とらいあんぐるハート×魔法少女リリカルなのは









魔法少女リリカルなのは〜守りたいものありますか?〜

第九話 出陣










 海上で光が飛び交う……フェイトが無理やりジュエルシードを起こしたのだ
 本来は違う人がやる予定だったことをフェイトが慣行したのだった
 なのはとフェイトが戦う……フェイトが無理してきたからこそ
 それに、敵対してると思わせた方が良いから……なのはとフェイトは舞う
 空を縦横無尽に舞い、戦う
 AAAランクの魔導師の戦い
 金と黒の接近タイプと赤と白の遠距離タイプ
 双方とも違うタイプだが、戦いは拮抗している
 リンディたちは戦闘を見ている……これで誰かが横槍を入れてきたなら
 相手の位置を特定して、そして、叩く
 横槍の相手は、プレシア・テスタロッサで間違いないだろう

「え!?」

 リンディの目の端に移ったのは、黒い影
 だが、その瞬間は誰も気づかなかった……皆、なのはとフェイトの戦いの行方を見ているから
 リンディだけが気づいた違和感
 だからこそ、リンディは言葉を発した

「クロノ執務官、急ぎ出る準備を」
「はっ?」

 皆、不思議に思ったがクロノが動き出す
 だが、時を同じくして、フェイトが負けて、魔力の雷が落ちる
 その瞬間、なのはがシールドで防ぐ

「間に合った!」

 なのはがフェイトを守っていた
 ジュエルシードが転移の穴に入るのではなく、ある場所へ向かってるのだ
 リンディはクロノが間に合うことを祈るしかない
 自分が動いてたら別だが、なのはとフェイトは先の戦いで消耗し、そこまで目が行かない
 エイミィは検算し、相手の居所を探っている

「間に合えーーーーー!!」

 クロノがジュエルシードに手を伸ばす
 その先に居たのは黒い剣士
 木々が視界をさえぎるが、黒い剣士が居るのは確かだった
 手でしっかりと握ってるのは小太刀
 片方は抜き身、もう片方は開いてるがその手には黒い針
 クロノはその先に居る者に気づいた
 高町恭也が居るということに
 そして、ジュエルシードの一つ一つが体に入っていくという光景も
 それは、皆に送られた……たった一人の人に三つも入ったのだ
 フェイトが持っていたものはなのはが取ったが、残りのいくつかが恭也へとわたった計算になる
 クロノは飛んで恭也を眼下に納める

「あなたがジュエルシードを持ってるのですか?」
「??」

 首をかしげる恭也。その姿に身もだえしそうな女性隊員が居たが、それはスルーだ

「なんのことだ? それに、この空間はなんだ?」
「魔法の結界を張っていて、あなたの中にジュエルシードが入って、それが消えた
 なら、あなたが持ってると変わらないじゃないですか!?」

 声を荒げるクロノ
 恭也は冷静だった……その光景を見て、納得していたのだ
 出てきた時点でいつか立ち会うことになると……

「ジュエルシードと呼ばれたものを持ってるのは確かだ
 だが、あれは俺に呼応している」
「どういうことですか!?」
「シリアルナンバー11」

 なのはのデバイスからジュエルシードが飛び出る
 そのことに驚きを覚えたのはアースラに乗る者、更になのはとフェイトもだった
 だが、その行き着く先には恭也が待ち、恭也を一瞬光らせて消える
 反応すらも全て消えていく

「なっ!!」

 その光景に声を無くすクロノ
 いきなり来たジュエルシードと恭也へと消えていく光景
 それは魔法を扱う者すらも震撼させる出来事なのだ
 そして、それに同じく驚いたのはプレシア・テスタロッサも同じくだった

「クロノくん!! プレシア・テスタロッサの居場所が判明したから!」

 その声にクロノは考える

「行けば良いだろう? 彼女を捕まえるのが先なのではないか?」

 その声は恭也だった
 クロノは唇を小さくかんだ……このまま放置しても危険な気がするが
 それでも、先に捕まえるのはプレシア・テスタロッサである
 次元振もそうだが、アースラへの攻撃や他の者たちに対する攻撃も全ての責任がある

「エイミィ、先にぼくを戻してくれ……それから恭也さんもだ」

 その言葉にエイミィはすぐさま始める
 恭也はため息をついていた……なのはとフェイトは支えあいながらも帰還する
 アルフも同じくそちらへと着ていた

「バインド!」

 クロノは唱える。だが、恭也に絡まる手前でバインドの輪が消える
 それもすぅぅと靄のように……輪郭を無くして

「え?」

 エイミィはクロノを送り恭也も送ろうするが、出来ず。何度もその作業を繰り返す
 だが、恭也の転送が出来ない……恭也は上を見て、なのはたちが戦っていた場所を見ている

「仕方ない」

 小さくもらした声は、クロノを媒介にして
 恭也が手を振ると転送が開始される
 どういうことか分からない

「何で?」

 エイミィが故障などを調べても何もなかった
 だが、恭也は何かを知っているかのように動いていたのだ
 だからこそ驚きが混じる
 恭也とクロノ、なのはとフェイトがアースラに入った
 ため息をついてる恭也
 疲れているなのはとフェイト
 驚き固まるクロノ
 トランスポートの上で四人は立っていた

「お兄ちゃん!」
「恭也さん!」

 二人の少女は驚く……恭也は二人の頭を撫でる
 恭也の姿は完全武装。黒いコートにそれこそたくさんの武装を積んでいた
 そして、肩にはバックが背負っている
 なのははそれが、恭也が山へと篭る為に使われるものだと知っているからこそ驚く

「お兄ちゃん、またすぐ平日なのに鍛錬に山に行くつもりだったの!?」

 すぐにそれが言葉に出てしまうなのは
 恭也は首を振る……

「そういうんじゃないんだがな……とりあえず、クロノ・ハラオウンだったか」
「何故、ぼくの名前を?」
「通信を聞いていたら分かる」

 恭也の能力の中に通信傍受が加わった
 そして、勝手に通信を傍受した犯罪者になるのだが、大なり小みたいな感じだ

「それからユーノ・スクライアだったかな?」

 トランスポートの場所まで向かえに来たユーノは驚いた
 人の形をとってるのに、ほぼ変わらないのだ

「此処だとフェレット型じゃなくて良いんだな」
「なっ!」

 その言葉に驚いたのは、ユーノだった
 自分は恭也の前で、変身したことはないし、何よりこうやって話せることにも驚いてない

「なのはは此処に来て気づいてたんだな……ユーノが男の子だということに」
「えと、もしかして、お兄ちゃんがお風呂入れてたのって」
「単なる悪戯となのはが怪我した罰だ」
「うあ」

 うめくユーノ……悪戯と守れなかった罰が全身くまなく洗われ、更にみなの前で見られる
 確かにそれは恥ずかしい……フェレットだったということで良いんじゃないのかとも恭也は思っている

「嬉しそうにないていたから良いかと思ったのだが」
「その後がすっごい恥ずかしいんですよ
 そりゃあ、毛皮着てますが、ぼくだって男だし」

 徐々にしりつぼみになる言葉

「お兄ちゃん、もしかしてユーノくんが男の子だと気づいて、一緒に入るなって」
「ああ、そうだが」

 なのははその言葉に驚いていた
 ってことは……

「お兄ちゃん、なのはがユーノくんを連れてきたときから魔法の存在に知ってた?」
「ああ、そういうことか……ふむ、最初から話すべきなのだろうが
 時間は待ってくれないみたいだな」

 そういうと、次元の振動が起きる
 クロノは気にしつつも、すぐさま突入しないといけないことや色々伝えていく
 そして、なのはとフェイトも行くつもりだ……フェイトは悩んだが行くことにしたようだ
 それぞれが動く中、恭也はのんびりと医務室で治療を受けてる二人を見る
 アルフとユーノもついていくようだ
 まぁ、事足りるかなぁとか考えているようだが
 恭也はすぐさま目を開く

「初めましてというべきかしら。私はリンディ・ハラオウンです」
「初めまして、高町恭也です」

 リンディは恭也を前にして、圧倒的な存在感と希薄感を味わう
 目の前に居るのに、あまりにも自然……見失うということは無くても、その人が普通だと思ってしまう
 だが、力を込めてリンディは恭也を見る

「あなたの中に入ってしまったジュエルシードを取り出したいと思ってます」

 リンディはそういって恭也を見る
 恭也は首をかしげる

「無理だと思います」
「どうしてですか?」
「食べ物は吸収されるでしょ?」
「……」

 魔力は食べ物という事、それを考えるリンディ
 だが、それは可笑しい……それならば、どこかで発散されなくてはならない
 もしもそれが出来ないのならば、恭也の体がパンクし破裂してしまう

「まぁ、実際の所、違うのですけどね」

 恭也は手の平を上にかざす
 フェイトとなのはもその光景を見る
 恭也の手の平から上に一つの黒い丸い物体が浮かんでいた

「いけるか」

 そう呟いた恭也に呼応するかのように黒く丸いものから声が漏れる

「勿論ですよ、恭也。後は貴方の言葉待ちです」

 優しい声。どこかふわりとしている
 その声は優しく、そして……

「神風、準備だ……お前が頼んだことなのだから」
「はい、恭也」

 恭也の手の平の上に小さな黒髪の少女
 巫女服で黒い髪は腰まで伸びている……手の平サイズの少女はそのまま目を閉じ
 光が恭也を包む

「恭也、あなたが紡いでください。神すらも断ち切り、破れぬ想いを」

 その光は白い

「我ら神すらも斬る者なり……神風、来い!」

 神風はそのまま恭也に吸収されるかのように消え
 恭也の体に新たな服が着せられる……
 黒い長袖と長ズボン(動きやすさのみ求めたタイプ)
 そして、ロングコート(先ほどと同じタイプ)
 ほぼ変わらない姿
 ただ一つ恭也の髪の毛は、黒から銀に変わり
 額の所に鉢金があり、そこに丸くて黒いものがはめ込まれている
 恭也の手の平の上に浮かんでいた黒いものと同じもののように

「それが貴方の姿というわけですか?」

 リンディが落ち着いた声でもらす

「というより、これは戦闘形態というべきでしょうか?」
「何故、魔力を?」
「ああ、それは、神風が集めていただけですよ
 もともと神風はあなた方とは違うタイプですから……どちらかと言えばロストロギアでしたっけ?
 そちらのタイプの融合型に似たタイプのものですし」
「インテリジェンスデバイスとはまた違ったタイプなんですね」
「まぁ、そうですね」

 一定の力を安定して出力するインテリジェンスデバイス
 それとはまた違ったタイプだという事を理解する

「では、どうして今まで……」
「魔力が無い……普通の人でもありえない
 クロノだったか、戦ったときに気づくかと考えましたが
 性能で負けてしまいましたね」

 恭也はそういって、ほんの一瞬、それだけ魔力を出し消した
 これが神風の力とも取れる

「まさか!」

 リンディはそれに驚いていた
 恭也とは別の声が説明をしはじめる

「私は、神風のシステムプログラムです。名前は凪、よろしくお願いします
 簡単に説明しますと、私が恭也さんについたのは、恭也さんの生まれからですかね
 何より転生システムにより、違う人に着きますが
 適任者が居なければしません。まぁ、恭也さんがもっとも私を扱うのに大丈夫だと思ったのです
 私の能力は、魔力無効化と魔力隠蔽、自動ヒーリングと身体強化
 その四つのみです……武器、道具、物、体
 それらに魔力無効化を当て続ける事、ヒーリングを当て、身体強化できること
 魔法攻撃の全てを遮断するのが私の役目です
 他は何も出来ません」
「出来ないって」
「出来ないものは出来ません」

 その言葉にリンディは言葉を無くす。理論があっても事実上無理だと言ったものが
 目の前にあれば誰だって言葉を無くすだろう
 フェイトは違う意味で言葉を失っていた
 恭也の銀髪、更に髪の毛を上げてる状態……目も完全に出ているし
 見惚れていた。恋する乙女には何倍も綺麗に見えたことだろう
 なのはは驚いていた……恭也が魔導師ということに

「お兄ちゃん、魔導師だったの!?」
「気づいたのは、クロノと戦ったときだがな」
「そうなの!?」
「神風の声が聞こえるのは時たまだったし、やっと全て分かったのは先ほどだ」
「三つのジュエルシード」
「そういうことだ」
「まぁ、元から私はこの世界に流出したロストロギアを壊したり収集が目的ですからね」

 神風はそういって、恭也に話しかける

「恭也、私たちも行きましょう
 世界を守るとかそんな大きな目的じゃなく、ただ守りたい人を守るために」
「そうだな」

 恭也は扉へと向かう

「何処に行くつもりですか?」
「プレシア・テスタロッサのことはどうでも良いが、家族が危険な目にあってほしくないからな
 ジュエルシードを集め、振動を止める」
「……一人で出来ると?」
「さぁ、分からないが出来なかったら困るからな
 それでは俺は行きます……送ってくれるならありがたいですが」

 先発のクロノはすでに内部へと入っている

「良いでしょう……では、フェイトさん、なのはさんとともに向かってください」
「分かりました。二人ともいけるな」
「「はい」」

 なのはとフェイトはそう応えて、恭也についていく

「どれほどの力か分かりませんが、怖いことは確かですね」

 リンディはそう言って、艦橋に戻る






 つづく








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