とらいあんぐるハート×マリア様はみているSS









設定……
恭也は三薔薇を知っています(以上)
恭也が高校3年生の秋頃だと思ってください
一応オールエンドで完治してます(何ていうか適当だよなぁ)
というわけでレッツラゴ〜(ちょっと頭が飛んでます)







『薔薇は優雅に咲き誇る11』











 台詞を覚えて、おのおののことをしていく
 運営していく係りがあるものの、薔薇さまと言われる3人はあまり自由行動が取れないみたいだ
 もちろん、そのつぼみである、祥子さん、令さん、志摩子もだ
 まわりに人が多くなるから困るという意見もあるみたいだ
 祥子さんは人ごみを嫌うからな……
 1時には入ってくれということで舞台袖の方に歩いていくのだが
 俺は何故か女装させられていた
 服はそのままでウィグだけ付けた状態だ……といっても、制服だと目立つからと
 背の高い女性という事で設定付けされた
 ばればれだろうになどと考えて歩いていく……無理難題は最初からって事か
 体育館の中はしずかで、椅子などが置いてあり、舞台袖までに人は居なかった

「恭也さん、すみません」
「いえ……でも、女装(あまり変わりなし)をしても意味ないでしょう」
「いいんですよ……私たちの気分的な問題ですから」
「……」

 それでウィグをつけさせられた俺の身はどう想ってるのだろう

「着替えてもらって、しばらく待っててもらいますか?
 髪の毛の時間が掛かる人も居るので……全く、祥子と祐巳ちゃんはどこに行ったのやら」

 あの2人なら楽しんでるんじゃないだろうか?
 祥子さんは祐巳さんのことを気に入ってるみたいだし

「柏木さんの方はすでにあちらの袖に居ますから」
「反対側にしてくれたことに感謝しますよ……それと、人払いありがとうございます」
「……気づいてたんですね」
「蓉子さんは細かな気遣いが上手いですから」
「うふふ、褒めてくれてるんですよね?」
「ええ」
「ありがとうございます」

 そして、お互いにお辞儀をして、歩いていく
 俺のところには誰も居らず、着替えていく……剣の稽古の跡が残っている
 これは俺の誇りと呼べるもの……守りきった証でもある
 着替えて待っておこう……誰か入ってきても困るし
 そそくさと服を脱いで、長いシャツの上にプレートメイルを着て
 更に下に幾つかの武装を入れる……本来なら必要の無いもの
 舞台上に居たら、狙われる可能性は遥かに高い
 それを考慮に入れて武器の類は少し持ち歩いておきたい

「ふぅ」

 台本を再度読む……最終のチェックはしたが、段々と緊張してきたし
 それに、たくさんの人に見られるというのは、俺みたいな闇の人にとっては恥ずかしい
 ティオレさんやかあさんに見られたら洒落にならないな
 リスティさんにも見つかりたくない姿だ……忍にもだな
 一言で言うなら、海鳴の誰にも見つかりたくないというのが心情だな
 しばらく台本を読んでいると、幾人かの人が入ってきた
 もう、時間かと確認すると、聖さんと志摩子さんだった

「恭ちゃん、かっこいい」
「うわっ、これで化粧もするんだよね……シンデレラがまだ来てないのに」
「そうなんですか……もう、後30分くらいじゃないですか?」
「そうなんだよね……志摩子、どうしたの?」
「いえ、何ていうか、美人さんだなぁって」
「び、美人って」

 それは違うような気がするのだが……
 そう言った所で分からないから微妙だが
 俺も口下手だからな……

「お二方とも綺麗ですよ」
「ありがと……でも、王子で綺麗って言われても微妙」
「お姉さまは何を着ても似合いますから」
「そういう志摩子のドレスアップなんて綺麗すぎて何も言えないわ」
「そんな、お姉さま」

 2人のじゃれあいみたいなこと……色々なことがあっても2人の絆は揺るがないような気がする
 もちろん、それは江利子さんと令さんの姉妹や蓉子さんと祥子さんの姉妹もそうだ
 此処の姉妹という絆は強い……だからこそ、そこを狙われでもしたら、俺は許さないだろう
 美しいものは見ていていいものだと
 俺とは違う日向の存在……

「恭ちゃん、どうかしたの?」
「いえ、俺は此処の空気は好きなんだなぁっと想って」
「ついでに私たちも好きだって言ってくれるといいんだけど」
「聖さん」
「お姉さま、それは流石に」

 赤い頬をして言う志摩子
 何ていうか、可愛い彼女だ……凛として綺麗という部分もあるが
 こうやって姉と妹として居るときは可愛いと想う
 俺と居るときも可愛い部分が多いが……
 妹より妹みたいで、なのはと同じくらい可愛がった記憶があるからな
 父さんに「お前、志摩子ちゃんには甘いのな」などと言われた記憶がある

「そういえば、祥子さんたちはまだ着てないのですか?」
「そうなんだよね……大丈夫かな」
「髪の毛をアップにして、くるくると上に団子にするんですよね
 あれは意外と大変ですね」
「え?」
「恭ちゃん、仕方しってるの?」

 そういわれて、俺を見られる
 まぁ、知ってはいるという所か……

「一応知ってます……その、なのはって言う小さな妹が居るんですが、その子の髪の毛を
 俺が中学くらいの時や高校2年くらいまで結んでたりしたもので……
 だから、やり方なども知ってますよ」
「へ〜、そうなんだ……私、してもらえばよかった」
「お姉さま、それは流石に準備に携わった方たちに失礼ですわ」
「あはは〜、そうだね」

 笑顔で会話をしていくと……カーテンを開けて人が幾人か入ってくる
 これからという事か……祥子さんと祐巳さんは俺達に謝る

「遅れて申し訳ありません……1時間半前集合だったのをすっかり忘れてしまって」
「それで1時間の遅刻だもんね……間に合わないかと想ったわ」
「すみません」

 江利子さんがニコニコしながら言う
 言うほど怒ってないみたいだ……令さんが何か申し訳なさそうに言う

「由乃なんですが、張り切りすぎて欠席です」
「うわっ……」
「令、今は劇に集中してね……由乃ちゃんの心配は皆してるんだから」
「はい」

 由乃さんが欠席となると、また配役の変更が余儀なくされるのか?
 まぁ、俺は変わらないのが唯一の利点かもしれない……
 俺は他の事なんて出来ないからな……しかも劇中の出番は少ないほうだ
 で、由乃さんは婚約者の役だったので、令さんと聖さんが踊る相手のどちらかだった
 俺は台本を見ながらどうするのだろうと考えてると……

「私は王様と、聖は志摩子と、祐巳ちゃんは令と踊ってね……人数足りないから
 途中までだし、簡単だから……後は、恭也さん、最後はお願いしますね」
「はい」

 ということは、俺と祥子が最後まで踊りフィニッシュを飾るという事なのか?
 実質な最後は抱き合って終わりという事になってるのだが
 祥子さんの悪戯によりこうなったようだ

「由乃ちゃんの台詞はほぼ無いから、祐巳ちゃん、『よろしくお願いします』くらいで良いから
 もう、そこらはアドリブで良いわ」
「うっ、分かりました」
「姉役に徹してれば、良いわ……私たちだって急なことで困ってるしね」
「はい」

 俺はそれを聞いて、焦りを覚えてるのは皆なんだなと納得する
 と、体育館の椅子にはすでに人がたくさん座っているようだ
 立ち見をしている人も居るようだ

「さてと、皆、頑張りましょう」

 そういって劇が始まった……最初は苛めてる姉と義母
 そして、シンデレラの図だ……ちなみに魔法使いは聖さんがしている
 あの服の上に大きなコートを着て誤魔化してるのだ
 体型のことを考えると微妙だ……令さんがさっと紐を引くと、ドレスアップ完了となる
 何ていうか、どこぞの特撮みたいだな
 「はい」と渡されたものを受け取る
 先ほどまで祥子さんが着ていた服だ……置いておいて
 最後にも使うのだ
 紐で巻いたような感じで1つ引けばふわっと離れるらしい
 たたんでおいてある机の上に置く……俺のところの文化祭って何するんだろうか?
 もう少し先だが、LHRがあったら困るな……
 俺の出番となり、場面変更で一時的に証明が落ちる
 そして、俺は言葉を発しながら、壇上が明るくなる

「次の方を……」

 し、視線が集中する
 静かだというのは分かるが、恥ずかしいな

「王子よ、誰か良いと想った者はおらんのか?」
「私自身がそれを考えて居ます」

 そう答え、他の王子たちも声をかけている
 近隣諸国からも着てるという設定らしい
 俺には良くわからない設定なので、置いておくが……

「家のむすめでございます」
「綺麗な娘たちではないか?」
「はい」

 そういって微笑みを浮かべる
 周りからため息が漏れた……どうかしたのだろうか?

「でわ、良い返事をお待ちしておりますわ」

 そういって出て行くと、俺は困った表情を浮かべる
 何故か、妃である蓉子さんが俺をじ〜と見ているからだ

「王子は本当に誰が宜しいのかしら?」

 って、いきなりからアドリブですか?
 というか、どう応えたらいいのかわからない

「少しまってください、まだ全員と面会してませんし」
「そうだったわね」

 蓉子さんに目で訴える
 あまり引っ掻き回さないでほしいと……
 ちゃめっけたっぷりに楽しいかと想ってなどと目で返してくる
 酷い……
 ガチャという効果音と共に、祥子が登場する
 シンデレラにふんした祥子だ……綺麗なドレスだな
 シンプルな白に黒髪のストレートが栄える
 綺麗だな
 俺は立ち上がり、祥子の傍に行く

「綺麗な姫よ、私と一緒に踊りませんか?」

 わたくしと読む、この字を最初、わたしと読んで笑われたっけ

「よろこんで、王子様」

 そして、手を差し出したままに軽く手で掴み
 曲が流れるままに身をゆだね、踊っていく
 人数が減っていくのがわかる
 途中途中で、離れていく寸法らしい
 って、俺はそんなの知らされて無いぞ!!

「恭也さん」
「ああ」

 12時の鐘の音がなる
 離れていく祥子……髪の毛が頬にあたり、彼女のシャンプーの匂いがした

「待ってくれ……せめて名前を」

 そして、そのままガラスの靴だけが置かれ降りていく
 俺はそのまま見つけると言って暗くなっていった
 最後のシーン……姉たちと義母が居るところに聖さんと令さんが来て
 靴を履いてもらう……サイズ的に同じだったりするのだが、ごまかして祥子が履く
 少し汚れてる頬をハンカチで拭き、彼女だと確認すると、俺は祥子を抱きしめる
 観客席から悲鳴らしき声があがる

「シンデレラよ、私の妻になってくれないか?」
「はい、よろこんで」

 俺は彼女の体を抱っこする……両腕で彼女を抱き上げたのだ
 シンデレラもとい祥子さんは恥ずかしそうに両腕を俺の首あたりに回す
 今朝方のことを思い出すが顔に出ないことを祈る……
 馬車に乗り、ステージが暗くなった
 お、終わり……と、祥子さんが小さく呟く

「この後、お辞儀をして終わりですから……下ろしてください」
「あ、はい」

 そして、壇上に全員が上がる
 もちろん、俺も上がるのだが何故か祥子さんの隣に居るようになった
 言うなれば、ステージのど真ん中……遠慮したかった
 蓉子さんの声で、一言ご拝見ありがとうございましたと入り終わりを告げる
 問題は此処からだった……
 再度暗くなって、俺達が舞台袖に降りると、舞台袖の前には人だかりが出来ていた

「あの、先ほど祥子さまを抱いていた男性は誰ですか?」
「祐巳さんと祥子さまの関係は?」

 新聞部という存在もあるらしく、凄く大変そうだ……
 というか、大変だな……俺は大変じゃないように隠れてる
 と、何故か大きめの女性服を渡される

「恭ちゃん、此処から逃げるよ」
「え? 江利子さん、どういうことですか?」
「あの間を突っ切っていくから……話は全部放っておいて薔薇の館に戻るの
 荷物は持っててね」
「あ、はい」
「祥子のファンは多いからね……気をつけないと後ろからぶっすり刺されるよ」
「恐いことを言わないで下さい」
「ま、恭ちゃんなら刺されないだろうけどね」

 それってどう応えたらいいんだ?
 そんなことを言いながら、着替えを終える
 といっても、脱いできたというくらいだが
 またウィグをつける

「じゃあ、走って逃げるわよ」
「はい」

 俺は彼女たちがカーテンを開けて、蓉子さんに集中してる間に走って体育館を出る
 そして、そのまま薔薇の館に直行した……服などは全てバックの中に詰め込んでおいた







 色々な喧騒と共に帰ってきた江利子さんと聖さん、蓉子さん
 祥子さんと祐巳さんはまだ捕まっているらしい
 由乃さんのことが心配で、令さんは帰ったらしい
 姉妹というより、少し過保護のような気がするのだが
 まぁ、従姉妹という事だし、体が弱いならなお更かもしれないな

「恭也さん、もう一度、この服に着替えてもらえませんか?」
「それにですか?」
「ええ、写真をとりたいそうなので」
「遠慮したいのですけど」

 俺はそういうと凄く悲しそうな目をする
 志摩子も帰ってきて、何やら聖さんに話す

「恭ちゃん、有名だね」
「はい?」
「私に、騎士の王子をしていたのは誰かってかなり聞かれたんですよ」
「応えたのか?」
「いえ……それは言えませんって言って通してきましたから」

 それは大助かりだ

「でも、此処の前、凄い人だかりだよ」

 俺はそれに驚いてカーテンの隙間からチラリと見る
 多いな……

「えっと、あの方達は?」
「此処に居るって知ってる人たちかな」

 誰かが漏らしたのか……どうしたらいいのやら

「とりあえず恭也さんは着替えて、ちゃんとあって言うか、何かしないと収拾つかなくて」
「なるほど……そうみたいですね
 着替えるので、少し部屋出てもらえますか?」

 そういって、出てもらって着替える
 さっと、着替えて廊下に出ると、蓉子さんたちも待っていた

「行きますか?」
「ええ」

 玄関のところに行くと、声をかけられる
 それを手で抑えて、俺はそのまま立ち止まる

「はじめまして、山百合会の方たちと仲良くさせて頂いてる、高町恭也と言います
 今回は俺があることを頼んだので、そのお礼という事で彼女たちの劇に出るという事が決まったのです
 ですから、突然だったと想いますが、また来る機会がありましたらよろしくお願いします」

 頭を下げて、俺はそのまま後ろを向く
 このまま玄関に戻れば、多分大丈夫……

「えっと、じゃあ、高町さまは祥子さまを抱き上げてましたけど、あれは演技だと」
「ええ」

 動揺してたら、何か言われるかと思い何も感じてないように言う

「祥子さまは了承されたのですか?」
「はい……蓉子さんから了解も得てますし……
 妹の居られない祥子さんの場合、妹の了承は要らないでしょう」

 その通りというように頷いてる聖さん
 って、そっちは何も言ってくれないのですか?

「だから、恭也さんは私たちが頼んだ紳士な方だから大丈夫ですよ
 それ以上に何か期待することや、何かほかにありましたら
 私たちが聞きますから」

 そういって、蓉子さんがいう

「え? 私も入ってるの?」
「私もみたいね」

 聖さんと江利子さんがそういって少しだけ落ち込む
 何ていうか、微妙だな……

「じゃあ、俺は一度着替えたいのでコレで……」
「あ、恭也さん、ありがとうございました」
「いえ……蓉子さんたちも早めに中に戻らないと冷えますよ」
「ありがとう、大丈夫よ……先に紅茶待ってますから」
「分かりました」

 俺はそういわれて中に入る
 中の構図を知ってるからこそいえる会話……

「高町さまは此方に来られたことがあるのですか?」
「もちろんです……だから、皆様とお会いした方も居るかもしれませんね」

 そういうのを聞きながら、俺は中に入って、ドアを開ける

「失礼します」

 中に入ると志摩子が掃除をしている
 俺の荷物はそのままなようだ……

「志摩子、ありがとう」
「いえ……私たちで綺麗に保ちつつ、自分達の住みやすい環境をつくる
 それが生徒の総意と同じですから……此処も生徒が使う場所ですし」
「そうか……まぁ、それが普通だな
 着替えるから、部屋を出ててもらえないか?」
「あ、はい」

 志摩子は微笑みを浮かべて、出て行く
 俺はすぐに着替えを始める……誰が戻ってくるか分からないからだ
 傷を見せるのは嫌だと……彼女たちには嫌われないだろうが
 それでも見て気分のいいものでもない
 だからこそだ……

「志摩子、ありがとう」
「いえ」

 着替え終えて、志摩子に声をかける
 そして……俺は、すぐに部屋の掃除を手伝い、紅茶の準備をする
 お湯を炊きながら、テーブルの上をある程度綺麗にする
 といっても、資料などはそのままに開いてる場所を拭いただけだが
 床の方は志摩子がしてくれている
 俺のバックは1つにまとめておいた

「ただいま〜」
「ただいま」
「ただいま、志摩子、ありがとうね」
「いえ」
「恭ちゃんも、ありがと〜」

 俺は紅茶を入れ終えると、そのまま、出す

「ダージリンのいいのがあったので、使わせて貰いました
 どうぞ」
「わっ、ありがとう」

 そういって紅茶を一口飲む

「ほっとするね」
「美味しい」
「うん」

 それぞれが賛辞の声をかけてくれる
 俺はお礼で返し、紅茶を一口飲む
 うん、合格点だな……翠屋で出しても遜色ないくらいだ
 階段を上る気配がして、扉が開く

「祥子、祐巳ちゃん、お帰り〜」

 それぞれが椅子に座る
 少し疲れてるのか、話す気力も無いみたいだ

「どうぞ……」
「ありがとうございます」
「ありがとうございます」

 俺が出した紅茶を受け取り、飲み始める

「美味しい」
「美味しいです……誰が入れたんですか?」
「恭也さんよ……」

 そういう蓉子さん……祥子さんと祐巳さんは不思議そうに俺を見る
 俺は簡単な説明をすると、なるほどと納得したようだ
 喫茶店で出すほどの腕前なのだから、ある程度は分かるという事だ

「でも、驚いちゃいました……」
「何がですか?」
「いきなり人に詰め掛けられて……その、祥子さまとの関係がどうとかで」

 確かにそれは大変だよな……
 まぁ、自分だけなら何とかできるだろうが、もう1人も加わると大変だろう
 それを考えても、難しい所だ

「さてと、そろそろ後夜祭の準備しないと」
「え? もうなの……もうちょっと紅茶を堪能したいのだけど」
「聖、あまり時間かけてる余裕が無いのは分かってるでしょう」
「聖さん、江利子さん、蓉子さん、また宜しければ俺が入れますが」
「よし、行こう、蓉子、江利子」

 聖さんは俺の言葉を聞くと、動くのは早かった
 蓉子さんが俺にお礼を言うと、そのまま出て行った
 志摩子も手伝うのか、そのまま一緒に出て行く
 忙しい人たちだ……令さんが居ない分の割り振りもしないといけないのだから大変である
 祥子さんも手伝おうとするのだが、蓉子さんに止められた
 疲れてるときは少しだけの休憩でも変わるものだからと……
 俺の紅茶を堪能することに専念するみたいだ
 今までリリアンの学園祭のことで忙しかったのだから仕方ないといえば仕方ないのだろう
 蓉子さんが、妹である祥子さんを心配してるのだから……

「大分、周りが暗くなりはじめましたね」

 俺は外を見て、そういうと祥子さんと祐巳さんが揃って外を見る

「本当ですね」
「かえるの遅くなるって言っておいてよかった」
「そうね……恭也さんはどうするんですか?」
「今日か明日の内にでも家に戻るつもりです……また来ますが」
「そうですか」

 そう、文化祭の準備は自分の言っている学校でもあるのだから
 来週だったはずだ……違ったかもしれない
 最近はこっちの学園祭に居たわけだし……
 いい経験をしたという事で置いておこう

「祐巳、私たちも後夜祭の準備を手伝いましょう」
「はい」

 そういって、出て行く
 俺も行こうとしたが、立ち止まる
 また、囲まれるかもしれないという想いと、彼女たちでも出来るだろうから
 だから、俺はそのまましばらく夕闇を眺めている……

「そろそろ此処を出ておくか……」

 片付けを終えて、俺は自分のバックを持つ
 もう闇が濃くなってきている……
 月と星が見えている






「あなたにロザリオをかけてもいい?」
「はい」

 マリア様の像の前で祥子さんと祐巳さんを見た……たまたまなのだが
 まさか、此処に居るとは想いもよらなかった
 マリア様とお月様が見てる前でのロザリオを首にかけてもらっている
 確か、ロザリオを受け取ることで姉妹関係となるだったと聞いている
 去ろう……このまま居てはばれたときどう言えばいいのかわからないし






 俺は校門のところに来るとすでに止まっている車に近づく
 誰のか分かっている……

「恭也くん、楽しかったかな?」
「加藤さん、俺が楽しんだらダメでしょうに」
「まぁまぁ……で、お嬢様たちがご立腹になるよ」
「ですが、ずっといてては迷惑になるでしょう」
「そんなことないさ」
「高校は卒業したいので」
「了解」

 俺の言葉に何となく理解したのか頷く加藤さん
 俺はまだ高校生だから……

「恭也くん、じゃあ、一度海鳴に戻るんだね」
「ええ」

 そういって、俺は運転を即す……すると、何故か車を動かさない加藤さん
 と、苦笑いをして、俺に振り返る
 後部座席に乗ったのにも関わらずだ……どうかしたのだろうか?

「今戻ったら怒るみたいだね」
「え?」

 前を見る……祥子さんや蓉子さん、聖さん、江利子さん、志摩子が揃っている
 って、何故に!?

「ほら、王子様をお待ちのお姫様たちだ……行って来い」
「加藤さん、助けてくださいよ」
「嫌だ……」

 そういって、俺を見る加藤さん
 俺はため息をつきつつ降りる

「薔薇の館に戻ったら居ないんだもん」
「驚いちゃいましたよ」
「本当……だからこそ、先にどこかに帰るか何かだと想ったんだけどね」
「蓉子が冷静に対応してくれて助かったよ」
「紅薔薇さまのおかげですね」

 そう言って俺を見る

「何となく予想はしてたのよ……だって、恭也さんは自分のこととなると出来るだけ迷惑をかけないようにと
 私たちの傍に寄らないようにしている……だからこそ、周りに集まっても何歩も開けている
 で、私たちのことを考えたら海鳴に戻って冷めるのを待つのが一番かなと」
「気づいていたのですか?」
「ええ……それにバックを綺麗に纏めていたと聞いて、理解したのですよ」

 なるほど……全てを片付けたおかげで全ての線や点を繋げられたのか

「恭也さん、もう遅い時間ですし、私の家に泊まってください
 お疲れでしょうし……お母様やお父様も喜びますから」
「ですが……」

 俺は断ろうとすると、加藤さんも敵(?)に回る

「恭也くん、帰るよ〜……というか、小笠原家に行くこと
 融様と清子様がお待ちだよ」

 携帯片手に言う加藤さん
 俺は嵌められたのか?
 そんなことを想いつつ

「お嬢様たちもすぐに車を準備しますから、待っててください」
「はい」

 そして、俺は車に乗って、彼女たちが車に乗るまで待つこととなった
 俺は何でこんなに流されやすいのだろうか?
 ここぞという時にしか逃げられないみたいだ
 まぁ、それだけ彼女たちの傍に居たいという事なのだろうが……
 ほっとするような存在……それを求める自分
 求めてるからこそ、自分の欲求が葛藤する
 居ないほうが彼女たちには幸せではないのかと……
 もしも、それを言えば、怒るだろう想われる人物はたくさん居る
 そんなに弱気でどうすると……








 そして、車が到着し、小笠原家へと俺は顔を出した
 そこで、融さんと清子さんの話では、俺は特殊な立場という事は決まっていたが
 一応の筆記試験も合格……その他もろもろも良しという事で
 最悪な場合は助けるためなら多少の被害は許可という名目貰っている
 言うなれば、御神の技を全力で使ってもいいという事だ……

「そうそう、恭也くん……祥子や蓉子さん、他の皆さんを幸せにしたいなら
 弱気にならず、自分の想いを忘れないで正直に行きたまえ」
「はい」

 そして、俺はその日、皆でちょっとした宴を開く
 それは、文化祭の成功を祝うものだった……
 次の日に俺は海鳴に戻ることにして、また水曜日に会うという約束をした
 そのときには志摩子も一緒になった
 増えたな……途中瞳子さんも加わり、賑やかなまま、布団に入る








「じゃあ、水曜日に」
「ええ、また」
「でわ、またです」

 そして、水曜に会うという事で玄関まで送ってもらい、俺は海鳴に戻った







「お帰り〜お兄ちゃん」
「なのは、お土産だぞ」
「ありがと〜、でも東京に行ってたんだね」
「ああ……」

 なのはにお土産を渡し、家族全員分を渡す
 で、携帯の充電を開始する……途中で充電器が無いことに気づいて電話かけられなかった

「お母さんが、電話かかってこなくて心配してたよ」
「電池が切れててな」
「そっかそっか」

 なのはは楽しそうに頷く
 そして、みんなの分という名目のお土産をテーブルに置き(ひよこまんじゅう)
 俺はちょっと部屋で休むと言って、部屋の中に入る
 盆栽も気になる……
 先に盆栽だ……明日には文化祭の準備が午後から入る
 あまり好きじゃないが、頑張らないと何を言われるか分からないからな








 つづく










 あとがき
 というわけで、続くね
 シオン「どうかしたの?」
 いや、やっぱり続いたなぁって
 ゆうひ「それが一番ショックなんでしょ」
 まぁね
 シオン「可愛そうに」
 あはは……でしょう
 ゆうひ「で、次はどうするの?」
 コレねラストはすでにあるんだよ
 シオン「?? 如何いう事」
 だから、ラストは恭也の文化祭で終わり
 ゆうひ「ってことは、もうすぐ終わりなんだ」
 うん
 シオン「大変だね〜」
 だよね
 ゆうひ「でわでわ、また〜」
 ほなね〜(^^)ノシ



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