オルタラ編

 

 

 

 

 

 

 

 

「そうだな、以前私用で付き合ってもらったから、オルタラに付き合おう」

その言葉を聞いて、オルタラは嬉しそうに頬を緩める。

「ちょっと、オルタラ……恭也の私用に付き合ったって、どういうこと?」

ゴゴゴゴゴゴゴ、と言う効果音をバックにルビナスがオルタラに尋ねる。

「以前恭也さんと訓練をしている時に、恭也さんが欲しい本があると言いましたので、それに付き合っただけです」

その時の事を思い出しているのか、嬉しそうに言うオルタラ。

「あの時は助かった、ありがとうオルタラ」

少し苦笑しながら、恭也はオルタラに言った。

「いえ、恭也さんの頼み事でしたらいつでも」

少々顔を赤らめて笑いながら、オルタラは言い返した。

「では、そう言うことですので」

そう言ってオルタラは恭也の手をとって、街の中へと歩いて行った。

「オルタラ……私達の知らない所でそんなことを……」

拳を握り締めつつ、ルビナスが言う。

「私は知っていたぞ」

そんなルビナスに、ロベリアがそう言うと、ルビナスは凄い勢いでロベリアを見る。

イムニティも同じように、ロベリアを見る。

「偶々街で恭也にその時あってね、後日私も付き合ってもらった」

その時の事を思い出し、嬉しそうに話すロベリアに、ルビナスとイムニティは沸々と黒い物が浮かんでくる。

「「ロベリアッ、どうして私にも言わないのよっ!!」」

そして、ルビナスとイムニティは声をそろえてロベリアに向かって叫ぶ。

「何故言わないといけないんだい? せっかくの時間だ、教えるのは無粋ってもんだろう?」

ロベリアのその言葉の後、この3人の間で争いが起こった事は明白であった。

 

 

 

「オルタラ、どこか行きたい場所はあるか?」

並んで歩きながら、恭也はオルタラに尋ねる。

「少し魔術関連の本を見たいです」

「なら図書館か……」

オルタラの言葉を聞き、恭也は図書館の場所を思い出す。

「あっ、あの……恭也さん」

「どうした、オルタラ?」

少々上目づかいで頬を少し赤らめながら名を呼ぶオルタラに、恭也は思考を中断し、尋ね返す。

「その……腕を、組んでも良いですか?」

その姿を見た周りの男数名が倒れかける。

それぐらい破壊力のあるポーズであった。

「あっ、ああ……別に構わんが……」

恭也も少々顔を赤くしながら、頷く。

「ありがとうございます…」

そして、オルタラは恭也と腕を組むと言うより腕に抱きつく形になる。

似合いのカップルに見えなくもない。

恭也は気恥ずかしさからか前を向き、オルタラは顔を笑顔で一杯にしながら歩く。

そのまま二人は目的の図書館へとやってきた。

「オルタラ、俺は向こうを見てくる」

「判りました、私はあちらにいますので」

恭也とオルタラは図書館に入ると、それぞれの本のおいてある場所に分かれる。

「ふむ、やはりないか……」

恭也がいる場所は園芸の本のコーナー……そして恭也が探す本といえば……

「盆栽の本は……」

そう、これである。

流石にアヴァターでも盆栽の本はないだろう……

その後恭也は武器関係の本を少々読み、オルタラの所へ向かう。

「オルタラ、何か見つかったか?」

「………………」

恭也が声をかけるが、オルタラは返事をしない。

周りの声が聞こえないぐらい、本を読むことに集中しているのだ。

恭也は少し肩をすくめ、オルタラの近くで自分も魔術関連の本を読む。

恭也自身魔法は使えないが、どういう魔法があるかは知っておいた方が良いと考えたのだ。

それから1時間ほどして……

「ふぅ……」

オルタラは読んでいた本から視線を外す。

そして本を棚に戻そうとして……

「っ!」

息を呑んだ。

自分のすぐ隣で、恭也が無防備に寝息を立てて寝ているのだ。

それも、自分に寄りかかるように寝ているのだ。

(どっ、どうして恭也さんがここに……)

内心かなりドキドキしながら、オルタラは恭也の寝顔を見る。

普段のキリッとした表情と違い、どこか安心したような表情をしている。

オルタラは、その表情を見て頬が緩み、顔を赤くした。

恭也は剣士だ、自分が安心できると確認しない限りこんな場所では寝たりしない。

それが、こんな無防備に寝ていると言う事は……

(私を、それだけ信頼してくれているんでしょうか……)

そう思うとどうしても笑顔になって、頬が緩んでしまう。

自分の好きな人に、そうやって頼られて、信頼されるのがとても嬉しい。

しかし、これでは身動きが取れない。

いくらここが余り人が来ないような場所でも、人が来ないとは限らない。

かといって、ここで恭也を起こすのは躊躇われる。

(……別に、構いませんね)

そう思い、オルタラも恭也に少し寄り添うようにして眼を閉じる。

(認識阻害と、人払いの魔術と、もし誰かが侵入してきたらわかるように魔法をかけて……)

今この至福のときを邪魔されないようにいくつも魔法を行使し、オルタラは恭也の隣で眠りに着く。

愛しい人の隣が、こんなに安らかなものだと思いながら……

 

 

 

「…タラ、オルタラ……」

「んっ……」

何時間たっただろうか、オルタラは自分が名前を呼ばれながら肩をゆすられているのに気付いた。

「オルタラ、眼が覚めたか?」

「恭也さん……」

眼を開けるとそこには恭也がいた。

それを認識して、一瞬にしてオルタラの顔は赤くなる。

「オルタラ、どうやら二人揃って眠っていたようだな」

苦笑しながら、恭也は窓から空を見つつ言う。

来た時は青かった空が、もう殆ど夕焼けの色濃い空になっている。

「本当ですね……」

オルタラも苦笑しながら立ち上がる。

「すまんな、結局眠ってばかりで……」

申し訳なさそうに恭也はオルタラに頭を下げる。

「そんな事はありませんよ、ここに来たいって言ったのは私ですし……」

(それに、恭也さんの寝顔を、見れましたから……)

内心笑顔になって、オルタラはそう言った。

「そうか、そう言ってくれると助かる」

恭也はそう言って、笑う。

「そろそろ戻ろうか……皆心配するからな」

「はい、そうですね」

恭也の言葉にオルタラ頷き、来た時と同じように恭也の腕に抱きつく。

そのことに対して、恭也は何も言わない。

ただ少々顔を赤くしながら歩く。

それは隣のオルタラも同じで、顔を赤くしている。

そしてそのまま二人は宿へと戻って行った。

 

 

後日、ものすごく機嫌の良いオルタラの姿がよく確認されたとか何とか……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


あとがき

 

 

以前行ったアンケートの第2弾〜〜

フィーア「何で今のアンケートじゃなくて、昔のアンケートなわけ?

まぁ、知り合いにボクの書いた堕ち鴉とテンさんと浩さんが書いてくれた堕ち鴉設定のSSを見てもらったんだけど。

フィーア「それで?」

リコに優しくない作品だなって言われてね……

フィーア「あ〜〜、それはまぁ……たしかにねぇ」

で、たまにはリコにも優しくして良い目を見てもらおうと思って……

フィーア「今回の話が出来たわけね」

そう言うこと。

フィーア「でも、あんたよく書けたわね、そんな体で」

39度と40度を行ったりきたりだからねぇ……今でも頭が重いよ……

フィーア「大丈夫よ、手さえ動けばどうにでもなるわ」

ひっ、ひどい……

フィーア「それで、今のアンケートの結果SSはどうなのよ」

3割から4割ってところかな。

フィーア「さっさと書き上げなさいよね、せっかく投票してくれた皆さん待ってくれてるんだから」

それはもう、早く風邪治して頑張らせていただきます。

フィーア「ではでは〜〜〜」





うぅぅ、そんな体調の中、わざわざありがとうございます。
美姫 「フィーアもお疲れさま〜」
いや、流石に今回はアハトさんを褒めてあげて!
美姫 「にしても、確かにリコは少し可哀想な場面が多いかもね」
おぉーい。
美姫 「まあ、ある意味仕方ないとは思うけれどね」
まあ、イムニティとロベリアを選んだ千年後が主軸だからな。
美姫 「でも、リコが可哀想よ」
だからこそ、こうしてリコ、オルタラの話を書かれたんだろうな。
美姫 「うんうん。これで少しでも幸せな展開を」
アハトさん、本当にご苦労様です。
美姫 「体調には気を付けてね〜」
ではでは。



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