『TRIANGLE HEART BEAT 〜三人目の『不破』の物語〜




第十六話 −GUARDIANS MEETS ASSASINS

 

 

 

 

 

 

 

 

「その二人、吾妻玲二と吾妻エレンは数年前アメリカ全土のマフィアなどを震撼させた暗殺者、ファントムと呼ばれていた人間だよ」

 

恭也とイチの学校帰りの話を大まかに聞いた美沙斗は二人にそう告げた。

 

「ファントム?なんですか、それは?」

 

海外の事情には疎い恭也が美沙斗に問いかける。

 

「アメリカ全土、今は世界中の先進国にコネクションを持つ、まあいってみればマフィアの大元締めみたいなものだよ」

 

「...なんでお前が知ってるんだ?」

 

「それは知っているだろう。何しろイチ君はクローウェルのガードなのだから」

 

恭也の不思議そうな声に答えたのは本人ではなく美沙斗だった。

 

「あれからもう少し君の事を調べさせてもらってね。オーストラリアに行ってから日本に帰国するまでずっとブリジットさんの専属ガードをしていたこと、クローウェル夫妻にも認められていたことは分かっているよ」

 

「...まあ隠していたわけではないですから、調べようと思えばそう難しいことでもないでしょうね」

 

「気分を害したのだったら申し訳ない。ただ私たち以外で不破を使うものとなると、多少は疑ってかからないと...」

 

「いいですよ、そんなことは。調べているならわかっているでしょう。知られたくなかったら隠し通すくらいのことは、狼村になら出来るってことくらい」

 

眉を少しひそめて申し訳なさそうに頭を下げようとする美沙斗に対し、イチはあくまで穏やかな笑顔で応じる。

とはいえ美沙斗とてそのまま引き下がりそうもない。

なんとか恭也が間に入ってこの堂々巡りは回避された。

 

「...本当ならこんな事を君たちに依頼するべきでないことくらい重々承知しているのだが...もう事が私一人では収拾が付かないところまで来てしまった...」

 

「その前に美沙斗さん、ちょっといいですか?」

 

本題にさしかかろうとしたまさにその時、イチは話の腰を折った。

怪訝な顔をしながら美沙斗が先を促すと、イチは

 

「依頼っていうの、やめてもらえますか?」

 

といつものように飄々と言い放った。

それを聞いた恭也は、驚いたように目を見開いた。イチなら二つ返事で受けると思っていたのだろう。

対照的に美沙斗は、困ったように微笑みながら、

 

「そうだね、君はやっと平穏を手に入れた人間だ。もちろん無理に巻き込む気は...」

 

「いえ、そうではなくてですね...僕はただ、依頼、という言葉が気に入らないんですよ。美沙斗さんからなら、お願い、でいいです」

 

美沙斗が言い終わらないうちにイチの口から出た言葉に、恭也はさらに驚き、美沙斗は唖然として押し黙る。

そんな二人を前に、イチは

 

「僕は一臣さんに救われた身です。そのお姉さんである美沙斗さんから依頼を受けてしまったら、僕は一臣さんに恩返しなど夢のまた夢です。ですのでブリジットの時もそうでしたが、僕は美沙斗さんからの頼みごと、ということなら喜んで頼まれます。あくまで依頼、と仰るなら僕は動きませんよ」

 

と最後は軽く微笑んで見せる。

 

「そうだな、俺も依頼という言葉に慣れすぎてしまったが、本来ならティオレさんや美沙斗さんからならその言葉はふさわしくないか...」

 

イチに続いて恭也もそういって軽く微笑んでみせる。

そんな二人に美沙斗は呆然として頬を赤くすると、すぐにはっとした表情になって

 

「あ、ありがとう...二人とも...」

 

と多少上の空気味に礼を述べる。

いつもの凛々しさが消えて、十代の少女のような表情を見せている美沙斗に二人は少し首を傾げるが、

 

「それで、話がそれてしまいましたが俺たちは何をすればいいんですか?」

 

と恭也が話を元に戻す。

それを受けた美沙斗は気を取り直したように今回の話を二人に語り始めた。

 

「実は...君たち二人に吾妻兄妹と接触し、そして香港警防が事態を収拾するまで二人をガードしてほしいんだよ」

 

「でも美沙斗さん、二人とも一流の暗殺者なんですよね?それにガードの理由もいまいち俺には分かりかねます」

 

「...二人とも好きでそうなったわけではない、ってことですかね?」

 

恭也の疑問に答えてみせるイチ。

その言葉に美沙斗は軽く頷き、続きを話し始める。

 

「そのとおりだよ、イチ君。エレンさんのほうは何処かから買われてきて暗殺者としての教育を受け、そして兄のほうの玲二君の教育もしたらしい。彼のほうはそれまでは普通の学生だったらしい。たまたま暗殺の現場に居合わせ、そして自分に関する記憶だけを消されていたようだ。脱走する少し前に記憶を取り戻し、そして二人を教育した男の組織に対する裏切り行為によって殺されかけていたエレンさんをつれて逃げてきた、というわけだ」

 

「...そうするより生きる術が二人ともなかった、というわけですか...」

 

「ああ、もっともエレンさんのほうは“それしか知らなかった”というほうが正しいみたいだね。そして玲二君によって自我が芽生え始め、今に至る」

 

それを聞いた恭也は沈痛な表情で押し黙ってしまう。

対照的にイチは多少微笑みながら目を閉じる。

そして顔を上げた二人は声をそろえて同じ台詞を口にした。

 

「「喜んで、頼まれますよ」」

 

 

 

 

 

 

 

 

美沙斗が恭也とイチにすべてを話している頃、玲二は電話をかけていた。

本当なら自分たちの『両親』が出るはずの番号なのだが、今日に限ってはこれで帰宅してから三度目になる。

 

「......どうしたの?」

 

さっきからもの言いたげだったエレンがついに口を開いて訊いてきた。

気が進まないといった表情を浮かべながら、それでも説明しないわけにもいかず、重い口を開く玲二。

 

「俺たちの“両親”が、応答しない......フゥさんと連絡、とれるか?何が起こってるのか」

 

そういって受話器を差し出す玲二。

それを黙って受け取ると、エレンは淀みなくナンバーを押し、そして流暢な広東語で話し始める。

エレンは他にもドイツ語とロシア語を操る。彼らの逃亡生活において、なくてはならない能力だった。

やがてエレンは沈鬱な面持ちで受話器をおくと、

 

「フゥは死んだそうよ」

 

と短く告げた。

玲二が言葉もなく黙っていると、

 

「得体の知れない連中が押しかけてきて、私たちのこと何もかも白状させたんですって」

 

と玲二の聞きたくないことを告げる。

 

「.........インフェルノか......それにしてもまさか香港警防の隊員にまでてをだすとは...」

 

「...おそらくマスターが単独で動いているのでしょう。昼間の話も警告みたいだし、それならば組織で動いているとか考えにくいわ」

 

そういいながらもエレンはどこか納得のいっていない表情だった。

 

「でもいくらマスターとはいえ、どうして警告なんか...」

 

「彼女が俺のことを恨んでるからさ。簡単に済ましやしない。狩り立てて、追いつめて、散々なぶりものにしてから殺す......あれはサイスではなく、彼女個人からのそういう意思表示なんだろうな」

 

「......誰、か...聞いていいかしら?」

 

少々遠慮がちに、いいにくそうにするエレンをみて、玲二は少し驚いたような表情を浮かべると、ゆっくりと打ち明ける。

 

「俺が護ると誓って、必ず帰ると約束して......なのに一人ぼっちで殺された子がいた。彼女はその子の亡霊だ」

 

「その娘が生き延びて、マスターが教育を施した、ってこと?」

 

「俺を恨んでいるのは当然だ。彼女の人生を無茶苦茶にしてしまったことに、かわりはないんだから」

 

悲痛な表情の玲二を辛そうに見ながらエレンは

 

「逃げないとね」

 

と一言呟いた。

玲二は黙って頷く。

 

「計画は?」

 

「東北からロシアに逃れるルートに以前から目星はつけてあるわ。準備にどれくらいかかるかはまだはっきりとは判らないけど...」

 

「......ここは日本だ。やつらもそう思い切った行動はできないはずだ。本格的な行動を開始される前に、出国の準備を済ませてしまおう」

 

「わかったわ」

 

玲二はエレンの返事を聞くや否や、部屋中に施しておいた隠しスペースから装備を取り出していく。

 

「明日からは丸腰で出歩かないほうがいい」

 

そういって玲二はエレンに彼女の愛用の銃、9mm口径のオートマチックを投げ渡した。

 

「......そうね」

 

エレンはそういって投げ渡されたオートマチックをスカートの中に隠す。

玲二は迷った結果、最強のオートマチック、デザートイーグルを手に取ると、腰の後ろに手挟む。

 

(しかし...いずれ決着はつけないといけないな。たとえそれがどんな結果にせよ...エレンのためにも!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それじゃあ私は情報収集で暫く身を隠して行動するよ。でも本当にいいのかい?二人に任せてしまって...」

 

昨晩三人で話し合った結果、戦力的にもやはり美沙斗は弓華と本隊での情報収集と、インフェルノ組織に対抗するための戦力になったほうがいいと恭也が言い出し、イチも賛同した。

美沙斗本人は、二人に頼りきりになってしまうと拒んだのだが、最終的に折れて、渋々ながらも承諾した。

 

「いいんですよ、美沙斗さん。正直言って俺一人では厳しかったかもしれませんけど、今回はイチもいますし」

 

「まあなんとかやってみますよ。美沙斗さんは美沙斗さんで頑張ってもらわないといけませんしね」

 

そういって微笑むイチに、美沙斗も微笑み返す。

熟年のカップルのような雰囲気に、恭也と、今まで黙っていた美由希が少し不満そうな顔をして二人を見る。

恭也の視線の意図に気付いたイチは

 

「ああ、そういえば恭也の初恋って美沙斗さんだったんだっけ?」

 

と意地の悪い笑みを浮かべる。

不意を疲れて思わず赤くなる恭也は、

 

「な!そ、それは関係ないだろう!」

 

とどもりながら不満を口にする。

そんな慌てた恭也を物珍しげにみる家族一同。

そんな視線に晒されてますます居心地悪そうな恭也に、なぜか美沙斗が追い討ちをかける。

 

「へぇ、それは知らなかったな。うれしいよ、恭也」

 

優しげな微笑を満面に浮かべる美沙斗。

誰もが見惚れるその微笑の裏に、きちんとイチの冗談に乗っかっている意地の悪さが隠れているなどと誰が思うだろう。

完璧な芝居でしんみりとしそうになったその場の空気を和ませたイチと美沙斗は、示し合わせたようにまた微笑みあう。

それに気付いていた恭也もそれに合わせていたのだが、実はイチの言葉が真実だっただけに慌てていたのは完全に素だった。

 

「名残惜しいかもしれないけどそろそろ行かないと...あなた達も学校でしょ?」

 

「そうですね。皆を遅刻させるわけにもいかないし、休暇は取り消しになりましたから、落ち着いたらまた改めて長期休暇もらってくるから、ね?美由希、しばらくまた、留守をたのんだよ」

 

「うん!まかせといて、かあさん......ってなんで恭ちゃんそんなに複雑そうな顔してるの?」

 

「いや、別になんでもないぞ」

 

「絶対なにか言いたそうな顔してた!」

 

「言いたそうな顔をしていただけで、別に何も言ってなどいない」

 

そんな二人のやり取りを楽しそうに見ていた美沙斗。

結局その後も暫く話し込んでしまった恭也たちは学校に遅刻してしまい、結局イチがホームルーム開始ぎりぎりでブリジットと早苗に根回しして放課後に呼び出してもらうよう手配したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「イチ、吾妻さんつれてきたよ〜!」「狼村先輩、吾妻玲二を連れてまいりました〜」

 

なぜか競うようにして屋上に上がってきた二人はブリジットと早苗。

それぞれ後ろに吾妻エレンと吾妻玲二を従えている。

 

「二人とも、ありがとうね。ちょっと話したらすぐに追いつくから先に翠屋にいっててくれるかな?好きなもの頼んでおいていいから、ね?」

 

「おい、イチ。お前が二人分というのは不公平だろう。え〜と、久保田さん、でしたね。貴方の分は俺に奢らせてください」

 

そういいながら二人で軽く微笑むと、微笑みかけられた本人たちは顔を赤くしながら首肯して吾妻兄妹を前に押しやると、

 

「「それじゃ、まってまーす!」」

 

といいながら屋上をあとにした。

あとに残された四人は暫く何をするわけでもなく黙って向かい合う。

やがて痺れを切らしたのは、自分たちが呼び出された理由がわからない玲二たちだった。

 

「あの、高町先輩と狼村先輩、ですよね?僕たちになにか御用ですか?」

 

とりあえず当たり障りのないところから切り込んでみる玲二。

エレンは一歩引いて兄に任せている、といったスタンスだ。

 

「実はな...」

 

恭也が一歩前に出る形をとって口を開いた。

 

「君たちの素性は、もうすでに知っている」

 

いきなり核心を突いてくる恭也に、さすがの玲二とエレンも驚きを隠せない。

二人がそれぞれ腰の後ろとスカートの中に手を入れようとするのを見た恭也は、それを軽く手を上げて制する。

 

「勘違いしないでくれ。俺は香港警防の関係者だ」

 

「...それで、私たちに何の用かしら?」

 

一瞬にして不安げに玲二の後ろに隠れるようにしていたエレンが、冷たい雰囲気の少女に変わる。

その空気のあまりの変化に恭也は一瞬、軽く目を見張ったが、すぐに気を取り直すと

 

「調べはついているのだろうが、俺の叔母は香港警防四番隊の隊長だ。その叔母から頼まれてな、今回の件、香港警防としても黙っているわけにはいかないらしい」

 

「...それで、貴方は俺たちを消しに来た、ということか?」

 

エレンに続いて玲二まで刺々しい雰囲気空気を纏う。

そんな敵対心剥き出しな二人に、恭也は軽く苦笑いを浮かべると、

 

「いや、その逆だ」

 

と短く告げる。

恭也の言葉に二人はあっけに取られたような表情を浮かべる。

 

「俺は今回の件が片付くまで、君たち二人の監視、及び護衛と協力を頼まれた。一度助けたからには最後まで、ということなのだろう」

 

「...ちょっとまってくれ!今回の件って...なにがどうなっているのか貴方にはわかるのか!?教えてくれ!」

 

「今回の件、どうやら君たちを暗殺者に仕込んだ男の単独行動らしい。どうやら君たちの抹殺という大義名分でなにか日本でやるつもりなのだろう。香港警防はインフェルノの方を相手にするために戦力を割いた。そして単独で動いているらしいこちらを、俺たちに頼んでいった、というわけだ」

 

恭也から簡単な説明を聞いた玲二とエレンは、まるでパズルのピースがすべてはまった時のようにしっくりといった感覚を味わった。

 

「これですべて画点がいったわ。マスターは梧桐組相手になにかするつもりね。もしくはなにか新たな実験のテスト...」

 

そういってエレンは玲二を見る。

その目は、すべての判断を玲二に委ねる、といった視線を送っていた。

それを受けた玲二は、暫く考えた結果、

 

「監視と護衛については納得がいった。ただ、貴方は“協力”とも言っている。それはどういう意味なんだ?」

 

と、先ほどから一番気にかかっていた事を指摘する。

たしかに監視と護衛は香港警防との利害のも一致している。

しかし協力というのがいったい何に対するものなのか、ということを明確にしておきたい。

そんな心境からの玲二の質問は、結果として新たな波紋を投げかけることになる。

 

「ああ、それは香港警防とは関係なく、俺たちの個人的なお節介だ」

 

「...お節介?」

 

「ああ...つまりな、今回の件がそのマスターと呼ばれる男の単独行動だというなら、組織事態は君たち二人の事をそれほど重視していないということなのだろう。その男が動くまで追っ手も殆どなかったことからもそれは判るだろう?」

 

恭也の言葉に、確かに二人も思い当たるところはあった。

たしかに、死んだと思われていた所為もあったのだろうが、追っ手は殆どなかった。

今まで各地を転々としていたのも、念を押している面が強かった。

日本に到達するまでの数回は、もはや決まりごとのようになっていたからというだけだったし、実際にその頃は、もう追っ手もなかった。

それがここ数日で目まぐるしく動いたことからみても、二人の追跡再会はサイスの独断とみるのが正しいのだろう。

いくらインフェルノといえど、香港警防と真っ向からやり合おうとは思わないはずだという点から見ても、今回の件は巧みに情報操作まで行われていることがわかる。

 

「...だったらどうだというの?」

 

押し出すようにして言葉を発したエレンに恭也は確信を伝える。

 

「だから...君たちにその気があるのなら...ここで、すべてを終わらせる手助けをしようと思い立った、ということだ」

 

その恭也の言葉に二人は息を飲む。

たしかにここでサイス・マスターを討てれば、あとは香港警防も動いているという事実からも自分たちの身の安全は保障されたも同然になる。

ここでサイス・マスターと、彼女を、討てれば...

二人がそれぞれの葛藤の中に身を置く中、恭也は言葉を続ける。

 

「とりあえず連絡が入るまでは、ぎりぎりになるまで日本に留まって貰う事になる。いざというときの逃走ルートも確保してあるからそちらも心配しなくていい。逃げ続けるというのならそれもいいだろう。戦って決着をつけるというのなら協力させてもらう。そういうことだ」

 

「...なんで......なんでそんなことがいえるんだ?」

 

搾り出すように出した玲二の声に、恭也は律儀に答える。

 

「幼少の頃、爆弾テロで父と叔母、そして今は妹となっている従妹以外が全滅した。数年前、父親も同じ最期を遂げた。だから君たちがマスターと呼ぶその男がここで、今の家族が暮らすここで何かするというのなら、俺は一人でもそれを止めてみせる......つまるところ、利害が一致した、といえないこともないわけだ」

 

最後のほうこそ多少冗談めかした部分があったが、その言葉に嘘がなかったことくらい、今の精神状態の二人にだってわかる。

だからこそ二人はなおも沈黙をまもっていた。

 

「まあ、すぐには決めなくてもいいんじゃない?いろいろあるだろうし」

 

今まで完全に沈黙していたイチが、初めて口を開く。

その口調はいつもと変わらず穏やかで、優しげだった。

その暖かい雰囲気に、思わずほっとしそうになる玲二とエレン。

 

「決まったら、休み時間に声をかけるか、放課後なら翠屋に来ればいるから...どちらにしようと返事は聞かせてね?」

 

イチはそういって微笑みかけると、すでに昇降口に向かって歩いていた恭也に続いた。

二人が吸い込まれるようにドアの奥に消えていくのを眺めていた二人は、やがてどちらともなく向かい合う。

 

「...どうするの?高町恭也は戦力としては期待してよさそうだけど、狼村という先輩のほうはよくわからないわ。逃げるほうがリスクは低いけど...」

 

口ではそういったエレンも、玲二の選ぶであろう答えはわかっていたらしい。

自分の言葉を終えることなく、玲二の言葉を待つことにした。

それを受けた玲二は

 

「少し...少しだけ、考えさせてくれ...」

 

とかすれた声で呟く。

それを聞き取ったエレンは

 

「下で、待ってるわ」

 

とだけ告げて、静かに屋上を後にした。

一人残された玲二は、オレンジ色になり始めてきた空を見つめながら呟く。

 

「わかっているさ、このままじゃ駄目だって事くらい。でも......」

 

そう呟く玲二の頭の中では、たしかにあのライダーと、かつて必ず帰ると約束を交わしたあの無邪気な少女が重なっていた。

 

 

 

 

 


あとがき

 

ただいま帰りました〜

SS書き三昧とか言っておきながら、実際は忙しくてそれどころではなく、

おまけにネット環境がないゆえに更新も出来ない状態が一週間

その期間がようやく過ぎ、なんとか16話をお届けするまでこぎつけましたw

ようやく接触した暗殺者と守護者

なんかどっちつかずも一人いますが、気にしないでおいてくださいw

ここから先は、どんどんオリジナルです

キャラを壊さないように頑張りますので、引き続きお付き合いください

それではまた

    

    





遂に接触をした二人。
美姫 「それにしても、ここ海鳴で一体、何をしようとしているのかしら」
さあ?
でも、良いことではないだろうな。
美姫 「あー、続きが気になるわね」
次回も楽しみだ〜。
美姫 「それじゃあ、次回を待ってますね〜」
ではでは。



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