とらいあんぐるハート×魔法少女リリカルなのはA's









魔法少女リリカルなのは〜守りたいものありますか?〜A's

第六話 新しい杖、そして











 なのはの完治、フェイトとなのはの杖が完成した……それは喜ぶ事だった
 そして、中継ポイントを繋ぎながら管理局からワープする4人
 なのはに杖を渡せたことにエイミィへと報告をし、説明をと思ったときアラームが鳴り響く

「これは」

 報告が行われ、それぞれが動き出す
 執務官であるクロノも動き出して、街に結界が張られた……ザフィーラとヴィータが居た
 シグナムは居ないようだが、それぞれが慎重な対策を練ってくる
 リンディの指示でそれぞれが動き出す
 その頃、はやてはシャマルと買い物をしていた
 なのはとフェイトたちも急ぐ
 恭也はというと、人が急に居なくなったことに驚きつつも、ため息をついた
 何でまた此処で蒐集するかなぁって事なのだろうが

「仕方ない……魔道書の完成が先にすべきだろうから」

 恭也はそういって、更にため息をついた

「頼むな……日銀の世界、自らの檻にて棺を開ける
 その名を告げて、我を一つの王を成す
 サンライズセットアップ」

 恭也が子供形態へとなり、そのまま飛び立つ
 それが目撃されても恭也本人とは気づかないだろう

「さぁてと、中はまぁ、あれならまだ優勢なのはヴォルケンリッターなんだろうけど」

 可愛い声を出しながら恭也は空を駆け上がる
 その先には誰もいないし、何も居ない
 そして、空を飛び上がり、のんびりと周囲を見る
 誰かに見られても良いようにステルスみたいなのは掛けてる
 中で戦いが始って、クロノとユーノが闇の書の本体を探している中、恭也も見つけたようだ
 だが、一人の男も見つけていた
 その先には同じように探していた人

「……管理局だな」

 同じ管理局だと看破するのは術式が似てるからというのもある
 だが、それ以上に困った顔を浮かべる
 邪魔をするでもないのだから驚きだ
 クロノが到着し、シャマルを脅す
 中では戦いは激化をたどっている
 助けたいが助けられない状態にシャマルたちは念話でどうしたらと焦っていた
 クロノは蹴りを受けて吹っ飛ばされる
 その状況にシャマルは驚きつつも困ってしまった

「お姉ちゃん」
「え!?」
「なっ!」
「だっ!」

 全員が声を出せない声になっていた

「この檻を壊したいの?」
「え、ええ」

 それは皆の驚き

「やめろ、それを壊せば、何より、その本は!?」

 恭也の胸のところに浮かんでる本
 それは、夜天の魔道書、闇の書と同じように見える
 そのことに驚いたのはクロノ、リンディ、エイミィ、そして変身してる者
 更にシャマルもだった……念話から聞こえる報告に全員の動きが固まる
 もう一つの書があるということに
 クロノの言葉は届かない

「日銀の光よ、貫く一条の光となりて、貫かん
 避けてね……当たったら、大きなやけどになるだろうけど」

 それだけいうと、恐ろしいが
 シャマルは念話を恭也のみに向けた

『すみません、お手を煩わせて……もしもこのまま魔道書を使っていてたらページが減ります』
『そっか……じゃあ、使うな』
『はい、どうぞ』

 神風からの声に答え、恭也は発射した

「パニッシュアロー」

 バリアと当たる白き閃光
 だが、それはほんの一瞬……結界が音を立てて壊れたのだ
 それぞれが飛び逃げた
 その時、ちょうど翼持つ少年も飛び立つ
 名前も分からないし、シャマルは思い出したがすぐ忘れてしまう
 名前を聞いたはずなのだが、そこに靄がかったように出てこないのだ
 その状況を聞いた面々はすぐさま事後処理に当たった
 クロノがすぐさま結界を作り、何とか事なきを得たが
 問題はそのことじゃなく、他の事もだった
 まず仮面の男、そして無邪気な少年
 ヴォルケンリッターだけならまだしも、その二人の問題が起きるからだ

「単体で単純な破壊力なら、なのはのディバンバスターと同じくらいなんだけど
 貫通力のみに特化してるのか、その威力はそこの場所だけで考えたらぶち抜いた」
「うん。しかもあっちからあっちまでね」

 白い閃光が駆け抜け、自分たちの間すらも駆け抜けて進んでいった結果
 結界をぶち抜く……出来ないことは無いが

「なんて魔力統制だ……概念だけでも頭が痛くなる」
「クロノ、落ち着いて」

 エイミィに頼み追いかけてもらおうとしたが、出来なかったといった
 男たちはたくみに消え、ヴォルケンリッターたちも消えたと
 そして、最後の一人、危険少年はというと、途中まで追いかけたが居なくなったという
 そう、熱い飲み物の中の砂糖のように

「厄介なことになったな」
「私としては、あの子と話がしてみたいかな」
「フェイト、どうして?」
「あの子、私たちにも避けろって言った……何より念話で割り込んできたから」
「全くどういう神経してるんだか……あれだけの大きな魔法はなっても平気そうだったし」

 それぞれが順次対応していき復旧作業も終わらせると家に帰っていく
 なのはは家にレイジングハートエクセリオンの説明を受けに行く
 バルディッシュについても説明をうけないといけないのだし、それはそれなのだ




 その頃ヴォルケンリッターたちも話をしていた
 特に、結界をぶち抜いた少年のことについてがメインだ
 あの男の一人も当面は敵ではないだろうが答えでしかない
 シャマルとシグナムは庭に出て、今後のことを話す

「あの少年……間違いなく強かったな」
「でも、魔力が集まって初めて気づいたくらいなのだけど」
「ということは、魔力を意図的に消すことが可能な者なのか?」
「うん、そうだと思う。私も始めて気づいた時があったのだけど……
 名前は確か……そう、きょうって名乗ってた」
「きょう……偽名だろうな」
「そう思う……私も不思議でならないのだけど」
「シャマル、どうかしたのか?」

 シャマルの顔は少し青ざめてる
 後ろからの家の明かりなどからでも分かるくらいに
 シグナムが心配そうに声をかける

「実は、その男の子と話をしたかったなぁって」
「どうして?」
「なんだかね、ほっとけないみたいな雰囲気があってね、シグナムもあったら分かると思う」
「……そうなのか?」
「うん。なんていうのかな、こう保護欲とか母性本能とかそんな感じだと思う」
「難しいな」
「ええ」

 そんなこんなで、『きょう』の話が終了する
 ただ、シャマルが感じた危うさ、それは過去恭也が抱えていた問題もあるからだろう
 危うい感じ





 その頃恭也はというと……海鳴公園の林のど真ん中で歩いていた
 というよりも、乖離剣を使って飛んだは良いが、魔力の使用が大きかったために疲れてるのだ
 魔力を練って魔力を漏れでないように隠してはいるが、疲れが大きすぎて
 通りまで出るとベンチに座って休んでいた

「普段しないことだから、疲れるんだよな」

 その言葉は誰にも届かず聞こえなかった
 恭也は携帯を取り出して、今日は帰れそうに無いことを伝える
 動けないというのが正しいのだが、魔力をぎりぎりまで使った疲労によるものだ
 恭也本人も気づいてはいてもどうしようも無いことだ
 夜の鍛錬中にたまにどこか屋根あるところで寝泊りしたことあるので
 士郎たちもそこまで心配はしない
 朝か昼には戻ってくると分かってるから

「恭也さん!」

 その声を聞こえて恭也は振り返る

「ああ、フェイトか……こんな夜中に動き回ってたら心配されるぞ」
「一応、許可貰ってきてるから良いんです
 それよりも、恭也さん、どうして此処に居るんですか?」

 恭也は足を見る……それがどういうことか分からずフェイトは首をかしげる

「追いかけられて逃げてたら、相手が引いた」
「……それでどうして?」
「いや、なんていうか恥ずかしい話なんだが、ほっとしたら力抜けてしまってな」

 自分の武装なども全て持っている恭也だが
 鍛錬用のものしか持ってない……その姿を知っているフェイトは恭也の肩から体を入れて持ち上げる

「うっ」

 額に汗をかいて、バルディッシュを握り飛ぶ
 そうすれば少しは楽だと信じて……そして、そのままフェイトは自宅に恭也を招きいれた
 恭也の様子を見て驚いたのは、なにやら映像を見ているエイミィやリンディとクロノだった
 間違いなく恭也は強いのに疲れ果ててるところを考えると何があったのか分からない

「ありがとう、フェイト」
「いえ……しばらくうちで休んで行くといいです
 もう寒いのですし、外で休んだりしてたら良くないです」
「かもしれないな」

 恭也はそうこぼし、小さく息をはく

「恭也さんに何があったのですか?」
「追いかけられてたんですけど、相手が引いたって」
「もしかして後から来たシグナム」
「かもしれないわね」

 分からないことだが、それはそれで凄いことだと理解するフェイト
 シグナムはどう考えても自分より上の相手
 それを時間稼ぎだけなら自分より効率よく逃げていたのだから

「そうだ、恭也さん、その時に9歳くらいの少年と会いませんでした
 こういう書を持った少年なんですけど、それと映像はっと」

 映像を出して聞くクロノ
 恭也は首を振る

「初めて見る子だな……仲間か?」
「いえ、それがさっぱり」
「分からないのが実情よ」
「まぁ、でも……敵かな」
「現状では」
「そうなのか……見かけたら言おう」
「お願いします」

 クロノはそう頷く……ある意味で恭也を信頼してるということだ
 そして、それぞれがお風呂やらシャワーやら浴びる中恭也はのんびりとソファに座っていた
 なのはが帰った後でよかったなどとフェイトは考えている
 恭也の横に座り、資料を見る恭也を見る
 どこまで資料を集めたかが恭也の見たいものでもあるが
 純粋に見せてと言って見せてもらえるとは思ってないので、今回のことはプラスとも取れる

「これ」
「え?」
「この本、同じだ」
「!! 何とですか?」
「ほら、これとこれ……左右対称なだけで」

 そういって、闇の書ともう一冊の書を拡大して出す
 確かに同じだ……左右で表紙が違うのである

「闇の書がもう一つ?」
「いえ、ですが相手が理性を持って使っていたなら、完成された魔道書」
「……そんな話聞いたこと無いな」

 クロノ、リンディも反応する

「私も無いわね……無限書庫の中なら何か分かるかもしれないけど」
「あそこか」
「無限書庫?」
「うちの昔からある、とてつもない量の書物が置かれてる場所だよ
 過去の遺産やらも色々書かれていて、内容が読み解けないものもあるくらいのものだよ」
「凄いな」
「ええ……確かに調べる価値はありそうだが」

 クロノは渋る。なんせ量が多いから期限内に見つかるかどうかも怪しいのだ
 それに二つの魔道書。似てるというか左右対称で似すぎてる二つだからこそだ

「でも、ちょっとしたヒントにはなりそうね……恭也さん、ちょっと良いですか?」
「ええ」

 リンディに呼ばれ、恭也とリンディは外に出る
 といってもベランダに出たというだけだが

「なのはさんが襲われたの知ってますよね?」
「はい」
「助けようとは?」
「……あの時、助けたとしてもデバイスの強化はしなくてはならないと思います
 それともう一つ、あの少年ですが」
「少年のこと何か分かったのですか?」
「……俺と同じです」
「え?」
「俺が魔力の気配を消すことが出来るようにあの子も出来てるようなんです」

 その言葉にリンディは頷いた
 消失したという言葉が正しいなら、確かにそうなのだろうという予想はあった
 だが、恭也に言われたら確実だ

「ただ、あの子については触れないほうが良いかもしれません
 何故だか、あの子は何かを遂行しようとしてるように見えますし
 確かに邪魔はしそうですが、この世界でのみだと思います」
「そうですか」
「はい」

 他の世界での戦いがあれば、それは変わるのかもしれないが、分からないことは分からない
 そして、恭也もこの世界からあまり出たがらない

「恭也さん、嘱託扱いじゃなくても構わないので一時的にアースラスタッフになりませんか?
 その助けてほしいですし」
「お断りします……俺には俺で守らねばならない人も居ますし」
「そうですか」

 残念そうにするリンディ
 実際恭也が居たら、闇の書をどうにか出来そうな気がするのだ
 そして二人が戻り、本日恭也は恭也でフェイトの強い希望により泊まることとなった
 ただ、その日のフェイトの部屋からフェイトの押し殺した泣き声が聞こえるのだった
 そのことにクロノとリンディとエイミィは入ろうとするが、断られた
 というよりもドアに鍵がかかっていて、涙声で入ってこないでというフェイトが居たからだが
 恭也の言われた言葉に、あふれる涙と思いは止められなかったから
 『フェイトはフェイトで、作ったものなどというのは違うと思う
  君は君で、あの俺を追いかけた人も自分の意思ある目だった……何故かそう思えた
  作り物という点で言えばフェイトも彼女も一緒だが、彼女は彼女でフェイトはフェイトだ
  今はそれで良いんじゃないのか?』
 恭也の言葉はフェイトの核心を貫いた
 そして、自らの枷の一つが解かれたことにフェイトは泣いて眠って気づくのだった
 恭也に抱きしめられて眠るフェイトの寝顔は涙を流した後の笑顔だった
 恭也も丁寧に涙の後を拭いていく、髪の毛を梳いていく
 兄のように父のように
 フェイトは恭也に言ったのは、恭也だからこそ聞いてもらえるというのと生まれの意味を
 今の思いをぶつけるためだった……リンディやクロノの迷惑になるや色々思ってだろう
 ただ、恭也は優しく説いたに過ぎないが……本人には大きな言葉だった







 つづく








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