『シグナムにゴスロリ服着せよう(邪笑』






 事の発端は些細な賭け事から始まった。それは恭也とシグナムの間で決まったことだった。
真剣勝負という形を取らないがための方法。
 恭也とシグナムの第二戦目は同じ場所から始まった。赤星勇吾と師範の二人が居る中での試合。
木刀という撲殺可能な武器でお互いやりあう。
 ただ、その場にはと金髪ツインテールの少女とめがねを外し髪の毛をお下げにした女性も座っていた。
見学という名目。それぞれの対戦相手が連れてきたのだ。
 見とり稽古というのが主な目的だが、何か感じるものがあればというのがある。
シグナムも恭也も深くは考えてない。ただ、上には上が居るということ
 それだけを思考の端っこにでも入れておかねばならないという事だ。
 勇吾は簡単に挨拶されて、簡単に事情を説明した。
 二人とも分からぬとも感じるものがあるのか、静かだ。そして、二人の様子を見逃さぬように見ている。

「始める前に、前と負けた者の結果は同じで良いか? 勝者の言葉のままで」
「はい」「ええ」

 二人とも返事は違うものの、頷く。さて、その二人の女性はフェイトと美由希なのだが、
 そのあたりは聞かされてない。前の時は居なかったから知るわけもない
 勇吾へと振り向くと、どういうことかを簡単に説明する。何があったかは省いてだが。
 そのあたりは言わないほうが良いというのが分かってるからだ。

「その前に、前に言おうとしていたのですけど」
「なんだ?」

 恭也の質問にシグナムは少し不思議そうな顔をして答える。恭也自身も何となくという考えが浮かぶものだった。

「この前、手加減してませんでしたか?」
「……何のことだ?」

 恭也の質問に、意味が分からないとシグナムは答える。だが、勇吾は今ひとつ意味が分からない。
恭也がそういうことを言うのは珍しいというのもある。
 普段から全力などという事はしない恭也が、そうもらしたのは凄く不思議な感じがするのだ。勇吾にとってもだ。

「負けてもそれを言い訳にされても嫌なんですよ」

 恭也の言葉にシグナムは眉間にしわを寄せる。恭也の言ってる意味は分かる。
 自分が魔法を使えれば、前のとき、あそこまで無様に倒れなかった。
 シグナムはそう考えて、恭也を見つめる。相手の力の底が読めない。それは騎士にとって厳しい点。
 前戦ったとき、自分は負けたのだ

「分かった。だが、私は少々卑怯な存在だぞ」
「なら、こちらも加減は無用だろう」

 恭也は腰に巻いてある物を外す。軽量化。そこには自分の大切な得物が刺さっていた。
 それだけで数キロだが違う。素早さ第一の御神流ではそれだけで違う
 木刀を腰に差して、シグナムと立ち会う。シグナムは魔力を身に纏い、素早さなどを上げる魔法をくみ上げる。

「では、やりあってもらおうかの」
「そうですね。高町、シグナムさん、はじめ」

 勇吾が挨拶をとり、慌てて後ろへと飛ぶ。その行為は正しかった。
 シグナムがその場へと移動してきたのだ。避けなければシグナムに押し倒されてただろう。
 だが恭也は構えてすら居ない。小太刀を双方とも腰に差したままだ。シグナムの速度は前より更に速い。
 恭也は驚きもしなかった。
 勇吾と美由希と師範は驚いていた。フェイトは見たことあるので、相手の心配をする。
 あの踏み込み速度で相手が反応するほうがおかしいのだ。

「はぁぁぁぁ!!」

 裂帛の気合とともに横合いからの一閃。それは避ける暇さえも与えぬ一撃。シグナムの方が間合いは広い。
 そのためにもっともな一撃だ
 だが、恭也は目を細め相手の攻撃をきっちりと分かっていた。だからこそ、避けることは容易い。
 御神流の貫という技法は、見切りの技法でもある。
 シグナムは空を斬ったと思った瞬間にはすぐに前へと走りこみ後ろへと振り返る。恭也は抜かずに立っていた。

「「「「!!?」」」」

 四人の目には何が起きたか分からなかった。だが、恭也がシグナムの横を通り過ぎただけにしか見えなかったこそ、
 驚きと不思議さが出てくるのだ。

「くっ!」

 シグナムが小さく漏らした苦悶の声。それがどういうことか、フェイトには分からなかった。
 シグナムはそのあと、連撃へと繋げ、縦、横と攻撃を繰り出す。
 恭也はそれを見切り、しっかりと避ける。速度が速いせいで、師範は少し離れる。そして、また見始める。
 少し楽しげに口元を緩め。

「ほぅ」

 師範は気づいていた。あれは、昔、恭也が編み出した方法であるということも、
 そして、一重に才能と努力の賜物であるということが。
 それは誰にも気づかれない声。勇吾も、フェイトも、美由希も見えては居るが、
 あれを真似ろといわれて真似できないと漏らすほどのもの。

「前、戦ったときに剣筋はある程度見極めてるからな」

 恭也はそう漏らし、右と左から小太刀を引き抜いた。それは一瞬のひらめき。一時の暴風。
 シグナムはとっさに剣を盾にするために前に置いた。だが、手に響き渡る痛み。
 徹の通った攻撃をまともに受けるのは宜しくなかった。
 木刀が吹き飛びカランと音がなる。そして、恭也は武器をシグナムの首と胴におく。シグナムは弾かれた手を見る

「参りました」

 シグナムは内心悔しいと思いつつ、読み負けたことを把握した。同じ剣筋。
 そういわれたとき、何となく分かった。例えば、目の前の相手を防御ごと斬るならたくさんある。
 だが、そういう相手ではないのだ。高町恭也という男は、それが無いのだ。
 防御なぞないに等しい。全て避けるという戦い方なのだ。

「美由希、見えてたな?」
「はい。ですが、あれをやれといわれればまだ無理です」
「それで良い。今日は見取り稽古だと言っただろ?」
「はい」

 フェイトはそれを聞いて、驚いていた。あれが見えているという動体視力。
 そして、勇吾もさすがだなぁと納得していた。一つに恭也の弟子が美由希であるということからだが
 師範は近づいてきて、木刀をシグナムに差し出す。

「悔しがることは無い。今回の戦い有利不利で言えば、お主のほうが不利なのだ。
 恭也は小さな頃からやっているからな。お主の攻撃が少し単調であったり、
 剣の筋道が一緒だということを理解しての攻撃だったのだから」
「ですが、正直に悔しいですね。剣を捧げてる人が居ますが、その者に言えない結果です」
「だが、楽しかっただろう?」
「はい。剣のみではじめて全力の相手と思います」

 シグナムに全力を出させる相手。そのことにフェイトは少しだけむっと思った。
 自分でも、シグナムの全力にはまだ勝てないからだろう。
 魔法を使っての戦い。その時、自分は無理に動いて勝つために素早さをあげた。
 だが、あんなギリギリの避け方できない。
 あれは人の技かと理解するのに時間がかかった。だが、見えていたのは真実だ。

「あの、一つ良いですか? どうやって避けてたんですか?」

 フェイトは恭也を見る。恭也は少し考えて答える。

「……見切りというものだ。相手の動くときの起点を見つけて、それを考えて動く。それだけだ」
「言うほど簡単な技術じゃない。それをするのに、恭也はどれほどの鍛錬をつんだか分からないくらいだ。
 多分、出来るようになるのには並大抵じゃない努力と修練が要る」

 シグナムはフェイトの言葉にそう答える。まだ踏み込めても居ない領域。
 フェイトにとっては良い刺激になればと思ってつれてきた。
 予想以上の効果はえれそうだが、実際、立っている男は恐ろしいまでの勝負勘を持っているし、強いのだ。
 一度くらいフェイトとの戦いを見てみたいとも考えてる。

「では、シグナムは明日か明後日に、桃子さんの相手だな」
「そうだな。頑張れ。かあさんが最近、翠屋の店員を探してたし、お昼とおやつ時と放課後あたり頼むぞ」
「恭ちゃん、それはそれでどうかと思うけど」
「良いじゃないか。今度美由希の相手お願いします」
「そうだな。私もしてみたい。恭也の弟子がどれほどか」
「その場合も賭けするかの」
「ええっ!?」
「構わないが」

 シグナムは簡単に受け入れた。美由希もしぶしぶだが頷く。負けなければいいのだという事だ
 負けてもシグナムはそこまで変なことを頼むとは思えないので頷いた。同じ女性同士というのもプラスされたことだ

「俺も参戦させてもらおうかな。スシの出前でもするから」
「構わないのでは無いか?」

 シグナム、美由希も頷く。フェイトは少し考え込んでいる
 恭也も頷いておく。お寿司に引かれたなどということは、絶対に出さないが
 剣術の方で勇吾は恭也に及ばない。それでも、強い者と戦い成長しようとするのは悪くないという事も踏まえて

「私も混ざっていいですか? 私もシグナムと同じように、ちょっと違うので」
「ふむ」

 師範を見る恭也。師範は恭也を見ている。お互いに決めてくれという風な感じなのだが、誰も気づいて居ない。
 見詰め合う二人に周囲は恭也と師範を見る。師範と恭也は目で少し会話。どうするかって事だ

「構わないのではないか? 恭也、お主は手加減しろよ」
「俺ですか」
「ああ、おぬしだ」
「それと、その子の相手は恭也がしてやること」

 フェイトの相手は恭也にのみと断定したのだ。ハンデとかじゃない。
 純粋に師範はそれが良いだろうという考えからだ。木刀といえど、撲殺できるものだ

「よろしくお願いします」
「分かりました」
「高町良いのかよ?」
「新たな弟子とでも思えば問題ない。御神流は教えないがな」

 恭也はそういって、荷物を片付ける。シグナムも片付けていった。勇吾と美由希とフェイトも手伝う。
 掃除などもするのが礼儀だからだ。
 師範はそれを見て、にぎやかだなとも思いつつも喜べることだった。強い者たちの切磋琢磨しあう姿は、
 今では中々見れる事が無い。色々と世間的な制約がある。変わった面々だが悪人でもない
 だからこそ、師範にとって喜ばしいことだ。未来ある剣士たちが揃ってるのだから
 そして、それぞれが帰っていった。師範も道場をしめ、その日の晩は、本日あった試合を思い返し酒を飲む。
 まぶたによみがえる光景を、過去の自分に重ねて






えっと、次の更新時に罰ゲームを実行。今回戦いだけです。もしかしたら、
文字数制限に引っかかるとかそのあたりを懸念してです
なのはは参戦できないかもしれないといまさらながら考えてしまった。
いえ、最後まで妄想を膨らませて気づいたってだけですけど。駄目じゃん
その代わりフェイトをつれてきちゃいました。ザンバーフォームで恭也をぶった切れ〜って思った自分は、
結構極悪かもしれません。
というわけで、これで失礼します。今回シグナムが使用した魔法は肉体強化系です。
移動系は使用してません。というより、使ったら壁とか天井に穴開くだろうし
でわ、これでノシ



加筆修正完了。加筆も少し、修正も少しですね。う〜ん、次の話どうしようかな
一応、すでに頭では出来てるので、書いていくだけなんだけど(汗
でわ、これで〜ノシ








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