注)これは、私作【破滅の中の堕ち鴉】のオリジナル的お話です。

  かといって、本編とは全く関係がありません。

  【堕ちよう、落ちよう】の続編的扱いです。

  一部、キャラの性格がかなり激変しています。

  作者の思い付きによって出来上がった作品ですので、極力批判はおやめください。

  見た後で後悔されても、作者は保証できません。

  それでもよろしい方は、どうぞ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ぐちゃぐちゃと、肉を食らう音が響く。

ぐちゃぐちゃと、贓物を食らう音が響く。

じゅるじゅると、血を啜る音が響く。

「………………ふふふっ」

口元と、首周りを血に染めながら、少女は笑う。

「これで、これで一つになれたんだね……」

少女は血溜りの中にしゃがみ込んだまま、どこか恍惚的な表情を浮かべながら言う。

「嬉しいなぁ、嬉しすぎるよ……だって、もう私達は絶対に離れることなんてないんだから」

笑いながら、少女は立ち上がる。

眼下には血溜りの中に浮かぶようにして散らばる……人の骨。

成人男性ぐらいの大きさの、人骨だった。

「魂はもうアストライアに封印したし、体も今しがた私の中に全部入れた……これで」

二度と、離れることなんてない。

「後は、静かな世界を創ろう……私とおにいちゃんだけの、とてもトテモシアワセな世界……」

フラフラと、まるで幽鬼のような足取りで、少女は歩き出す。

「救世主も、神様も、みんなみんな殺しちゃおう…だって、煩いから」

自分達の世界をかき乱す者達を…かき乱す前に、殺す。

「さぁ、いこっかアストライア…あはっ、おにいちゃんも一緒に来てくれるの?」

まるでそこに最愛の男が立っているかのように、少女は振舞う。

「えっ、おにいちゃんも早く私と二人きりになりたいって? もう少しだけ待ってね」

狂った笑みを浮かべながら、少女は呟く。

「おにいちゃんのために、早くこの世界の人を全部消すから……」

そう言って、少女は魔道要塞の先端へと赴く。

「さぁみんな……私とおにいちゃんだけの世界を祝福してね」

言葉と同時に、少女はアストライアを翳す。

そして、アストライアから凄まじい数の光の玉が生み出され、それがどす黒い雲を突き破って上空へと舞い上がる。

「ショット……レイン」

少女の言葉が引き金となり…遠くの方で、上空から凄まじい速さで光の玉が降り注ぐ。

人の断末魔の声が、まるで空気を切り裂いて聞こえて来る。

「あは、あははは、あははははははははははははは!!!!!」

その声を聞きながら、少女は狂ったように笑い声を上げる。

「皆が、皆が悪いんだよっ! 私とおにいちゃんだけの世界で騒がしくするからっ!!」

まるで、今の行為が当然の罰だと言うように、少女は叫ぶ。

叫びながらも、少女は次々に光の球を作り出してはそれを打ち放っていく。

「いらないっ! いらないっ! この世界には私とおにいちゃん以外はいらないっ!!」

まるで堰を切ったかのように、少女は叫び続ける。

その刹那……

「っ!!?」

少女は突然、後ろから切りかかられた。

この魔道要塞の中に、既に誰もいないはずである。

そう思いつつも、少女は反射的に防御壁を展開してその攻撃を防ぐ。

そして、切りかかってきた人物を視界に納めた。

 

 

 

「何か用ですか、お邪魔なルビナスさん」

 

 

 

 

 

 

 

狂ふ世界で

 

 

 

 

 

 

 

少女の言葉どおり…目の前にはゆらりゆらりと立つルビナスがいた。

その手にあるのは黄金の刀身を持つ召喚器【エルダーアーク】

少女の予想では、ルビナスも未亜に殺されたと思っていただけに、少し驚く。

だけど、直ぐに興味をなくしたかのように、冷たく見下す。

「…えして」

小さく、ルビナスは呟く。

しかし、少女はそんな声など聞こえていないとばかりに無視する。

 

「かえして…かえして、かえして、カエシテ、かえして、カエシテ、かえしてっ、カエシテッ、かえしてっ、カエシテッ、かえしてカエシテかえしてカエシテかえしてカエシテかえしてカエシテかえしてカエシテかえしてカエシテ」

 

まるで呪詛のように、ルビナスはその一言だけを繰り返す。

延々とルビナスはその一言だけを言い続け、少女を視界に納めた瞬間…

「かえせぇっ!!!!!!!」

 

キッと少女を睨みつけながらルビナスは叫び、斬りかかる。

ただ一直線に、ルビナスは少女目掛けて走る。

しかし、そんな安直な剣筋に反応できないほど少女も弱くはない。

すぐさまルビナスをあしらう様に身を翻す。

「かえせ? 何を馬鹿なこと…おにいちゃんは私だけのもの」

そして、嫌悪感を露にして少女は言い返し。

「そっちこそ、早く死んでください……貴女みたいな煩い人は、いても迷惑なだけ」

言葉と共に、少女は凄まじい数の魔力弾をルビナス目掛けて放つ。

「逆巻け…エリニュス」

刹那、空間が逆巻き…一つの剣が現れ、少女の放った魔力弾を全て吸収する。

宙に浮かぶその剣を持ち、ルビナスは少女を睨む。

復讐の女神【エリニュス】の名を冠するルビナスの新しい召喚器。

柄などなく、むき出しの鮮血色の刀身。

その能力はエリニュスの名の通り……尊属殺人者に対して凄まじい力を発揮する。

エリニュスは特殊な召喚器であり、復讐心によって目覚め、復讐心を持つものの力となる。

「うふ、ふふふふふふふふ……さぁ、なのはちゃん……返してもらうわよ……」

構えながら、ルビナスは虚ろな眼をして言う。

「恭也の魂を」

刹那、ルビナスは先程より早くなのは目掛けて斬りかかる。

二つの召喚器による、2重身体強化。

今のルビナスは救世主並みの身体能力を得ているといっても過言ではない。

だが、なのははすぐさま防御壁を展開してその攻撃を弾く。

「貴女が喩えどんな召喚器を持ち出してきても…私のアストライアには勝てませんよ」

言って、なのはは防御壁をはじけさせ、ルビナスを吹き飛ばす。

アストライアの真の能力…それは、アンチ召喚器システム。

召喚器を持つ者に対して絶対的な権限を持つ事の出来る、対救世主用の召喚器。

アストライアと言う召喚器は、一種の保険なのだ。

救世主が神の手に負えなくなった時…救世主候補が、神の意向にそぐわなくなった時。

召喚器を持つ者を倒すために組み込まれた機能。

それが、全召喚器の中でアストライアだけが持っているアンチ召喚器システム。

召喚器から受ける恩恵を全て、吸収する。

それは、使い方によっては神ですら倒す事の出来る…禁断の、諸刃の剣。

 

「うふふふふふ、あはははは、あっはははははははははははははっ!!!!!!!」

 

なのはに吹き飛ばされたルビナスは、着地して狂ったように笑い声を上げる。

「アンチ召喚器アストライア…確かに私のエルダーアークには天敵ね」

狂った笑みを浮かべながら、ルビナスはなのはを見る。

「でも、それはただの召喚器の場合…私の新しい召喚器【エリニュス】には、効かないわ」

砂のように消えていくエルダーアークに対して、エリニュスはその存在は主張するかのように光り輝く。

「このエリニュスはアストライアと同じ、上位古代召喚器……だから、アストライアの力なんて効かない」

言って、ルビナスは再びなのは目掛けて走り出す。

召喚器を持つ者が尊属者を殺し、尚且つその殺した者に対して復讐心を持たない限り、出現しない特殊な召喚器【エリニュス】

その破壊の力は、覚醒した救世主と同等かそれ以上である。

さらに、全召喚器の原型となった上位古代召喚器の一つであるため、アストライアのアンチ召喚器システムの影響を受けない。

凄まじい速さで振り下ろされるエリニュスを、なのはは舌打ちしながらアストライアで防ぐ。

「遠距離戦は不利だから、じかに私が貴女を切り刻んであげるわ」

狂った笑みを浮かべ、ルビナスはなのはに言う。

「ルビナスさん…あんまりしつこいと…私も本気で怒りますよ」

言葉と共に、上空から凄まじい数の魔力の玉が降り注いでくる。

咄嗟に、二人はお互いを弾いて一気に距離を開ける。

刹那、先程まで二人がいた場所に魔力の玉が雨霰のように降り注ぐ。

魔力の玉が地面に着弾し、凄まじい爆音が響き渡り、煙が舞い上がる。

「ショットレイン」

そんな中、なのはは煙が舞い上がる向こう側目掛けて無数の魔力の玉を放ち続ける。

視界が悪いなら、全ての場所に向かって撃ち放つのみ。

そう考え、なのはは無数に撃ち放っていく。

「何処を狙っているのかしら」

刹那、なのはの上空からルビナスの声が響く。

咄嗟になのはが上空を見ると、そこには背中に羽根を生やしたルビナスが浮かんでいた。

「この羽根も、エリニュスの能力…知っているかしら……エリニュスとは、3姉妹が集まって呼ばれる名前なのよ」

言葉と同時に、ルビナスが3人に分身する。

「行きなさいっ、メガイラッ、ティシフォネッ!!!」

分身した二人のルビナスが、なのは目掛けて急降下する。

「エスト・アェストゥスッ!!」

そんなルビナスたち目掛けて、なのはは自身を中心として凄まじい大爆発を起こす魔法を放つ。

自分を中心に、広範囲を焼き尽くすその魔法が急降下してきたルビナス達を炎で包み、完全に消炭すら残さずルビナス達は燃え尽きていく。

しかし、炎が消え去った後に本物のルビナスがなのは目掛けて距離を詰める。

「あぁぁぁぁぁぁっ!!!」

雄たけびと共に振るわれるエリニュスを、なのはは体勢を崩しながらも避け続ける。

 

「返せッ!」

「返せッ!」

「返せッ!」

「返せッ!」

「返せッ!」

「返せッ!」

「返せッ!」

「返せッ!」

 

その一言だけを叫び続けながら、ルビナスはエリニュスをなのは目掛けて振るい続ける。

「恭也はっ、恭也は私だけのものだったっ!!」

狂った笑みを浮かべつつ、ルビナスはなのはに叫ぶ。

「なのにっ! なのにっ!! 貴女は後から割り込んできてぇぇぇぇっ!!!!」

一際大きな振りかぶりから、ルビナスは一撃を繰り出す。

凄まじい衝撃を纏ったその一撃をなのはは辛うじて避けるが、ガルガンチュワに大きな裂け目が作り出される。

「後から…? 今、後からって言いましたね……?」

幽鬼のように、なのはは顔を下に俯けたまま尋ねる。

「……ふざけるなっ!!」

凄まじい魔力の胎動と共に、なのはは叫ぶ。

まるで鼓動のような魔力の衝撃に、ルビナスは一歩後ろに下がる。

「私はっ、誰よりも早く好きだった!! 私だけのものだった!! それがこんな世界に召喚されてから出会った貴女に、そんな事を言われる謂れはないっ!!!」

怒りに打ち震える様に、アストライアから凄まじい魔力があふれ出す。

「許さないのは私のほうですよ…後から恭也に会ったくせに、まるで自分のもののように言い張るなんて」

憎しみ、怒り、そんな負の感情を込めながら、なのははルビナスを睨む。

「私と恭也の空白の10年間は…貴女達のせい…貴女達が、私から恭也を奪った」

だから、そう区切って…なのははアストライアを構えた。

 

 

 

 

 

 

「貴女を、此処で殺しつくしてあげます」

 

 

 

 


あとがき

 

 

何を思ったか、突発的に書きたくなったので堕ち鴉第36弾は【堕ちよう、落ちよう】の続編です。

フィーア「なのは、随分性格変わってない?」

まぁ、狂愛だからこんな感じかなぁと試行錯誤しながら書いたんだけど。

フィーア「しかも、最初のあのシーンは何?」

そこは…まぁ、自主規制で。

フィーア「本編の方は?」

書いてるよ、頑張って。

フィーア「これの続きは書くのかしら?」

まぁ、反応があれば。

フィーア「行き当たりばったりねぇ」

うぐぅ…

フィーア「ではでは〜〜〜」





うわー、もの凄い事になってる。
美姫 「本当ね。この後どうなるのかしら」
果たして、この続きが語られる日が来るのか!
美姫 「私としては、ちょっと見てみたいけれど」
一体どうなる!? それでは、次をお待ちしてます。
美姫 「それじゃ〜ね〜」



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