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「スールかぁ・・・どうしよう」
あの朝の出来事から色々考えてはいたものの、千鶴の中ではどうしようもないほどこの問題は重大しすぎて答えが出て来ないの状態であった。
「どうしたの?千鶴さん」
「あっ、美弥さんごきげんよう・・・」
美弥さん事『香月美弥さん』は中等部では生徒会長をしていただけあって面倒見があり生徒を大事にする為よく先生と対立する事もあった。
その為、千鶴たち同学年は勿論下級生達にもとても人気が有る女性なのだ。
その美弥さんとは何故だか千鶴は仲がよく、色々中等部時代には遊びに行ったり相談とか気軽に出来る仲であった。
「ごきげんよう、それでどうしたの考え事して」
「それがね・・・あっ、美弥さんは瞳子さまの話って勿論知ってるでしょ?」
「ええ、知ってるわ・・・それがどうしたの?」
「え〜と、美弥さんは瞳子さまの事どう思ってるのかなぁ〜と思って・・・」
美弥さんは少し考えるしぐさをし、腕を前に組むとはっきりとこう言ったのだ。
「瞳子さまは山百合会の方だけあって凄く頼りになる方よ、でも、わたしは瞳子さまより乃梨子さまの方が好きよ」
「それじゃ、瞳子さまのスールには興味ないの?」
「興味が無いと言ったら嘘になるけど、それほどわたしにとっては重大な事じゃないわ」
あまりにもはっきり答えたものだから、千鶴は暫くの間固まってしまったのだ。
「・・・そっか、美弥さんは乃梨子さま派なんだね」
思わず千鶴がホッと息をついたのをめざとく見つけると、彼女(美弥さん)には似合わないほど口元が緩んだのだ。
「何々、さっきの質問と最初のスールって関係があるの?」
「えっと、その」
急に美弥さんの顔が近付き吃驚する千鶴であったが、興味津々の美弥さんはそんな事には気にせず千鶴に近付いて行ったのだ。
「ちょっと、美弥さん話すから離れて〜」
押し戻すように美弥さんを離れさせると、彼女を席に座らせ話せる体勢にしたのであった。
ちなみに千鶴と美弥さんの席は隣同士である。
席に押し戻された美弥さんは少しばかり頬を膨らませて抗議の目をしていたけれど、あまりにも近ずくものだからいくら同姓と言ってもドキドキしてしまうものなのだ。
千鶴は「はぁ〜」と深呼吸をすると美弥さんに朝の出来事を話し始めたのだ。
全てを話し終えると、千鶴は美弥さんの意見を聞く姿勢をとっていた。
「なるほどね、だからあそこまでしつこく質問していたのね」
「うん、だってわたしたちの間では瞳子さまのスールは美弥さんか・・・」
「深山佐々江さんって噂よね」
「ええ・・・」
「あいにくさっき話した通りわたしは乃梨子さまだし、佐々江さんだって実はもう好きなお姉さまがいるのよ」
「えっ、そうなんだ・・・」
「だから、わたし達に気にせず瞳子さまに返事したらいいのに」
「でも、まだ良く分からないの・・・このまま返事していいのか・・・」
「確かにそうよね、相手は何と言ってもロサ・キネンシス・アン・ブゥトンだしね」
ニコニコしながら答える美弥さんに千鶴は眉をしかめ「なんだか、美弥さん楽しそうね・・・」と聞くと。
「だって、千鶴さんがもし瞳子さまのスールになったらわたしも乃梨子さまとお話しが出来るかもしれないじゃない♪」
と、答えたのだ。
「リリアン中等部生徒会長ともあろう方が、こんな性格だったなんて下級生に知られたらどうなることやら・・・」
溜め息交じりで答えると。
「いいじゃない、わたしも皆と同じようにお姉さま『乃梨子さま限定』に興味のある『可愛い』一年生なのよ」
「なんだか、凄く強調している単語がいくつかあったような・・・」
呆れ顔の千鶴に美弥さんは、少し真剣な表情をすると。
「でもね・・・こればっかりはわたしが判断するより千鶴さん、あなた自身が決めないといけない事だと思うからしっかり悩んで答えを出しなさい」
そう言うと、丁度始業ベルが鳴り話しを中断して美弥さんは自分の席に着いたのだ。
「確かに、自分で考えないと駄目だよね・・・」
千鶴はそう固く心に誓うと授業に向かうのであった。
いかかでしたか?第三章 第二話お贈りしました〜♪
新キャラクター『香月美弥』も登場し、ますます話しがややこしくなる展開になるかもしれない(ライバルじゃないけどね・・・)千鶴編です。
彼女が、どう話しに係わってくるのか・・・もしくは何も係わらず終ってしまうキャラなのか・・・こうご期待!!・・・(何て^^;
千鶴編はまだまだ始まったばかり・・・先が長いですぅ・・・
でも頑張って、第三章を書き上げ最終章の第四章まで書きますのでそれまで付き合ってくださいね♪
もしかしたら最終章の前に番外編由乃編か志摩子編を書こうかなぁ〜と画策中の卯月でした。
投稿ありがとう!
美姫 「千鶴ちゃんがどう悩み、どういう答えを出すのか。今から楽しみにね♪」
うんうん。若いうちは一杯悩むが良い。
それが糧となり、後々何かの役に立つじゃろうて…。
美姫 「急に何を血迷ったの?」
……コホン。
まあ、それは兎も角、番外編を検討中ですか。
美姫 「これは是非とも、お願いしないとね」
番外編、プリ〜〜〜ズ。
美姫 「私たちとしては、是非とも読んでみたいです」
うん。卯月さん、ファイト〜だよ〜。
ちーちゃんもガンバレ〜!
美姫 「では、次回も楽しみに待っています」
待ってま〜す。