KanonSS





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前編の続きです♪







『佐祐理は、お姉さん♪』後編








「此処です……」

 もう春だと言うのに風が冷たい
 やはり北の街だ……そんなことを考えながらドアを開ける

「ただいま」
「お邪魔します」
「おかえりなさい……それといらっしゃい」

 秋子さんが迎えてくれて……俺は頷く
 制服を脱ぐために俺は部屋へと戻った
 もう7時を過ぎていたけど、あゆと名雪は遅いよ〜とか言いながら待っていた
 佐祐理さんが居るし、舞も着ていた

「舞、久しぶりだな」
「祐一、ごめん」
「ま、ちゃんと分かってるならいいよ」
「ごめん」

 舞は謝っていた……それが何に対してか分かってないあゆと名雪は首をかしげていた

「それじゃあ、ご飯にしながらでいいですか?」
「すみません、おなかすいてるもので」
「では、食べながらにしましょう」

 そして、「いただきます」とそれぞれに言って、ご飯を食べる
 佐祐理さんもおなかすいていたのか、食べることを先にするみたいだ
 俺はその佐祐理さんに先に釘を刺しておいた

「名雪が9時ごろからすぐに眠そうな顔しますから……
 その前に話しておいたほうがいいですよ」
「そうですか……でわ、話しますね」

 そして、佐祐理さんは話し始めた

「名雪さん、あゆさん、祐一さんに奢ってと頼むの止めて下さい」
「何でだよ、祐一が悪いことするから」
「そうだよ……」

 秋子さんが頬に手をあてて、いつものポーズをしている
 舞は食べることに専念している……秋子さんの料理美味しいから
 あゆと名雪が少し怒っている事以外普通だな……

「じゃあ、1つ言いますが……名雪さんは祐一さんにお礼を言ったことありますか?」
「何でお礼なんか……」
「祐一さんに毎朝起こしてもらっておいて、お礼も無しじゃ可愛そうです」
「で、でも、起こし方悪いもん」

 佐祐理さんは名雪の反撃に動じることなかった
 名雪のことはすぐにスルーしていた

「あゆさんもちょっといじめられたからとかいって、すぐに奢ってと頼るのはよくないですよ」
「で、でも、祐一君が……」
「じゃあ、あゆさんは祐一さんに嫌われてもいいんですか?
 佐祐理は別に構いませんが……」
「う、うぐぅ!!」

 あゆが切羽詰ったように俺を見る
 というか、俺を見ても変わらないぞ……

「で、でも、祐一がいじめるから」
「そ、そうだよ!」
「では、名雪さんは祐一さんにお礼せずに、いじめられた分だけで奢ってもらってますか?
 違いますよね……佐祐理たちの前でも奢ってと言って、お代わりまでしてましたよね」
「イチゴサンデー美味しいから」
「それは関係ないはずです……だから、祐一さんの……」
「それを言ったら佐祐理さんたちだって……」

 あゆが反撃とばかりに佐祐理さんと舞にたてつこうとする
 しかし、この時予想しなかったことが起きた

「……私は、もう祐一に奢ってもらわない
 それに、バイトもするから祐一と会った時に奢ってもらうことも無い
 佐祐理も同じ……今日はみんなの説得するって佐祐理が言い出した……祐一の世話になったからって」

 へ〜舞には相談してたんだ……ま、分からなくもないけど
 おかずを口に運びながら俺は見回すと秋子さんがこめかみを抑えていた

「ふ〜、とりあえず話しの全容はわかりました……」

 秋子さんが口を開けていった言葉は最初それだった

「で、祐一さん……名雪たちがどのようにして祐一さんを奢らせていたのか教えてくれませんか?」

 佐祐理さんの話だけでは納得できない部分もあるのだろう
 それについては俺から話すのが筋だろう……
 俺は今までの名雪たちがしてきたことを話した
 おれんじ色のじゃむのことも話した……そして、どういうことで奢ってと言うかも……
 秋子さんはむっとした顔をしていた
 もしかして、娘を悪く言われて怒っているのかもしれないけど
 俺はしっかりと言った……

「なるほど……そういうわけでしたか……分かりました
 おれんじ色のじゃむについては、私も強制的に勧めるわけには行きませんので置いておいて
 名雪、人を脅すってのは犯罪なのですよ……それを何度も……あゆちゃんもですよ」

 秋子さんは軽くため息をついてから言った言葉に名雪は釈然としないようだ

「で、でも、お母さん、祐一の起し方が……」
「でわ、祐一さん、明日から名雪起さなくていいですから……」
「はぁ、分かりました」

 秋子さんに言われてしまっては俺はしないのが普通だろう
 佐祐理さんと舞はなにやら料理を食べながら簡単に作れるレシピという本を開いていた

「そ、そんな、起きれないよ!!」
「知りません……」
「お母さん!!」
「祐一さん、お礼も無くてすみません……」
「いえ……でも、佐祐理さんのおかげですから」
「祐一さん、お金の方は?」
「もう、あまり残ってませんよ」
「……本当にすみません」

 秋子さんは多分母さんからお金を聞いていたのだろう
 そして、謝っているのだろうと分かる

「あゆも、あまり俺に集るな……食いたければ自分で働いた金で食え……
 俺は自立してる女性の方が好きだからな」

 あゆは「うぐぅ」とうめきながらも、それもそうだと思ったのだろう手を握っている
 ま、あゆは一応まだリハビリ期間中だ

「ま、バイト始めたらにしておけよ」
「うん、秋子さんからお小遣い貰ったらにするよ」
「おお、そうしろ……」

 俺はあゆの頭をくしゃっと撫でる
 そして、佐祐理さんと舞を見た……まだ、書いてるようだ
 多分、お金のことでシビアな選択をしているのだろうなぁ
 秋子さんは名雪に言われているが、暖簾に腕押しだろう

「お母さん、何でいきなり?」
「祐一さんが来るまではおきてたのでしょう……なら大丈夫ですよ」

 秋子さんがそう言って微笑みを浮かべる
 俺はそっと舞と佐祐理さんの所に行くと、舞が顔を上げて俺を見ていた

「祐一、どうかしたの?」
「ん、いいのあったかなぁって」
「はい、色々ありましたよ」

 舞の質問に俺が答えると、佐祐理さんがメモを見せてくれた
 確かに色々あったみたいだ……

「舞は何のバイトするんだ?」
「幼稚園で、延長保育するからって」
「そっか……がんばれよ」
「……はちみつくまさん」

 舞は、頬を赤くして頷いた
 俺は軽く舞の頭を撫でた
 そして、佐祐理さんの腕を持って立たせる

「ほぇ?」
「佐祐理さん、ちょっとこっちに……舞、待っててくれ」
「……はちみつくまさん」

 舞は頷きながら言った
 俺は佐祐理さんを連れて二階の自分の部屋へと連れて行った
 名雪とあゆは秋子さんにより、お金についての説明を受けていた
 何気にホワイトボードを使うところ凝ってるなぁ……秋子さん
 部屋に入ると佐祐理さんをしっかりと見た

「祐一さん?」
「佐祐理さん、ごめんね……嫌な役目押し付けて」

 俺はそういって佐祐理さんを抱きしめていた
 本当に悪かったと思う……お姉さんだよ、しっかりものの

「はぇ? ゆ、祐一さん!! いきなりはちょっと」
「ごめんね、佐祐理さん……俺がもっとしっかりしてたら、佐祐理さんにこんな思いさせずに済んだのに」
「でも、祐一さんが悪いんじゃないですよ……佐祐理たちが悪いのですから」
「そんな佐祐理さんは気づいたじゃないですか
 それで、行動して見せた……だから、佐祐理さんの心が傷ついた」
「!!」

 佐祐理さんは己でも気づいてただろう
 俺はそっと佐祐理さんの頭を撫でる……抱きしめている腕を上にもっていって
 体の柔らかな部分が当たっている……そんなこと気にする余裕もない
 ただ、佐祐理さんの傷が少しでも小さくすむなら……それで……

「佐祐理はお姉さんとしてしっかりとできたのでしょうか?」
「みんなのお姉さんだよ、佐祐理さんは……」
「ありがとうございます……祐一さんは……」

 佐祐理さんの言葉の後は聞こえなかった
 ただ……俺の背中に腕を回して佐祐理さんは涙を流していた

「ごめんな」

 頭を撫でながら、耳元で何度も言葉をなげかけるのだった



 しばらくして、ドアが開いてどたどたと二人の人影が入ってきた
 秋子さんと舞だった
 2人して……

「秋子さん!!」
「舞!!」

 2人はおろおろしているかと思ったら

「ゆ、祐一さん、コーヒーどうですか?」

 秋子さんは後ろからコーヒーを出す……冷めてるが

「えっと、祐一の部屋を見たかったから……」

 舞はおたおたと言うが、ノックもせずに入るのは良くないぞ
 何て言うか笑える……秋子さんが慌ててるのも、舞が周囲をめまぐるしく見ているのも

「秋子さん、舞、落ち着いて……見てたんですか?」
「……ほんの数分前って言いたいですけど、抱きしめあってるところからですよ」
「私も」

 同じくってことだろう……ま、いいか

「別に悪いことしてたわけじゃありませんから……」
「でも、これで祐一さん争奪戦は佐祐理ちゃんが一番近いですね
 それに、祐一さんも……」

 秋子さんがニッコリと微笑んで俺を見る

「うっ」

 うめいてしまった……ばれてる?
 ばれてるんだろうなぁ……舞も人の気持ちには気づくからな

「祐一は佐祐理が一番好き……私も佐祐理が好き」
「ぐあっ!!」
「あらあら……」
「はぇ!! そんな佐祐理なんか、祐一さんとつりあいませんよ〜」

 いや、普通は凄い逆ですよ……それに、俺の方がつりあわん
 舞、なんてこと言うんだ

「佐祐理なら、祐一を包んであげれるし、祐一なら佐祐理を支えられる
 ぴったし……でも、私もまだ諦めないから」
「あらあら……私も若ければ立候補してるんですけどね〜」

 いや、叔母だからダメですって

「あ、あははは〜」

 佐祐理さんは頬を真っ赤に染めて俺を見ていた
 ま、いっか……

「祐一さん、今日は佐祐理ちゃんと一緒に居てくださいね……傷は中々治らないものですから
 舞ちゃんは私と一緒にいますから」

 そして、その日、俺は佐祐理さんと一線を越えた
 それは、恋人として、将来を考えての行動だった……





 その翌日から俺は奢るということをほとんどしなくなった……
 たまに奢るけど、それは俺からだ
 普段お世話になっていたりだからだ……
 真琴や舞はバイトのお金で一緒に食べたりする、割り勘で
 名雪とあゆと栞はお小遣いでしているのだが、お小遣いカットを言い渡されていた
 名雪については、俺を脅していたということで、毎朝泣きながら朝食を食べている
 それは、謎ジャムのトーストを食べているからだった……
 後、俺は名雪を起こさなくていいことになって、遅刻とか早朝ダッシュはしなくなった……いいことだ
 朝はゆっくりと歩いていくのが体にいいと存分に思うのだった






 最後に佐祐理さんと俺は……正式に付き合うことにした
 倉田家に訪問した俺を待っていたのは、にこやかに迎えてくれる倉田夫妻で……
 俺が大学に入ると同時、倉田家で暮さないかと進めてくれたほどだ
 舞とも話しをつけて、そのあたりをどうするか佐祐理さんと舞と俺とで考えるという返事をしておいた
 何故か俺を倉田さんは気に入ったようで……息子として紹介しようと画策していると
 佐祐理さんのお母さんから聞いた……微笑んでいたけど、この人も一枚かんでそうで怖い
 これからいくときは気をつけようと少し心がけるのだった
 佐祐理さんとの関係も普通で、佐祐理さんはあの喫茶店でバイトしてるので足を運んでいる
 俺もそこでバイトをして、夜に送るという名目で一緒に帰るのが普段の行動だ
 たまに3人で出かけたり、2人で出かけたり、みんなと出かける
 そんな普通の生活に戻るのだった
 奇跡が起きて、異常な生活になった
 そして、また平凡でも楽しい日々に戻ったのだった……












 おわり……










 あとがき
 長かった……何て言うか
 美姫「はぁい、調子はどう?」
 美姫しゃん、イキナリは怖いです……剣とか持つのは良くないよ
 美姫「なんてこと言うのよ、これも乙女のたしなみよ」
 たしなみは合気道程度です……で、どうかしたの?
 美姫「これって、Kanonのよね?」
 ええ、そうですが……
 美姫「送ってくれるのよね?」
 へ!?
 美姫「送って・く・れ・る・わ・よ・ね♪」
 ああ……はいはい……ま、構わないよ
 美姫「意外と素直ね」
 だって、HPの管理って面倒だし
 美姫「本音は黙っておくのがベターよ」
 ま、そりゃそうだね……大丈夫だよ、自分も渡さないとって考えてたし
 美姫「本当かしら?」
 本当本当……そうそう、おまけとして下へとスクロールしたら、後日談があるから
 美姫「シリアスが苦手だからって、最後壊さなくてもいいのに」
 いや、単に疲れたから……
 美姫「ま、いいわ……じゃあ、お仕置きね」
 まって……その手に持つの凄い邪気を放ってるのだけど
 美姫「【対・遊び人&浩用最終決戦兵器食えばミクロレベルで崩壊間違い無し食】よ」
 いや、んなご丁寧にくそ長い名前つけなくていいから……
 美姫「はい、あ〜ん♪」
 かわいっこぶってもダメ
 美姫「くすん、食べてくれないの?」
 ぐはっ!! 食べますよ……自分女の子には弱いのに……
 美姫「あ〜ん♪」
 あ〜ん…………(パタ、シュワシュワシュワシュワ)
 美姫「煙が上がってる……多分ミクロってくらいだから、この煙を吹き飛ばせばいいのね
    剣風!!!!」
 (ひゅ〜〜〜〜〜〜〜〜!!)散る遊び人の煙
 美姫「でわ、後日談は見たい方はしたへとどうぞ〜ただ、ここまでの話を崩したくない方はしないほうがいいですので」





美姫「後日談の前に、浩、どうしたの?ボーっとして、って、それはいつもの事か。って、あれ?反応がない」
う、う、奪ってしまったのか………。
美姫「うん♪丁度、出来上がった所だったみたい♪」
お、お、お前と言う奴は……。
美姫「な、何よ。文句でもあるの?」
よくやった!
美姫「へっ?」
何て言う訳ないだろうがっ!
美姫「え〜、別に良いじゃない。遊び人さんも良いって言ってたし……。
ちなみに、その時、その腰の剣はどうしてた?
美姫「勿論、抜いてたわよ」
どこに向けてた。
美姫「決まってるじゃない、遊び人さんのの・ど・も・と♪」
……………………はぁ〜〜〜〜〜。
美姫「まあまあ。いつか良い事があるわよ」
お前が言うなよな!お前が
美姫「何よ、失礼ね。って、そうそう、はい、あ〜ん」
あ〜ん。
しまった………ドロドロドロドロ〜〜〜。
美姫「【対・遊び人&浩用最終決戦兵器食えばミクロレベルで崩壊間違い無し食・改】は、煙じゃなくて溶けるのね。
って、うわ、汚い!足に付着しちゃう。えいっ、魔風斬!」
ゴォォォォォォォォッッッ!!(竜巻に巻き上げられる液体……もとい、浩だったもの)
美姫「では、今度こそ本当に後日談へ、どうぞ〜」






<倉田家>

「祐一君、倉田家継ぐ気ない?」
「いきなりですか!?」
「いや、佐祐理のお婿さん=倉田家継ぐだから」
「って、俺はすでにお婿さんですか!?」
「え、違うの!?」

 倉田さんは最初から飛ばしまくり……まだ二度目の訪問なのに……
 いや、最初からある程度は予想されていた事態だった
 前の訪問の時は……あの後すぐだったのだが、娘の純潔をうばっておいてとか色々いじめられた
 しかも、何気に婚姻届だけは確りと持たされていたし……
 まだ、俺は結婚できる年じゃないって

「むぅ、何が不満だと言うのかね……佐祐理はいい子に育ったぞ」
「いや、佐祐理さんに不満なんてないですけど」
「いいじゃないか〜これにささっとサインしてくれるだけでいいから」

 婚姻届……って、親父たちのサインまであるし!?
 何て親だ! 子供が苦労してるって分からないのか!?

「あの、何で親父たちのサインが?」
「いや、知り合いでね……電話したら送ってくれって
 で、戻ってきたのがそれ」

 指差して答えてくれる……佐祐理さんは頬を真っ赤にしてるし
 多分思考はフリーズしてるんだろうなぁ

「佐祐理、ここにサインしてね」
「はぇ〜」

 勝手に手を動かすし
 ……って、ダメじゃん!! 佐祐理さんは俺を夫して迎え入れてもいいっていうのかなぁ
 いや、嬉しくないって言えば嘘になる……正直、ここまでやってくれるのは嬉しい

「さ、祐一くんも……晴れて、倉田祐一として生きてくれ♪」
「新しい息子なんて、嬉しいわ〜あなた〜」
「そうだろ〜」

 新婚夫婦よろしくで抱き合わないで欲しいのですが……
 佐祐理さんが「不満ですか?」という表情で見ている
 男祐一、いかせて貰います……
 サムズアップをして、笑顔で俺は……サインをするのだった
 いや、はっきり言おうと思ったんだよ……でもね、自分の命も大事だし、何より
 佐祐理さんを泣かせたくないし……

「よっしゃ〜〜〜!!」

 倉田さんは婚姻届を持って、走っていった……相変わらず元気だ
 そういえば、お仕事はいいのだろうか? 一応国民の祝日ではあるけど……
 俺と佐祐理さんは呆然と見送る

「祐一くん♪これからよろしくね」
「はぁ」
「あははは〜」

 佐祐理さんも驚きと嬉しさで少し頬が紅潮していた
 かく言う俺も驚いてる1人だが……お父さんお母さんになる人が
 家より可笑しいってどうよ? 家も十分に可笑しいってのは認めるから
 いや、家も結構可笑しいんだけどね……でも、一応は筋通して確りしているし

「ま、幸せになってね……佐祐理」
「お母様……」
「でないと、嫌よ」
「はい」

 と、某ドラマのような光景が繰り広げられる中
 俺は携帯がなって、親父たちからおめでとうという言葉を貰ってるのだった……
 周囲になんて説明するかが俺の次の課題になりそうな気がした

<相沢祐一が倉田祐一に代わった話であった>



 倉田家の両親を壊してみました……言うなればラブバカップル?
 後、結婚推進派みたいな……でわ、面白かったら良かったです〜♪(by.美姫)









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