とらいあんぐるハート×リリカルなのは


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なのはらの世界で、15歳のお話。平行世界のお話です









『異世界からの来訪者(迷子)』









 くっ、このままでは!!
 爆弾が夜空を彩るだろう、自分が放り投げ、しばらくしてすぐさま爆風が吹き荒れる
 その様は空を見上げてるものなら誰もが気づくだろう
 だが、俺は倒壊の恐れのあるビルから一生懸命に走っていた
 爆撃に耐えれる構造では無いので、そのまま俺が落ちる可能性があるのだ

「ぐあっ!!」

 どんと揺らがす音と衝撃
 そして、そのために散るビルにあった破片や倒壊した部位の破片
 それらが銃弾の如くこちらへと来る
 全てをかわすのは無理で……そのまま、俺は血塗れのまま座り込む
 壁を背にして、これで俺も終わりか……父さん、もうすぐそちらに行きそうです
 そのまま俺は意識を失った




 公園を親友のすずかと歩く。親友と帰るのは嬉しい
 なのはたちが最近一緒に帰れないけど、勉強とか面倒見てる私としては一生懸命だ
 がさがさと音がして、私とフェイトは慌ててそちら方を向く
 此処でもたまに痴漢とか変質者が出ると聞いてるし……私はすずかほど運動も良くない

「ぐっ」

 真っ赤な血が周囲に広がる。それに火傷の跡もあるし、私とすずかはすぐさま頷いて電話を取り出す
 救急車を呼び、すぐに連絡を入れる。勿論、自分たちがこれから行こうとしてる塾なども休まないといけない
 それらへの連絡を終えると、私とすずかは考え込む
 どうしたら良いのか分からないし
 何をしたらいいかも分からない。下手に動かしても……
 早く救急隊員の人が来ることを望むしかない。と、数分後、サイレンが聞こえて、此処まで来る

「急に倒れてきて、そのときすでに傷だらけで」
「はい。分かりました。あなた方は両親に連絡してください」

 その人が運ばれるのを見送る……救急隊員の人たちは血痕があるところを適度に調べる
 いくつかの物が出てくる。私たちが見たことあるものも出てくる
 ええっ!!!!
 すずかと私は見合わせる……だって、あれは士郎さんが大事にしている小太刀
 確か銘は『八景』……どうして此処に?
 それに、さっきの人は?

「あ、あの」
「なんだい?」
「それ、そこの木の下から拾ったんですよね?」
「ああ、そうだけど、多分あのひとのものだよ。血もたくさんついてるしね」
「そ、そうですよね」

 そういわれて数歩下がる。多少の血は慣れてるけど、大量となると話は別でたじろぐ
 と、すずかはいつの間にか携帯を取り出して、メールを打っている
 何かの確認のためだろう……すずかは意外と冷静だ
 隊員さんが歩いていくのを見送ってると、すずかがくいっと私を引っ張る

「恭也さんや士郎さんじゃないって……」
「そっか。じゃあ、今の人、誰だろう?」
「恭也さんに似てたけど」
「うん」

 二人して首を傾げる。先ほどのことは忘れるのが良いのか
 それとも……よく分からないようになってしまう
 そして、数日、私はなのはたちにも相談してみた
 フェイトやはやてもそういえばって何か考えてるようだった。仕事してる三人には悪いけど




 数日後、私とすずかはその恭也さんもどきというか、よく分からない人に呼び出された
 といっても、家に電話があって、その人の容態云々じゃなく意識が戻ったからって事と
 お礼が言いたいので、ご足労願ってもいいかってこと
 私とすずか、フェイトにはやてとなのはたちで行く事になった
 何かあるらしいのだけど、よく分からない
 病院に到着して入院の部屋を聞いて、そちらへと向かう
 海鳴大学病院はちょっと苦手だ。はやてが入院していたから
 名前の無いプレート。その人は目を覚ましているのか、外を見ている
 病気じゃなく、基本的には怪我なので点滴とかが無いが安静らしい
 医者からも声をかけられたし

「初めまして」
「あ、初めまして」

 包帯をいたるところに巻いてるのは痛々しい
 そして、一番気になるのは、やはりその顔だ
 高町恭也、すずかの義兄にそっくりなのだ

「義兄さん?」
「違う……顔が似ているのだろう?」
「あ、はい」

 頷いて返すしか出来ないすずか

「不破恭也です」
「きょうやって、同じ名前」
「まぁ、気にしないでくれ」

 自嘲的に笑う……痛々しい笑みとかじゃない
 ただ、何か困った事態に陥って更に悩んでるというように見える

「あの」
「えと、すずかさんだったかな?」
「はい。合ってます。恭也さんと呼ばせてもらって良いですか?」
「ああ。構わないが」
「病院への連絡をしたのは私たち二人です。こちらの三人は付き添いで来てもらいました」
「そうだったのか。ありがとう。助かったが、俺は血みどろだったと思うのだが」
「気にしないで下さい……私はきにしてませんし」
「私も」

 すずかが大胆に話しかけてる。なんていうか、度胸据わってるのよね〜
 はやてやフェイトやなのはは何か相談してるのか、表情は変わるのに他は変化が無い

「実は病院に運ばれて困ってる点もあるんだがな」
「困ってる点ですか?」
「ああ。実際お金が無いからなぁ」

 苦笑いで言う男性に納得してしまう。確かに無いと思う

「どれくらいか分からないものね」
「入院だけで一日3から6千円ほど掛かるからな」
「詳しいんですね」
「入院経験があるだけだ」

 苦笑いだろう、小さく顔がゆがんでるし。それは笑みっぽい
 と、なのはたちの相談が終わったみたいだ

「そのお金のことなら心配しなくても大丈夫そうです」
「はい、ただ、事情が事情なだけに、かなりの問題も抱えてるんやけど」

 なのはとフェイトがそういう。どういうことか分からない
 と、フェイトが小さく何かを唱えている

「これでよしっと。不破恭也さんも気づいてると思いますけど、貴方は異世界じゃなく、平行世界から来ました
 異世界でも構いませんが、次元世界において同じ人は普通居ません。
 そのために、こちらにも高町恭也さんがいらっしゃいます」
「そうか」
「多分、貴方は貴方独自で此処の世界を調べたと思うんです」
「ああ。調べた」
「で、その世界を超えてしまって、元の世界に戻る方法なんですが、無いんです」
「無い?」
「全力を尽くして調べられたら良かったのですけど、ありません」

 恭也さんが少し困った顔をしている

「ということは、此処の世界で生きろって事か……」
「そうなります。もう一つとしては魔導師としての道があるかもしれませんけど、一応それなりの補助はします
 此処の入院費用か、もしくはあちらに行けば最新設備で治療に当たります
 その分も費用負担などありません。その後はご自由にしてもらって構いません
 出来る限り、家やしばらくのお金を貸すくらいならば問題ありません」
「なるほど」




 魔法などの単語が出てきていることから、俺はその事故か何かで飛ばされたと考えるべきだろう
 風前の灯火だった命が生き返ったって考えたほうが良い
 生まれ変わりなどという考えと似てる
 だが、それだとどうしたらいいかだ……魔導師とやらは魔力というものが必要云々の説明もしていく
 金髪ツインテールの女性、フェイトさんは色々詳しいみたいだ
 ただ、問題点なども言ってくれていく。戸籍があれば、後はどうとでもなるものなんだがな

「大体のことは分かった。ただ、俺には魔法を使うような力は無いと思う
 だから、こちらの世界で探そうと思う。そこに道具も落ちてるしな」

 そういって指差す先には、自分の愛用の品とコート
 暗器の類が大量に入っているものだ……といっても、大分使用して無いのもあるが

「分かりました。それで、雇われるあてとかあるのですか?」
「今のところは無い。まぁ、一応方法としては一つ二つあるくらいだ」
「一つ二つ?」
「自分の知らない世界だが、知ってる場所も当然あるだろうからな」
「分かりました……それならば、こちらも一応のセーフハウスなどがありますから」
「正直助かる。治療もすぐ終わるほうが嬉しいのだが」
「分かりました。手配まわしておきます」

 そういって、少し考えてるようだ
 しかし、俺より年下だがしっかりした子だな。ということは、こっちが高町なのはだと名乗っていたし
 違う世界のなのはって事になるのか……成長したら確かにこんな感じになるだろうな

「どうかしたんですか?」
「いや……ただ、ちょっと考え事していただけだ。どこで働いたら良いかって」
「それなんですけど、私の家で働いてもらえませんか?」
「アリサ!?」
「アリサちゃん、どういうことや?」

 フェイトさんとはやてさんの二人が驚いた顔で言う

「実はお父様が腕の立つガードを雇いたいって言ってたんです。ですが、恭也さんはすずかの家だし
 お父様は誰か良い人って捜してます。勿論、報酬は良いですよ」
「なるほど。ということは、裏があるんだな」
「はい。私はこれでもバニングスの長女なんです。下手に狙われると、後継者が居ませんので」
「遺産相続云々か」
「多分……最近は命は狙われてませんので大丈夫だとは思いますが
 近年のことを考え、お父様が誰か良い人いたらって色々な人にかけあってます
 私を心配してのことです。そのためにガードさんが倒れたりも結構あります。どうしますか?」

 個人のガード。確かに美味しいかもしれない
 それに、アリサという名前は何故か気になる……狙われる子供というのも好きじゃない
 ならば、牙無き人の牙になるが御神流だ

「考えさせてもらっても良いかな? 直接会っておきたいし」
「はい。勿論です」





 数日後、不破恭也さんは戸籍を得て、怪我を回復させて、家に来た
 お父様とお母様と私が居て、面接となるのだ
 といっても、ガードなので強さなども問われる

「怪我が治ったばかりと聞いてるが、良いのかな?」
「構いません。それに、小太刀を研ぎに出してくれたり、道具なども補充していてくれましたから」
「月村さんとこの、恭也くんと同じものに近いから、そのおかげで道具などもすぐにそろえられたのよ」
「ありがとうございます」

 お礼を述べて、それらを触れ、装着していく
 知らないものもあるけど、それらを丁寧につけていく様は道具への愛着もあるのかもしれない

「人となりは大体アリサから聞いてるし、アリサの友達からもお墨付きを貰ってる
 強さというか、守る事は初めてになるのかな?」
「いえ、幾度か経験もあります……任せてもらえませんか?」

 じっと見詰め合ってるお父様と恭也さん
 お父様は幾度か頷くと

「良いだろう。採用だ……良いかな?」
「ええ。勿論よ。それに、アリサも気になる人なんでしょ?」
「ええっ!!」
「そういうことだと思ったんだが」
「そ、そういうわけじゃなくてね」

 動揺しちゃってる自分が居るわけで、ちょっとお父様とお母様が楽しそうなのだ
 恭也さんは冷静に受け流してるし
 でも知らなかった。恭也さんがあれほどの強さを誇るなんて





 その日は雨が降っていて、私とすずかは一緒に帰っていた
 黒塗りのワゴン車が止まり、ドアが開いてにゅっと手が伸びてきた
 黒いカーテンがされて、私は悲鳴をあげるが、ここは丁度人が少ない場所
 すずかも声をあげるけど……

「堂々と人攫いとは恐れ入る」

 その言葉に周囲が一瞬固まる。すぐさま私を押し込もうとするけど、その腕に黒い針みたいなのが生える
 その表現は違った。実際には投擲したものが刺さったのだという事らしい
 持たれた部分が消えて、私はそのまま後ろに倒れそうになる
 と、背中から支えられて、傘を持たされる
 そして、そのとき初めて顔を見て、誰か分かった
 恭也さんだ

「覚悟しろよ。俺はお前らのような奴らが嫌いなのだから」

 車の中へと押し入り、恭也さんは車の中に消えた
 車の中からばきとかどかとか音が聞こえて、恭也さんは出てきてドアを閉める
 車の前に立ち、バンパーを蹴り飛ばす
 ばんっとエアクッションが現れる……どれだけの衝撃を与えたのか怖いところ
 軽くあしらったという感じがする
 すずかもいつの間にか傘を持たされていて、少し驚いた表情をしていた

「すずか、大丈夫だった?」
「アリサちゃんだって」
「私は、助けてもらったから」
「私もなんだけどね……同じように攫われそうになったよ」
「もう大丈夫だ。一応仲間に連絡したら、近くに居た仲間が倒されたらしい」
「それでこっちに?」
「ああ。頼まれてな。月村さんとこが今大変だ」
「義兄さんが何かあったの?」
「違う違う。嫌がらせのレベルが上がったって事だ」

 しばらく話して、すずかの迎えの人が着たので私と恭也さんも帰る
 武器もなしにあれだけの動きは早々拝めないだろう
 というよりも、全然怖がってる様子も無かった
 それが少し怖いけど、頼りになる人だと
 すずかと分かれて帰る途中、私は恭也さんの手を握った
 ごつごつしてる、でも、私が何か言いたいのか分かったのか、何も言わなかった
 怖かった





 数年後、私はとある思いに気づいた。年上の兄じゃない、ボディガードでもない
 私は一人の男性として、一人の男の人として、不破恭也さんに惚れていると
 数日後、私は恭也さんに告白した。
 守ってくれる人として、支えてくれる人として、そして……最愛の人だから
 恭也さんは最初しぶりにしぶり、やっとこさ気付いてくれた
 私の想いに






 おわり






 あとがき
 アリサも微妙な部分で難しい……年齢とか色々あわないからな
 そういう意味では、誰もが難しいと想ったりするんだけど
 出番が徐々に減っていくアリサやすずかの短編はかなりの難しさを誇るな
 む〜〜、大変だ
 というわけで、これで〜ノシ



最後はアリサ。
美姫 「全部で七つ紡がれた物語」
どれもこれも面白かったです。
美姫 「投稿ありがとうございました〜」
ました〜。



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