とらいあんぐるハート×魔法少女リリカルなのは









魔法少女リリカルなのは〜守りたいものありますか?〜

第十話 対プレシア・テスタロッサ










 恭也となのはとフェイトが突入した頃、ユーノ、アルフ、クロノは飛んでいた
 武装局員たちが更に早く潜入したが、あっという間に負けてしまったために
 三人が早くから出張ったわけだが……足止めを喰らっていた
 巨体と強固なバリア。突破に時間がかかりそうだとクロノは考えていた
 恭也たちは打ち漏らしを掃討しながら、クロノの場所までたどり着いた

「まだこんなところか……過剰評価だったか」

 その言葉は恭也から発せられていた
 そして、恭也はすぐさま大きな物体へと走りこんでいた
 バリアすらも切り裂く剣……そして、そのまま切り刻む

「なっ」

 一瞬だ。自分たちが苦労してどうするか考えてる相手を何も考えず圧倒する
 しかも、あっちは無傷……本当に何者か考えてしまうが、恭也であることは確か

「お前らはプレシア・テスタロッサのところに向かえ。邪魔になるしな」

 恭也はそういうと、上へと走り出す
 ということは下の方にプレシアが居るということなのだろうが、フェイトは目を閉じる
 そして、恭也の後を追いかけ始めた

「フェイトちゃん!」
「案内だけだから」
「分かったよ」

 クロノとなのはとアルフとユーノは駆け出す
 フェイトは恭也に追いつくために飛ぶ……ただ、それでも走ってる恭也と同程度なので
 追いつくというところまで行かない
 舌を巻いたのはクロノとなのはだ……高速機動が可能なフェイトで追いつけないということは
 短距離では、絶対に走って届かないということだ

「こっちのエレベーター使えば直通です」
「そうか」

 フェイトが一生懸命飛ばして、なんとかエレベーター前で恭也に伝えた
 恭也は迷うことなく乗り込む……フェイトも体を滑り込ませる

「なのはを追いかけなくて良いのか?」
「……追いかけたいですけど、何で教えてくれなかったんですか?」
「ロストロギア、ジュエルシードだったかを集めてるフェイトに俺も集めてて
 体の中にありますなんて言えない」

 それは優しいというより、吸収されて全ての説明を受けても尚、言えないという事なのだ
 恭也だって仲良くなり始めて初めて教えられた事に戸惑いもした
 だが、それでも今と変わらず居ようとした恭也は優しいと
 エレベーターの中でフェイトは小さくため息をついた

「本来なら私は逃げられる時間がありました……だから」
「ああ、あれか……俺は魔法を使えるというわけじゃないからな」

 普段の戦闘の延長線上
 相手が魔法を使ってくるから、自分も少し使おう
 といっても、融合型デバイス
 デバイスというのもおこがましいかもしれない

「その黒の球が」
「ああ、デバイスといえなくもないが、俺のは魔力を這わせる事に特化してるから
 武装なども準備してこないと意味が無い……投げたものの回収は利くが
 使って斬られたものは戻らないとか利点と不利な所がある」
「それで、私が魔法を打っていたときにクロノの後ろを取れたのですね」
「まぁ、そうだが」

 魔法が勝手に発動したのだ
 フェイトからしたら兆弾が一つでも当たれば足がしびれるはずと踏んでいた
 だが、恭也には当たらなかった……当たったと思ったものの平気そうに動いているのだ
 だからこそ、恭也には当たってないと思った
 実際にはいくつも当たっていたのだが、魔法は効果が無い
 チーンと音が鳴りエレベーターが到着
 恭也はジュエルシードを回収すると、下へと手の平を向ける

「下に行くの面倒だな」
「……えと、さすがにそれは無いかと
 それに、母さんのこと気になりますし、私は行きます」
「付き合うか」

 恭也の言葉に少し頬を染めてフェイトはエレベーターに乗る
 無駄な魔力消費を抑えるためだ
 まぁ、恭也は十分に魔力補給が利いてるのだが
 なんせ、ジュエルシードをいくつも集めたわけだし

「そういえば、恭也さんは念話は聞けても使えないんですよね?」
「ああ」

 頷いた恭也にエイミィがうめいた
 そういえば、トランスポートもなどと色々考えてしまう
 それを早く言えってな事を言っているが、クロノとなのはは苦笑い
 フェイトは小さく微笑みをこぼす

「下に居るそうです、なのはたちが倒していってるでしょうけど」
「そうだな」

 恭也はエレベーターがつくと、出て、軽くジャンプする
 屈伸とかはしないが、左手に小太刀を持ち、片方は開いている
 中距離も補うためだ
 小太刀だけでは、その間合いが狭い

「行くぞ……それと、追いつきたければ追いついて来い
 俺は、守りながら行くのでも良いが、フェイトは自分の身くらいは自分で守れるだろ」
「そうですね」

 そして、駆け出す
 だが、フェイトは飛んでいるにも関わらず、また置いていかれた
 恭也が早すぎるとも取れるが、それが身体強化という事だ
 元から素早さという点では、御神流は早い
 剣士としての速さ、相手を殺すという速さ
 それは、御神不破の追及
 恭也が露払いをしていくので、追いかけることに集中できるが
 それでも恭也に追いつけないで居る
 フェイトは驚くが、それでも尚走り続けてる恭也
 クロノとなのははプレシアと話をしていた

「来たのね」
「どうして、フェイトちゃんにその優しさを向けなかったの!」

 なのはの言葉にフェイトは嬉しかった
 友達というのは、どういうものか分からないけど、なのはは強いなとも
 そして、恭也は更に一歩前に出る
 バリアやら魔法が飛ぶが恭也は何のそぶりも無い
 魔法は消え、バリアすらも飛び越える

「同情なんてしない。だが、周囲を巻き込むのは止めてもらおう」
「私は、アルハザードへと言って、アリシアと幸せな生活を」

 恭也の言動に驚きつつも魔力を叩き込む
 意に返さない恭也……なんせ、魔力無効化の加護は尋常じゃない
 アルフやユーノ、クロノでも驚きを隠せないのだ
 魔力の攻撃のことごとくが恭也の前で消えていくのだから

「小さな幸せにすら気づいてない。何よりプレシア・テスタロッサ
 アリシアが生き返ったとしてもお前の命が短いなら、結局のところアリシアが生き返る事に意味が無くなる」
「なっ!」
「大切な母を亡くして、その子はどう思うだろうな
 まぁ、俺には関係ないが……第一アルハザードへの行き方違うし」

 それは否定……今まで考えに考え
 夢物語かもしれないとたどった答え。それが行けないという否定
 何故、そいつが知ってるのかという顔が浮かぶ

「それから、アルハザードを曲解してるようだが……何でも出来たわけじゃない
 どうしてアルハザードが現存しないか考えなかったのか?」
「現存しない?」
「異世界に逃げたとかじゃない……アルハザードはテクノロジーの暴走により破滅をたどった
 人も機械も魔法生物すらそれらを飲み込みな。ロストロギアがこの世界に出てきたのはその後だ
 ああ、それから、その次元の狭間云々で考えるなら過去へ戻るだな
 まぁ、それでも届かないだろうな」
「なっ!!」
「アルハザードへと入っても、死んだ者は生き返らない
 寿命はどうしようもない天命だとさ」
「何故!! あなたがそんなこと言うのよ!!! あなたは単なる魔導師じゃないの!!?」

 その声はプレシアの叫び
 確かに恭也は魔導師だろう
 魔法の攻撃が一切利いてないが

「誤解があるようだ……最後のロストロギアに課せられた命令は一つ
 ロストロギアの回収か破壊。それか、使えそうなら使えという言葉
 全てのロストロギアを理解し、ロストロギアとして機能する
 神風はそういうものだ……人をとことん選ぶがな」

 恭也はそういってプレシアの前に行き当身をあて気絶させる
 たった一撃。魔法の防御すら貫通している
 だからこそ、脳を揺さぶられ崩れ落ちる
 口元からは血が流れている

「ま、復活させたかったら魂が必要だし、この子はすでに安らかな眠りに居る」

 恭也はそういって、捕まえたプレシアをクロノに放り投げる
 バインドで捕まえたクロノは恭也を見つめる
 恭也はカプセルの中からアリシアを取り出し、小太刀を上に向けて数度振った
 5回だけ振ったら、今度は小さな円形魔方陣が登場し、そこから一人の女性も落ちてきた

「ま、後でいくらでも話せるだろう」

 その言葉にフェイトとなのはは驚きつつも、頷く

「リニス、アリシア」
「どっちも死んでる……助ける方法は無かったからな
 それに、リニスが言わないでと俺に訴えたからな
 それから遺言だ……『生きて』と」

 恭也はそういって、二人を担ぎ歩いていく
 プレシアを無視して歩いていく恭也
 二人の体には恭也のマントが巻かれていた
 なのはとフェイト、ユーノ、アルフがその背中を見て首をかしげる

「どこら当たりか気づいてたのかな?」
「リニスが居ることに気づかなかったのに」
「というよりも、何時助けたの?」
「お兄ちゃん、謎過ぎるよ」
「ま、まぁ、確保は終わったわけだし、急ごう」

 リンディ艦長は準備していたが、特に何も無くて良かったと頷く
 というよりあっても困るのだろうが

「恐ろしい力というよりは、ロストロギア事件のみの切り札かしらね」

 恭也の評価をリンディはそういって、艦に戻ってきた面々を出迎えるよう言う
 回収もしていくエイミィ
 怪我した隊員も居るわけだし、ちょっとした騒ぎにもなっている
 まず恭也の言動にはかなり謎が残る

「ジュエルシードどうしましょう?」

 リンディ艦長、いまさら気づいたという風に頬をかく
 勿論、それを言ったところで誰に信じさせたら良いか問題だし







 そして、あわや大惨事となりそうな、事件は終わりを告げた
 次元振動を起こしアルハザードへたどり着こうとしたプレシアは魔法を唱えられず
 印も結べない状態にされて、搬送されるとの事になった
 恭也はプレシアには興味なさそうで、フェイトやなのはに話したいなら今だぞってことを伝える
 ただ、クロノとリンディはアルハザードの秘密を聞くために恭也の前へと訪れるが恭也は言わなかった
 PT事件は終わりを告げる……それが、どんな終わりであれ







 つづく








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