とらいあんぐるハート×魔法少女リリカルなのはA's









魔法少女リリカルなのは〜守りたいものありますか?〜A's

第八話 運命のクリスマスイブ











 すずかに誘われ、アリサとフェイト、なのはの二人ははやての見舞いに行った
 病室で座っているはやてに会って、クリスマスを祝う
 それだけのはずだった……そこに居る二人の人物を見るまでは

『シャマル、ヴィータ、シグナム』

 その二人の人物となのはとフェイトは固まる
 まさか、こんな近くに居るとは思わなかったから
 そこに更に状況を混乱させる人物登場

「こんにちわ、お姉ちゃんたち」

 小さな男の子……といっても、なのはたちと同じ位の年齢の子供
 だが、その子供には見覚えがあった
 はやては誰って顔をしてるが、シャマルとシグナムは思い返していた

「きょう、くんでしたっけ?」
「うん、今日はクリスマスイブだからプレゼント持って来たの」

 きょうはそういってプレゼントを取り出す
 そこにはボードゲームがあった

「人がたくさん居ても遊べるようにって」
「わぁ、ありがとう」
「ううん、ぼくのお古だけど許してね」

 だが、どうやって見ても新品
 というより、お古がどこか分からないのだが
 何より、作成年月日が今年の12月ではその言葉は意味が無いだろう

「じゃあ、ぼく用事があるから」

 そういって幼い言動を残しドアから出て行く
 その様子に焦ったのはシャマルだ……話をしたいといったが、それ以上に今は離れられない
 それはなのはとフェイトも同じ

「忘れるところだった……お姉ちゃんたちとさ、そこの女の子たちって固まってるけど
 大丈夫? 病気? 頭が可笑しくなったの? それとも、ぼく苛める?」

 恭也は心に痛恨のダメージを受けた
 自分で言って自分で痛かったのだから仕方ないとも取れるが

「苛めませんけど、少しお話良いかしら?」
「良いよ……ぼくは頼まれたものを持って来ただけだし」
「頼まれたもの」

 だが、それに反応したのは、フェイトだった

「それじゃあ、私も一緒に行って良いかな? ちょっと私も聞きたい事があるし」
「良いよ」

 シャマルとフェイトは小さくにらみ合うが、何も言わない
 だが、シグナムだけはその少年を見て、瞬時に剣士としての勘が告げていた
 このまま此処から少年を出し、シャマルやフェイトでは無理だと
 確実に殺される、と

「待て、私も行って良いか? はやて、私も行って良いかな?」
「なんや、シャマルに続いてシグナムも? きょうくんやっけ、人気者やなぁ」
「そういうのかな? 単なる遊ばれるだけだと思うけど」

 小さく微笑みを浮かべる

「屋上に居るから、もし何か用事があるなら携帯ならしてね」
「分かったで」

 病院だということを忘れて、そんなことを言う恭也
 そして、屋上へと場所を移す
 なのはも、一対二では分が悪いと思って着いていく
 ただ、もう一つなのはには気になる事があった
 きょうが似てるのだが、誰にとかが思い浮かばないのだ
 恭也本人からしたら、嫌だなぁって位だ
 アリサとすずかも帰り、はやては一人のんびりと寝ることにした

「とりあえず、何の用事かな?」
「聞きたい事は多々あるが、まず一つ……お前、何者だ?」

 シグナムはすぐさまレヴァンティンを発動させて、変身する
 そのことにフェイトは驚きながらも変身する
 もしも襲われても守れるように

「ん〜何者って、魔法使いかな」
「……日天の魔道書の主であってるの?」
「うん。そうだけど……主って柄じゃないんだけどね」

 そう言うきょうに回りは警戒心を強める
 間違いなく、こいつが強敵だと分かるから
 更に言うなら……

「夜天の魔道書の姉妹型って所だしね」
「シャマル、聞いたことあるか?」
「無いわ」

 シグナムたちは確認の取りようが無いことにちょっと悔しく思っている

「後、何で僕が此処に来たかだけど、夜天の魔道書がどれくらい溜まったかなって」
「……なにっ」
「だいぶ溜まったみたいだね……ああ、見なくても分かるよ
 君らを見てたら……だって、僕も守護騎士居るわけだし」

 その言葉に驚いたのはシグナムたちだ
 もしもそれらを呼ばれたら戦術的に優位に立てるのはどちらか

「それは置いておいて……で、そちらの二人は何で僕に?」
「何であの時、貫いたの、バリアを」
「ああ、あれ? 困ってそうだったし」

 たった、それだけ

「それに、僕は自由が好きだからかな……命令されるのも嫌いだし」
「そう、なら貴方を捕まえて管理局に突き出す」
「ん〜、無理だよ。君らには」

 そう言う恭也の体から魔力が出てくる

「それに、ぼくは夜天の魔道書が完成するのを待ってるし」

 シグナムとシャマルはその言葉に喜びを覚えた
 間違いなく今の所敵に回ることは無いと

「どうして?」
「暴走するんだよ」

 その二人の言葉に恭也は上空を見る

「だから?」

 二人を見てそういう……なのはとフェイトには驚きを隠せなかった

「だから? 暴走を止めるために、彼女たちの行為を止めろって言うの?
 でも、それこそが本来なら存在意義……その二人にとっては
 だから、止めることなんて出来るはずが無い
 それを止めろっていうのは呼吸止めろっていうのと同じ意味だと僕は思う
 さて、それ以上に言うことは?」

 その言葉の冷たさにフェイトは言葉をなくす
 その人の危うさの正体……それは、たった一つ
 純粋に理解してるから

「たとえ暴走しようが、そんなのまず知らない
 それがあったとしても分からなければ分からない……暴走が無いかもという
 一縷での希望にすがる……それも悪いことじゃないからね」

 その言葉に驚いてる二人は固まってばかりだ
 そして、一つの言葉を吐き出す

「日銀の世界、自らの檻にて棺を開ける
 その名を告げて、我を一つの王を成す
 サンライズセットアップ」

 小さな体に魔法の力が絡まっていく
 そして、魔導師が居た……杖も何も持ってないが、その胸のところには本がある

「なら、あなたも止めないといけないの?」
「いや、僕は相手しないよ……弱いものいじめになるから」

 その言葉に怒りを覚えたが、無理だとも冷静な部分が言う
 間違いなく相手はフェイトとなのはの二人係でも倒せないと
 その間にシグナムたちとも戦わねばならないのだから不可能にも近いだろう

「来てね、アクア、ルイ、ミネア、マイ」

 そこの4人が居た……恭也を囲むように召還された人を見てシグナムたちも驚く
 容姿が驚くほど似てる
 ミネアはザフィーラと、アクアはシャマルと、ルイはヴィータと、マイはシグナムと
 だからこそ、4人は目を開き恭也を見る

「呼ばれて参上仕りました」
「うん、ごめんね……戦い嫌いだろうけど」
「構いません。我ら守護騎士の目的は主様を守ることのみ
 外敵は排除するか、主様が逃げるときを稼ぐのみ」
「そんな肩肘張らなくて良いよ、マイ」
「せっかくかっこつけたのに〜」

 シグナム似のマイの頬が緩み、目元なども緩み、恭也の頭をなでなでと撫でる
 そして、ぎゅ〜と抱きつく……その姿に回りの守護騎士たちも同じようにしていく
 その様子に周囲は唖然とする

「それじゃあ、お願いね……夜天の魔道書を仕上げないとね」
「私たちの姉妹ですからね」

 シグナムとシャマルをそれぞれ見て、小さく微笑んで頭を下げる
 言うなれば、シグナムが二人、シャマルが二人という計算
 そのことに驚き固まったのは、なのはとフェイトだ
 一人でも手にあまりそうなのにと歯がゆく感じる

「それじゃあ、皆、お願いね」

 二対一の状態
 そのことにシャマルとシグナムはどうしようか悩む
 卑怯とか云々を考えれば確かに卑怯なのだろうが
 だが、それが始りのゴングがなる

「でもね、素直に管理局に逆らうと僕自身が狙われるかなって」
「……我らとも戦うと?」
「う〜ん、勝てる自信あるの?」

 その言葉にシグナムとシャマルは言葉をなくす
 まさか、こんな子供に、確かに夜天の魔道書と似たようなものだが、二人係なら

「無いとは言わない」
「そっか……じゃあ、本格的に使おうかな」

 恭也は本を手に持ち、小さく微笑む
 これで何とか魔力の調達は目処が立った
 何より、あの守護騎士たちから奪っても問題は無い
 念話で適当に負けないくらいで時間稼ぎ
 それがメインだからだ

「あなたの魔力を奪えば良いのだから」
「ああ、そうだね」

 だが、きょうの能力は魔法を打ち消すから

「無駄だろうけど」

 その言葉にシャマルは思い返す
 蒐集したのに反応しなかったことを

「リンカーコアが見つからないんじゃないかな?」
「本当か!?」

 シグナムの言葉にシャマルは頷く
 見えないもののように分からない
 だからこそ、恭也はにこりと微笑む

「さて、何時まで持つかな」

 恭也はそういって、光輝く方陣が出る

「シグナム、下がって」

 シャマルがバリアを引いた

「テンペスト(天罰)」

 きょうの言葉より振り下ろした拳の先から打ち出される雷の力
 バリアの中心に当たる……シグナムは下がっても無理だと判断し、シャマルを横手へと引っ張る
 そのままバリアを貫通した

「そんな」
「小さなバリアじゃ意味を成さないか」
「なら、斬ったりたたき落としたりすれば良い……まぁ、理論はそうだけど
 事はそう簡単にいかないよ
 さて、次々行こうか」

 その言葉にシャマルは飛び、シグナムもすぐに恭也に剣を向ける
 恭也の背中の翼が広がり、飛び立っていく
 なのはやフェイトたちから距離を取る

「テンペスト・アロー」

 追尾機能は無いが、それでもいくつもの雷の矢が降り注ぐ
 シグナムは勢いをそがれ避けた
 注ぐだけなので、横にしっかり避けたら隙だらけ
 だが、すぐさま下がる
 恭也の周囲にはいつの間にかいくつかの雷球

「当たったら痛むよ」

 魔法を唱える事は無い……
 隙が無く、ただただシグナムたちも時間を浪費していく
 そして、恭也は上を向く
 闇の書が完成したという報告を受ける
 なのはたちもダメージを受けたが、恭也は目を一度閉じて言葉を発する

「僕の守護騎士たちのリンカーコア抜かれちゃった……夜天の魔道書
 いつの間にか奪われたんだね」
「あ」

 シャマルは知らない間のことに少し落ち込む
 恭也は誰か分かったのでため息をつく

「これで、後は……」

 恭也の姿が元に戻っていく
 そのことにシグナムとシャマルが驚く
 幼い体から大人へと進化するみたく

「ふぅ」

 恭也の状態を見て、シグナムとシャマルは驚く
 まさか、恭也が魔導師だとは考えも無かったからだ
 もしかしたらという予想はあったが、魔力が無いので考えなかったのだ

「こんばんわ、シャマルさん、シグナムさん」
「恭也さん」
「どういうことだ!?」
「ん、まぁ、あの格好は仕方なくかな……ばれると厄介だし」
「厄介?」
「なんのために通信とか映像遮断使ったのやら」

 だが、シャマルたちは驚きを隠せない
 何より夜天の王であるはやてが覚醒したのだから……それに喜ばねばならないが

「シグナム、シャマルさん、悪い……だましたことについては後ほど謝る
 だから、今は協力してほしい。それと俺の小さな頃の姿は誰にも言わないでくれ」
「確かにあれは恥ずかしいだろうな」
「精神的なダメージがな」
「……可愛いかなって思ったし、たまになってほしいかしら」

 どこかずれた回答にシグナムがシャマルにそれはちょっとなどと突っ込み
 恭也も疲れたため息をつく

「さてと、そろそろ駄々っ子が起きるね」
「駄々っ子?」
「うん、駄々っ子」

 夜天の王が起きれば、そこから災害が始るかもしれない
 なのはとフェイトははやてに声をかけるが、届かない
 何より、酷いことをしたのはフェイトとなのはに変身した、リーゼ姉妹なのだが
 はやての心には届かない……目の前で恭也とヴィータが消えたはやてには







 つづく








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