『An unexpected excuse』

    〜魂魄妖夢編〜









「俺が、好きなのは…………」

水を打ったかの様な静けさが波紋の様に伝わり、静寂が広がった。

「俺が好きなのは………要るとだけ伝えよう」


「「「「「………えぇーーーーーーーーー!!」」」」」


FC+αが悲鳴を上げた。

「きょ、恭也!誰なの!恭也の好きな人って!?」

忍が慌てて尋ねた。

「さぁな、要るとは教えたが誰か、とは教えるるもりはないからな」

「じゃ、じゃあせめてそのひとのヒント!」

(言っても判らんと思うが………)

恭也は忍が何故そんな質問をするのか疑問に持ちつつ、それ位なら構わんだろうと思った。

「そうだな、その人は剣士であり庭師でもあるな」

恭也は忍の質問にそう答えた。

「剣士で………庭師………?」

忍がその言葉に難色を隠せず、恭也に尋ねた。

「ねぇ恭也、その人って誰なの?」

忍の問いに恭也はまたかと言う顔を作ると、

「だから、誰かとは教えるつもりは「恭也!!」無いって、ん?」

恭也は後ろからかけられた声に振り返った。

「………よ、妖夢………か?」

妖夢と呼ばれた少女は恭也の元に駆け寄った来た。

「恭也、久しぶりですね」

「ほ、本当に妖夢なのか?」

「私以外、他に誰がいるのですか」

「だ、だがいったいどうやってコッチに来たんだ?」

「………紫様に境界を弄ってもらって来れたんです」

どこか鬱な表情で妖夢が言った。

「紫様に?あの方はそう言う事は余りやらなかった様な気がしなくも無いのだが………」

恭也は過去の苦い記憶を引きずり出しながら言った。

「………………恭也はあの方達が宴会を良くするのは知ってますよね………」

「っ!………あぁ」

恭也は余程嫌な事があったのか壮絶な苦虫を潰した顔で言った。

「そこで幻想郷に新聞を配っている烏天狗がいるんですが、その宴会時に酔わされ洗いざらいの事を喋らされました………」

そのことを思い出してるのか妖夢の顔はなんとも言えない表情をしていた。

「その時のことは余り覚えていないのですが、何故か幽々子様の寝坊と霊魂案内等他の仕事がやり易くなった気がするのですが………」

妖夢はとても不思議そうな表情を浮かべていた。

「ですが、恭也とあった時のことなども話していた様で、」

妖夢が頬を薄く朱に染めて話した。

「その時、恭也に会いたいと、言っていた、みたいです」

恭也はそう言われ妖夢と同じく頬を染めた。

「そ、そうか、それで?」

恭也は傍から見れば大して変わってないように見えるが、親しいものから見ればとても嬉しそうな表情をしていた。

「そしたら紫様が―――

―――妖夢の初恋、私が成就させて上げるわ!!―――

―――と言って境界を弄ってコッチに来れるようにしてくれたんです」

その時のことを思い出しながら妖夢は話した。

「そうか、紫様が………」

恭也は昔あったことのあるゴシック調の洋装に身を包んだ女性に心の中で感謝の弁を述べた。


(別にいいわよ〜、恭也が来てくれたらさらに面白い事が起こりそうだし〜♪)


ゾクッ!

突如聞こえる筈の無い声を聞いて恭也は辺り見渡した。

「?恭也、どうしたんですか?」

「いや、今突然紫様の声が聞こえた様な………」

「そ、そうですか(汗  紫様なら有り得なくは無い話ですね………」

妖夢は恭也の言葉に同感を示した。

「あっ、そう言えば恭也、そちらの方達は?」

妖夢は今まで放置されていたFC+αのことを恭也に尋ねた。

「あ、そうだったな。忍こちら昔ちょっとした事で知り合った、魂魄妖夢だ」

「妖夢、こっちは俺の同級生の月村忍で妹のような物の高町美由希でその友人の神咲那美さんだ」

恭也は自分の知り合いを簡潔に紹介した。

「はじめまして、魂魄妖夢です、………?」

妖夢は恭也の紹介に疑問に持った物があった。

「恭也、高町って………」

「あぁ、とーさんが結婚したから俺の姓も自動的に変わったんだ」

「あぁ、なるほどそれで士郎さん、でしたか?は今どうしたんですか?」

「………………とーさんは、テロにあって、………………」

「そうでしたか、それじゃああの方が士郎さんでしたか」

妖夢はさらりと問題的発言をした。

「はっ?よ、妖夢、今、何て?」

「えっ?あぁ、私が道案内をしている時、一つだけ輝きが違った魂があって、「はなせー!俺は帰るんだー!桃子ー!」と叫んで暴れてたんですよ」

恭也は向こうに逝って尚他人に迷惑をかける父に頭を悩ました。

(とーさん、元気なのはいいが人様にはあれ程迷惑をかけるなと………)

「そういえば恭也は此処で何をしてるんです」

妖夢は恭也に尋ねた。

「あぁそれは………………」

恭也は妖夢にこれまでの経緯を話した。

「ふ〜ん、で恭也は誰が好きなんですか?」

妖夢は恭也に落ち着いて尋ねた。

「………判ってて聞いてないか?」

「さぁ♪」

妖夢はご機嫌で恭也に尋ねた。

「(ふうっ)妖夢以外に要る訳ないだろ」

「ふふふっ♪、女性とは判っていても聞く物らしいですよ?」

妖夢は実に楽しげに言った。

「じゃあ、あの時の誓い、覚えてますか?」

「勿論だ、忘れるわけが無い」

そう言って恭也はどこからか刀を取り出した。

対する妖夢も刀を出した。

そしてお互いの刀を交換した。

「ふふっ、やはり覚えてましたね」

「当たり前だ、お互い再開の印として、お互いの刀を交換する、だろ?」

そして、妖夢は静かに涙を流した。

「よ、妖夢?」

「長かった、あなたともう一度こうして会いたかった、話がしたかった………もしかしたらもう二度と会えないかと思った………」

「妖夢………」

恭也はゆっくりとした動作で妖夢を抱きしめた。

「きょ、恭也?」

「妖夢、俺と………俺と共にこれからを過ごしてくれないか………?」

恭也は安心させるように抱きしめながら言った。

「………ッ、………はい、喜んで」













――――――なぁ、恭也………――――――





――――――なんだ?妖夢――――――





――――――再開の印としてお互いの刀を交換しませんか?――――――




――――――いいぞ――――――




――――――そして、その時こそ………決着を(そして、伝えたかった………気持ちを………)――――――










「好きです、恭也………」


「あぁ、俺もだ妖夢、俺もお前が好きだ」


















<おわり>





あとがきと懺悔

どうも堕神刹那です。
今回は初のと言うかAn unexpected excuseシリーズのなかでまったく無いと言って良いほどの東方とのクロス物です。
正直言ってコレは殆どノリで書き始めたものでどうしようか試行錯誤を繰り返しながら今の作品に落ち着きました。
何と言うかホント妖夢好きです、何と言うか、例えばみょんな事とか、それはみょんですねぇとか………。
後この妖夢はかなりオリが混じってます、幽霊案内などは文花帖等であったのでそれを使わせていただきました。
純な妖夢好きな方々、妖夢を汚されたと思う方は申し訳ありません、自分の文才が無いばかりで。
因みにこれは恭也が士郎との修行時代、士郎のミスで向こう側に逝ってしまったと言う話です。
あっそんなこんなでお時間のようです、では、今回はこの辺で、次回また読んで下されば幸いです。
またお会いしましょう、さようなら。





東方とのクロス。
美姫 「東方は知らないけれど、送られてくる作品を見ていると面白そうよね」
だな。やはり一度はやるべきだろうか。
美姫 「刀の交換」
いやー、剣士にとって大事なものを交換か。
何か良いな。
美姫 「うんうん。投稿ありがとうございました〜」
ございました。



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