とらいあんぐるハート×マリア様はみているSS









設定……
恭也は三薔薇を知っています(以上)
恭也が高校3年生の秋頃だと思ってください
一応オールエンドで完治してます(何ていうか適当だよなぁ)
というわけでレッツラゴ〜(ちょっと頭が飛んでます)







『薔薇は優雅に咲き誇る12』











「世の中大変だな」

 文化祭の準備で慌しく働いてるクラスメートを見て俺は漏らした
 ただ、あのリリアン女学園のときより、やることが増えているのだが
 彼女たちと水曜日に会うから、土曜日曜に来てくれるという事なのだろうか?
 いや、日曜だけか……寂しいものだ
 彼女たちと回るのを楽しみにしているのだが
 うちのクラスはミスター女装コンテストなるものを企画したらしい
 ちなみに推薦は女子全員で結託していたようだ
 俺は居なかったので参加資格は無いだろうと言って置いた
 ちなみに他のクラスから何人か選出して、女装が似合いそうな男連中を連れてくるらしい
 赤星は最初から逃亡していて、剣道部の部長としてどうこうとか言い訳している
 藤代さんに言いくるめられそうで一杯一杯なようだが……

「恭也ーーーーーーーー!!!!!!!!!
 少しは働け〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
「やだ」

 俺は窓際でボーと外を見ながら呟くように言う
 ちなみに先ほどのは忍だ……元気なことだ
 後ろではどたばたと色々な音が響いている
 忍が持ち込んだ機材が役立っているようだ……
 よく生徒会が許可を下ろしたものだ

「高町く〜ん、綺麗なお客さんが着てるよ〜」

 俺はいまいち分からず振り返る
 窓の外は青空なのに、クラスの中はとてもいい天気とは言えない状態だった
 何故か、一様に暗い表情を浮かべているクラスメート
 そして、一点だけ晴れている場所があった
 そこには……

「えっと、何で此処に居られるのでしょうか?」
「ごきげんよう、皆様……恭也さんをお借りしますね
 それと、先ほどの言葉ですけど、今日は振替で休みです」

 というわけで、来たのは蓉子さんだった
 俺は連れ去られるままに歩いていく
 う、腕がつながれて、む、胸が……俺も健全な青少年なんだ!!(主張)

「えっと、蓉子さん、その胸が腕に」
「それくらい気にしないで下さい……それに、聖や江利子は抱きついたりもするでしょう」
「……確かに」

 否定できないほどに抱きしめられたりしたからな
 といっても、勉強中にだが、難しい問題を正解すると抱きしめてくるのだ
 たまに蓉子さんが止めてくれるが基本的には止めない

「でも、どうしたんですか?」
「何がですか?」
「いえ、此処に来たのは何故かなと思って」
「私で手伝える事はないですけど、恭也さんが来ている学校を見たかったんです」
「……そうですか、では案内しますね」
「はい」

 そして、リリアン女学園の制服で居る蓉子さんを連れて歩く
 女学園の制服には此方で着替えたそうで、少し大きめのバックを持っている
 私服だと目立つからとの事だが、どっちでも目立ちそうだ
 綺麗な人だからな……俺の隣歩いてると彼女に悪い気がしてくるくらいだ

「そういえば、音楽室とかってありますか?」
「あ、こちらです」

 まだ部活動の面々が何もしてない中、俺はそのまま音楽室まで歩く
 隣についてくる蓉子さんの歩調に気をつけながら行くと、ドアを開ける
 中には誰も居らず、蓉子さんは嬉しそうに音楽室を眺める

「次は、どこに行きましょうか?」
「って、此処が見たかったのですか?」
「ええ、リリアンは音楽室が広くて、声音部とかもありますから」

 なるほど……確かに学園事態も広かったから
 考えてみたら納得のいく構図だ……広い教室か
 のびのびしながらも、確りとした良い人が巣立っていく学園なのだろうな
 俺はしばらく考えると

「このまま少しだけ話しませんか?」
「いいですね」

 蓉子さんと話すとほっとしてしまう俺にはちょっとだけ休憩をかねて聞いてみると
 すぐにOKが出た……頷くと、近くの椅子に座ってもらい
 俺は机にもたれかかる

「恭也さんは音楽の授業取ってるのですか?」
「いや……俺は、取ってない」
「そうなのですか……」
「でも、俺の知り合いが音楽関係してるから音楽が嫌いなわけじゃない」
「選択だったのですよね?」
「ああ」
「何を選んだのですか?」
「蓉子さん、出来るだけほかの方には黙っててくださいね
 俺は、書道をとってたんです」

 そういうと少し驚いた表情を浮かべる

「そうなんですか……書道を」
「ああ」
「意外というよりは、何か書きたかったのですか?」
「いや、単に自分にもっとも馴染み深いのが音楽と書道だったんです
 それでも、俺は音楽となると、結構いい曲を聴いてるので行っても何となくダメなような気がして」

 蓉子さんはそれを聞いて、少し考えてるようだ

「……恭也さんはそうやって選んだのですね」
「それと、俺は音痴なので」
「そうなのですか?」
「ああ」
「では、今度、全員でカラオケに行きませんか?
 ちょっと遊ぶというのも受験生には必要ですし」
「誘ってもらっておいて断るのも悪いので、行きますよ」
「はい」

 俺と蓉子さんは会話を楽しんでると放送が流れる

『3年、高町恭也!! すぐさま職員室に来い!!』

 放送で流れる声
 そして、少し怒ってるだろう教員
 声でわかるってどうだろうと思う

「えっと、蓉子さん、行って来ますね」
「あ、私も行きます」
「分かりました」

 そして、職員室まで歩いていく
 職員室の前には1年の美由希、2年の神咲さん、忍も居る
 どうかしたのだろうか?
 俺は気づかない振りをして、ドアを叩いて中に入る
 俺はドアを開けて固まった
 蓉子さんも俺の隣から中を見て固まってる

「ごきげんよ〜、恭ちゃん」
「恭ちゃん、ごきげんよ〜」
「ごきげんよう、恭也さん」
「ごきげんよう、恭ちゃん」

 聖さん、江利子さん、祥子さん、志摩子の4人が居た
 というより、何故に此処に?

「あ〜! やっぱり蓉子が来てる」
「というよりも、私達に相談無しに行くんだもんね」
「お姉さまずるいです」
「そういう全員が同じ時に校門で会ってしまったんですけどね」

 聖さん、江利子さん、祥子さん、志摩子がそう言って蓉子さんをじ〜と見る
 何ていうか、何故に此処になどという言葉が浮かばない

「あの、皆、こんにちわ……」

 俺は挨拶をすると場所移動を提案する
 すると、全員が此処が職員室だと思い出したのか、そのまま音楽室へと移動する
 忍たちは何時の間にやら居なくなっていた
 まぁ、居なくても良いだろう……多分、家に連絡したりしてるだろうし

「学校が休みだからって全員同じ時に同じように動くなんてね」
「そうですね」

 祥子さんと志摩子がそういって微笑みを浮かべる
 楽しいのだろう

「こうやって多数で出かけるのは初めてだわ」
「そうね……志摩子も初めてじゃないかしら?」
「はい……卒業旅行とか以外ではないかもしれません」

 私服などでこういうのは初めてだという事だろう
 しかし、先生方は何をそれだけ焦っていたのだろうか?
 俺が何か悪いことをしたんだろうか?

「でも、此処の先生方酷いですね」
「本当だよ、私達がリリアンの学生って信じてくれないし、学校と連絡取ったんだよ
 蓉子は先に来て、先に恭也くんを独り占めしてたんだな〜」
「ち、違うわよ……その今回はたまたま」
「たまたまで私達より先に起きて、先に此処に来て、此処で恭ちゃんと会ってたと」
「うっ」

 蓉子さんが江利子さんに丸め込まれてる
 どちらかというと皆を纏める役目である彼女がだ
 珍しい光景を見てるような気がする

「でも、他校の生徒が此方に居ては迷惑にならないのですか?」
「俺だって、リリアンに入れてたくらいですから、大丈夫でしょう」
「……恭也さんは信頼置かれてる人ですから
 ティオレ・クリステラという大物が保証人になったと言ってましたし」
「はぁ?」

 俺は相手が誰かわかってるのに伺ってしまっていた
 というよりも、先ほど出た名前が……

「ティオレ・クリステラです」

 祥子さんがそういって俺を見る

「私の親が保証となろうとしたところ、知り合いというお方が恭也さんの保証となったのです
 恭也さんの行動の責任は私がとると……それが、ティオレ・クリステラさんでした」
「ひゃ〜、恭ちゃん知り合い?」

 聖さんが驚いたように此方を見ている
 正直に言ったほうがいいか

「ティオレさんとは、家族ぐるみで付き合いがあって、それで仲良くさせていただいてます」
「へ〜、じゃあ、サインとか持ってるんだ」
「一応、クリステラソングスクールの卒業生のなら全員分ありますよ」

 俺はそういってポケットに入ってるハンカチを見せ
 そこには寄書みたく書かれていて、『帰ってきてね』と書いてあり
 全員のサインがある……もちろん、ティオレさんのも

「わっ、凄い」
「これ、全員の手書きですか?」
「ええ」
「SEENAさんのもありますね」
「うわ〜、本物初めてみた」

 そういって見る5人ははじめて見るものに興奮してるようだ
 破れなければいいが

「この『帰ってきてね』って恭也さんの身を案じてですか?」
「ええ……そうです……だから、このハンカチがある限り
 俺は誰かの所にはかえって来れそうな気がするんですよ」
「そっかぁ、今は私達の近くだよね?」
「ええ」

 俺はそう答えると、嬉しそうに笑顔を浮かべてくれる
 その笑顔が俺にはまぶしいような温かなような複雑だが、不快でない気分にさせる
 やはり彼女たちの近くは気分がいい……
 それに気持ちもいい

「でも、凄い持ち物だよね……多分、オークションにかけたら、数十万とか価値でそう」
「それについては否定しないです
 前、親友に赤星って奴が居るんですが、そいつが、お前の周りの方たちは有名だから
 ひけらかさないほうがいいといわれてるんです
 俺も彼女たちの迷惑になりたくないので、ひけらかすようなことは控えてるんです」
「そっか〜、じゃあ、私達は信頼してくれてるってことなんだ」
「はい」

 聖さんがそういってハンカチを大事そうにたたむと俺に渡す

「恭ちゃんはたくさんの人に愛されてるんだね」
「そうですか?」
「うん」

 聖さんに言われて、俺は頬を掻く
 言われて、気づいたが、リスティさんや他の女性達を振ったんだよな
 そういう事になるんだろう……
 でも、俺は彼女達と幸せになりたい
 俺も、彼女たちも、幸せに……

「そういえば、此処の学園祭って面白いね……青年の主張するんだって」
「青年の主張? 何ですか、それ?」

 俺はそれを聞くと、江利子さんが楽しそうに説明してくれた
 何でも日ごろたまってる鬱憤を叫ぶそうだ……
 どこかのテレビ局でやってるのを生徒会が認証して、叫ぶ内容を最初に報告して
 OKが出たらOKという企画らしい
 ちなみに、いきなり参加もいいんだそうだ
 何やら恐い想像が……かあさんや真雪さんが叫んだら何を言うやら
 恐い恐い……

「私達も出てみたいけど、恥ずかしいからダメよ」
「わ、分かってるよ」

 聖さん、出ようとか考えてましたね……
 俺は苦笑いを浮かべると、外から人の気配がする
 俺はドアの近くに居て、彼女たちを守る形で居るようにする

「居た〜〜〜〜〜!! 高町くん、何でこんなところに居るの!?」
「いや、誰にも邪魔されずに話すならここが一番だろう
 で、何か用事か……?」
「もう、忍たちの相手するの疲れて」
「頑張れ……抑えられるのは親友である沙絵さんだけだ」
「う〜〜〜、そうやって笑顔で言ったら私が言う事きくと思ってるでしょう」
「……そんな訳無いだろう」
「間が開いたね……」
「沙絵さん、俺は沙絵さんに嘘を言ったつもりは無いぞ……それに、そんなに怒ってたり
 拗ねてたらファンの方に怒られるよ……俺もそういう顔は見たくないな〜」

 沙絵さんは笑顔に戻ると、部屋を出て行った

「単純……」
「って、恭也さん、それでいいの?」
「いや、あの人はああやってコミュニケーションをとる事が多くて」
「そうなんだ」
「恭ちゃんも周りの人で苦労するんだね〜」
「ほんとほんと」

 いや、あんたらが言うとそれは嘘っぽく聞こえるぞ

「あと2人ほど人身御供になってるだろうし」
「恭也さんは大丈夫なのですか? サボってて」
「一応、俺はリリアン女学園の学生たちの案内ということで居ますから」
「うわ〜、べんりな言葉だよね〜」
「そんなものです」

 そういって、確かに便利だよなと納得する
 納得してどうするなどと密かに思ってるのだが……

「此処って結構部活動が有名なんですよね……確か、剣道とか
 女子、男子とも強いってお聞きしてます」
「ええ、全国クラスだと剣道部の部長も言ってましたね」
「へ〜、凄いんだね」
「じゃあ、令と当たったこともあるのかしら?」
「どうだろう……」

 俺をじっと見る……

「すみません、俺はちょっと分からないですね」
「そうなんですか……恭也さんは部活動とかしてないのですよね?」
「俺は目立つのを拒みますからね……それに部活動をしていたら
 大変だというのが分かるから
 俺は剣術を使いますし、相手は剣道を使います
 そこは違う世界だと思います……紙一重の」
「そうですか……確かに、同じ剣を使うにしても色々とありますからね」
「ええ」

 そして、お互いに幾つか話す
 赤星のついてもはなしておいた
 そして、赤星と共に部長として強い藤代さんのことも……

「じゃあ、その赤星さんという方が男子の部長で剣術も使えたのですか?」

 祥子の言葉に俺は頷いて

「ええ、そして、俺の一番の親友ですよ」
「なるほど〜」

 聖さんも同じく頷くと

「恭ちゃんって自分のこと以外で友達のことや親友のこと、家族のことを話すときは
 優しい顔になるんだ……」
「そうですか?」

 俺は若干頬が熱くなりながらも聞いてみる
 江利子さんが気づいたみたいだが……

「うん、何ていうか、かっこいい……それに興味が更にわくわ」

 そういって江利子さんは俺の腕に抱きついてくる
 何ていうか、面白いようで綺麗で、楽しい人である
 江利子さんと居るといつでも楽しい
 聖さんも似てる気がするが、聖さんは一歩引いて見てるので意見があるときははっきりといってくれる
 そういう部分が好ましいと思えたりもする

「うふふ、照れてますね」

 そういって頬を突くのは蓉子さんだ
 こんな表情でそういわれて頬を突かれたら何も言えないではないか

「なんていうか、そうしてるとかわいい〜」

 聖さんは後ろから抱き付いてくる
 志摩子と祥子は見てるだけだ……一途なのにも関わらず年上の3人には何も言わないみたいだ
 何ていうか、そこがリリアンのちょっと古めかしい所なのかもしれない
 それでも、敬う気持ちというのを忘れないのには良いかもしれない

「そうそう、恭也さんの所は何するんですか?」
「ミスター女装コンテストというのをするらしい……最初に生徒の約半数、女性限定で
 それを組んだらしい……」
「うわっ、何ていうか、可愛そうな」
「ええ……まだ、仮装コンテストの方がマシだと進言したらしいのだが
 女子の方が人数多かったらしくて……
 俺はその頃、丁度東京の空の下でしたし」
「そっか……じゃあ、恭ちゃんは出るの?」
「いえ、完全に裏方です」

 俺はそういうと少しだけ視線をそらせる
 多分、残念そうな顔をしてると思うから……あまり見たくない
 見たら、出て欲しいとか言われそうだし

「恭ちゃんが出るなら絶対に行くのに」
「絶対に来ないで下さい」

 江利子さんの言葉に俺は真っ先に応える

「でも、似合いそう」
「志摩子……そういうのは男装が似合う女性の逆バージョンだぞ」
「でも、恭也さんの女装というのは興味があります」

 それはどういう意味だ……祥子さん

「そうだった……ずっと気になってたんだ
 危うく、恭ちゃんみてて忘れる所だった
 恭ちゃん、私達も名前だけで呼んで欲しいな……さん付けしなくていいから」
「え? で、ですが、悪くないですか? 同い年だし」

 と、祥子さんがにこりと笑う

「恭也さん、嘘はダメですよ……履歴書持ってきてたでしょ
 アレのところの年見ちゃいました」

 ということは俺が一年だぶってるのを知っているということか
 祥子さんはすまなそうに頭を下げる

「ごめんなさい……最初は見るつもり無かったんですけど
 名前と年齢が同時に入ってしまって……それで、相談しようかとも思ったのですけど
 お姉さまにすぐさまばれてしまいまして」
「いや、いいよ……俺も隠してたわけじゃないが、言い忘れていたんだし」

 祥子さんの言葉に俺はそういうと顔を上げた祥子さんの頭を撫でる

「きょ、恭也さん」

 照れて赤くなる祥子さん……綺麗から可愛いへの移行

「志摩子は呼び捨てなんだし、私達も呼び捨てで良いよ
 恭ちゃんだけ特別にね」

 聖さんはそういって笑顔を俺に向ける
 ひまわりのような笑顔だと思ったら失礼かもしれない
 でも、季節外れのひまわり笑顔
 優しいようで回りに光を与えるような……ティオレさんたちの歌に似てる

「というわけで、恭ちゃん」
「分かった……聖、江利子、祥子、蓉子でいいのかな?
 そうだ、祥子と蓉子には頼みがあるのだが……」

 俺の言葉に祥子と蓉子は不思議そうに俺を見る
 そして、声を上げずに何ですかと目で訴える

「その、俺のことを呼び捨てか愛称とかで呼んでくれないか?
 俺はそちらの要望を聞くわけだし、俺もさん付けされるのは好きじゃない」

 そういうと何となく理解したのか、祥子と蓉子は顔を見合わせる

「じゃあ、恭也で」
「恭兄様とかじゃあダメですか? 何ていうか、最初から家族みたいに思えて
 お姉さまとお兄さまみたいで」

 蓉子と祥子……というより、俺はそう見られてるのか?
 少し恥ずかしいような気がしてくる
 兄のような、家族のように思ってる……
 最高の褒め言葉だろう

「まぁ、良いですよ……でも、恭兄様ってどこから?」
「以前、お会いしたときに守ってくれた時に兄様ってこんな感じなのかなって」
「恭ちゃんなら兄様と位置付けるとしっくり来るね
 ちょうど蓉子がお姉ちゃんであるように、恭ちゃんはお兄ちゃんなんだ」
「見守ってくれてるというのが一番妥当な言葉なんでしょうけど、それ以上に優しさと厳しさを
 兼ね備えてますから……1人1人を良く見て、ちゃんと応えてくださいますし」

 志摩子、そんな大層なことはしてない
 ただ……彼女たちを確りと見て、俺が答えを出したいだけだ
 彼女たちの誰かを選ぶか……彼女たちを選ぶか
 まだ1人を選ぶかとも、全員を選ぶかとも分からない
 でも、好きだ……この空気も彼女たちも

「褒めすぎですよ……俺はそんな凄いことしてませんし……」
「でも、恭ちゃんと居ると安心するんだよね」
「ええ」

 それは俺にとっては褒め言葉だ
 安心できる空間をつくれてるのは俺にとっては嬉しいことこのうえないからな
 しかし、あれだな……他校の中なのに変わらず居れるというのは良いことなんだろう
 お互いに気を使いながらも、一緒に居るだけで満足している……
 俺は本当に彼女たちが居るだけで支えになっているのだと実感している
 そうだよな……

「それは嬉しいですね……でも、俺も蓉子や江利子、聖や志摩子、祥子といると安心して
 ほっとするんです……日向ぼっこしてるかのように、のんびりと出来るんですよ」

 俺の言葉に嬉しそうに微笑みを浮かべる5人
 俺はその笑顔だけで満足してしまう
 彼女たちの笑顔を守れるなら、俺は敵対するものを殺すだろう
 殺すというのがどういうことであれ、血で穢れようとも、彼女たちを巻き込みはしないと
 マリア様はそんな俺と彼女たちと出会わせたのだ……
 だからこそ、俺なんかより他の誰かが良いと言った場合には俺は、身を引く
 彼女たちとは住む世界が違う場所に居るから……

「恭也、そろそろお昼だけどどうしましょうか?」

 蓉子に言われて、俺は時計を見る
 確かにもうすぐで昼だ……ふむ、困ったな
 今日はもうすぐ文化祭と言う事で、一日全部を準備に当ててる……
 でも、明日からは普通の授業だ……わからない学校である
 最終の金曜日も文化祭の準備で一日消えることになっているが

「外に出るか」
「え、でも、恭ちゃん、学校は?」
「聖がそれを言うと、困ると思うけど……」
「う〜、私、そこまでサボってないよ」

 サボったことは認めてる発現だ
 俺はそれを見て

「大丈夫ですよ……一応学食などもありますけど
 目立つでしょうから……それだったら、知り合いの居るところの方が安心できるでしょうし」
「それはもちろん……でも、恭ちゃんのお母さんと会うことになるんだよね」
「忙しいから大丈夫でしょう
 でも、翠屋は確定なんですか?」
「祥子に美味しいお菓子を食べてもらおうと思って」
「志摩子にもね」

 そういってにっこりと笑う、聖と蓉子
 ああ、そう言う事か……

「じゃあ、行きますか……」
「はい」
「そうね」

 そう、それぞれが返事をすると、俺は音楽室を出て、一度職員室に顔を出した
 外出許可を貰うとかそういうのはなく、まだ慣れてない彼女たちのお昼を買いに行くと言ったのだ
 そういえば、むやみに断ることは出来ないだろうという踏んでのことだった

「此方になります」

 俺はそういって前に立って歩き出すが、彼女たちは横に並びたがる
 というわけで、電信柱2本分ずつくらいで交代してる……
 といっても、話すのは全員で話してるのだが、腕を組んで歩くということだ
 そして、商店街の入ったとき、全員の注目を浴びていた

「あれって」
「た、高町さんに彼女?」
「っていうか……きれ〜」
「お似合いって言葉しか浮かばないわ」

 色々な言葉が聞けるが、そのまま翠屋に入る

「あれって、母親に紹介なのかな? でも、5股?」
「さすが高町さんとこは凄いわね〜」

 などとささやかれたのだが、俺の知らぬ所でだった
 このとき、噂が流れたのだが、俺は知らなかった……

「あれ? 恭也……なんで、此処に着てるの?
 学校は?」
「ああ……俺は、彼女たちの案内だ」
「へっ……って、恭也の押しかけ妻たち」

 かあさん、それは違うぞ
 って、誰も否定しないし……
 俺は後ろを振り向くと真っ赤なまま固まっている
 何か小さく呟いてて、『妻、妻って』『恭也の奥さん』
 などと何か呟いてる……俺の方が赤くなりそうだ

「かあさん、そういうのは本当に結婚したら言うんだぞ
 今はまだ何もしてないんだから、違う」
「え〜でも、恭也は結婚する気でしょう」
「……一緒にいたいとは言ったが、そのあたりはまだ分からない」

 俺はそういうと周りから黄色い声が聞こえる
 客たちの中に混じっていたので、色々といわれそうだ……
 そして、俺はかあさんを無言で睨みつけて、そのまま開いた席に座った

「注文は……」
「俺は翠屋特性ミックスサンドとランチセット……飲み物はダージリンで頼む」
「言わせなさいよ」

 かあさんは何やらぶつぶつ言いながら、全員の注文を聞いていた
 て、何でかあさんが接客してるんだ?

「かあさん、何で接客してるんだ?」
「人手が足りないの……だから、私もしてるのよ
 松っちゃんもしてるわよ」

 そういうと指差すとマジで人手が無いのか
 俺は仕方ないな……

「俺が連れてきた人をおごりあつかいで俺が働くから……」
「ありがと〜」
「恭也くん、助かるわ〜〜〜」

 かあさんたちから感謝の声が聞こえる
 そして、俺がエプロンをかけると

「あの、私達も手伝いましょうか?
 祥子と志摩子は待っててくれていいから」
「いえ、でも」
「たまにはお姉さまが働いてる姿見て欲しいなぁって」
「お姉さまにそういわれては……断れないじゃないですか」
「志摩子もお願い……今回は私に任せてくれないかな……
 志摩子も手伝いたいだろうけど、今日は譲って欲しいな」
「分かりました」
「じゃあ、飲み物と軽い何か持ってきますから、待っていてください」
「「はい」」

 2人から返事を貰い、それぞれに簡単な指示を出す
 接客はかあさんや松尾さんを見てもらい、俺は紅茶を入れていく
 かあさんたちは昼の準備をすぐさま始めていき、何とか時間までに人を裁いていく
 俺も色々と気を回しながら、手伝うのだった
 蓉子、聖、江利子には感謝だ……志摩子と祥子がもの寂しそうにしてるが
 後で、いくらかお菓子なども持っていこう……










 つづく








 あとがき
 三薔薇働く
 シオン「って、働くの?」
 働くの
 ゆうひ「嫁修行ね」
 ……あ、そうなるなぁ
 シオン「忘れてたわね」
 忘れてたぞ
 ゆうひ「ま、いいけど」
 というわけで、自分はコレで……
 シオン「あ、逃げた」
 ゆうひ「追求が恐いからでしょう……八雲、いってらっしゃ〜い」
 八雲「スラりん行くぞ」
 スラりん「合点承知の輔でい!!」
 (その後、遊び人は炭と化したそうな……)



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