とらいあんぐるハート×リリカルなのは


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A's終了後のリインフォースの行方についてのある解釈
自分はこういう終わりも好きです








『リインフォース・アイン』










 私は幸せな魔道書です……大切な主が居てそして、このまま消える
 光となって、私はそのまま……




「すみません」

 ……私に声なんて聞こえるはずが無いんだ

「あの、失礼します」

 私を引っ張って横に移動させられた
 え? 引っ張って……
 目を開いて周囲を見渡すと、そこは墓地のような場所
 そして、私を移動させただろう人は、私の近くで死者を悼んでる

「失礼しました」

 頭を下げてしまってから気づいた。此処は何処だ? それに私は消えたはずではないのか?
 それに目の前の青年は?

「いえ。ところで、何時こちらにいらしたんですか?」
「はい?」
「急に現れたように思えたので」
「えと、それは」

 魔道書の力を全てあちらに持って行ってるので、私は一人考える
 ということは今の私は一般の人のそれより力が無く、たんなる暴走機械?
 その割に魔道書の暴走原因となるものもないし、その要因も全く見られない
 普通なら周囲の世界に影響が出てくるはずだ

「詳しくは聞きませんけど」

 私の方を振り返り、立ち上がった。シグナム、烈火の将より身のこなしが良い
 いや、私の記憶が確かなら、烈火の将よりも強いかもしれない
 こと戦いの強弱を良く知ってるのかもしれない

「そ、それよりも、急に現れたという私に警戒してないようだけど、良いのかい?」
「HGSじゃないみたいですし、何より何かしそうにも出来ないように見えますから」

 それは正解だ。HGSというのが何か分からないけど、違った力だろう
 しかし、こっちはどんな世界なんだ? それに、似ている
 周囲の町並みというのが私が知っている町並みと

「此処の場所を聞いても良いかな?」
「海鳴市です」
「そうか」

 ……私は結局ここに居てるって事なのか? じゃあ、目の前の相手は?

「あなたは?」
「名前ですか?」
「ああ。私はリインフォースという名前を貰ったが、私の後輩みたいなのが居るのでそちらに譲った
 とりあえずアインと名乗らせてもらおう」
「高町恭也です」

 頭を下げる青年は礼儀正しい。違う世界だな。
 概念の無い言葉とか周囲を少し見て思う。何より……先ほど、高町恭也が悼んでいた墓には
 高町なのはの父親の名前が刻まれている。死んでるって事だ

「死者の眠る場に私は似つかわしくないので、これで失礼していいかな?」
「……ちょっと待ってください。貴方はこれからどうするおつもりですか?」
「どうするといわれても……」

 少し困ってしまう。正直なところ消えると分かっていたことなのに消えてない
 どうしたらいいのか考え込んでしまう

「貴方を見ていると、誰かを彷彿とさせますね……ま、家は空き部屋もあるからどうぞ」
「だが、私が言うのも可笑しいが、怪しい人物だ」
「ふむ。先ほどから話してるが、貴方は困惑している。違いますか?
 それを知るために少しの間、場を提供しようってだけですよ」
「すまない」
「いえいえ」

 高町恭也は不思議な人だ……主はやてたちが悲しんでいたのは分かるし
 今回此処がどこかも分からない。もしも帰れるなら帰ろう

「だが、良いのか? 私を連れ帰っても」
「問題は無いだろう。と、ちょっと寄りたい場所があるから」

 そういって、歩いてく先……その間周囲を見渡して聞く私に高町恭也は答えてくれた
 優しいのか、そうでないのか分からない。だが周囲は知らないところというより変わっている

「いらっしゃいませ〜」

 そこは、翠屋と呼ばれるお店。だが、内装はそう変わってないが、実際の部分で変わってるところがある

「あれ? 恭也、今日はバイトの日じゃないよね?」
「ああ。フィアッセ、かあさんを呼んでくれ……ちょっとした用事だ」
「うん、それは構わないけど。後ろの女性、恭也の彼女?」
「違う」
「そ、そう」

 凄いにらみ方だな。多分そういうからかいが嫌いなのだろう

「じゃあ、シュークリームと飲み物持ってくるから」
「ああ。頼む……奥空いてるよな?」
「うん」

 そして、そのまま歩いていくので追いかける

「ごゆっくり〜」

 そんな声に後押しされるかのように座ると、お水とお絞りが置かれる
 それで手を拭いて喉を潤す。周囲を見ると、皆、食べたりしているし、店員も動いてる
 と、一人の女性がこちらへと歩み寄ってきた

「あら? 恭也、彼女?」

 この人も同じことを聞いてるし

「違う。ただ、困ってる人みたいで家で預かろうと思うんだ」
「そうね。構わないわよ。で、恭也は何かたくらんでるの?」

 お皿に並べられたシュークリームとクッキー。更に飲み物を前に私は少し頬を緩ませた
 主もそういえば料理は好きで、甘いものも好きだった気がする
 ヴィータもそうだったな……子供っぽかった

「いや。何も考えてないが」

 どうだろうな? こういう無表情の上手い人ほど何か考えてるものだ

「それで、私を呼んだのは許可を得るためよね?」
「ああ」
「恭也が安心できる人なら構わないわよ」
「そういってくれると助かる」
「それじゃあ、私は仕事に戻るわ」
「松尾さんに迷惑かけるなよ、高町母」
「ひどっ」

 何か軽い話をして、高町桃子は笑って歩いていった。ああいうやり取りが楽しいのだろう
 シュークリームを一口頂く。美味しい。そういえば、私は物を食べるという行いもしてなかった
 痛感することは、自ら放棄した心と想い
 それは結局私自身に戻ってきたという事だけ

「家に帰ってから詳しい話は聞きますから」
「ああ」

 今は纏められない。言葉に出来ない
 したくない
 しばらく余韻に浸って、高町恭也に連れて行かれた場所は高町恭也のすんでる家だった

「おかえり〜」

 声に驚いて、私はそのまま固まる。今の声は、高町なのはの声だった

「あれ? お客さん?」

 私を知らないのか? 本当に此処は別世界だ
 しかし、ここの高町なのはも魔力高い……いくら人と同じレベルに落ちたといえど、それくらいは分かる

「ああ。これから一緒に住むことになるアインさんだ。仲良くしろよ」
「うん。でも、お兄ちゃん、このこと知ったらみんな悲しむよ」
「何で悲しむ。家族が増えるのは良いことだぞ」
「はぁぁ〜〜」

 た、ため息の似合う小学生!!
 背の高さから考えたが、多分、私が最後にあった頃と変わらないだろう
 そして、似合いすぎる。なんか凄い辛いことがあったのだろうか

「その、すまない。私が迷惑をかけたみたいで」
「いえ。アインさんのせいじゃないですよ。お兄ちゃんの悪い癖のようなものですから」

 高町恭也はすでに中に入ってお茶の準備をしているらしい

「お兄ちゃんが連れてくるなんて珍しいね」
「そうか? まぁ、犬猫を拾ったのと似てるかもしれないが、ちょっと変わった客だ」
「ちょっと変わった?」
「そうだ。まぁ、なのはは高町家最後の常識人にして最後の砦だからな」

 その表現はどうかと思うぞ。それに、高町なのはも微妙にずれてるような気がするのだが

「それもそうだね」
「納得するのか?」
「うん。だって、お姉ちゃんたちも似たようなこと言ってたし」

 ……此処は、あっちの世界とは違うものなんだなぁ
 あっちの高町なのはも、魔砲少女だったけど、こっちはこっちで現実をしっかり見てるし

「それで、お兄ちゃん。アインさんもこれから一緒に住むの?」
「まぁな。しばらくの間はそうなるだろう」
「そうなんだ」

 お茶を渡しながらいう高町恭也は楽しげに一言付け足した

「アインさんはあまり世事に詳しくないから教えてあげないといけないんだがな」
「なのはも手伝うよ」
「ああ。頼む」

 世事って……確かに詳しくは無いが……うん、確かに此処の世界のことは分からない

「仲が良いのですね」
「そうだな。悪くは無い」
「そうですね。見てる限りそう思いました」

 本当に仲がよさそうな家族……いえ、兄と妹ですね
 そうなると此処は本当に違う世界。しかもパラレルワールドと言われる世界に当たりますね
 次元世界とはまた違った世界

「どうかしたか? 難しい顔して」
「お兄ちゃん、あんまり変わってないような気がするけど」
「少しずつ違うんだ」

 それから私はしばらくの間高町家で生活することになった
 にぎやかな家だ。主はやての家の数倍は騒がしい……落ち着きが無いということは無いが
 夜中は静かなものだし、桃子さん(高町桃子により駄目だしされた)の晩酌に付き合ったり
 高町恭也の事を少しずつだが聞いたりした。桃子さんは心配してるのだそうだ
 本人はかたくなに拒否とか言って、嘆いたり
 高町なのはから話を聞くところによると、兄ともう一人の姉は剣術をしてるとか
 確かに強さはやたらめったらすごかった。後狐の久遠が子供状態になったりとか
 変身魔法かと思ったがそれとはまた違ったものだと分かった。霊力と言うらしいことも
 月村忍たちのもあった。だが、月村すずかとアリサ・バニングスは居なかった
 新聞とやらで調べたら、アリサ・ローウェルは亡くなってると分かった
 私が知ってる世界と全く一緒でも違う世界でもないこの場はどこか不可思議に見える
 そんな生活が一週間ほど続くと慣れてくるものだ
 だが、それと共に私は高町恭也への興味が更に大きくなるのを感じた
 時間が余れば鍛錬か盆栽。後はお店の手伝いなどなど
 散歩や釣りなどもしているらしいが、生活のためとか云々が話しに混じった時点で私は驚いた
 というか、どんな子供時代だったか人の話によると、可愛そうな子供時代だったと私は感じた
 主はやてと比べることはしないが、それでも辛い毎日だったのではと考えてしまう
 それでも、あれだけまっすぐに育ったのは、周囲に居る人たちのおかげだろう

「アインお姉ちゃん、どうかしたの? お兄ちゃん見てたようだけど」

 今は縁側で盆栽をいじってる恭也を確かに眺めていた
 時間が空いてるときにって言ってしだしてかれこれ1時間くらいは経っている

「いや、大したことじゃないんだけどな」

 ちょっとずつ女性らしい言葉遣いも学んだような気がする
 一般常識的なミスはしないが、やはり言葉遣いなどが可笑しいらしい

「??」

 不思議そうに首を傾げる高町なのは
 やっぱりあちらに居た世界の高町なのはとは全く違うな

「私は高町恭也にほれてるかもしれないと考えてただけだ」
「ええええええっ!!」

 高町なのは大絶叫。そんな大きく驚かなくても良いのに

「でも、そんなそぶり」
「見せる事はしてない……第一、高町恭也にとっては迷惑だろうからな」
「まぁ、お兄ちゃんそういうの気にしないっていうか、そっち方面の感情が欠落してるって言うか
 未だに恋人居ないし」
「そうだな」

 桃子さんもそのあたりは気にしていた。だが、どうしようも無いのではないだろうか?
 本人が意識しないとそちらの感情は育たないように思える
 どんなに周囲が頑張っても、結局は本人の問題なのだ

「アインさんだって、お店手伝ったりしてるのに、そういうの無いの? お母さんが
 新しい客層がもてそうって喜んでいたけど」
「桃子さんがそういってるなら、そうなんだろう……でも、そういうのというのは無い」

 翠屋の手伝いは、高町恭也と桃子さんの二人により頼まれて少ししてる程度だ
 普段お世話になってるし、それくらいはって事でちょっと教えてもらってさせてもらってる
 高町恭也の人気をうかがい知ることになったのだけど
 で、縁側でのんびりと二人で高町恭也を見ていると、全く気にしてないようだ

「しかし、私は怪しい人だと思ったのに、全く関係なくつれてこられたからな」
「お兄ちゃんは見る目あるから、アインさんのこと見て何となく分かったんだと思うよ」

 そういえば、こちらを見ていたな。しっかりと……そのおかげで助かってるのだけど
 人の体というのは意外と不便なもので、おなかはすくし喉も渇く
 たまに混乱するのは感情だ。一応それなりには分かっていても、胸の奥がぽかぽかしたりするし
 かと思ったら締め付けられたりもする。よく分からないことばかりだ

「アイン、たまに思うが、何で俺をじっと見る?」
「いや、そんなつもりは無いのだけど」

 少し困ってしまう……本当にそんな風に見ていたことは少ないと思うのだけど

「いや、結構見てるぞ」
「うん。なのはもそう思う」
「別に意識してるつもりはないんだ。いつの間にか恭也が傍に居たりするとほっとするが胸がどきどきしたり
 その、居なかったらいなかったで、どこに居るのか気になって探してみてしまったりするんだ……
 何か私は心の病気なんだろうか?」

 不思議だ。こう言ってしまうのも恥ずかしく思えてしまう

「はわわわわ」

 高町なのはは顔を真っ赤にしてあわあわと手を振っている
 だが、高町恭也の方はというと

「……ふむ。もしかしたら何かしら病気かもしれないな。一度病院に行くか?」
「だが、私は医療云々は分からないがお金がかかるし」
「いや、それくらいなら大丈夫だろう」
「そうか」

 ほっ、それなら一度くらいなら……主はやての時がどうだったかいまいち分からないんだ
 全ての要因を持っていた人物との話しなんて私はしてないからな

「ところで、なのはよ」
「なななななに、おお兄ちゃん」
「ああ。その変な動きは新たなダンスか何かか? 似合わないから止めておけ」
「ああ。確かに似合ってないぞ」
「って、違うよ!! どうして、お兄ちゃんもアインさんも気づいてないの!?」

 そういわれても、これが心の機微だというのなら、私はまだまだ分からないことが多々ある
 それに、心というものが少し分かったのが少し前だし、触れ合って分かることもあるのだ

「どうしてって?」
「そういわれても」
「そういうのは、アインさんがお兄ちゃんに惚れてるって事なんだよ! 友達も言ってたし」
「いやいや、なのは。それは勘違いかもしれないぞ。もしかしたら心臓とかに病を負ってるかもしれないだろう?」
「でもでも、普通にそんな風には見えないから、なのはの考えでおかしくないもん」

 まぁ、確かに誰々に恋したっていうのと似てはいるな……シャマルの見ていたのは毒々しいのが多いが
 となると、その流れからすれば……

「なるほど。私は恭也に求愛をすれば……」

 うあうあうあうあうあ……なんてことだ。わ、私がそんなことを?
 というか、その前に可笑しい可笑しい……だだ、だってだ、私が高町恭也を……好きだって事だ
 勿論、その全てを捧げても良いかのように。第二のマスターのように
 頬が熱い……分かってしまえば、確かに私は高町恭也に対してそのように視線を出していたように思える
 自らの心がばれないように最新の注意を払いながらも、やっぱり見ていたいから探してしまう

「お兄ちゃん、ちゃんと考えないと駄目だよ」
「な、なのは? よく考えろ。多分アインは俺が傍に居るほうが、初めて会った時から居るからだろう
 ほら、他の人と会うようになればおのずとだな」

 不意に動いてしまった。指先が恭也の服を握る

「私じゃあ駄目なのか?」

 高町なのははじーっと恭也と私を見ている。その視線はいたずらっ子のようでもあり、楽しそうだ
 それに、初めてのことで私もぼーっとしている

「いや、そういうわけじゃあないんだが、ただな、俺もそんな風に言われたのは、その」

 恭也が焦る姿は初めて見た気がする

「駄目か?」
「いや、そのな」

 私は下から恭也を覗き込む
 恭也は一生懸命視線をそらせる
 触れたい。もっと違うところ、もっと色々なところを重ねたい
 ふらふらとさ迷ってる視線は私には向けられない
 見て欲しい。でも、恥ずかしい
 矛盾な気持ちがない交ぜになる

「べ、別にアインがいやとかじゃなくてだな、俺じゃなくても他にも」
「私は恭也が良い」
「ぐむっ」

 言葉につまり更にふらふらと視線がさ迷う
 もう少し近づきたい……傍で彼を感じたい

「あ」
「んっ」

 いつの間にか目を閉じ、恭也の肩に手を置いて、自分の唇を恭也の唇とをあわせていた
 キスといわれるものだとは分かってる。親愛の情を、恋を伝え、愛を営むことに使う一つの表現
 今、恭也がどんな表情してるかとか分からない。それでも……

「んんっ!」

 恭也の顔が離れた……ちょっともの寂しい

「何で離れる?」
「いやいや、ちょっと待て。何で急にキスしてくる」
「迷惑だったか?」
「恥ずかしいんだ」
「駄目なのか?」
「駄目とかじゃなくて、なのはだって見ているだろうが」

 あははははって苦笑いを浮かべてみている高町なのはがいた
 気にしてはいけない……だが、初めてのキスはとても甘美でまたしたくなるほどだった

「私なんか、異世界人だし、嫌いだからしたくないと?」
「いや、そういうわけじゃなくて」
「そうか……」

 それは悲しい。恭也に嫌われたくは無い。だけど、どうしたら良いのか分からない
 ついっと持った手が離れるのが嫌で恭也の肩に手をかけたまま

「いや、だから、そう落ち込まれても困るというか」
「恭也に嫌われたくないんだ。なんでもする。だから、嫌わないでくれ」
「なんで、そうなるんだ」

 何故か恭也の方が落ち込んでるように思える。ちょっと情けない感が色々胸を焦がす
 私はいつの間にかこんなに弱くも強くもなっていたんだ
 恭也の傍に居たいと思い、恭也をマスターにしたい。彼に使われたいなどと思うようになってたんだ

「とりあえず、落ち着け、アイン! 俺は別にアインを嫌ってるわけじゃないし、恋愛が一度にそう進展する
 ものじゃないと思う……多分、いや、きっとそうだ。だから、そんなすぐに迫っても良い結果が生まれると
 そんな風には思わないことだ」
「じゃあ、恭也は私なんかにキスされても嬉しくないし、抱きしめられても嬉しくないということか
 私は体型変化など望めないのだけど」

 多少の魔法は使えるようになってきた。幻覚魔法とかなら、もしかしたら
 だが、あれはあれで使いたくない。色々と迷惑になることもあるだろう

「とりあえず、落ち着け!」

 落ち着けといわれて落ち着けるなら、それは元から落ち着いてるらしい
 そんな言葉が過去のどこぞの伝聞より抜粋してきてしまった
 高町なのはは頬を赤く染めてこちらを見ている

「別にアインのことを嫌ってるわけじゃない! ただ、お前だっていきなりだから混乱してるんだろう
 俺も同じく混乱している。こんな状態では良い方向へは俺たちは望めないと思うんだ
 だから、落ち着くために時間を置こう、な?」
「分かった……」

 恭也はふぅと一息ついて、唇を指先で一度撫でる

「別にキスとか抱きしめられたりとか嫌じゃなかった。それだけは確かだ」

 そういって、ささっと歩いていってしまった
 私は、そのままぽすっと地面に座ってしまっていた

「あああの、アインさん?」
「高町なのは、どうしよう?」

 冷静になってくると恥ずかしさとか、それこそ一杯一杯で言葉すら選んでられない

「あうあうあう」
「お、落ち着きましょう。ほらお兄ちゃんも落ち着くための時間って」
「分かっては居ても、ほら、あの、ね、何」

 その後私は夕飯過ぎても恭也の顔は見れなかった
 恭也は私を見ていたと、桃子さんから聞いた……どうしたら良いんだ? 私は……

「そういうときは、正直に気持ちを伝えるものなのよ。言葉は人に思いを伝えるために出来たのだから」
「は、はい」

 さすが桃子さんだ。良い事を教えてくれる

「頑張ってね〜」

 桃子さんの声援を背中に受けて、私はさっそく高町恭也が居る部屋に向かった
 ドアをノックして部屋の中に入らせてもらう
 畳でちょっと質素な部屋。でも、恭也の匂いがある部屋

「で、どうしたんだ?」
「きょ、恭也」
「?」

 不思議そうにこちらを見ている。だが言わなくてはいけない

「私は、お前の傍に居たい」
「いや、居れば良いんじゃないのか?」
「良いのか?」
「ああ」
「それじゃあ、遠慮なく」

 恭也の言葉に私は嬉しかった。拒まれたらどうしようとか考えてしまった
 でも、行動あるのみくらいなのは分かってるつもりだ
 恭也の横に座り体を寄せる
 と、急に恭也が慌てだした

「って、言葉の額面どおりの意味か!!?」
「だから、傍に居たいって」
「いや、だぁぁ、誰にこれを聞いた?」
「桃子さんだが」
「はぁぁぁぁぁ」

 盛大なため息が漏れてるぞ、恭也

「傍に居て、ずっとお前を、恭也を感じていたいんだ。駄目か?」
「いや、それは」
「私にはお前以外考えられない。考えたくない。好きなんだ」
「それは嬉しいが……だが、早計すぎだと言わなかったか?」
「こんな抑えられてるの嫌なんだ。はっきりさせたいんだ
 私は、恭也を愛してるのか?」
「それを俺に聞くな!」

 びくっと体が震える。恭也は私を見つめる瞳に力が篭っている

「だから、お前の気持ちだから、俺には分からないだろう?」
「私にはお前が必要なんだ!! 私は、お前なしじゃ生きることも望めなかった
 だから、お前が居なかったら、辛いし寂しい。もっと見て欲しいし、もっと傍に居たい!!
 私はそんな思いを知らなかった!! だけど、私はこんな感情知らない!!」
「アイン」
「私は私のことが一番分かってないのかもしれない! でも、お前だってそれなら
 私を早々に出て行かせたらよかったんだ!! それなのに優しくしたりするから……
 だから、私は!!」

 渾身の思いを込めて叫ぶ
 私は……私は……目からぽろぽろと涙がこぼれる
 ゆがむ視界を気にせず、恭也をにらみつける

「ぐっ」

 頬も熱い

「だから!! 私は恭也、お前が必要なんだ!! お前以外の誰かにこんなこと頼んだりするものか!!」

 潤んだ声が

「それは、すまない」
「どうなんだ!! 私は、この気持ちに嘘も、偽りも、無いんだっ!!」

 見つめる先で恭也は少し考え込んでるようだった

「分かった。アイン。俺もお前を見たときから何故か放っておけなかった
 だから、お前が傍に居て欲しいならいてやる……ずっとな」
「恭也」

 そっと抱きついた恭也は少し硬いけど、暖かで安らぐ
 分かってるだろうな。私は、これでも元魔道書の人格だったんだ

「そんな泣くな。お前には笑顔が似合う」
「ああ」

 無理やりな笑顔など初めてだ。でも、恭也も小さく微笑んでくれた






 その日、まぁ、ぶっちゃけた話……防音設備など無いのだから
 城島晶とフォウ・レンフェイの二人の料理人+高町桃子とフィアッセ・クリステラの4名により
 強制パーティ。しかも、あの私たちの告白のような言葉は録音された上
 月村忍、ノエル、神咲那美、久遠にまで聞かれた




 それは高町恭也が大学入る前のお話
 その数ヵ月後、私と恭也は、この世界で魔法と出会う……それは、高町なのはが巻き込まれる事件








 おわり






 あとがき
 いや、長すぎるから!!どんな中篇ですか!!?
 短編予定が、短編じゃねえ!!そんな感じの長さですが
 リインフォースTの性格云々考えてたり色々考えたら、こうなりました……
 まぁ、書いた自分が言うのもなんですけど、満足ですww
 アインって名前は、ドイツ語でそう読むらしいからって事で取って来ました
 全く捻りも無いので悪いです
 でわ、これで〜ノシ







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