とらいあんぐるハート×マリア様はみているSS









設定……
恭也は三薔薇を知っています(以上)
恭也が高校3年生の秋頃だと思ってください
一応オールエンドで完治してます(何ていうか適当だよなぁ)
というわけでレッツラゴ〜(ちょっと頭が飛んでます)







『薔薇は優雅に咲き誇る14』










「こっちです」

 俺は祥子さんの手を引きながら、歩いていく
 彼女が歩くのにあわせて歩いてるのだが、誰かがついて着てても困るのでという処置だ
 そして、高町家まで少し遠回りをしながら帰った
 まぁ、一応尾行などは無かったようだ

「あの、あそこからまっすぐ来たほうが良かったんじゃあ」
「まぁ、家を調べられてたらそうなんですけど……
 ばれてない場合はちょっと巻いてからでないと辛いかと思って」
「そうなんですか……恭也は大変ですね」
「1つの方法なので……すみません、歩かせてしまって」
「家の中で休ませてもらいますから」
「はい」

 俺と祥子はそういって、家の中に入ると、中にはまだ誰も帰ってきてなかった
 そういえば、祥子って家の家族ではほかに誰とも会ってないんだよな
 皆驚くかもしれない……

「まだ誰も帰ってきてないので、コレでも飲んでちょっとだけ待っていてください
 俺も着替えてきます」
「はい」

 俺はシャツなどを脱いで、すぐに私服に着替えると祥子の居るところまで行く
 紅茶を飲む姿は優雅そのものだな……祐巳さんは心配してるかもしれない
 というよりも、しばらくは俺の家で保護という事になるのだろうか?
 いいのか、それで……

「恭也、お姉さま方は大丈夫と聞いてますけど、本当でしょうか?」
「大丈夫なんじゃないかな……監視しながら見守るという事で人員を割くから
 俺まで話が回ってきたんじゃないでしょうか?」
「そうですか……それなら良いのですけど」

 祥子は周囲を見ている……緊張してるのかもしれない

「綺麗で温もりある家ですね」
「そうですか? 家族が居ると騒がしいかと……」
「それでも、家族が一緒というのはいいことです……士郎さんについて
 生前のことを父から聞いてますけど、楽しい方だったようで
 大分話の種にされてます」
「父さんが聞いたら怒りそうだな」

 俺はそういって自分の分の紅茶をカップに注ぐ
 深入りという感じになってしまった紅茶は少しだけ苦い
 砂糖を入れようか悩んだが、やめておいた……
 甘いの苦手なのに砂糖を入れ間違えたら飲めないものが出来てしまうからだ
 失敗することは無いよう慎重にはするが

「ただいま〜〜〜」

 なのはか……とてとてと歩いてくると、リビングを覗き込む

「お帰り、なのは」
「ただいま〜〜……って、お兄ちゃんが、綺麗な女の人連れてきてる!!!!」

 大きな声ではっきりと言った
 何と言うか、なのはらしいというか何と言うか……
 かあさんに似てきたよな……特にこういう所

「あ、はじめまして、高町なのはです……お兄ちゃんの妹です」
「初めまして、小笠原祥子です……お兄さんと仲良くさせていただいてます」

 紅茶を置いてお辞儀をする祥子の姿に驚いてる

「お兄ちゃん、凄く礼儀正しい人だよ……お兄ちゃんより礼儀正しいよ」
「あのな、なのは……そういうのは人前でいわないのがいいんだぞ」
「で、で、でも……お姉ちゃんたちと全く違うよ」
「ああ、忍のようなお嬢様も居れば、祥子のような礼儀正しく、才色兼備な人も居るという事だ」
「勉強になるよ」

 なのは、それはどうかと思うが……
 お前も私立行ってるなら1人か2人くらいボンボンは居るんじゃないのか?
 まぁ、俺の憶測だから、如何とも言えないが……

「恭也、言いすぎです……私は才色兼備でも、礼儀正しい人でもないです」
「でも、俺が見てる限りでは礼儀正しいし、才色兼備だぞ」
「そ、それは……」
「なのは、人は努力したら、色々出来るんだろう」
「そうなの?」
「祥子、今までしていた習い事の数と段数は?」
「…………」

 祥子は指折り数え出した
 というより、多分1つの指が10個くらいの意味合いだろう

「確か、習っていたのは少ないですよ……バレー、日舞、華、琴、バイオリン、ピアノ
 お絵かき、絵、ダンスなどですかね」
「俺の知ってる限りでは、ほかに、英語、フランス語、ドイツ語、中国語などの会話
 ほかにも幾つかしていたようだ」
「うわ〜、そんな時間よくあるよね」
「ま、俺もそれについては凄いなぁと思っているんだが」
「そ、そんなことありませんよ……週に頑張れば」
「それ以外にも自分の家柄のこともあり、勉学もほぼ完璧を治めているし」
「……お兄ちゃん、そんな女性と何で一緒に居るの?」
「なのは」

 俺はなのはの目を見る
 俺の目を見て、なのはは分かる……何故此処に居るのか
 それは……

「ごめんね、なのはさん」
「ううん、でもお兄ちゃんの事よろしくお願いします」
「私の方がお願いされちゃってますけどね」
「……祥子さんってお兄ちゃんの事好きなの?
 家のお姉ちゃんたちも好きなんだけど、お兄ちゃんはどうなの?」

 なのはは気になるのか俺に聞いてくる
 そして、祥子さんはどう応えるのか楽しみなように俺を見る
 なのはめ、余計なことを……

「なのは、俺はこの人の学園に一度行ってたんだ
 それに、一月くらい前に俺と祥子の先輩と会っていて、そのとき仲良くなってたんだ
 祥子とも、その関係から仲良くなってたんだよ」
「そうなんだ……でも、お兄ちゃんが女の人を連れてくること事態珍しいね」
「ま、そういうものだ」
「あ〜、でもお姉ちゃんたちは大変だね
 ライバルが増えてるし」
「ライバル?」
「多分、恭也のことを好きだって事ですね」

 祥子はそういうとなのはを見る
 俺もなのはを見るとなのはは頷く

「うん、お兄ちゃん好きだって人、凄く多いから
 海鳴だけだけど、学校でもファンクラブあるらしいし」
「へ〜〜、恭也はもてるんですね」
「祥子ほどじゃない」
「あら、そうは言いますけど、パーティ会場で女性に声をかけられていませんでしたか?」
「あれは、俺が暇そうにしていたので、女性の方が哀れに思ったんでしょう」

 俺がそういうとため息をつく祥子
 なのはに至っては祥子の肩をポンと叩いて
 「こういうお兄ちゃんなのですが、よろしくお願いします」などと言っていった
 その後、部屋に荷物を置くということで、そのままリビングを出て行った
 そろそろ晶やレンも帰ってくるだろう
 祥子の方は大丈夫なんだろうか……融さんなら大丈夫だとは思うが

「大丈夫か? 人が多いの苦手と聞いてるのだが……」
「そうですね……あの、少しだけ2人で話がしたいのですけど」
「……」

 2人でか……家だと限られてる場所しかないな
 ただ、例えるなら……俺の部屋か道場しかないだろう
 ほかの部屋は難しいといえる
 客間の掃除もしないといけないし……
 多分レンと晶のことだからある程度清潔には保っているだろうが

「2人きりとなると、俺の部屋か道場しか無いのだが」
「恭也の部屋ではダメですか?」
「ああ……分かった」

 俺は立ち上がると彼女も立ち上がる
 バックなどの無駄な荷物がない分恐いところだが
 何かあってはどう対応していいのか考え込んでしまう

「こっちだ」

 俺が案内して部屋へと入る

「少し汚いところだが許してくれ」
「いえ、十分綺麗だと思いますけど」

 彼女は普通のロングスカートで座布団の上に座ってもらう
 少し不恰好だが、許してもらおう……
 それでも正座で確りと座っているのは、今まで鍛えたものという事だろう
 江利子はそういうのではなく、つつがなく何でもこなすが

「それで、どういう話なんだ? 祥子」
「恭也はなんで私達を守るという事を選んだのですか?
 もっと他にやりようが無かったのですか?」

 祥子はそういって目を伏せる
 黒い服に包まれて、彼女たちを守るという事は……
 ガードという事だ……ボディガード
 それが、どれだけ危険か知っているのだろう

「まず1つ目だが……俺は最初から大切な者を守るための剣、刃のつもりだ
 だから、もしも祥子が誰かに苦しめられるなら全力で助けるし、助けたい
 それは蓉子もそうだし、江利子も、聖も、志摩子もそうだ……約束とかじゃなく自分の意思なんだ」
「それでも、危険すぎます
 今日みたいなことがあるかもしれないのですよ」
「承知の上だ……それに、俺は負けない」
「恭也」
「次に二つ目だが……俺は早くから祥子たちの傍にいたい
 だから、大学に行っても学ぶ物が少ないなら、ボディガードをしていたいんだ」

 祥子自身も、そのガードというものがどういうものか分かっているのだろう
 自分達の敵だからとか妬みとかそういう汚い部分を良く知り、その中で一握りの人を
 自分に信頼を置いて、自分も信頼を置ける人を自ら選んでいる
 そんな彼女がだ……俺にガードを止めて欲しいという事なのだろう

「祥子は俺がガードしてるのは反対なのか?」
「違うんです……恭也は私達のためなら命を投げ出してでも、守ろうとするでしょう
 たとえ、自分が死んだとしても……」
「ああ」

 俺はそれをよどみなく応えれる
 彼女たちのためなら穢れた命の俺でも使えるなら使ってみせる
 マリア様の加護とか俺は信じてない
 ただ……彼女たちには見えないところで頑張るのだから

「それが嫌なのです……自分が守って死んだとしたら、残された者の気持ち
 恭也なら分かるでしょう」
「祥子」

 それは……今の俺にとっては辛いもの
 重荷となるかもしれない言葉

「私は、恭也に守られて、恭也が死ぬのを目の当たりにしたくありません」

 はっきりといわれた言葉

「お姉さまたちもそう思うでしょう」
「祥子、それは……」
「誰かが死ぬ悲しみは分かってるつもりです
 ですが、私達は誰も亡くなって欲しくありません」

 死んだ後はどうなるか知らないが……死んだ者が出た後の残された者の悲しみ
 それは、その人を愛してる人に寄る……もちろん、父さんのことで俺が学んだことだ
 フィアッセには辛い思い出……俺が何度涙を拭っただろうか
 俺の手だって血で濡れているのに……
 彼女たちにとっては、辛い過去でしかないかもしれないのに
 それを未然に防ぎたいのだろう

「お願いです……守りたいという気持ちが分からない訳じゃありません
 私だってもしも祐巳を傷つける者が居るなら……闘うでしょう」
「ですが……」
「でも、命を粗末にしないで……ガードなら戦わず
 私達を逃がすこと……、安全な場所まで避難して周囲を警戒してくれるだけで
 いいんです……安心させてください」

 祥子は俺の胸にすがり付いてきた
 それは、捨て子が離したくないという風に胸に顔を摺り寄せる
 祥子の長く黒い髪の毛がさらさらと揺れる
 その様子に俺はどう応えたらいいのか考える

「祥子のいう事は分かる」
「なら」
「でも、摘まないでいないと困ることもあるんだ
 だから……もしも闘う時が来たら、一言で良いからくれないか?
 生きて帰ってきての一言を」
「じゃあ、約束してください……もしも、恭也が闘うことになったら
 絶対に生きて帰ってきてください
 逃げてでも……」
「分かった……約束しよう」

 祥子は小指を出すと

「子供っぽいですけど、人としたことないので……約束ですよ」
「ああ」

 そして、小さな声で2人で言い出す
 なのはも小さな頃はコレが結構楽しかったらしい
 まぁ、約束したことを守りますからということなのだが

「「指きりせんばん嘘ついたら」」
「恭也は私のお婿さんになる、指切った」「ハリセンボンの〜ます……え?」

 してやられたようだ……ニコリと微笑みを浮かべる祥子

「コレがしたかったのか?」
「いいえ……今のはほんの冗談みたいなものですから」
「いや、目がマジだったぞ」
「でも、本当に守ってくださいね」
「俺が祥子を選んだら、どんなことしてもお婿さんになると思うのだが」
「私が恭也の所に嫁入りしたらいいんじゃないのですか?」
「……かあさんに何を言われるか
 それに、融さんや清子さんは俺が小笠原に入れるように手はずをしてるはずだ
 ボディガードではあるけど、そういうパーティの際には着てくれって事なんだ」

 俺がそういって簡単に説明すると
 祥子は思い出したように、目を見開く

「も、もしかして、お父様が小笠原に名を連ねるのに、1つ違う所を入れると言っていたのは
 恭也のところなのですか?」
「いや、俺だけだと思う……だから、俺だけのことで此処まで大事になってるんだ
 まぁ、小笠原は格式などもあるから、それを考えたら分からない訳じゃない」
「そうですね……でも、お父様とお爺様の女性癖を何とかできないかしら」
「無理じゃないのか?」

 小笠原家の面々は何故か個性派揃いだ
 しかも、融さんとお爺様はどうも第二号さんが居るらしい
 祥子はそこが嫌いならしい……他は立派な人だと尊敬してるそうなんだが
 過去、優氏にも恋慕らしきものがあったらしいが
 聞いたところによると、男好きなんだそうで、それで祥子にとっては苦い記憶となっている
 まぁ、それがもっともな理由なんだろうが……

「……そうですね」

 祥子もそれについては諦めてるのか、それとも仕事の大変さを知ってるのか
 だから、そこの部分が嫌いでも言わないようにしている……祥子なりの優しさだ
 俺なら言って貰うほうが良いような気がするが……

「祥子自身がどう思うかを言うのも良いだろうが、それくらいの余裕がないと大企業の
 トップは難しいのかもしれないな」
「恭也はどう思うのですか? 1人を愛すると言っても、限界があって
 だから、愛人が欲しいとか思いますか?」
「……」

 祥子の言葉に俺は考えてしまっていた
 もしも、1人だけなら……たとえば、祥子を好きだと仮定して考えてみよう
 まだ誰を好きだとか出てないが
 誰か好きな人が居て、他の女性を目の前にして、俺は……

「俺は要らないかな……多分妻一筋とかになるだろうから」
「……じゃあ、もしも私が彼女になったら、その、浮気の心配は無いという事ですか?」
「俺が祥子以外に彼女が欲しいと思ったらするかもしれないが
 でも、俺はやっぱり一筋で居たいし、自分のことを好きだといってくれた人の思いを
 無駄にしたくもないから……だから、浮気はしたくないな」
「それだったらいいです」

 何故か話が大分変わっているが良いのだろうか?
 不安なのかもしれないが……単なる脅しみたいなものの可能性もあるのだし
 難しい面ではあるな……うん

「ところで話が大分変わっていたが良いのか?」
「ええ、恭也と話せることが一番いいんですよ」
「??」
「私は恭也と話すの好きですから……それに、一緒に居てほっとしますし」
「そうか……それだったらいいのだが」

 そして、俺はお茶などを出していると携帯がなる
 祥子の方みたいだ……

「もしもし」
『祥子……そこに恭也くんは居るよね』
「はい」
『仕事は終了……下手な脅しをしてきた馬鹿が居たようだ
 まぁ、気にしないで大丈夫って事で……そうそう、恭也くんにもその旨を伝えておいてくれ
 それと、迎えがまだ掛かりそうなんだ』
「何かあったのですか?」
『いや……大丈夫だよ……
 だから、明日の朝までには迎えに行くから
 一応泊まるかもしれないという覚悟だけはしててくれ』
「分かりました」
『恭也くんに代わってくれないかな?』
「はい…………恭也、父が代わってくれと」
「分かりました」

 祥子から携帯を受け取ると融さんから話が出る

『恭也くん、ごめんね……お金はそっちに振り込んでおくから
 一応、契約書の方に書かれてるものでいいよね?』
「はい……でも、俺は、そのお金のためにって訳じゃないのですけど」
『いいんだよ……それに、僕らがお礼のためにだ
 祥子は僕にとっての宝だよ……ま、恭也くんも宝だけどね』
「どういう意味で?」
『秘密……さて、あまり長話は控えておこう
 一応、車が直すまでに時間が掛かるから……それだけ覚えておいて』
「分かりました」
『それと、祥子の純潔奪うのは良いけど、レイプはダメだからね』
「融さん!!」

 俺が声を大にしたので、驚いたように祥子が見る
 声が聞こえてないのが救いだ……しかし、もし聞かれたらどうなっていたのやら
 恐い恐い……多分、祥子は臍を曲げてるだろう

「どうかされたのですか?」
「いえ」

 祥子がこちらに声をかけてくる
 電話は先ほどの声で切れていた……お茶目な人だ
 まぁ、それは良いけど……なんで襲うとか考えるのだか
 家に連れてきてるのだし、無理に決まっているのに……

「そうだ……忘れてた」

 うちに連れてきてるのだから、ご飯の量を1人分増やさないと

「どうかされたのですか?」

 先ほどと同じ質問をされて、俺はそれに応えてから
 部屋を出て、待っててくれと頼む
 そして、台所で料理の準備をしてる晶に声をかけて
 1人分増やしてくれと頼んでおく
 紅茶の準備をして、再度カップなどを持ち持っていく
 晶が仕切りに珍しがっていたが……

「お待たせしました」
「いえ……あ、紅茶も」
「ええ……コレを入れていて遅くなってしまったんですよ」
「そうですか」
「丁度いい感じで入ったようなので、どうぞ」
「ありがとうございます」

 紅茶の葉は喫茶店である翠屋で使っているものだ
 といっても、あまったものを使ったりもしてるので美味しくなかったらどうしよう……

「あ、美味しい……恭也の入れる紅茶が好きですね」
「そうですか……ありがとうございます
 母が入れるのも美味しいですよ」
「そうなんですか? 今度楽しみにしておきますね」
「ああ」

 そして、お互いに紅茶の話しに盛り上がる
 入れ方から楽しみ方まであるので、おたがいによく飲むからというチョイスで話す
 まぁ、それが俺と彼女の中で楽しいからというのだが
 なのはあたりにしたら、盆栽や剣の話が出ないのは不思議かもしれないが
 彼女たちは俺の話について着てもくれるし、確りと応えてもくれるから
 お互いに不快な所が少ないのだ






「恭也、悪いけど、祥子ちゃんの部屋準備できないから
 あんたのところで寝かせてやってくれない?」
「かあさん、美由希や晶、レン、なのはの部屋があると思うのだが」
「う〜ん、でも、祥子ちゃんはあんたの部屋で寝てるのが一番落ち着くと思うのよ」
「だが……」

 夕飯を終えて、しばらく話してるとかあさんがそう声を出して俺に言い出した
 そして、そのために部屋をどうするかという事で俺の部屋しかないだろうという事になったのだ

「そこだと、一番大丈夫でしょう……何かあっても対応も取りやすいし」
「まぁ、そうだが……」
「それに、祥子ちゃん」
「はい?」
「恭也が傍に居るのは嫌?」
「いえ、全く」
「でしょう……というわけで、恭也、お願いね」

 祥子をチラリと見ると、先ほど言ったことで恥ずかしかったのか憮然とした顔だ
 ただ、少しだけ頬を赤くしているが……あまり変わった部分は見られない
 まぁ、それについては如何とも取れないだろう……

「では、よろしくお願いします」

 三つ指ついて頼まれそうな勢いに俺は押されながらも頷くしかなく
 それで祥子を俺の部屋で寝てもらうことになった
 何度か謝っておいた

「すみません」
「いいのですよ」

 祥子は少しだけ嬉しそうにそういうと、そのまま俺の布団に包まる
 何ていうか、可愛い一面だな……
 お風呂も上がり、まだ向かえが来ないという事で少し時間がかかりそうだ
 パジャマはかあさんのを使った……美由希のでも十分なのだが
 大人しめのを選びたかったのだろう
 何故か俺のYシャツを気にしていたが
 どうなんだろうか?

「おやすみなさい」
「おやすみ」

 祥子はそういって寝始めた
 寝息が聞こえる……俺はそのまま、目を閉じる
 周りの気配に耳を傾け、そして、自らの精神を集中していく
 動くもの全てに気を配り、そして、風なども考えていく
 祥子の寝顔は可愛かった……誰をもっとも好きか考えないといけない
 誰に一番惹かれ、誰の近くに居たいか……








 翌朝になって、祥子を起す
 といっても、朝の6時なので普通の人には辛い時間かもしれないが
 そろそろ車も来るとの連絡を受けたのだが

「祥子、起きて」
「やだ〜」

 寝たまま起きない……しかも、駄々こね放題

「祥子」

 寝起きが悪いというわけじゃないと思うが
 流石に寝坊癖ではなく、起きるのが辛いとは……分からなかった
 困ったな……

「恭也、意地悪」

 少し拗ねたように、少しだけ開けた瞼と瞳
 そして俺をじっと見つめる
 と、俺の胸にしなだれかかる

「ちょ、祥子」

 朝の柔らかな暖かさに俺はあたふたとしてしまう
 と、祥子は俺の胸の中で寝ている
 携帯が……鳴る

「はい、もしもし」
『あの、迎えに上がりましたけど……慌ててませんか?』
「あ、う、え、う、ああ……ちょっと」
『どうしましょうか?』
「祥子は朝が弱いのか?」
『……私は存じませんし聞いてませんからなんとも』
「そうか……とりあえず、そちらに運ぶので、その先に家まで帰らないと」
『はい』
「では、行きますね」

 そして、俺は祥子を抱っこする
 体にはタオルケットを巻いて、寒いかもしれないので、祥子の服はおなかの上に乗せる
 祥子は俺の服をきゅっと握っている
 何か感じるものがあったのだろう……
 玄関などを気合で開けて、外に出て、そのまま車に運んだ

「お疲れ様です」
「そう思うなら、助けてくれても」
「車の後部を空けておきましたけど」

 俺の言葉に運転手はそういって言葉を選んでいく
 何ていうか悔しいような何と言うか

「でも、祥子様は離されませんね」
「そうですね」

 俺の服を見つつ運転手は言う

「と、とりあえず、服脱いで行きますので、お願いしてもいいですか?」
「分かりました……お嬢様が起きたら、ちゃんとお礼を言うように言って置くので」
「お礼はいいですけど、後で返していただけたら」
「はい」

 そして、俺は服を脱いで彼女にかぶせる
 タオルケットを外すとパジャマだけで後は昨日着ていた服となるのだ
 だからこそ、こうしたのだが……いいのかどうか分からないな

「では、ありがとうございます」
「いえ」
「それと、融様からですが『ありがとう』と」
「そうですか……承っておきます」
「はい」

 そして、車が出て、俺は上半身裸に気づいて、すぐに部屋に戻り服を着る
 寒いから気づいたのと、服を着てないと刀の傷跡が目立つからな……
 忘れていた……人が通らなくて良かった
 そして、俺はいつものように朝を向かえ、皆には朝早くに祥子の向かえが来たといっておいた
 それについては何も言われず、また連れてきてねなどの声を頂くのだった







 そして、この日はそのまま授業があり、文化祭の準備は明日以降に持ち越しだ
 今日が終われば、明日から午後は全て文化祭準備に当てられる
 それこそ、大変なのだが……
 赤星から刀を使う模擬試合をしたいから一緒に参加しないかという誘いを受けたが
 断ろうかと思ったら、声をかけられて、赤星は違う所へと行ってしまっていた
 どうしたらよいものやら……











 つづく










 あとがき
 さて、次回は水曜の話かな?
 シオン「どうだろう」
 ま、この話長いからね
 ゆうひ「だね」
 1つで大体テキスト20kだし
 シオン「普段10k前後だから多いね」
 それをすでに12かな?
 ゆうひ「鬼の数字だね」
 ああ〜誰か自分を助けてください
 シオン「妥当な話だね」
 うう〜マジで泣けて来た……
 ゆうひ「でわでわ、またね〜」
 ほなね〜(^^)ノシ



頂きものの部屋へ戻る

SSのトップへ