『聖りりかる』









序章 天 〜この宇宙の果てで〜



 虚なる闇が、流れて移ろう。


 神剣宇宙の静かな流転。


 紺碧の静寂に漂う、虹綺の輝き。


 その底を見せる事を拒むかに思わせるほどに暗い、昏い、闇の中。 星に見紛わんばかりの煌めきを放つそれらは、しかし星ではない。



 それは『樹』



 全ての世界の根幹を成す、大いなる存在……その名を『時間樹』

 大系世界(えだ)の剪定(しゅうせい)、新たな世界(は)の創造、枯れた世界(くちば)の吸収……全ての作業を己で成し遂げ、時間樹を維持し続ける。

 一つの『永遠』を手にした時間樹の目的は自身の維持以外には無く、その無欲もまた彼の永遠性を助長させる要因となっている事は明白か。

 その永遠を内包する時間樹の光は綺羅星の如き輝きをもって、虚無の空間を煌々と照らし続ける。




その輝ける虚空の中を流れる様に進む一つの集団があった。
否、集団と呼べる程に数は多くない。精々が3、4といった所だろうか。

虚無の空間に樹々が立ち並ぶ中、それらは人間の形を成して飛翔を続ける。

闇と煌めきだけが辺りを包む中、人型の存在というモノは酷く浮いて見える。
だがしかし、その一団が浮いている事は勿論ながら、その中でも一際浮いた存在がいた。


男である。


4人連れでありながら、そこに男が1人しかいないのだ。
男女比1:3ならさして珍しい話でもないのだが、その比率がそのまま数に繋がるのであれば話は違って来る。通常であれば不和の原因となりうる異物として腫れものが如く扱われる筈だが、この集団はその男を中心として据えているのであろう、誰もが自然体でいた。
その集団は騒ぐでもなくはしゃぐでもなく、粛々と空間を進む。

 そんな中、一人の少女が不意に静寂を破りその口を開いた。







「飽きた」



木夏さんからの初投稿です。
美姫 「投稿ありがとうございます」
ジャンルはクロス作品との事。
美姫 「まだ序章で登場人物も分からないけれど、ここからどんな話になるのかしら」
非常に楽しみです。
美姫 「しかも、連投」
という訳で、気になる続きは。
美姫 「この後すぐ!」



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