とらいあんぐるハート×魔法少女リリカルなのは








魔法少女リリカルなのは〜守りたいものありますか?〜

第三話 黒と白の邂逅と










 恭也から散々苛められたユーノはしばらく落ち込みまくっていた
 それはもう、黒いオーラが発生するほどに……一番の理由はなのはに見られたことが大きいのだが

「ユーノくん、大丈夫?」

 なのはの言葉も届かないほどに疲弊しているユーノ

「………………………(黒いオーラを巻きながらぶつぶつ言っている)」

 なのははそんなユーノに汗をかく
 仕方ないとも取れることだろう……だが、ユーノはぴくりと反応する

「ジュエルシードの反応だ」

 すぐさま復活するあたり、一応の事は覚えてるようだ
 なのははなのはで、このままユーノが忘れてくれたら一番なんだけどとか考えていた
 なんせ、自分の部屋の隅の方が黒くなりそうだからだ

「じゃあ、ユーノくん、行こう」
「うん」

 さて、なのはたちが向かう先には、ある一人の少女がいた
 使い魔を連れ、そして、そこになのはたちも突っ込む

「あ」
「ん」

 そこに二人の少女の邂逅を果たす
 一人は、高町なのは、使い魔(サポート魔法得意な人)
 一人は、フェイト・テスタロッサ、使い魔(サポート魔法と攻撃系の犬)
 ジュエルシードへと攻撃を向けるフェイト
 なのはもすぐさまそれに反応するが、その前にフェイトの魔法が完成し、回収しようとする
 だが、そのジュエルシードは飛んでいく
 そのことに慌てたのは、フェイトとなのは、ユーノとアルフの二人と二匹だ

「どういうことだい?」

 アルフが声を出すが分からず、全員で追いかける
 飛ぶ速度が早く、小さな石だが魔力を周囲に漂わせてるのですぐに分かる

「願いが肥大化してというのが定石なはずなのに、意識があるみたいに」

 ユーノがそういって、なのはの服にしがみつく
 飛ぶのが辛くなったのか、そのまま呼吸を整える
 飛んでいくジュエルシードを追いかけるが、急に消えた
 結界を飛び越えたとかじゃなく、本当に急に魔力反応すら姿すら消えたのだ
 全員が呆然となった
 どうやって消えたかじゃない、どうして無くなったかが分からないのだ

「どういうこと?」

 フェイトは周囲を確かめる……冷静で聡い
 だが、それでも何も見つけられないようだ……茂みなども見ていく
 勿論、木々も全て調べる

「見つからない」

 その呟きは一人と二匹を驚かせた

「そういえば、私、高町なのは
 あなたは!?」

 フェイトはすでに飛び立つ体勢に入っていた……名前を聞かれていると気づき

「フェイト・テスタロッサ」

 それだけ言うと、なのはの制止の声も聞かず、飛び立っていった

「フェイトちゃん」

 声を上げて、なのはは消えたフェイトを気にしている
 だが、公園では届かない……林の奥だからこそ

「なのは、それよりもジュエルシードが見つからないから、帰ろう」
「そうだね」

 少し疲れた顔のなのはは、そのまま木を背にしている
 もたれかかっている……ユーノはその事にいくらか考えている

「なのは」

 魔法がどういうものかを教えていくユーノ
 確かに才能はある、だが、才能だけではどうしようもないこともある
 勿論、頑張って練習、鍛錬したらどうにかなるだろう
 ただ、魔力を使いきったに等しい場合、そのときは力が尽きていくのに近い
 だが、それは……
 と、がさがさと音が聞こえ、ユーノは言葉を発するのを止めて
 なのははそちらへと顔を動かす

「なのは」

 なのはは、魔法少女状態から普通の少女状態に戻っていたため、私服が汚れていた

「ユーノが此処まで走って捕まえたのか?」
「うん」

 恭也の言葉に嘘と分かりつつも、なのはは頷く
 胸が痛くなるが、それでもなのははその嘘を貫いた

「途中でこけちゃって」
「父さんが心配するな」

 恭也はそういうとなのはをおんぶする
 ユーノを自分の肩に乗せようとして、甘えてるなのはに仕方ないと考え
 なのはの肩に乗せる

「お兄ちゃん」

 なのはは、兄の背中を感じ優しい兄だと考えていた
 勿論、ユーノもそれは分かっているが、先の記憶がそれを邪魔する
 体の隅々を洗った人だからこそ、ある種、親よりも詳しいのではと悲しく感じていた

「何があったとかは聞かないが……あまり無理をしたら
 心配するだろう……ユーノも男の子なら、止められるようにならないとな」

 『きゅー』と無くユーノ……確かにその通りだから
 もしも、一歩間違えば、なのはは倒れていたかもしれない
 今はまだ疲れて動けない程度だが、もしも先があるなら……ユーノは自分の安易さを考えていた

「ごめんなさい」
「まぁ、ユーノとなのはは体を洗わないとな……先になのははお風呂に入ると良い
 俺が後でユーノをしっかりと洗うから」

 ユーノ震える……というよりも、また、あの羞恥地獄(本人談)
 しかも、今度はしっかりと洗われるのだから、本人は震えるしかない

「あ、それなら、お兄ちゃんも入ろうよ……此処まで来たら汚れてるだろうし」
「いや、服を着替えるだけで十分だからな
 ユーノをきっちりと洗おう」

 恭也の言葉に更に震えるユーノ

『なのは〜〜〜、お願い、あれは勘弁して〜〜〜〜、ぼく、お婿にいけないよ〜〜〜』

 というか、お婿って……なのはは突込みが浮かぶ

『でも、ユーノくん、この状態でお兄ちゃんに逆らうのは無理があると思う
 家に誰かいたら他の人に頼んだら良いんじゃないかな?』
『でも、結局恭也さんが洗いそうなのは、気のせい?』
『うっ』

 なのはは言葉に詰まってしまった
 恭也は小さく唇の端をあげる……ちなみに、ユーノは外に出るたびに恭也に洗われていた
 隅々までといかなくとも、本人曰く『恥ずかしいよ』との事だが
 恭也は気づいていてするのだし、洗うのを気に入ってるからと家族に言って
 洗い続けてるのだ。なのはも何とか自分でって思うのだが
 大体が、なのはが風呂に入ってる間じゃなく、その後に洗われる
 逃亡しようとしたが、ユーノは恭也の手により捕まる
 そして、ユーノ、多分これからも体を洗われ続けるだろう。恭也の手によって

『しくしくしくしく』

 部屋の隅で隅々まで体を綺麗にされたユーノはないていた
 ちなみに、毎度のことであるし恭也も晴れ晴れとした笑顔で皆に綺麗になったとユーノを連れて行くので
 ユーノは真っ白状態であったりする。ある意味、もっとも外に出て被害の大きいユーノであった

「恭ちゃん、ユーノくん泣いてない?」
「気のせいだろう」

 そんな会話も毎度のごとく行われている
 タオルに包まり、涙を器用に流しているフェレット
 士郎も分かってはいても、言わない
 桃子はフェレットが泣くんだ〜みたいな事と
 恭也も本当は動物を飼いたかったのかもしれないと考えていた
 半分くらいは正解であるが、恭也は声が聞こえてるので苛めてるのに等しい
 『なのはを危険な目にあわせやがって、この野郎』とのことだ
 自分が行けないのだから、守るくらいしやがれってな意味が大きい
 ただ、ジュエルシードが反応すれば、恭也はそこまで行くと勝手にジュエルシードから恭也に入っていく
 後は気配を隠し続けるだけで良いのだ……魔法の探査からも逃れるのである

「お兄ちゃん、最近ユーノくん、暗いんだけど」
「そうか? 俺が体を洗ってるときは、鳴いて喜んでるように思えるが」
『そうなの!?』
『最近、なんか気持ちよくなってきて、腕とか回しやすくなったりして体の動きが良いんだけど
 もしかして、それと関係があるのかな?』

 お風呂に入ってるときの記憶がまるっぽ抜けるユーノであった
 なのはも洗ってる姿は見るものの、恭也がどうやって洗ってるかは知らなかったりする
 恭也はしっかり洗うついでに、軽く体を解したりしてやってるのだ
 だからこそ、体を動かす分、軽く感じたり痛みが抜けてたりするのだが、その優しさにはまだまだ気づかない
 そして、ユーノとなのははジュエルシードを集めるため外へと出るのだった




 同じく黒と金髪の少女、フェイトも空を飛んでいた
 アルフとともにジュエルシードを探すために……だが、あの一時
 ジュエルシードに意識があるかのように飛んでいって消えた
 しかも、さっぱり見つからなかった
 あの後、飛んで行き、なのはが去ったと思い見たが無かった
 分からないままに、夜空へと舞い上がる……多分、あの白と赤い髪の少女と会う予感をしながら








 つづく










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