『An unexpected excuse』

   〜シスター編2〜







「俺が、好きなのは…………」

 恭也の声で静まり返る中庭。
 周囲の音が響き渡る……つばを飲み込む音などもあちこちで聞き取れる
 ただ、恭也はどこか遠い所を見ている
 恭也はただ想い返す
 今、彼女は元気にしているのだろうかと……
 また無理を無茶をしているのでは無いだろうかと
 ただ1人、殻を被ったような
 それで居て、本当は心優しき少女はと……

「言っても分からないと思うが、思い人が居るのは確かだから」

 恭也はそういって、空を見上げる
 蒼空と言えるほど突き抜けるほどの青空
 こんな日には彼女と出会わないと気づいてる
 いや、会っても大したことは話さない
 ただ、周囲の人物は、遠くを見つめる高町恭也という存在が遠い存在に見えた
 そして、孤高であると……高嶺の花であるとも……

「名前を聞いても良いですか?」
「カレン・オルテンシアという名前だ……まぁ、あまり意味は無いがな」

 恭也の言葉にそれぞれが首を傾げる
 ただ、聞いた本人は誰だろうって感じだが……名前からして海外の人だろう

「恭ちゃん、そのカレンさんとは何処で知り合ったの?」
「まぁ、ロンドンでだ」

 簡易に答えた恭也……ロンドンと首をかしげては、捻る面々
 確かに恭也はイギリスに居た事もあるのだから、会っていてもおかしく無いだろう
 だが、今の恭也はどこか遠くを見つめている

「此処に居ましたか……恭也」

 そういって、ゆっくりとだが、歩いてくる1人の少女
 もう女性ととってもおかしく無いくらいに成長している

「カレンか?」
「はい……お久しぶりです、恭也」
「そうだな……久しぶりだ
 だが、どうしたんだ? こんな所で……普段なら人ごみは嫌いだだとか言ってこないだろうに」
「虫の知らせというものです……意外と当てになります」

 そういって、周りを見つめるカレン

「恭也と付き合ってる女性たちですか?」
「まさか……お前は本当にそう思うのか?」
「いいえ……恭也にそこまでの甲斐性が無い事も、私以外をと考えることが無い事も分かってるつもりです
 ええ、恭也がたとえ気まぐれで抱いたとしても一夜限りのものだと」
「何を怒ってるんだ?」
「いいえ、別に……恭也がこんなにも誑かしてると理解しただけです」

 少しだけ顔を背け、攻撃的に言うカレン
 恭也は心の中でやれやれと言い、少しだけ意地悪な顔をする

「皆は後ろを向いててくれ」
「え〜」
「カレンの機嫌がそこなったし、何より、カレンは意外と手厳しいんだ」
「失礼ですね、恭也」

 なにやら不服がありつつも、ウェーブ掛かった銀髪のカレンを見て、諦める人も居る
 戻っているとも捉えられるが

「カレン、何を怒ってるか知らないが……」

 恭也はカレンの後ろに近づくと、そのままカレンを抱き寄せて、耳元で言葉を漏らす
 吐息がカレンの耳に届く……そして、小さく言葉を続ける

「あまり無理をするのは良くない」

 恭也はそのままカレンの耳を甘く噛むと、舌で愛撫し

「んっ」

 カレンの頬が一瞬紅潮するが、すぐに元に戻る

「なにを、するんですか……んっ」

 恭也の手は、カレンの胸や腰をなで、顎へと到達すると、そのままカレンを振り向かせて
 唇を合わせる……

「嫉妬するなとは言わないが……カレンももう少し信頼してくれ」
「んっ……こんなことで感じるのは恭也だけですから」

 周りで聞いて居たものが赤面した
 そりゃあ、そうだろう……カレンは言い切ったのだ
 キスだけで感じるのは恭也のみだと……

「シスターがそんなことを言ったら良くないんじゃないか?」
「大丈夫です……神父でも変なのが居ますから」
「そうか」

 そんなことを漏らし、恭也はカレンから離れる
 みんなの方を振り返って『もういいぞ』と声をかける
 振り返るに振り返れない者も結構居るが……

「恭也、耳もふさいでっていうべきよ」
「何でだ?」
「カレンさんだっけ……声が聞えたの!!」

 うがーと怒る忍
 周りは赤面してたいりする……恭也は耐性が出来ていたのか、気にしてない
 カレンはそんな様子を見て、一言

「虫除けです……恭也は私のものでは無いですけども、私と、付き合ってるとも違う気がしますが」

 カレンは言葉に詰っているようだった
 恭也は確かに付き合ってるのかどうか考えてる

「結局付き合ってるって捉えていいの?」
「まぁ、そうですね……間違いではないです」

 忍に答えるカレン……皆がそれぞれ納得して答えた
 しかし、2人はほっとため息をついた
 実は2人の出会いは、とても大きな陰謀めいたものが渦巻いていたのだった

「良かったな……ばれなくて」
「ええ……恭也、今夜、あなたの部屋に忍び込みますので」
「声を殺せるのか?」
「無音の結界をはります……気配は漏れるかもしれませんが、大丈夫でしょう」
「分かった分かった……全く」

 カレンは昼間にそうそう出かけない
 夜中にちょこっと出かけるくらいだ……恭也はそんなカレンを見つめてる

「綺麗な髪に葉っぱがついてるぞ」

 そっと手で葉っぱを取る
 カレンはその手を見つめている

「どうした?」
「いいえ……何でもないですよ……ただ、今日は恭也の身近の危険を排除できたって所です」
「意味が分からないが……少し話そうか? 普段昼間に会う事はないし」
「そうですね……」

 カレンはそう言って、座ると恭也の肩を持ち、そのまま押し倒した
 自らの方向へと……恭也はされるがままだが、カレンはそのまま恭也を膝枕する

「いきなりだな」
「恭也が近くに居てくれるだけで、ほっとするんですよ
 何より、あれだけの女性に囲まれて困った顔もちょっとした見ものでしたけど」
「助けてくれたら良いのに」
「ふふっ」

 軽く微笑……カレンも恭也も微笑を浮べてる

「カレン、俺は君だけを愛してると神の膝元で誓ったと思うのだが」
「これは貴方が悪いのでは無く、私の心の問題ですから……恭也には凄い迷惑をかけましたしね」
「どうだろうな……だが、まぁ、あの時、お互いが繋がったおかげだ」
「はい……」

 カレンはそっと目を閉じて、恭也の顔に己の顔を近づけて止まる

「キスしますね」
「お姫様の気の向くままに」
「どうも」

 そのまま、唇を寄せ合い、カレンから舌が入ってくる
 恭也はそれがカレンなりの報復だと分かっていて受け入れる
 全く素直ではない……いつも恭也はそんな風に返してる
 2人の顔が離れるとき、恭也の唇も、カレンの唇も濡れていた

「今日の夜中……会ってもらえませんか?」
「良いだろう……どこで?」
「月見台の方に教会があるのはご存知ですよね」
「ああ」
「そこで」
「分かった……じゃあ、カレン、後で」
「はい」

 そして、恭也とカレンは蜜月を重ねる
 だれもが知りながら知らない二人を……









 おわり








 あとがき
 う〜む
 シオン「どうしたの?」
 シリアスだ
 ゆうひ「そうね」
 でもな……カレンの性格が性格が……黒い部分が……
 シオン「黒い部分って」
 いや、ほら……なんていうの、こう連発するような、危険地帯みたいな
 ゆうひ「……意味がちょっと」
 すみません、皆様……なんか、これって思ったのが出来ません
 シオン「いや3つ書いて出来ないってどうよ?」
 落ちが落ちが〜〜〜〜
 ゆうひ「確かにカレンの場合は、絶対ドタバタがベスト?」
 でもなぁ、こう、落とす部分が難しいんだ……第一忍に近づいてカレンは平気なのかってネタとか
 シオン「そういえば、カレンと恭也の出会いってどんなのだったの?」
 あ〜、悪魔に取り付かれた恭也がカレンに襲いかかって、カレンはそれであっちに目覚めたって落ち
 ゆうひ「……悪魔って、まさかインキュパスのこと?」
 まぁ、そうなるな……
 シオン「でも、カレン襲ってもどうにもならないんじゃあ」
 いや、それで発覚して、カレンと恭也が死ぬ前に魔術師協会の人たちが助けたって感じかな
 ゆうひ「それ、いくつの時?」
 カレン9歳だから、7年前……恭也12歳って所か
 シオン「……どうよ、それ?」
 な、だからかけないんだ
 ゆうひ「幼すぎるのもダメよね……でわ、また〜」
 ほなね〜(^^)ノシ


 シオン「そういえば、そのとき士郎とか保護者は何してたの?」
 士郎は恭也を放置して、2日目突入で……何って言われたら護衛かな……
 ゆうひ「じゃあ、カレンのご両親は?」
 教会に預けるはずだったんだけど、離れてしまったという、トンでもない事ですな
 迷子2人って所です……その間にカレンは、まぁ襲われたって所ですね
 魔術師たちの失態なので、恭也は記憶を飛ばされたはずなのだけど、カレンが今度襲いかかりってところです
 シオン「あ、それでラインが繋がってってこと?」
 そうなんだけど
 ゆうひ「でも、恭也って霊力ないよね?」
 魔力はあるんじゃないかなぁって
 シオン「な、なるほど!!」
 ゆうひ「それで狙われたって事なんだ」
 でわ、今度こそまた〜




おお。こっちは…。
美姫 「ギリギリセーフかしら」
いやいや、これぐらいで制限は掛けませんよ。
充分にセーフでしょう。
美姫 「まあ、そうかもしれないけど…」
それにして、あのやり取りから数日で三パターンも。
美姫 「流石ね、シオン、ゆうひ」
いやいやいや、遊び人さんの努力だろう!
美姫 「それじゃあ、まったね〜」
こらこら。遊び人さん、お疲れ様でした。



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