへと乗り込むシーンからです。

オリジナルな展開がお嫌いな方は、どうぞお引き換えしを。

見てからの批判は極力おやめください。

それでもよろしいかたは、どうぞ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それは、未亜達がガルガンチュワへと乗り込もうとしていた時の事。

「待て……」

何処からか、少々か細い声が聞こえる。

「誰っ!?」

未亜はジャスティを構え、闇へと叫ぶ。

その隣には同じように剣を構えるセルと、ミュリエルが並ぶ。

「ガルガンチュワへと乗り込むのなら……俺も、連れて行け」

闇から、声とともに現れたのは……

「あんたはっ!!」

「恭也……っ!」

リリィとミュリエルが叫ぶ。

未亜達7人の前に現れたのは……紛れもなく破滅の不破 恭也だった。

しかし、恭也は体中に傷を負っていた。

「ガルガンチュワへと行くのだろう……ならば、俺も連れて行って欲しい」

右手で左肩を押さえながら、恭也は言う。

「何であんたなんかをっ!!」

リリィの叫びに、ベリオやカエデも頷く。

目の前の恭也とは破滅として幾度となく戦ってきたのだ。

それが行き成りこんな事を言ってきても、このような態度になるのは当たり前である。

「恭也……一体何があったの?」

そんな中、ルビナスが恭也へと尋ねる。

「…………イムニティが、救世主の鎧へと吸収された」

その言葉に、ミュリエルとルビナスは驚く。

「それだけではない……ロベリアも、ダウニーによって幽閉されたっ」

言って、恭也は膝をつく。

「恭也っ!!」

そんな恭也に、ルビナスは近づいて肩を貸す。

「だから、俺はあの二人を助けに行かねばならんのだ……だから、行くなら俺も連れて行ってくれ」

真っ直ぐに、恭也は未亜達を見る。

「…………判りました」

「未亜っ!!?」

未亜の言葉にリリィやベリオ、カエデは驚いて未亜を見る。

「未亜っ、判ってるの!? こいつは破滅なのよっ!!」

「判ってる! でもこの人は、もう私達の敵じゃない」

リリィの言葉に、未亜は言い返す。

「恭也……私達と行けば破滅と戦うことになります……それでも、よろしいのですか?」

ミュリエルが前に出て、恭也に尋ねる。

「言ったはずだぞ、ミュリエル……俺は、破滅についたんじゃない……ロベリアと、イムニティについたのだ」

それは、あの日の邂逅で恭也がミュリエルの質問に答えたときと同じ。

恭也は、破滅の為に戦っているわけではない……ロベリアとイムニティの為に戦っているのだ。

「判りました、今は戦力が少しでも欲しい所です……」

「お義母様っ!!?」

自分と同じ反対意見だと思っていたミュリエルが恭也の同行に賛成した事にリリィは驚く。

「リリィ、恭也は私達を後ろから襲うようなマネはしません……それに、恭也自身は限りなく赤に近い存在です」

白に属していても、恭也の根本は限りなく赤に近い。

壊す為に破滅にいるのではない……護る為に、大事な人を護る為に破滅にいたのだ。

「お義母様が…そう言うのなら……」

しぶしぶ納得して引き下がるリリィ。

「恭也、まずはその傷の治療ね……」

ルビナスはそう言ってミュリエルに目配せをする。

ルビナスの意図を読み取ったミュリエルは恭也に近づき、回復呪文をかけた。

「助かった……」

小さく礼を述べ、恭也はルビナスから離れる。

「恭也、どうやってあの空中に浮かぶガルガンチュワに行くの?」

「これだ」

尋ねてきたルビナスに、恭也は懐からあるものを取り出し見せる。

「鈴……?」

ルビナスが、呟く。

恭也の手にあったのは小さな紐のようなものをつけた鈴だった。

「この紐は、俺とロベリア、イムニティの髪の毛だ」

3人の髪の毛を結って、紐状にしたのだ。

これで、ガルガンチュワは恭也を認識してガルガンチュワへと呼び戻せる仕組みになっている。

正確にはこの鈴から発せられる音をガルガンチュワが感知し、その鈴が纏う魔力を認知して転送する仕組みである。

「では、行こう……」

恭也の言葉に全員が頷く。

そして、恭也が鈴を鳴らすと……一瞬にして、全員がその場から消え去った。

 

 

 

 

 

 

 

 

反逆の黒き刃

 

 

 

 

 

 

 

 

気が付くと、全員が空に浮かぶガルガンチュワの上にいた。

「便利なものね」

感心するようにリリィが言う。

「行こう、時間が惜しい」

恭也の言葉に、全員が頷く。

そして、ガルガンチュワ内部へと行こうとするが……

「おっとぉ、ここから先は行かせねぇぜ!!」

大剣を持った大男……破滅の将が一人、悪逆のムドウが恭也達の前に現れる。

「どけ、ムドウ……貴様一人で、俺達を止められると思っているのか」

冷徹に、恭也は殺気を込めながらムドウに言う。

「ケッ! 裏切り者がよく言うぜ!!」

「先に裏切ったのはお前達だと思うが?」

ムドウの言葉に、恭也は冷静に言い返す。

「それによぉ、テメェは俺達にのされたのを忘れたのかよ?」

げひた笑を浮かべながら、ムドウは恭也を小馬鹿にしたように言う。

「それを自分達の実力だけと思いあがっているのか? 思いあがりにもほどがあるぞ」

そんなムドウの言葉を気にも留めずに、恭也は言い返す。

「楽に死にたければその口を動かすな……」

強烈な殺気が、恭也の全身からあふれ出す。

その殺気を放つ恭也の姿は、未亜達はおろか……ルビナス達でさえ見たことはなかった。

「かっこつけやがって!! 返り討ちにしてやるぜ!!」

叫び、ムドウは配下のモンスターを呼び出す。

「退かぬのなら、殺し通る!!」

叫び、恭也は腰に差した小太刀に手を回す。

「待ってくれでござる!!」

そんな恭也に、カエデが静止をかける。

「あの男は拙者に任せてほしいでござる!!」

恭也の背中に向かって、カエデは叫ぶ。

「……今のお前は召喚器がない……勝てるのか?」

カエデの方には振り向かず、恭也は尋ね返す。

「ぐちゃぐちゃとうるせぇぜっ!!」

そんな恭也に向かって、ムドウと配下のモンスターが襲い掛かる。

「はぁぁぁぁぁぁっ!!」

そのムドウ達に、恭也は雄叫びを上げて向かえ出る。

飛針を手放したその瞬間に、小太刀の柄でその飛針を思いっきり前に打ち放つ。

かなりのスピードで襲い来るそれを避けられずに、モンスター達の眉間に飛針が突き刺さっていく。

そして、手元に乗せてあった飛針を打ちつくした後に、恭也はムドウへと向かう。

一気に武器越しにぶつかり合う二人。

「お前がもし、この男に勝てると言うのならば……俺は退こう」

ムドウの方を見ながら、恭也はカエデに言う。

「勝てる……いやっ、勝ってみせるでござる!!」

拳を握り締め、カエデは恭也に向かって叫ぶ。

「その戦いは、復讐の為か?」

またカエデに問いかけ、恭也はムドウを弾き飛ばし、後ろに下がる。

「師匠を……大事な人達を救うためでござるっ!!」

カエデの叫びを聞いて……恭也は小太刀を鞘に戻した。

「てめぇ、なんのつもりだっ!!」

その行為を見たムドウが恭也に向かって叫ぶ。

「貴様の相手は俺ではなくなっただけだ……貴様の相手は『心優しき復讐者』がする」

「!!」

恭也の言葉の後、カエデが恭也の前に立つ。

「汝、八虐無道……国下において、咎なき我が父と母を殺した罪……そして、師匠を攫って行った事、許さんでござる!!」

叫びとともに、カエデの右腕に光が集まる。

「こいっ、黒耀っ!!!」

それは正しく、一瞬の出来事……

カエデの叫びとともに、カエデの右腕の光が溢れんばかり爆発し、そこに黒光りした手甲が現れる。

神の施した戒めを破り……今、真の主の下へと推参せし召喚器『黒耀』。

「これで、任せられるか」

「おう、でござるよ!」

恭也の言葉に、カエデは意気高揚に答える。

「では、俺達は先に行く……後から、追いかけて来い」

「皆、行くわよっ!!」

走り出した恭也を追いかけて、ルビナスがカエデ以外の皆に叫び、走り出す。

「行かせるかよっ!!」

先頭を走る恭也に向かって剣を振り下ろそうとするムドウ。

「貴様の相手は拙者だと言ったはずでござる!!」

しかし、そのムドウの前にカエデが割って入り、ムドウの剣をカエデが受け止める。

その隙に恭也はガルガンチュワ内部へと侵入し、その後ろに皆が続いていった。

「さぁ、ここで終わりでござる、ムドウっ!!」

「餓鬼がぁぁっ!!」

そして、カエデとムドウの戦いが始まった。

 

 

 

「本当に、彼女一人に任せても大丈夫なの?」

恭也の隣を走りながら、ルビナスが恭也に尋ねる。

「心配はいらんだろう……俺も幾度となく戦ってきている分、大体の実力の把握はできる。 それに、護る為に戦うやつは負けんよ」

妙な確信の篭った恭也の言葉に、ルビナスは頬を緩めて頷いた。

それを後ろで聞いていた未亜達も、どこか表情が緩んでいた。

仲間を褒められて嫌な人はいないと思うし、なにより一筋の希望がさしてきている。

カエデが、神の呪縛を破りさって召喚器を呼び出したのだ。

ならば、自分たちも出来るかもしれないと言う想いが、ベリオとリリィの中にはあった。

「止まれっ!!」

そんな中、恭也が急に叫ぶ。

それを聞いて全員が慌てて止まると、恭也が前に出る。

一瞬のうちに、銃弾の嵐が恭也に襲いかかる。

「ミュリエルっ!!」

叫びと、ミュリエルが飛び出したのは殆ど同時。

すぐさま防御壁が展開され、銃弾の嵐が防がれる。

「流石は……破滅にいた者ですね」

通路の向こうから、仮面をした男が現れる。

破滅の将が一人……凶刃のシェザルである。

「兄さんっ!」

その姿を確認したベリオが、叫ぶ。

「ベリオ……いつまでそちらにいるつもりだ……はやく、この兄の元へと帰ってくるがいい」

仮面越しでシェザルの表情は判らないが、ベリオには兄が笑っているように思えた。

「兄さん、私は……」

悲痛な表情で何かを言おうとするベリオ。

「シェザル、退け」

そんなベリオとシェザルの間に立ち、恭也がシェザルに言う。

「ご冗談を、私が退くとお思いか」

「思わん。 退いたとして、後ろから撃たれるのは目に見えているからな」

シェザルの言葉に恭也は言い返し、小太刀に手をかける。

その両隣にジャスティを構えた未亜と大剣を構えたセル、そして恭也の後ろにミュリエルが構える。

「待ちな」

そんな中、走り出そうとした恭也にベリオが待ったをかける。

「兄さんの相手は、私がするよ」

声に驚き、未亜達がベリオを見ると、そこにはブラックパピヨンの姿をしたベリオがいた。

「『罪深き故にもっとも穢れ無き魂を持つ者』……か」

恭也のその言葉に、パピヨンは意外そうな顔をし、すぐに笑い顔になる。

「勝算はあるか?」

「当然さ」

自信たっぷりに、パピヨンは答える。

「さっさとあいつを救いに行くってベリオも張り切ってるからね」

言って、パピヨンは鞭を取り出し、構える。

「所詮はどことも知れん男の娘……いいだろう、私自らお前を壊してやる」

忌々しげに呟き、シェザルはマシンガンを取り出す。

「ミュリエル、防御壁で俺とあいつ以外を包み込め」

恭也の言葉に頷き、ミュリエルは自分達を魔法で作った防御壁で包み込む。

「走れっ!!」

叫び、恭也はシェザルへと向かっていく。

向かってくる恭也に向かってシェザルはマシンガンを乱射する。

「うぉぉぉぉぉぉっ!!!」

小太刀を抜き、恭也は銃弾を弾き返す。

「相変わらずでたらめね……」

苦笑しながら呟き、ルビナス達は奥へと走っていく。

「疾ッ!!」

弾いた瞬間、指先に挟んでいた飛針をシェザル目掛けて投げつける。

それをマシンガンを乱射して防ぐシェザル。

その隙に恭也はシェザルへと間合いを詰め…………一閃。

シェザルのマシンガンを真っ二つに叩き斬り、そのまま交差する形で奥へと走っていく。

「待ちなさいっ!!」

その恭也目掛けてシェザルがナイフを投げつけようとするが……

「やらせないわよっ!!」

パピヨンが鞭を振るい、シェザルの腕を止める。

「くっ、ベリオ!!!」

「あんたの相手は私だって言っただろっ!!」

叫びあい、血の繋がらない兄と妹の戦いが始まった。

 

 

 

(救世主候補達の実力はかなり上がっていると見て間違いない……このまま行けば、ロベリアを救出してイムニティを助けられる!!)

恭也はそう考え、先に進んだミュリエル達を追い駆ける。

救世主候補達も、その真なる力を徐々に発揮している。

(後は、神の力を…ここにある召喚器すべてに与えることだけか)

召喚器に秘められし力、それを全て解放できてこそ……

(救世主たりえる…救世主は何も赤と白を統合すれば良い訳ではない)

救世主は、赤と白の所を統合し、尚且つ召喚器の真の力を解放する事によって絶大な力を振るうことが出来る。

(あの忍者の女と僧侶の女は、座に来る頃には必ず引き出しているはず)

準備は整っている。

ロベリアとイムニティを救出し、神を倒す為のピースは揃い始めている。

そして、そのピースが揃い始めた時こそ。

「神よ、お前の終わりだっ!」

 

反逆の黒き刃の下、全ての力が振るわれる……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


あとがき

 

 

突発的にこう言うネタをやってみたくなったので堕ち鴉第28弾はこんな感じでやってみました。

フィーア「恭也が破滅じゃなくて救世主側と一緒に戦うの?」

そうそう。 まぁ、破滅に対して攻撃に出るって感じかな。

フィーア「でも、あんまりいつものと変わってないような……」

実際に恭也、戦ってないからねぇ……

フィーア「で、真の召喚器の力って何よ?」

あれはオリジナル設定です……まぁ、ぞくに言うパワーアップみたいな感じで。

フィーア「何か変わるわけ?」

身体能力が数倍に跳ね上がる上に、神に対して有効な一撃を出せるようになる。

フィーア「なっ、なんか微妙ね……」

うぅぅ、そんなこといわないでよぅ。

フィーア「これから、どうなるの?」

恭也達がロベリアを助けて、大河達と一緒に神と戦う。

フィーア「それ、前に書いたのとほぼ同じじゃない?」

そうなんだよねぇ、そこが一番悩んだ。

フィーア「まぁ、これもIFって事でしょ?」

そうとってもらえればありがたいかな。

フィーア「まぁ、そうしておいてあげましょう」

ありがどうごぜぇます。

フィーア「ではでは〜〜」





黒き刃が翻る。
美姫 「かなり熱い展開よね」
うんうん。破滅のミスはイムニティとロベリアに手を出した事であった。
美姫 「今回の話しも楽しかったわ」
次はどんな展開のお話なのか。
美姫 「また楽しみにしてますね」
ではでは。



▲頂きものの部屋へ

▲SSのトップへ



▲Home          ▲戻る