とらいあんぐるハート×マリア様はみているSS









設定……
恭也は三薔薇を知っています(以上)
恭也が高校3年生の秋頃だと思ってください
一応オールエンドで完治してます(何ていうか適当だよなぁ)
というわけでレッツラゴ〜(ちょっと頭が飛んでます)







『薔薇は優雅に咲き誇る8』










「ふぅ」

 契約書や規約書を全て読み終えて、サインをしていく
 一応必要な所は斜線を引いていくのだが、引かなくても問題ない部分が多い
 何ていうか、凄いな……ほとんど斜線だし
 自分の命を左右するものだから、普通は確認するものなのに自らが確認してくれたみたいだ
 融さんに感謝だな……忙しいだろうに

「電話、電話」

 俺は室内電話を取り、案内どおりにかける
 一応かけかたは色々と書いてあるので大丈夫だ

「はい、応接室ですね? どうかされました?」
「案内の方と紅茶を一杯欲しいので持ってきて欲しいのですが良いですか?」
「分かりました、少々お待ちくださいね」

 そう言って電話を切るとしばらく待つ
 ドアがノックされるので俺は「はい」と言って扉が開くのを待つ
 あけて入ってきたのは、清子さんだった

「うふふ、ごめんね……お手伝いさんたち居るのだけど、お仕事忙しそうだから
 私が持ってきたわ」
「いえ、ありがとうございます」
「案内も私がするから……運動もしないとね」

 そういって紅茶を2人分入れて渡してくれる
 いいにおいが香り立つ
 なるほど、此処はこうやって入れてるのかもしれない

「どうぞ」
「ありがとうございます」
「私が入れたものだし、美味しくないかもしれないけど」
「そんなことないですよ」

 一口飲んで、そう返す
 そして、契約書のサインを見ていく清子さん
 小笠原さんと呼ぶと被るからダメだとの事まで言われた

「後、祥子については、祥子から聞いてね……
 えっと、恭也くん、此処斜線引いたのは?」
「あの、祥子さんを優先して守るとあったのですが、難しいかもしれないので」
「ああ、守る人が多いから、優先はできるかもしれないものの、離れたりしたら難しいって事ね」
「はい」
「うん、よく気づいてるわね……
 これ、試験も兼ねてるのよ」
「はい? まだ試験あったんですか」
「筆記みたいなものよ……ま、満点ね
 さてと、お疲れ様」
「いえ」
「案内は少しだけ休憩してからね」
「はい」

 紅茶を飲みながら談笑にふける
 といっても、あまり話すことは無いが、今まで何をしていたかなどの過去を繋ぎ合わせていた

「そっか……恭也くん、ちょっとこっちにきてくれる」

 清子さんに言われて俺は大人しく行くと
 清子さんは俺の頭を抱きかかえて、胸に押し付けていた

「せ、清子さん!!」
「いい子いい子……」

 清子さんの柔らかな所からは温かさと優しい声と手の平と心音があった
 落ち着くのは分かるが、恥ずかしさもある
 それに、頭を撫でられるのも恥ずかしい

「恭也くんはずっと大人で居なくてはいけなかったから、そのご褒美ですよ」

 そういって頭を撫でていく清子さん
 かあさんですらしたことないことだ……かあさんに知られたら、させられるな
 というより、俺が危ない……うん

「さてと、恭也くんの境遇を褒めたことだし、行こうか」
「…………はい」

 手を繋がれて歩き出す俺
 何ていうか、辛いな

「そうそう、恭也くんはお客様だからね……家族と捕らえてもいいけど
 ほとんど、親族と変わらない扱いになるから
 といっても、小笠原家の中で特殊な立場のものという事だけどね」
「はぁ〜」
「だから、他人に馬鹿にされても気にしないで良いから」
「俺、馬鹿にされるんですか?」
「大丈夫よ……大人の私達に任せなさい、守ってあげれるわ
 そんな変なやからからは」
「はぁ」

 生返事になってしまう
 話が大きくなりすぎて分からないのだ
 確かに規約書の方には俺は小笠原の一員としてと書かれていた
 まさか、親族の方も小笠原との関連になるとは思わなかった
 と言っても、高町が全てというわけじゃなく、俺だけらしい
 でも、コレで守れる前段階に入ったのだ

「で、こっちが玄関なのは分かると思うから、奥からね」

 そういって、客間や祥子さんの部屋、夫妻の部屋、お爺様の居る場所などなど教わる
 まぁ、何ていうか、闘う場所はかなり限定されるが、大変だな
 高い物が多いが、気にしないで欲しいといわれたら、気にしてしまうのだが
 後、守るために割れてしまっても気にするなと言われた

「物はいつか壊れるものよ……人は壊れたら治せないのだから、ね」
「はい」

 そういわれて納得する
 その通りだと思うから……

「後は、変わらないわ……祥子の護衛の際にはホテルから此処までも入るから
 祥子の部屋も知っておいてね……祥子に案内させるから
 後、応接室というより、先ほど使っていた部屋が恭也さんの部屋になるから
 あそこなら自由に使って良いわ……お茶なんかは自分で入れたいなら、台所は説明したとおりだし
 後、どこか教えて欲しいことは?」
「特には無いです……もしも必要に応じて誰かに聞いていくことにします」
「それが良いわ」

 そして、案内が終わると、そろそろ帰ってくる時間みたいだ
 でも今日は学園があるのだから、遅いだろう……それに……
 と、どやどやと音がして中に入ってくる数人の女性の足音が聞こえる

「恭也さん、いらっしゃい」
「お邪魔してます」
「蓉子ちゃん、いらっしゃい」

 2人だったようだ
 祥子さんと蓉子さんだ……もうすぐリリアン学園の文化祭だというのに余裕があるらしい
 といっても、急いできたのは確かなようだ

「お母様、恭也さんをお借りしていいですか?」
「ええ、構わないわよ」
「じゃあ、恭也さん、すぐにきてください
 あ、服装はそのままで、荷物はコレと、コレを
 後、勉強するならソレもお願いします」

 俺は何を言うまでもなくバックをもたされてそのまま歩いていく

「いってらっしゃい」

 そう言って片手を振る清子さん
 って、出かけるのは分かってたのか?

「行って来ます……」
「はい」

 そういって送り出されて車に乗ると、リリアン女学園へと向かう

「通し稽古もしてないなんて思い出せなかったわ」
「優さんに感謝しないと」
「聖と喧嘩の真っ只中でよかったわ」
「でも、恭也さん、あまり台詞は無いですけど、覚えられますか?」
「ん、ああ……」

 俺は台本に目を通し、覚えていく
 シンデレラという話を劇に選んで山百合会だけでするらしい
 そのお手伝いを頼まれてたのだが、役者として出て欲しいといわれて
 俺はそれに頷いたのだ
 家庭教師を頼む代わりにと……
 で、こちらまで来てるのも訳があったりするのだが

「えっと、俺の台詞は本当にコレだけなんですよね?
 アドリブとか出来ないので良いですか?」
「ええ」
「ただ、恭也さんに言うの忘れてました……当日までシンデレラの役は分かりませんから」
「はい? 祥子さんじゃあないんですか?」
「私に妹……スールについては説明しましたよね?」
「ええ」
「妹が出来たら、シンデレラは妹になった子がするんです」
「なるほど」

 大体分かってきた……多分、挑発に乗って、こうなったという事だろう
 祥子さん自身は妹にしたいのだが、何らかの事情があったのかもしれないな

「で、今日は通し稽古だったのに、話もいわず着てしまって
 気づいてから山百合会の話をしていて気づいたのですよ」
「なるほど……ですが、間に合うのですか? 衣装とか」
「そのあたりは恭也さんなら何を着ても似合いそうなので大丈夫かと」
「そういう問題ですか?」
「うふふ、大丈夫ですよ……王子様はどんな格好でも王子様ですから
 それが騎士のような格好でも成り立ちますわ」

 祥子さんと蓉子さんが2人でそう言ってリリアンにつく
 そして、体育館の方で練習するという事で、俺は台本とバックを持って歩いていく
 うっ、目立つ……というか、視線が多い

「こちらです」

 そういって歩いていき、体育館に入る
 といっても、大体の間取りというか位置付けが分かってきた
 しかし、中に教会らしきものもあるんだな
 などとしている間に体育館につく

「恭也さん、お待ちしてました」
「江利子さん、どうもです」
「恭也さん、待ってたよ〜、ごめんね、急に」
「いえ、そんなこと無いです……一応、用事がある程度終わってたので問題なしですよ
 聖さん」
「ありがとね……さ、通して稽古を行いましょう
 その間に恭也さんの寸法測っておいて
 手芸部の皆さんお願いします……それと鎧みたいのでも構いませんから
 時間無ければそちらにした方がいいかもしれません」

 そして、色々な指示が飛ぶ中、苛められる祥子さんと色々とやっていく
 何ていうか凄いな……
 と、江利子さんがニコニコと手を振っている
 元気だな……魔法使いの役など兼用してるらしい
 忙しい役回りは無く、メンバーだけでするのは本当らしい

「やぁ、恭也くん」

 俺は声をかけられてすぐ様はなれる
 声で誰か分かってるからだ

「優さん、どうして此処に?」
「ん、花寺からも1人任命されててね、それでだよ」
「王様役ですか」
「ああ……ま、今はまだ時間があるから余裕だね
 と、そろそろかな」

 と、女の子が来て、俺の寸法を取りたいらしい
 そして、胸囲や胴囲などを計っていく
 メジャーで計るあたり本格的なんだな

「きゃっ」

 と、女性が抱きつく形で俺の胴囲などを計っていく
 というか恥ずかしさが立つのだが……何を言っても計りそうなので置いておく

「恭也さん、そろそろ出番だから」
「分かりました」

 蓉子さんに呼ばれるあたりにはすでにはかり終えていた
 そして、ドレスアップしている方と一緒に前へと出る
 話を聞きながら、俺の言葉を思い出していく
 そうだったな……笑顔で出来るだけ頼むと言われた
 翠屋でしてるような笑顔で良いのだろうか?

「王子様、こちら家の娘達でございます」
「はじめまして……」

 此処で挨拶が始まり、そのまま流れていくかのように挨拶が終わっていく
 そして、俺は笑顔で見送り王子様と少しだけ会話があるのだが……

「どうだい、誰かお嫁さん候補は見つかったかな?」
「いえ……お父様、流石にコレでは難しいかと」
「まぁ、伝統行事だと思って諦めなさい……ところでどうだい?
 父さんと少し話すためにベランダへ」
「お断りします」

 妖しげな台詞をそのままに言わないでくれ
 優さんが少し悲しげに目を伏せると台本が飛んできて当たる
 もちろん、角がぶつかっていたが、優さんが静かになって台本を見ながら話す
 忘れていたのか?
 急に王子様から王様になったとか言っていたからな
 それが原因かもしれない

「あの方は?」

 馬車から降りたままの祥子さんをみて、俺が言うと誰だろうという話が出てくる

「はじめまして、王子様、シンデレラと申します」

 一礼をして、優雅に去ろうとする
 俺は、それを見て……

「一曲踊っていただけませんか?」
「はい」

 クラシックダンスの曲が流れる
 激しいものじゃなければある程度は踊れるだろう
 この前激しく踊ってたが……

「わ〜」
「きれ〜」
「かっこいい〜」
「絵になる〜」

 そして、幾つか踊り終わり、シンデレラの魔法が切れる時間となる
 そのとき、シンデレラは離れ、俺が追いかけるという構図が出来る
 最後の時までは流れ、そのままにそして、最後は……

「シンデレラ、迎えに上がりました……我が、姫となってください」
「はい」

 彼女を抱き上げて、そして馬車の中で抱きしめあう
 恥ずかしいからという事で舞台袖からは抱き合ってるの丸見えだが、馬車からは見えないという構図だ
 ありがとう、小道具、大道具つくってくれた人よ……などと思ってしまう

「本当に幸せそうな顔ね」
「ま、祥子が頼んだことだしね」
「祐巳ちゃん、微妙な顔だね」
「う〜〜ん、あの方誰なんですか? 説明なしにこのままですし
 私も踊るんですよね?」
「うん」

 そういって、二度目の通しに入る
 といっても、俺は変わらないが、シンデレラが変わるのだ
 魔法でドレスアップする所から始まり、違う部分や大変な部分をしていく
 そして……

「深呼吸です……身近な男性と思ってくれたら尚いいですが難しいでしょうから
 祥子さんだと思ったり、身近な女性だと思ってくれると助かります」
「は、はい」

 滅茶苦茶緊張している女の子
 一年生らしい……祥子さんの妹(予定)なんだそうだ

「リラックスリラックス……」

 すでに足が数回踏まれてる
 う〜ん、どうしたらいいのだろうか?
 と、祥子さんがなにやら合図をしている
 一度、離れて、頭を撫でる

「えっ?」
「祥子さんのこと大好きなら、練習でも確りしたところ見せると良いですよ」
「あ、は、はい……すみません」
「気にしないで下さい……でわ、もう一度」
「はい」

 足を踏むことが無くなった……これで大丈夫だろう
 ただ、心配なのは……祐巳さんの顔が真っ赤だという事だ
 名前しか聞いてないので、名前で考えてしまったが
 大丈夫だろうか?

「落ちたね」
「本当に」
「まさか、ああも簡単に落ちるとは思いませんでしたわ」
「祥子、それを貴方が言う?」
「良いじゃないですか……でも、周りも落ちてるわ」
「本当ですね」
「志摩子はいいの?」
「はい? お姉さま、私はすでに彼の虜ですわ」
「令と由乃は?」
「あははは……直視してしまいまして」
「私も」
「あの笑顔が離れないんですよね」
「私も何ですよ」
「あ〜、何となく気づいたけど、あれお店で使ってる笑顔だわ」
「本当だ」
「そっか、それで何とか思考停止まで行かなかったのか」
「そんなに凄いんですか?」
「前回、普通の笑顔を見せてもらったとき、私達は一撃だったから
 動揺とか超えて、本当の意味で取られたわ」
「そうね」
「あれは女性キラーの笑みよね」
「普段が静かで、穏やかな分、いきなりあの笑顔
 しかもあの容姿だから、今回はちょっと楽しみかも」
「あの、お姉さま方は恭也さんの事好きなんですよね
 でも、ライバル増やすようなこと言ってもいいのですか?」
「恭也さんが選んだ相手なら祝福できる
 それは、私達がマリア様を慕ってるのと同じだと思わない」
「恭也さんはね、私達をマリア様みたいだと言った……でも、私達は違うと応えたのよ
 それでも恭也さんは輝いてる皆さんが好きだとも言ってくれたなら
 普段どおりに行動していくのがベストじゃない」
「お姉さま、そういう考えがあったのですか?」
「そうなるわ」
「あれ? 志摩子、どうしたの?」
「いえ、祐巳さんが凄くいい笑顔です
 久々にアレだけの笑顔みました」
「あはは……確かにね、普段は驚いてたりする顔が多いから」
「ま、驚くことばかりだったからね」

 劇が終わり、拍手の中それぞれのところに戻る

「お疲れ様」
「はい」
「祐巳、コレを使いなさい」
「あ、ありがとうございます……祥子さま」
「いいのよ」

 俺もタオルを受け取り、息を付く

「さてと、通しも終わったことだし、薔薇の館に行きますか」
「恭也さんもきてくださいね」
「分かりました」

 頷きながら返して付いていくと、一見の館というようなところに到着した
 そして、入っていくと、大きな部屋に入る
 会議室みたいにあつらえてあり、水道とかも通っているようだ
 紅茶の準備などをしていきながら、個々で着替えるようだ
 俺は一度その屋敷の外に出ると、しばし待つ
 聖さんが呼びに来てくれた……

「で、こちら高町恭也さん……王子様役を引き受けてくれたというのは分かるわね」
「はじめまして、高町恭也です……蓉子さん、江利子さん、聖さんと仲良くさせていただいた関係で
 祥子さんとも仲良くさせてもらってます……よろしくお願いします」
「令、由乃ちゃん、祐巳ちゃん、志摩子ちゃんは自己紹介ちゃんとしてね」

 そして、俺に自己紹介をしてくれる
 全員頬が赤いがどうかしたのだろうか?
 特に祐巳さんは少しドジなのか、頭をテーブルにぶつけていた
 大丈夫かどうか聞いたら、聖さんと江利子さんが心配そうに見ていたので変わってもらった

「でも、お姉さまたちは何で、恭也さんを連れてきたんですか?」
「恭也さんからのお礼かしら……それに柏木さんより、親しみがもてたので
 彼の方が祥子とも気が合うと思ったのよ
 祐巳ちゃんには悪いけど」
「そ、そんなことありません……ですが、良いのですか?
 その、高町さんの学校の方は」
「そちらは問題ありません……まぁ、二日ほど休んだところで問題があるとも思えませんけど」
「そうなんですか……でわ、明日も着てくれるのかな?」
「そうなるのですか?」

 そして、それぞれに休憩を取り、準備に取り掛かっていく
 俺は台本を読んで覚えていく……台詞を失敗したのは俺だけだったし
 う〜ん、困ったな……短い間しか覚える時間が無かったのだから大丈夫ですよといわれてしまった
 皆さん気を使ってくれて、あまり言わないし……
 聖さんも江利子さんも蓉子さんも支えあいながら文化祭をしていく上で必要な書類や
 重要なことを決めていく……決まってる内容でも変更があれば変更していく
 お祭りというのはいつも裏方が頑張るから出来るものだと思うが
 同じようだ……

「さてと、あらかた終わったから、後は……祥子と祐巳ちゃんの問題かしら」
「そのことは、私達の問題ですから……」
「そうね」

 後少しでという祭り……佳境に入って忙しさも倍増みたいだ
 俺はどうという事もないが、蓉子さんたちには悪いことしたかもしれない
 コレだけ忙しいのに、俺の勉強まで見てもらって……

「恭也さん、どうかしましたか?」
「あ、そ、その、これだけ忙しいのに勉強まで見ていただいて悪いなぁと思いまして」
「気にしなくても良いのに」
「そうですよ……」

 そして、俺の会話を聞いて、令さんが不思議そうに聞いた

「1つ良いですか?」
「何、令」
「あの、恭也さんって何で此方に着てるのですか? 同じ学生ですよね……
 それに、教えてもらってるって聞くと、不思議だなぁと思ったのですけど
 受験ですか?」
「そうですね……簡単に言えば、蓉子さんたちと同じ学年で、勉学があまり得意では無いのです
 それで色々とあって知り合いだったのでお願いしたら交換条件でという事で
 俺の勉強も見る代わりに学園祭を手伝ってくれと……役柄については最近知ったばかりでしたので」
「そうなのですか、ありがとうございます」
「いえ、気にしないで下さい」

 令さんは小さく頭を下げる
 短い髪の毛だがふわりと漂う
 凛としている……その形容がピッタリ当てはまるだろう

「ところで、お姉さま、何で祥子さまは恭也さんを見ても嫌悪を抱かないのでしょうか?」
「由乃、それは私も知らないわ」

 2人してじっと祥子さんを見る……祥子さんは2人の視線を受けながらも
 蓉子さんと祐巳さんとの話に耳を傾ける
 劇のことについてみたいだ……多分、俺の方にも関係あるのだろう
 と、扉がノックされて開かれた

「えっと、王子様役の方おられますか?」
「こちらに居ますけど」
「でわ、これをお願いします」

 そういって出てきたのは服だった
 といっても、大きな服で自分の服装を隠すような形である
 ローブみたいなものだろう……
 もしかしてコレが衣装か?

「うわっ……これは似合うね」

 似合うのか?
 よく分からないが……腕とか出ないし、不安なんだが

「後は白の服で固めてもらって、ちょっとビラビラをつき足せばいけるかと」
「そうね……でも、恭也くんの場合、騎士みたいな格好の方が似合いそう」
「出来ないかしら?」
「やってみます……二つつくることになるのでちょっと時間がギリギリになるかもしれませんが」
「大丈夫よ、私も手伝うから」
「黄薔薇さまが!?」
「だって、楽しみじゃない? そういうのを楽しまないとダメよ
 つくる一生懸命だけでは私はダメだと思う……それだったら楽しまないとね」
「はい」

 手芸部の人たちを纏めて、江利子さんも手伝うという事で纏まった
 まぁ、残りはほとんど俺の方に回るのでそれを考えたら重要性が分かってきた気がする

「騎士王子……似合いそうですね」
「志摩子?」
「あ、いえ……何でもありません」
「そう? でも、ナイトって言うよりは、侍とか剣士の方が似合うわよ」
「お姉さま?」
「さてと、私達も手伝いましょう……祐巳ちゃん、祥子、蓉子、恭也くんと声あわせお願い
 それと振り付けなんかも……」
「分かってるわ」

 蓉子さんの声だけがきて、聖さんと藤堂さんも手伝いはじめる
 江利子さんの所は全員が取り掛かってるみたいだ……
 一致団結というのはこういうのを言うのかもしれないな

「そういえば、恭也さん……時間大丈夫なんですか?」
「大丈夫だとは思いますけど」
「そう……でわ、台詞あわせと振りだけ覚えてくれますか?
 一度、私がしますので」
「よろしくお願いします」

 舞台の時は座ってるだけとか色々あったのだけど、細かい部分で頷くとか色々あったみたいだ
 まぁ、そこらをはぶいていたというのも否定できない部分らしい……
 女性を誘うのはそれでよかったらしい
 言うなれば、シンデレラを誘うときは手を出して、お辞儀をしてからお姫様と声をかける
 そのあたりが礼儀的なものなんだそうだ……
 そして、遅くなるまで練習と着付けに時間使うのだった
 帰り道の時にそれぞれに色々と教えてもらいながら、今日は合宿という名目で
 小笠原家の方に山百合会の面々は泊まることとなった……
 といっても、荷物が無い人たちは家に帰ったが……それでも、蓉子さん、江利子さん、聖さん
 そして、祥子さんは参加してくれた
 しかも勉強まで見てくれるということで、俺にとっては大助かりだ
 学校行ってないということは勉強してないという事だからな
 といっても、今回は公欠扱いらしいので、微妙な所だが……それでも問題だろう
 それに……色々と考えたけど、問題なんじゃないかと思っているし
 勉強の後れは、何時もの鍛錬と同じで遅れを取り戻すのに何日も掛かる
 それが一番大変なことなんだから……
 父さんだって護衛の開いた時間で少しでも体を動かしていたし
 俺も休む前に体を動かしている……その後シャワーに浴びに行くので丁度いいのだが
 そんなこんなで、今日という日の幕は閉じるのだった









 つづく








 あとがき
 恭也の未来は決まった!! この後、どうなるか……それは……誰にも分からない事であった
 シオン「あのさ、決めてる所悪いけど、早く書くように」
 そして、その情景を知ってるのはマリア様だけ……恭也は守れるのだろうか? 好きな人たちを……
 ゆうひ「良いから、書け、このへたれヘボ作家」
 ……ね、人が一生懸命に纏めてるのに、そういうの言わないでよ〜(涙
 シオン「というよりも、まとめてどうするのよ」
 いや、何か考えが浮かぶかと思って
 ゆうひ「目標の8は超えてしまったしね」
 全くだ……本気でやばいじゃん
 シオン「どうするの?」
 いや、長くなるとは思いも寄らなくてね……中篇止まりが長編になってるし
 ゆうひ「迷惑かけっ続けの人だね〜」
 う〜〜〜否定できない〜〜〜〜〜
 シオン「というわけで、この後どうするか考えないとね」
 本当だよ
 ゆうひ「でわ、また〜」
 ほなね〜(^^)ノシ



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