『お月様は回る』





 誰かが言っていた言葉『人は時間を旅する』と……誰が言ったかは知らない
 ただ、偉い人とかじゃなく、本当に気ままな人だった気がする
 お月様を眺めながら、俺はふとそんな事を思い出していた……
 もう、すべきことはしたつもりだ
 俺がもう出来ることは無い……多分
 多分とつけると言い訳がましいが、それでも、他の誰かが出来る事があると言えば
 出来る事があると思ってしまうのも、自分の中にあるからだ
 今の所、全てしたって事で納得してるだけだ

「それで」

 でも、俺の役目はこれで良いのだ
 時間さえ稼げれば……もう、終わり

「俺の役目はこれで、終わり……お前が此処に居る間に仲間がやってくれてるはずだ
 20人に精鋭がな」

 そう、俺の時間ももうすぐ終る
 相手が目の前にいるのだから……したかった事なんて無かった
 あの時、助けられた……それだけ
 そして、生かされ、生きる術を習った
 行く当てがなくて、さまよい、そして、人を殺す家業についた
 家業という言い方も可笑しい……実際には仕事だ
 感情なんて無いに等しい……キリングドール

「報告は受けている……そいつらは、全て倒したとな
 後は、お前だけだ」
「俺は、単なる一抹の人間だからな……捕まえて叩いても何も出ないさ」

 相手の力量は把握してるつもりだ
 それでも、私より数段上だろう……いや、もしも彼の体力が膝が平気だったなら
 間違いなく最強にして、最狂だ
 ふふっ

「何が可笑しい」
「いや……まさか、こんなことを思い浮かべるなんて、まだまだ余裕があると思っただけだ」
「何を?」
「秘密だ……1つ言うなら、もしも俺の事を倒せたら教えてやろう」
「ほとんど倒れて、まだ言うか!?」

 骨接ぎは慣れてる……抜けた骨を全て繋ぐ

「な……にっ?」

 相手の技を見抜き、ギリギリで間接部位へと意向
 その後、無理やり自分の間接を抜き、ダメージを最小限に抑えたのだ
 それでも、左足の関節は微妙にずれが生じてるのだから、相手の強さをうかがえる

「知らないのか? 骨接ぎ……そして、俺の名前を?」
「まさか!? 骨合気柔術か!?」
「知ってるなら嬉しいな」
「ダメージを負っても治すという有名どころだな」

 相手が殺すという意味合いでこない限り、俺は負けない
 幾度でもよみがえろう

「くっ」
「さ、殺すならさくっと殺してくれ……遠慮はいらない
 その小太刀で刺し殺せば良い」
「簡単に言ってくれる」
「それに、龍とは関係無いからな」

 ……相手の視線がゆらゆらと揺れる
 仲間が現れたか……ちっ

「それじゃあ、バイバイ」
「なっ」

 煙玉と閃光爆弾を同時に破裂
 間近くでの爆破だが、後ろに飛ぶくらいは出来る
 そして、飛んだ後に目の前に居た男を殴って昏倒させる
 と、左腕に引っ掛かりを覚えて見る
 なるほど、相手の方が上だったか

「動くな」
「今度は殺してくれるのか?」

 邪魔になった物を外す
 片腕で、帽子を取り、グラス、服について防具から武具まで
 流石に、これだけあったら、相手も攻撃の手も鈍るだろう
 攻撃した瞬間にドカンって仕掛けも作れるわけだし

「誰が殺すか」
「ふん、どうせ、犯されるくらいなら死んだ方がマシだ」
「はっ?」

 そういって、相手は俺を見る
 そして、少しだけ目を見開く、チャンスだ

「女だったのか?」
「なんだ、気づいてなかったのか……」
「っていうか、犯されるって、何故に?」
「何でも、人を吐かせる時に女性だった場合、するそうじゃないか」
「しないと思うが……しかし」

 何か考え込んでるようだ
 ただ、俺も諦めてない
 鋼糸だろう物を、小刀で切る

「悪いけど、逃げさせてもらうわ……あんたが、双剣使いだと分かってれば
 もう少し派手なの準備してたんだけどな……でわ、また」
「逃がすか!?」
「残念……あんたが逃げる一瞬を作れば良いだけだから」

 そんな張ったりと思っては困る
 それがあるからこそ、今まで裏で生きてきたのだから
 それに、俺の名前がキリングドールと名乗ってるのは、そのためだ

「キリングドールは、HGSなんだよ」

 羽を出し、テレポート

「しまっ!!!」
「次回にな、あんたは強いよ……最強だと思う
 でも、今回は資料不足〜、またね」






 出たところは、ビルの屋上

「これで、良いんだろう」
「ああ」

 相手がいるのは分かってる
 そして、俺の役目も終わり
 これ以上、裏にいてても何も出来ない
 表にあこがれるし、最初くらいは好きな人に抱かれてみたいとも思ったり
 小娘だがな

「まさか、キリングドールが人並みの感情を抱くとはな」
「ほっといてくれ……もう、これであんたらとの縁も切れたはずだ」
「だったな……悪かった」
「いんや……今回は楽しませてもらったし
 何より、裏であんなに楽しい奴と会ったのははじめてだ
 羽まで出したしな」
「それだ……相手はそこまで強いのか?」
「さぁ……ただ、肉弾戦、銃撃戦ではまず勝てない」
「なっ!!」
「じゃあ、あんたらともオサラバだ」
「ああ」

 相手は拳銃を構える
 でも、俺は羽を出したままだという事を忘れてる

「危ない奴は殺せってか」
「ああ」
「悪くない案だけど……1つ良いことを教えてやる」
「なんだ?」
「俺の羽はな、植物に似ている」
「だから、なんだ」
「何で、先ほどまで派手に光を使ってたと思う?」
「まっ」
「バイバイ、あんたはいい奴だった
 でも、俺を殺すなんて不可能なんだよ」

 俺の遺伝子はある人の遺伝子だから
 その人は知らない間に採取されたものを使って作り出された
 作った人は、お腹を痛めながら逃げた
 でも、結局捕まり、元の木阿弥

「ふぅ〜」

 空を仰ぐ……月が出ている
 多分、今ごろ護った奴らはほっとしてるだろう
 俺は嘘を幾つかついていた……精鋭なんて居ない
 20名も居たら、それこそ香港警防隊を襲って潰してる
 しばらくは身を隠しながらの生活は事実だが、隠ぺい工作をさせてもらおう
 声色を変えて、死んだ奴の携帯を取り出し
 生死ギリギリの声で相手へと伝えた

『仕事は失敗、キリングドールの排除には成功』

 と






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ああ〜。
まずは最初にごめんなさい!
美姫 「ごめんで済むか!」
ぶべらっ!
美姫 「かなり前に投稿してもらっておいて、今まで何してたのよ」
うぅぅ、本当に申し訳ございません…。
アップし忘れてました。
美姫 「このバカはきっちりと息の根を止めますんで」
うぅぅ。急いでアップします。
美姫 「感想は、まとめて最後に入れさせていただきますね」
本当に、本当にごめんなさいぃぃ。



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