恭也のハーレム伝説(in神咲家編)










第12話 朝陽







 道場の中に朝陽が入ってきた
 もう、朝なんだと分かる
 朝の新鮮で冷たい空気が入ってくる……俺はその様子をボーと見ていた
 理由は久々にされた頬へのキス
 俺の頭の中ではしないだろう2人にされてしまったのだ
 驚きこそすれ、どうしろとって所だったのだ
 あ〜会いずらいな……
 と、人の気配!!

「あれ、恭也くん、おはよう〜」

 朝早くに目が覚めて道場に現れたのは、雪乃さんだった
 その左手には木刀を持っている
 朝の鍛錬か?

「おはようございます」
「おはよう〜昨日は誰かお客さん来たみたいだね〜
 まぁ、私も目が覚めていこうとしたけど、恭也くんが居るしって事で起きなかったの」
「そうなんですか……まぁ、大丈夫ですよ」

 あの気配に気づいていたのか?
 さすがというべきだろうな……ま、長くいたし
 暴れてなくてもそれなりに気配があれば動いてしまうってのが剣士だ
 それに、俺も雪乃さんもどちらかと言えば似ている
 生粋の剣術を使う、暗殺を得意とするほうだ
 しかも剣だけの闘いに置いて……

「ま、私は剣の練習だから気にしないでね〜ちょっと体動かそうかと思って……
 毎日の日課だけどね〜♪」

 雪乃さんはそういうと軽い柔軟をして剣の型をしている
 何千、何万と繰り返しているだろうその姿は綺麗だ

「恭也くんの剣術って、御神流だよね」
「ええ……」
「じゃあ、御神一刀流って分かる?」
「知らないですね」

 全く知らない名前……しかし、御神一刀流?
 どういうことだろう?

「私も口伝であるくらいしか知らない
 しかも、私のおばあちゃんから、先代の十六夜継承者
 そして、十六夜も知らない事実……過去神咲流は名前を改定した……
 その前の名前は……御神一刀流……すでに書籍などには載ってない、紛れもない事実」
「本当ですか?」
「恭也くんも可笑しいと気づいてない?
 私が使っていた剣術……その中の技に幾つか恭也くんが使うものと似ているものがあった
 それに、恭也くんが奥義之歩法というものがあるように、私たち一刀を使うものにもある……
 1つの技……歩法の奥義……『縮地』
 文字通りの技だけど、はっきり言えば、神速より踏み込みは早い
 ただ、それでも体の動きはそのままだから使い方次第……」
「なるほど……確かに貫や斬などを入れていた斬撃を受けていました
 なら、そういうことなのでしょうね」
「これは誰にも言わないでね……私だけが覚えておく
 私以上だと思える使い手が現れたら、私はその人にこのことを教える
 本当の口伝だから……」

 なるほど、強い者にその宿命を背負わせるというわけか……
 確かにそれなら納得できる
 しかし、御神に一刀流が存在するとは
 確かに小太刀二刀があるのだから、他にもあって可笑しくない
 そして、八門というように他の門があってもおかしくないわけだ

「さてと、恭也くん、一応朝ご飯はお手伝いの人が来て作ってくれるって」
「そうですか……」
「昨日はごめんね……私、もっと料理上手くなるよ」
「頑張ってください」
「ありがとう……恭也くんに美味しい御飯食べてほしいもんね」

 そう言って、剣の型を止める
 と、今度は呼吸を整えている

「一度だけ見せてあげる……今の私の体で持って数秒の世界を……
 神速の世界で見ていたら分かる……奥義『縮地』を……」
「いいのですか?」
「一度だけね……神速を見せてもらったお礼」
「分かりました」
「行くよ!!」

 目だけは神速の状態で体に負担なく、彼女が俺に近づくのがわかる
 正直な話、速い!!
 その速さは多分神速以上……でも、踏み込みだけだな

「はぁ〜〜」

 彼女は俺の前で立ち止まり、ふぅとため息をつく
 疲れもあるだろう……それに足の負担は計り知れない
 床板がきしきしと音を立てている
 何て言うか、凄い状態だ……まさか音を立てるほどとは

「凄いですね」
「ま、これが神咲の裏だよ……一刀、一灯、そして……壱刀
 過去からあった、暗殺だけを目標としていた剣術だよ
 不破家の伝わるものと同じだよ」
「御神は裏がありましたけど、それは不破だけでしたからね」
「最強の御神、護るために育てた裏の不破……なんとも理不尽でありながら
 その力は2つの龍より強いだろうね」
「そんなことないですよ」

 雪乃さんは笑うと俺の頭をくしゃっと撫でる

「恭也くんは謙虚なんだね〜
 ま、私はそれでもいいけど、もっと自信もっていいよ……
 未完成の剣士とか言ってるけど、恭也くんの実力は私が保証するよ」

 いきなり言われて、俺は少し面食らう
 でも、彼女に言われて少し嬉しいと思う……それは、俺が……

「でも、俺の膝は……過去に」
「恭也くん、人はね、いつか壊れる部分を持っている
 ただ恭也くんはそれが早かっただけだよ……私は、もうすぐだろうね」
「雪乃さん?」
「あ、ごめん、なんでもない」

 さっきのは途中から語尾が小さくなっていった
 何かひっかかりを覚える……ただ、彼女と俺には似ている点があるのだろうな
 まぁ、考えていても分からない事だらけだが……
 と、俺たちが話しているところに誰か来た
 俺には分からない女性だった
 ただ、雰囲気が……

「どうも、お手伝いの橘つばめです
 えっと、朝ご飯できましたので、呼びに参りました〜」
「おはようございます……でわ、私は先にお風呂に入りますので……
 恭也くんをお願いしますね」
「はい♪でわ、お待ちしていますね」
「いえ、シャワーで早めに済ますけど、少し時間かかるかもしれないから」
「まぁまぁ、彼かっこいいから〜」

 雪乃さんの目が笑ってない
 しかし、この橘さん……何か懐かしい感じが……
 はっきりとした感覚ではないので分からないのだが……多分

「とりあえず、行きます……もし手を出したら剣のさびにしてあげるから」
「しませんよ……私はね♪」

 そう言って、お互いに台所の方へ
 何故に台所!!

「あれ、雪乃さんは何でこちらに?」
「あ〜私は単なる部屋に戻るためにだよ」

 そう言って、本当に部屋へと戻った
 しかし、雪乃さんって過去から体の体型変わらなかったんだなぁ
 今更ながら驚きだな……しかし、あの雪乃さんの表情は……悲しみとか辛さだったな

「と、高町恭也くんだよね……よろしくね」
「はぁ、よろしくお願いします、夏織さん」
「ばれてるの?」
「ま、何度もあってれば雰囲気とかが……」
「大分変えたと思ったのになぁ……分かるんだ」
「嬉しそうですね」
「まぁね、実の息子が気づいてくれて嬉しくない母親は居ないよ
 でも、今日は助かった〜私も料理ってあまり得意じゃないのだけど
 葉弓さんと薫さんが手伝ってくれたんだ〜♪」
「それは、また……迷惑をかける母親だな」
「もう、そう怒らないでよ……みんなには知らせないでね」
「もちろん……で、今は誰の護衛なんだ?」
「秘密よ……じゃあ、後で」

 先に歩きだした……さすが母さんというべきなのだろう
 あの変装であれば、ばれないだろう
 相当な熟練者でないと……ま、化粧落ちた顔を知らない俺にとってはすっぴんを見てみたいものだが
 父さんがはじめに結婚した相手って気になるし
 父さんがロリかどうか!?
 これは息子として気になるし……
 かあさんを見ていると本当に気になってしまうし……しかも俺に言ったあの言葉
 光源氏計画なる言葉……俺もあの本は読んだが……
 父さんの話を考えると……恐ろしいものがあるな

「恭也くん、どうかしたの?」
「本当……大丈夫?」
「あ、すみません」

 近づいてくる気配に気づかなかったな……
 考え事していたからだろうな……

「さてと、恭也くん、朝餉だよ」

 そういって出された物を一生懸命に食べる
 というか、昨日食べれなかったし……これは大助かりだ

「ありがとうございます……頂きます」

 手を合わせてから食べ出したけど、みんなをゆっくりと食べ始めている
 俺の横に置かれたおひつから御飯をおわんに盛る
 これでまだ2杯目……時間あるし、ゆっくりと食べてはいるものの
 女性のそれに比べたら早くに食べてしまう

「そういえば、今朝方の朝陽って綺麗だったわね」
「そうじゃね……うちも見てたけど、ちょっと感動してたよ」
「私も朝は早くに目が覚めてしまって……で、外に出て朝陽を見てましたわ」
「確かに今朝は何か光が多かったみたいに綺麗でしたね」

 と、みんなで朝陽の話で盛り上がってしまった
 食べながらも、その綺麗さは自然の雄大さとすごさを物語るに十分で
 寝起きの悪い人にはわからないものだった……
 ただ、朝陽がとても綺麗で暖かだった

「で、一応、うちは昨日の客人から聞いたけど、葉弓も知ってるのやろ?」
「ええ、一応、考えていましたけど、この箱は……御神流のものですね
 いえ、正確には御神不破流ですね」
「御神不破流ということは俺の方ですね」
「ええ……私もあまり聞いていたわけでもありませんし
 そういうのは門外不出にするようなものです……だから、言っておきます
 その箱は過去へと戻すものです……イメージを忠実にこなす
 でも箱は人を選定します……その箱を使っても大丈夫な人かどうかを
 しかも同じ人が何度も使えるというわけでもないみたいですね……
 心悪しき人は無理なんだそうです
 ここまでが当代として調べられることです」
「そうですか……ありがとうございます」
「いえ、でも立ち入ったことをしてしまいまして、すみません」

 葉弓さんは俺の言葉に頭を深深と下げる
 長い艶やかな髪がサラサラと流れる……綺麗だな
 正直にそう思ってしまう……

「1つだけいえるのは……純粋であること
 そして、それが本人を周囲をよくするという事……
 多分、雪乃さんが過去の肉体、精神に戻ったのは、恭也さんと本気で闘いたかったから
 本当にそれだけだったと思うの……以前、言っていた
 『過去にすがっても駄目なのに、過去を思い起こしてしまう』
 そういうふうに……」

 葉弓さんが零した言葉は雪乃さんが過去に思ったことなのだろう
 何て言うか分かる気がする
 過去に戻り、あの出来事をしなければ……
 もっと早くに言うなれば……あの頃に戻れば……
 そんな風に……

「ま、朝ご飯も食べ終わったし……私は片付けします
 薫ちゃんはそろそろみんな起こしたら?」
「そうやね……あまり遅いのもよくないし」

 そう言って、二人はそれぞれの方向へと向かう
 多分、母さんが起こしに行くと思うのだけど……今は洗濯中らしいのだが
 どこに行ってるのだか?
 まさか美由希みたいな性能はないよな?多分
 ま、裏の人だし……美由希は或る意味で欠点ありだしな……

「葉弓さん!!雪乃さん!!恭也を襲うなんてうちも混ぜてください!!」

 家の中に響く薫さんの声
 声が響いてきっちり10秒後
 リビングのほうには身なりをきちっとした俺と
 着替えもせずに居る、雪乃さん以外の人……
 薫さんは葉弓さんと一緒に片付けをしている……3人分だから少ないけど
 そして……バスタオルで髪の毛を拭いて、シャツとズボンというラフな格好でいる雪乃さん

「あれ? どうかしたの?」
「い、いえ何でもないです」

 那美さんは雪乃さんに聞かれて慌てて答える
 顔が真っ赤な所から何か想像したのだろう……ただ、女性陣に言う事が1つ

「あの、那美さん、楓さん、髪の毛……酷いことなってますよ」
「「へ!?」」
「うわ、姉貴、すげぇ」
「楓さん、某サ○ヤ人みたいです」

 そして、急いで鏡のあるところまで行くと、2人はどたどたと洗面所まで走っていった
 賑やかな朝へとなるのだった……のんびりした時間は終わりかな?
 と、俺の後ろから幽鬼のような、とても暗い顔をした、一樹さんが居るのだった
 何て言うかくまも出来ていて、何か悲しそうだった

「おはよう、恭也どの」
「あ、おはようございます……和音さん」
「はぁ〜」

 和音さんが更に年取ったように見える
 多分、あれだな……色々あったんだな
 可愛そうに……というか、仕方ないだろうなぁ
 娘が若返ったんだし……ま、頑張ってって所だよな
 俺は若輩ものだし

「いただきま〜す」

 元気に食べ出している声がそこかしこから聞こえてきた
 俺はお茶を自分で飲みながら、新聞紙を見る
 一面の下の方に……HGSのちょっとした暴走事件があったと書かれていた
 しかし、真相はまだわかっておらず、他の可能性もあるとして、色々な見解がかかれている
 何かひっかかりのある事件だった……








 つづく〜








 あとがき
 ふわ〜寝むた
 シオン「というか、眠たいよね〜」
 ゆうひ「うちも〜」
 全く、無駄な魔力とか体力使うからだろうが……
 シオン「いつか殺す」
 ゆうひ「ほんまによ……」
 全く、君らにとっては自分は神なんだよ……創造主なんだよ
 シオン「でも、いつか殺す」
 ゆうひ「子供たちは父親を殺して大きくなるんだよ」
 いや、それは絶対に違うから……
 シオン「まぁ、冗談はさておき……でたね、12話」
 ああ
 ゆうひ「で、どうなの? 新聞紙とか色々だしてるけど」
 ま、これからが神咲家本番みたいな♪
 シオン「嘘ね」
 いや、事実だって
 ゆうひ「単に決まっていたネタね」
 う〜いじめだよ〜
 シオン「というか、本番って雪乃さん若返りじゃないの?」
 違うよ〜
 ゆうひ「じゃあ、何で……」
 もう、いいもん……何も教えないんだから〜〜
 シオン「いや、すでに20代の男がそんな言葉使いされてもきしょいだけだから」
 ま、そりゃそうだ……でも、教えないぞ
 ゆうひ「ま、仕方ないよ……楽しみにしておこう」
 シオン「そうね」
 ゆうひ「でわ、また〜」
 ほなね〜(^^)ノシ



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