とらいあんぐるハート×魔法少女リリカルなのは








魔法少女リリカルなのは〜守りたいものありますか?〜

第四話 黒と黒の出会い










 なのはとフェイトは出会った……そして、士郎となのはと桃子、美由希とアリサとすずかの六名
 その六名は、大型連休を使っての旅行としゃれ込んでいた
 恭也も勿論誘ったが、恭也は断っていた
 家に一人にしてくれと、頼んだのだ
 なのはやアリサ、すずかのお願いに弱い恭也がかたくなに拒否したことに
 士郎と桃子の二人は初めての事で驚いてはいた
 だが、恭也はそんな両親のことを気にせずにというよりも全く考えず
 一泊二日の旅行だし、それくらいなら気にしないでくれという恭也の言葉に
 皆、しぶしぶながらも頷いていた
 アリサとすずかは恭也と会う機会が少ないのが残念なのか、それとも他の要因か
 とても寂しそうだったのだが、恭也も今度遊ぼうなという笑顔(営業スマイル)により
 何とか事なきを得ていた

「恭ちゃんが来れないのは仕方ないよ……どうせ補習だって」
「そんな話してませんでしたよ、それに大学って補習じゃなくて、補講じゃあ」
「じゃあ、誰かと会うとか?」
「まさか〜、恭ちゃんにそんな甲斐性があったら、今頃彼女の一人や二人連れてきてるって」
「でも、怪しいわよね〜」

 桃子もそんなことを言いつつも興味津々である
 勿論、アリサとすずか、美由希、なのはも……恋愛の話は興味がわくものなのだろう

「まぁ、恭也の事だし大丈夫だろう……一応、色々俺が探ってみるさ」
「父さんが探るとろくなことなさそうだと思うのは、私の気のせい?」
「美由希お姉ちゃん、そんな正直に言ったら」
「美由希、到着したらマッサージな」
「ううっ、自爆したぁ」

 ちなみに、毎度のことであるため、皆気にしない
 というよりも、美由希がそうやって自爆し、身にどんな災いがあろうとも
 どうしようもないのだ……止めようものなら我が身というものだから
 士郎のマッサージは、恭也のマッサージと似たような効果がある
 体を動かす分にはかなり良いのだが、マッサージ中は果てしなく痛い
 というより、痛み以外感じられないくらい痛い
 足つぼマッサージより痛いと美由希は言うが、誰も確かめることはしないので分からない
 桃子も一度くらいしてほしいきがしたが、士郎に止められていた
 その止める言葉の中に、何故か『愛』や『好き』などの言葉が入るのは夫婦のなせる業なのかもしれない

『まぁ、今回はゆっくりしようよ。友達も居るし』
『そうだね』

 なのははなのはで、フェレットのユーノをつれてきて良かったと思っている
 最初、置いていかねばならないかと思ったが、士郎の一言でつれてきたのだ
 『ばれなかったら、良いんじゃないか? 隠しておいて、毛はちゃんと掃除すりゃあばれないだろ』
 さすが、犯罪者は言うことが違う……というより、勝手に軒下やら部屋を借りた者は違う

「でも、恭也さんと一緒にお風呂入りたかったなぁ……ファリンがすっごいテクニシャンで気持ち良い
 って言ってたし……」

 車の中は静かになった……ラジオの音すらも消す
 そんな圧倒的な静けさ
 士郎の顔は固まり、セメント状態になっている
 あいつが、『メイドロリコン萌えだとは!!』などと考えていたりする
 そして、他の面々も似たようなものだが、ユーノだけは違うことを考えていたりする
 『確かにテクニシャンといえば、テクニシャンなのかなぁ?』
 毒されている……とも取れるだろう

「すずか、その話を詳しく聞かせて」

 復活したのはアリサだった

「うん、良いけど、皆目が怖いです」
「い・い・か・ら、聞かせて」

 美由希の視線とアリサの言葉により、すずかは話し始めた

「うちに猫が居るでしょ? 猫って体が濡れるの嫌いで水とか大の苦手なの
 だから、お風呂とかに入れるとき凄い大変らしいのだけど、恭也さんが入れると全然嫌がらないんだよ
 どの猫も……だから、普通の人も同じなのかなぁって」

 すずか、天然、恐るべしである
 桃子は瞬時に頭の中でいくつかシュミレートをし最も妥当な答えを導き出す

「すずかちゃん、それは動物に限った事じゃないかしら?」
「そうなんですか?」
「ええ、恭也って物静かだけど、何故か動物とかには好かれやすいのよ
 あれで縁側でのんびりしてたら足元とか膝上に猫居たりするし、犬も寄ってくるのよ」
「あ、そういえば、そうだね……うちの犬たちもやっぱり恭也のこと大好きみたいだし」
「そうなんですか……なんか洗われてる猫たちが可愛いからてっきり洗う手が上手なのかなって」

 美由希、頭を横の硝子へとぶつけた
 さすがにそれは問題がありすぎるだろうというのと、混浴なら私もなどと色々な考えからだ
 しかし、そこはそれ士郎が小さく笑い言葉を返す

「悪いが、混浴じゃないから駄目なんだ」
「そうなんですか……残念です」
「帰ったら、恭也に頼んだら良いじゃないか?」
「でも、恭也さんにいきなりそんなこと言ったら、困るような気がしたんですけど
 良いならしてみます……猫さんたち羨ましかったし」

 『どんな思いだ!』
 期せずして、5人の心が一致した瞬間だった






 さて、その頃恭也はある家を探していた
 そして、あるビルを見て、此処だと理解し、上っていく
 自動ロック式ドア……恭也の前では壁ですら無いだろう
 ぶち破ったわけじゃなく、中に入るくらい出来るのだ

「此処だな」

 確信してるという風に頷いてインターフォンを鳴らす
 そこに誰か居るかも確信している
 だが、出てこない……恭也は特殊な物を出し、かちゃりと扉を上げる
 ちょっと待て、それこそ犯罪だ

「失礼する」

 そこには、アルフ(大型犬状態)とフェイト(眠り中)が居た
 うなっているアルフ……フェイトを守るように立っている
 まさか、ドアを開けられるとは思っていなかったのだろう

「やっと見つけた……確か、フェイトさんだったかな」

 アルフは驚いて恭也をじっと見る
 恭也の手にはビニールの袋があった
 アルフは人型になってないことを考えていた

「ふむ、アルフだったかな……大型の犬ってところか
 喋っても大丈夫だぞ……念話の方が良いか? 俺は使い方を知らないが」
「!!!」

 恭也の言葉に驚くアルフ
 魔法の存在を知っている青年……そして、フェイトを起こすかどうか更に迷う

「んっ……! 誰!!」

 フェイトは体を起こすとすぐさまバルディッシュに手を伸ばし、杖を構える
戦闘訓練したからこその反応、だが、寝ている時も気づくのに気づかなかったことに反省しないとと考えていた

「まてまて、不法侵入はしたが敵じゃない、今の所は」
「今の所は?」
「あまりご飯とか食べてないように見えてな」
「どうして此処が?」
「呼んでくれた」
「誰が?」
「秘密」

 恭也は誰が呼んだか理解している
 いや、分かる……そして、恭也はフェイトに簡単な料理を作り、前に置いた

「朝ごはんになるのかもしれないからな、どうぞ」
「え?」
「食べると良い」
「質問に答えてください」
「答えは自分で探すものじゃないか?」
「無理やりにでも」

 小さなおなかの音が鳴る
 フェイトから鳴っている音に恭也は苦笑いをする

「まだ時間はある、ゆっくり食べてから話を聞こう
 お互いにな」

 恭也の言葉にフェイトは仕方なく目の前のものを見る
 おいしそうに炊き上がったご飯(白米)、湯気立つお味噌汁、焼き魚にお漬物
 更には、おひたし……そろっているものはおいしそうである

『アルフ、呼んだ?』
『いや』

 念話をしだす二人だが、恭也には聞こえていた
 だが、恭也もそれを顔にも声にも出さず、言葉をかけるだけだ

「アルフはドッグフードが良いかな」

 買ってあるドッグフードをお皿に乗せて差し出す
 アルフは犬状態のまま食べ始める……食欲に負けた
 ご飯を食べだしたアルフにフェイトは苦笑いをし、自分も食べ始める
 武装解除は全くしてないが

「出来るなら、杖も置いてくれると良いのだが」
「まだ、信じたわけでもないのに、出来ません」
「それもそうか」

 だが、恭也の料理は美味しかったのか、フェイトは『美味しい』と言葉を漏らす
 そして、その味がとても暖かかった
 ご飯を食べ終えて、恭也が入れてくれた紅茶を飲む
 ミルクをお皿に入れて、アルフも飲む

「それで、どうして私のところに来たのですか?」
「まぁ、どうしてと言われてすぐに答えを言うのも可笑しいが、張り詰めていたようだからな
 たまたま近くに来たときに君が此処に“窓から”入っていくのが見えたからだ」
「分かりました……よく、この高さが見えましたね」
「目は良いほうなのでな」
「夜だったと思うのだけど」
「夜目もきくんだ」

 繋げて言うが、それも意味を成さず
 だが、恭也の言葉をフェイトはどう思うか考える
 何か裏があるようには見えないのだ……ただ、そこに居る
 魔力の反応も無いし、恭也から悪意などは感じない
 だからこそ、フェイトは起きなかったのだ
 リニスのような、姉のような感じと似ているのだ

「どうかしたか?」

 じっと見ていたことに気づいたフェイトは視線を紅茶へと向ける
 少し恥ずかしかったのか頬が少し赤い
 だが、恭也は気にしないことにした……よくあることなので諦めてるとも言える

「いえ……」

 小さく首を振り、顔が赤いのを隠していく
 怒ってるとかじゃなく、胸の鼓動が何時もより大きく聞こえる
 それが何かも分からないフェイトは決意をし、恭也を見る

「飛んでいた事やこれらの事、言わないでください」
「言ったとしても頭が可笑しい人だと思われるだけだと思うが」
「それでもです」
「分かった」

 そういって、恭也は頷く……元から誰にも言うつもりはないし
 自分の目や頭が可笑しくなってないということも確信している

「それで、私を気にして此処に来られたんですよね?」
「ああ」
「その大したことじゃないのですけど、こういう石を集めてます」

 デバイスから石を取り出してフェイトは言う

「ということはこれもその一つなのかな?」

 恭也はそういって、一つ取り出す
 来る途中で見つけたものを拾っただけだ
 恭也の中に入らなかったのは理由があるからか、それとも、何かしらの原因があるのだろう
 分からないところだが、恭也はいらないし渡せるならということで渡す

「はい……その、どこでこれを?」
「いや、普通に落ちていて、気になったから拾ったんだ」
「そうですか」

 それが、以前消えたものでないことは確かなのだが、フェイトはそれを受け取ると
 バルディッシュに入れる……恭也はその様子を眺めつつ、よほど大事なのだとか
 これからや裏背景を考えていく

「そういえば、それを集めることに意味があるのか?」
「母さんが集めてほしいって、だから」
「そうか」

 よほど強い思いがあるのだろう
 恭也の予測はそこそこ的を射ているようになる
 何より、此処に来たのは呼ばれたというよりも、なのはと戦っている現場を見たからだ
 いや、争っていると言っても、戦いとはまた違うようだが
 と、不意にフェイトとアルフが反応し、恭也は一つが動いたと感じていた

「あの、鍵閉めておいてください……ちょっと用事で」
「分かった……窓は開けておいて良いのだな」
「はい」

 アルフを伴って窓から飛び出すフェイト
 恭也は何も言わず見送り、洗物をして食器を拭き軽く掃除をする
 そして、保存の利くものを作って、置手紙をしていく
 鍵を閉めて、出て行く恭也
 フェイトが帰ってくるようには思えなかったのだろう

「また、来るか」

 恭也はビルから出ると、上を見てそう呟く
 そして、何事も無かったように歩いていく……そして、そのまま街へと消えていくのだった
 フェイトとアルフが戻ったとき、恭也の心配りに感謝した
 掃除に洗物から、夕飯まで作ってくれていたのだ
 信頼は無くとも、優しい人だとは理解できる
 ただ名前も聞かず別れたことに気づいてなかったが

「美味しいけど」
「一人少ないだけで、寂しいもんだね」
「待っててとはいえないし」
「そうだね……今度は一緒に食べよう」
「うん、アルフもね」
「うん」

 フェイトとアルフはそんな会話をして、眠りに落ちる
 また恭也が来てくれると信じて……信頼とは違うが、フェイトにぬくもりを与えてくれる人ということで
 アルフは恭也を良い人だと認識していた……ただ違う目的があるかもとか色々考えていたが
 まだまだ九歳……人を見る目があるようで無いような不安定な時期であるのは確かであった
 アルフは変なことをすれば、許すつもりは無い






 なのははフェイトにまた負けたこと
 でも、名前を覚えてもらえて満足していた……取られたことに謝るが、無事ならというユーノの言葉
 それをありがたく思っていた

「ユーノくん」
「なに?」
「もっと強くならなくちゃね」
「そんなことないよ……なのはは、凄い才能もあるし、頑張ってるじゃないか
 何より僕が使えなかったものを使ってジュエルシードを集めてくれてる
 それだけで十分だよ……無理しないで」
「うん、ありがとう」

 旅館に戻り、お風呂に入り直し、皆とともに居ることを楽しむ
 料理が一人分多いが恭也の分だ
 桃子も士郎もてっきり来てくれるものだと思っていたので一人分多く頼んでいた
 誰か他に呼ぶのも気が引けたので、このまま続行したのだった

「でも、恭ちゃん、いきなりの用事で何なのかな?」
「帰ったら聞いてみるさ……ま、今は多いに楽しもうじゃないか〜」

 士郎は明るくそういって、酒を飲み、皆にも勧める
 アリサやすずかも何故か飲まされ、なのはも飲まされてしまっていた
 美由希も飲んでしまい、全員が寝た中、士郎は桃子と話していた

「桃子、なのはの事なんだが」
「なのはの?」
「何かなのはの感じが違う気がする……もしかしたら、恭也はそれについて何か調べてるのかもしれない」
「そうなの!?」
「しー」
「ごめんなさい」
「俺も何かといわれても困るんだが、なのはの感じが違う気がしてならない
 そして、これも一つ起因してるんだが、夜中なのはが出かけてるようなんだ」
「それって」
「ああ、危ないことをしてるようには見えないし、そのあたりは信頼してる。だが」
「少しは心配していたほうが良いって事ね」
「ああ……本来なら俺がついていきたいところだが」
「……駄目よ」

 桃子の優しい視線に士郎は小さく頷く
 自分の体は一番自分が知っている……士郎は剣士として終わるほどの重傷者だ
 今も尚、それは変わることが無く、恭也に教えるが、戦うことはまずしない
 恭也も士郎を相手にしようなどとは考えない

「恭也に頼んでみようかと思う」
「……恭也だったらすでに掴んでるんじゃないかしら?」
「かもしれない……桃子、相談できなくてすまない」
「私は気づいてなかったのだから、母親失格かもしれないわ」
「いや、そんなことは無い……だって、仕事で居ない人が家のことを分かるのは難しい」
「ありがとう」
「だから、俺のせいだ……すぐに相談すべきだったのかもしれない」
「良いの」

 桃子は士郎の体に自分の体を寄せる
 密着した二人は、そのままお酒を置いて、外へと歩いていった
 その後二人が戻ってきたのは二時間後だった……誰も起きず気づくことは無かった
 ユーノも間違って混ざったお酒を飲みダウンしていた








 つづく








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