これは、130cmの彼女たちの流儀の2次創作です。

キャラクターの性格、言動に違いがあったりします。

これは、オリキャラがメインです。

設定も少しばかり変わっていますが、それでもよろしい方はどうぞ。

 

 

 

 

 

いつもと変わらない朝……

鳥の鳴き声が聞こえ、暖かな日差しが窓から差し込んでくる。

「んっ…う〜ん……」

そんな部屋の中、ベッドに寝ていた青年は、小さく寝返りをうつ。

「朝…か……」

閉じた瞼越しに差し込む朝日に、青年は目を擦りながら起き上がる。

青年の名前は椚 恭一。

ぶっちゃけて言うと、吸血鬼。

そんな朝日には弱いとか言う一般的吸血鬼のイメージを無視して、恭一は窓越しに外を見る。

「ふぁ〜〜ぁぁ」

そして、大きな欠伸を一つして、恭一は自分の隣を見る。

「すぅ、すぅ……」

そこには、一人の少女がいまだ眠っている。

少女の名前は白銀 鳥羽莉。

彼女も恭一と同じ、吸血鬼。

彼女は朝に弱いというわけではなく、昨晩恭一と激しく愛し合った結果、まだ眠っているのだ。

だけど、その手はしっかり恭一の服を掴んでいる。

「鳥羽莉、朝だよ……」

鳥羽莉の耳元で、恭一は優しく語り掛ける。

「んっ…恭一……?」

寝ぼけ眼で、鳥羽莉は恭一を呼ぶ。

「あぁ、鳥羽莉、おはよう」

笑いながら、恭一は挨拶をする。

「えぇ、おはよう」

鳥羽莉も、起き上がって恭一に挨拶を返す。

「まだ時間あるけど、もう起きるかい?」

「恭一が起きるんだったら、起きるわ」

そう言って、二人はベッドから立ち上がる。

そして、お互い何の気兼ねもなく服を脱いで、鳥羽莉は私服、恭一は制服に着替える。

「さてと、居間にいくかな」

カバンを持って、恭一は鳥羽莉に言う。

「そうね、火乃香に紅茶でも入れてもらいましょう」

鳥羽莉もそう答え、二人は寄り添いながら居間へと歩いて行った。

椚 恭一、白銀 鳥羽莉。

吸血鬼でもある二人は、同時に永遠を誓い合った恋人同士でもあった。

 

 

 

 

 

 

 

吸血鬼達の優雅な朝

 

 

 

 

 

 

 

「火乃香さん、はよっす」

居間に入り、エプロンドレスを着た女性に挨拶をする恭一。

「あぁ、恭一に鳥羽莉。 おはよう」

火乃香と呼ばれた女性は二人に挨拶をし、側においてあったティーセットを机に置く。

弓曳 火乃香、ここ白銀家の家令であり、吸血鬼を管理する組織の管理官でもある。

「ちょうどいいタイミングだったな、飲むだろう」

「あぁ、頼むわ」

「お願いするわ」

火乃香の言葉に二人は答え、ソファに並んで座る。

そして、火乃香は手早く二人の紅茶を入れる。

そして自分も自分の紅茶を入れ、手前の椅子に座る。

「やっぱ朝はこれだねぇ、眼が覚めるな」

紅茶を飲みながら、恭一は言う。

「お褒めに預かり、光栄だな」

火乃香も苦笑しながら、言い返す。

「しかし、お前達は本当に早いな」

「それを言うなら、火乃香だって早いじゃない」

火乃香の言葉に、鳥羽莉が言い返す。

「私は一様家令だからな、主人より遅いわけにはいかん」

ごく当然、と言った感じで答える火乃香。

「朱音にも、見習ってもらいたいものだな」

「無理だろ……」

火乃香の言葉に、恭一は苦笑しながら言った。

朱音とは、白銀 朱音。

鳥羽莉の双子の姉で、同じく吸血鬼。

朝は滅法……いや、壊滅的に弱い。

それから30分ほど3人で談笑していると、居間のドアが開く。

「おはよう」

そう言って入って来たのは兎月 胡太郎。

朱音、鳥羽莉の弟で、吸血鬼。

そして、朱音の恋人。

「おっすこた、はよぅ」

「おはよう、胡太郎」

その胡太郎に、恭一と鳥羽莉が挨拶を返す。

「おはよう、鳥羽莉、恭一」

胡太郎はもう一度二人に挨拶をして、空いている椅子に座る。

そして、火乃香が胡太郎の前に紅茶を置く。

「火乃香さん、ありがとう」

そう言って、胡太郎は紅茶を飲む。

「恭一、鳥羽莉、ほら」

そして火乃香は恭一と鳥羽莉に赤い色のパックを渡す。

「さんきゅ」

恭一はそう言い、その赤いパックの蓋をあける。

これは勿論、輸血パックである。

吸血鬼である以上、血は絶対に必要になってくる。

だから恭一と鳥羽莉は、こうやって輸血パックで血を飲んでいる。

ちなみに、胡太郎と朱音はちゃんと人間からではないと駄目らしい。

ここら辺は、吸血鬼としての種の違いであると恭一が答えていた。

「うへぇ、この血まじぃな……」

心底嫌そうな顔をして、恭一は言う。

しかし、生きていく上で必ず飲まなければいけないので、文句は言えない。

「市販で取り寄せた物だからな、文句を言うな」

火乃香はしれっと言い放つ。

恭一の隣では、鳥羽莉が優雅に輸血パックから血を吸っていた。

「……鳥羽莉、そっちのをくれ」

じっと鳥羽莉が飲んでいる輸血パックを見つめ、恭一は言う。

「いいけれど、たぶんかわらないわよ」

言って、鳥羽莉は自分のパックを恭一に渡し、恭一のパックを受け取る。

「んぐっ、はぁ……鳥羽莉と間接キスで飲むと美味く感じるな」

さも当然に、普通に恭一は言う。

「……馬鹿」

鳥羽莉は顔真っ赤にしてそう言い、輸血パックから血を吸う。

「照れるな照れるな」

笑いながら、恭一は鳥羽莉の頭を撫でる。

「おっと、こた、そろそろ義姉さん、起こしに行かないとまじぃんじゃね?」

今現在の時間は740分。

ここから学校まで歩いて20分弱。

余裕を持って行きたければ、もうそろそろ出ないとまずい。

「そうだな、起こしに行こうか」

空になったティーカップを置いて、胡太郎は立ち上がる。

「鳥羽莉、俺達も行くぜ」

「えぇ」

恭一と鳥羽莉も、空になった輸血パックを置いて、立ち上がる。

「今日は……遅刻におかず一つ」

「それじゃ賭けにならないだろ」

恭一と胡太郎、そんな事を話しながら居間を出て行った。

勿論、鳥羽莉は恭一と腕を組んでいたが。

 

 

 

「朱音、起きてるか」

返事はないと思うが、一様ノックしてたずねる胡太郎。

「返事はねぇな、いつもと同じだな」

苦笑して、恭一は何の遠慮もなくドアを開ける。

「お〜い、義姉さん。 起きないと遅刻だぜ?」

そして、部屋の中のベッドで寝ている朱音をゆすりながら、恭一は言う。

「むぅ〜〜〜、あと5時間……」

「そりゃ寝すぎだ」

寝言か、起きているか、言い返してきた朱音の言葉に、つっこむ恭一。

「カバンの用意はできているわね」

机の上に置かれたカバンと制服を見て、鳥羽莉はそう言う。

「おいこた、ちょい耳かせ」

胡太郎の首に手を回し、恭一は胡太郎を引き寄せる。

「えっとな、ごにょごにょごにょ……」

「……それしかないか」

恭一の言葉に、胡太郎は苦笑して朱音に近づく。

「恭一、胡太郎に何を言ったの?」

「あぁ、ねぼすけを起こす……ある意味、最終技をな」

鳥羽莉の問いに、恭一は笑いながら答える。

そして胡太郎は朱音の耳元に口を近づけ……

「ふぅ……」

「ひゃいっ!!」

「あだっ!!」

胡太郎が朱音の耳に息を吹きかけた瞬間、朱音が飛び起き、胡太郎の顔に思いっきりヘッドバットを喰らわせる。

「いだだだだ……」

「もっ、もう! こたろーっ!」

心底顔を赤くして、朱音が胡太郎に枕を投げる。

胡太郎の方は先ほど受けた痛みの所為で避けきれず、まともに枕を顔面で受け止める。

「おはよう、義姉さん。 そろそろ着替えねぇと遅刻だぜ?」

そんな朱音に、さも当然に挨拶をする恭一。

「きょっ、恭一っ! お前の言った方法でやったら確かに起きたけど、痛いぞっ」

顔、むしろ鼻の辺りを擦りながら胡太郎が言う。

「まぁ、俺は思ったとおりの反応が見れて嬉しいけどな」

笑いながら、恭一は言った。

「きょーいちに、鳥羽莉ちゃんも……いたんなら何でもっと普通に起こしてくれないかなー」

そう言って朱音はベッドから立ち上がる。

「普通にやったら起きねぇだろ、義姉さんは」

「姉さん、少し緩みすぎじゃない?」

しかし、何を今更と言った風に答える恭一と、ちょっと笑いながら言う鳥羽莉。

「んじゃ、俺らは外で待ってるから、早く着替えろよ、義姉さん」

そう言って恭一と鳥羽莉は部屋を出て行った。

胡太郎も、痛む鼻を押さえながら何とか部屋を出て行った。

 

 

 

「やっぱ、今日も走んねぇと間に合わねぇなぁ……」

玄関から出て、空を見上げながら言う恭一。

「まぁ、良い運動になるだろ」

その隣で、胡太郎が苦笑しながら言う。

「こた、最近義姉さんと激しくやりすぎてんじゃねぇの?」

「ばっ、何言うんだよっ、恭一っ!!」

からかう様に言った恭一に、胡太郎は顔を赤くして言い返す。

「まっ、俺もこたの事は言えねぇけどな」

笑いを浮かべて恭一は言うが、その隣の鳥羽莉は顔を真っ赤にしていた。

「お待たせー、こたろー、きょーいち」

そこに、制服を着た朱音がやってくる。

「んじゃま、行きますか」

「気をつけてね」

「おう」

恭一は鳥羽莉にそう答え、徐にキスをする。

これは毎朝の定例の行事のため、胡太郎も朱音も何も言わない。

最初は鳥羽莉は反論していたが、最近は諦めたのか、それとも嬉しいからか、何も言わなくなった。

「こたろー、私達も」

「はいはい」

それを見た朱音がこたろーにせがみ、胡太郎も苦笑しながら朱音にキスをする。

「鳥羽莉、行って来るぜ」

「行ってくるね、鳥羽莉ちゃん」

「鳥羽莉、行ってきます」

3人が挨拶をして、玄関から出て行く。

「行ってらっしゃい、三人とも」

それを、鳥羽莉は見送る。

 

 

ここ、白銀屋敷には仲睦まじい2組の恋人がいます。

四人は人とは違う吸血鬼ですが、それでも楽しく毎日を過ごしています。

これは、そんな四人が巻き起こす、愛と笑いの、物語。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


あとがき

 

 

もう完璧に勢いだね。

フィーア「新連載をこのタイミングで抱えるとはねぇ……」

いや、だってさ、勢いがついて書きたくなると書いちゃうって浩さんも言ってたじゃないか。

フィーア「まぁ、浩さんの場合それなり書くスピードがあるけど、あんたは亀そのものでしょうがっ!!」

がぶふっ!!

フィーア「むしろ比べた亀に申し訳ないわ」

亀は最後までやりきるからねぇ……

フィーア「で、この微妙に需要がないというか、まだないというか、彼女たちの流儀の長編、なんで書こうと思ったわけ?」

もちろん、鳥羽莉とイチャイチャしたかったから。

フィーア「まぁ、本編ではあんまりイチャイチャしないからねぇ……」

だろ? まぁ、後はもっと面白いドタバタコメディに挑戦の意味も含めて、かな。

フィーア「後はあんたの苦手な甘い展開よね」

そうそう、戦闘とかシリアスはそこそこかけてると思うんだよ。

フィーア「この話は、そういうのはないと?」

まぁ、シリアスな展開はあるけど、戦闘はまずないね。

フィーア「先の事はまた色々書かせるから良いわ」

うぃーす。

フィーア「みなさん、ではでは〜〜〜」





勢いのまま走り出せ!
美姫 「いや、アンタの場合は多分に自己弁護があるから却下」
えっと、まあ、そんなこんなで彼女たちの流儀の長編を頂きました。
美姫 「アンタの発言の所為かもね。あ〜あ、フィーアが可哀想」
な、何故に俺の所為に。
美姫 「でも、私としてはまた楽しく読める作品が増えて嬉しいけれどね」
いや、普通に俺の話を流さないで…。
美姫 「これからどんなお話が展開するのか楽しみね」
うんうん。鳥羽莉との甘々なお話が楽しみだー!
美姫 「朱音の甘い話もあると良いわね」
こらこら。
美姫 「あくまでも希望よ。それじゃあ、次回を楽しみに待ってるわ」
ではでは。



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