注)これは私が書いている『破滅の中の堕ち鴉』シリーズのオリジナル設定の話です。

DUEL SAVIOR本編のどのシナリオにも属していませんので、ご了承を。

オリジナルな展開がお嫌いな方は、どうぞお引き換えしを。

見てからの批判は極力おやめください。

それでもよろしいかたは、どうぞ……

 

 

 

 

 

 

 

 

ミュリエルが恭也達に王国から連れてこられて、早幾日が経った。

あれから王国の情勢はきわめて不安定なものとなっているのを、恭也達は監視の報告で聞いていた。

フローリア学園の学園長ミュリエル・シアフィールドの救世主候補当真 大河殺害未遂事件。

さらには、そのミュリエルが人知れず王国の地下牢から連れ出された失踪事件。

この二つの大きな事件の所為で、王国の情勢は極めて不安定になっており、王国側からはいまだに仕掛けられてはいない。

そんな中、恭也は王国の図書館から持ってきたリュートの研究書をエンディアナに渡していた。

エンディアナ曰く「少し時間がかかる」とのこと。

だからこそ、今の何もない間に、恭也はミュリエルに頼んでなのはの魔法訓練に付き合ってもらっていた。

ミュリエル自身、最初はやはりいきなり破滅に来たといわれても信用されておらず、恭也達の監視があったのだが。

今では屋敷内ならば自由に移動しても構わなくなっている。

ミュリエルについて、ムドウやシェザルはあまり興味がなかったのか、さほど文句は言っていなかった。

 

 

「なのはさんは、やはり筋が良いですね……あの恭也の妹、と言うのも頷けます」

屋敷の中庭で、ミュリエルはなのはに付き合って魔法の訓練をしていた。

「えへへへ、ありがとうございます」

感心しながら言うミュリエルに、なのはは頬を緩めながら礼を言う。

千年前は赤の陣営につき、ロベリアやイムニティとも壮絶な戦いを繰り広げたミュリエル。

だからこそ、その魔法の種類、発想は現存する魔法使い達の中でも群を抜いている。

「エンディアナさんの言うとおり、なのはさんは瞬間の魔力放出量は凄いわ。 この事だけでも、大きな強みになる」

ミュリエルは、なのはに魔法を教え始めてまだ数日しか経っていないが、なのはの潜在能力見抜き、その凄さに驚いていた。

(召喚器の補正があるとはいえ、なのはさんの能力は救世主候補の中でもトップクラス。 あのリリィよりも、その力は上ね)

冷静に、ミュリエルはなのはの力と自分が知る限りの救世主候補の力を比べる。

そして、魔法使いとしての力ならば、義理の娘のリリィよりもなのはが上だと判断する。

「なのはさん、今日はこの辺りで終りましょうか」

「はい、先生」

ミュリエルの言葉に、なのはは返事をする。

内心、ミュリエルはなのはの先生と言う言葉に苦笑する。

学園でいた頃にはよく言われていたと、そう思いながら苦笑した。

「やはりここにいたか」

そんな二人に、屋敷の方から声が掛かる。

「恭也」

「おにいちゃん」

ミュリエルとなのはは同時に声をかけた者の名前を呼ぶ。

そこには、確かに恭也がいた。

「二人とも、緊急招集だ」

そんな二人に、恭也は少し張り詰めた感じで言う。

「何か、あったのですか?」

その恭也の感じに、ミュリエルも少し張り詰めた感じで聞き返す。

そして、返ってきた答えに…二人は驚いた。

 

 

「【黒の魔道要塞(ガルガンチュワ)】が見つかった」

 

 

 

 

 

 

 

新たな目覚め

 

 

 

 

 

 

 

「来たわね、三人とも」

恭也がなのはとミュリエルを連れて大広間に来ると、もう既にロベリアをはじめ、ムドウ、シェザル、イムニティの破滅の将、そして堕天使人形(ルシファー・ドール)エンディアナの5人が集まっていた。

「ガルガンチュワが見つかったそうだな」

広間の椅子に座りながら、恭也は尋ねる。

「えぇ、エンディアナが教えてくれた通り…ゼロの遺跡にあったわ」

頷きながら、イムニティは説明する。

「主幹からはガルガンチュワ内部の調査をいいつかっているわ」

「俺ぁパスするぜ。 つまんねぇ任務はごめんだからな」

「私も。 そんなことよりやりたい事は沢山ありますからね」

イムニティの言葉に、ムドウとシェザルはそう答える。

「ならば、俺が行こう」

「おにいちゃんが行くんだったら、なのはも」

二人の答えを聞いて、恭也となのはは自分たちが行くと言う。

「ついでに、エンディアナも連れて行って。 何かの役に立つと思うし」

「いや、今の私は少々やることが多くてな。 すまんがいけそうにない」

イムニティの言葉に、エンディアナは無理だと答える。

「私はいけそうもないが、代わりにミュリエルを連れて行ってはどうだ?」

エンディアナの提案に、ミュリエルは驚く。

「……そうね、ミュリエルなら何かあった時にそれなりには対処できるでしょうし」

「いいのですか?」

イムニティが賛成した事に、ミュリエルは驚きながら尋ねる。

「勘違いしないで。 ミュリエルが喩え何か起こそうとしても、恭也がいれば鎮圧出来るからよ」

純粋な魔法使いのミュリエルに、対魔法戦においてはほぼ無敵な恭也が一緒にいるのだ。

そして何より、ミュリエルは今召喚器を持っていないために、恭也の勝率は跳ね上がっている。

それらをふまえた上で、イムニティは賛成したのだ。

「なら、俺はなのはとミュリエルと共にガルガンチュワに行ってくる」

「あぁ、私等は此処を離れられないからね。 頼んだよ、恭也」

ロベリアの言葉に頷き、恭也達は居間を出て行った。

 

 

 

イムニティの転送魔法によって、恭也達はガルガンチュワの内部へと跳んでくる。

「これがガルガンチュワの中か……」

静まり返った要塞の中で、恭也は呟く。

「ミュリエル、灯りを」

恭也の言葉に頷き、ミュリエルは炎を作り出し、その炎を恭也は用意していた焚き木に移す。

「遠くまではよく見えんが……どうやら殆ど一本道だな」

遠くを照らしながら、恭也はそう予測する。

「なのは、ミュリエル、離れるなよ」

その言葉に二人は頷き、道を進んでいく。

「見たことのないルーンが刻まれていますね…これが、古代語と言うものでしょうか」

光に照らされた壁一面の刻まれている文字を見て、ミュリエルが呟く。

「迂闊に触るなよ。 何が起こっても不思議ではないからな」

慎重に、辺りに気配を配りながら恭也はミュリエルに答える。

その後、数分歩き続けた3人は、1つの扉を見つける。

「扉だな…道はまだ続いているが……どうするか」

扉の前で、3人は考える。

「恭也、この部屋は私が確認します。 貴方となのはさんは、先に進んでくれませんか?」

「二手に分かれるというのか……得策ではないと思うぞ」

ミュリエルの意見に、恭也は難色を示す。

何が起こるか判らないこの状況で、いたずらに分かれるのは得策ではないと恭也は考える。

「ですが、時間が惜しい事も事実です。 私なら大丈夫です、見た所この道はまだ一直線ですから、直ぐに追いつきます」

そんな恭也に、ミュリエルは心配ないと言う。

「……判った。 ただし、無理はするなよ? 何があるか判らんからな」

恭也の言葉に、ミュリエルは頷く。

「ミュリエルさん、直ぐに追い駆けてきてくださいね」

「えぇ、なのはさんも恭也を助けてあげてください」

そう言い合って、恭也となのはは先へと進む。

それを見送って、ミュリエルは目の前の扉を見る。

灯りは恭也が持って行ったので、ミュリエルは自分の掌に炎を発生させ、灯りにする。

(さて、この扉はどうすれば開くのでしょうか……)

迂闊に触って何かあれば拙いと考えつつも、ミュリエルにはこの扉をどうやって開ければいいか判らなかった。

だから、ミュリエルは意を決して扉の手を触れてみる。

すると、地響きと共に扉が横へとずれていく。

(触れれば、開く仕組みだったのでしょうか……)

そう考えつつ、ミュリエルは部屋の中へと灯りを翳す。

まずは入口付近を念入りに調べ、大丈夫だと確信して部屋の中へと入る。

(向こう側が見えない…? 随分広い部屋のようですね……)

手を伸ばして部屋を照らすが、部屋の向こう側が見えない事から、ミュリエルはこの部屋がかなり大きな部屋であると推測する。

もう少し調べてみようと、ミュリエルが部屋の中へと歩みを進めた…その瞬間。

「なっ!?」

扉が、大きな音を立てて閉じる。

(閉じ込められた!?)

慌ててミュリエルは扉に触れるが、扉はビクともしない。

(迂闊でした…こうなる事も予想できたはずなのに……)

自分自身を叱咤するが、既に遅い。

効くかは判らないが、扉目掛けてミュリエルが魔法を放とうと構えたその時…

まるでその動作にあわせるように、部屋の彼方此方が、光を放つ。

正確には、部屋の灯りが一斉に点き、部屋の中が明るくなる。

その現象に、ミュリエルは驚きつつも部屋の中を見渡す。

そして、部屋のほぼ中心部と思しき場所に、地上から伸びるような台座を見つける。

「あれは……」

その台座がなんなのかを確認するために、ミュリエルはその台座へと近づく。

近づきつつも、ミュリエルは辺りに対する警戒を緩めない。

次に何が起こるか判らないために、ミュリエルはかなり慎重にその台座へと近づく。

そしてその台座の前について、ミュリエルは言葉を失った。

(これは…召喚器っ!?)

台座の上に鎮座するように置かれていたのは、嘗てミュリエルが使っていた召喚器ライテウスと似たようなグローブだった。

手の甲を覆うようなひし形に、手の甲の中心には赤く輝く宝珠。

見れば見るほど、そのグローブはライテウスにそっくりだった。

(ライテウス…ではないわね。 あれは今リリィの手の中にある…と言う事は、これはライテウスと似たような召喚器かしら)

そう思いつつ、ミュリエルは手を伸ばす。

何かあるかもしれないと言う思いよりも、自分の使っていた召喚器に似ている、と言うことで少しばかり警戒が弱まったようである。

そして、ミュリエルがその召喚器に触れた……その瞬間!

「っ!!?」

グローブの宝珠の部分が、強烈な光を放つ。

その光景に、ミュリエルは咄嗟に距離を開ける。

何が起こってもいいように、ミュリエルは詠唱待機の状態で光が収まるのを待つ。

 

『誰かしら、私達を呼び覚ますのは』

 

部屋に、女の声が響く。

その声を聞いて、ミュリエルは警戒レベルを最大限まで上げる。

 

『誰なのかしら、私達を呼び覚ますのは』

 

先程とは違う女の声が、再び部屋に響く。

 

『誰だ、私達を呼び覚ますのは』

 

そして更に、また違う女の声が部屋に響く。

3つの女の声が響き渡り、グローブから放たれていた光は段々と弱まる。

完全に光が消え去り、ミュリエルは前を見たそこには……

 

「貴方が私達を呼び覚ましたのかしら?」

 

暁のような赤い髪を地面につくまで伸ばしている長髪の女。

同じく暁のような赤い髪を腰まで伸ばしているロングヘアーの女。

これまた同じく、暁のような赤い髪を首元まで伸ばしているショートヘアーの女。

この三人と……

 

【ふしゅるぅぅぅぅぅぅぅ】

 

幾多もの頭を持つ、巨大な竜がミュリエルを見ていた。

 

 

 

 


あとがき

 

 

堕ち鴉第35弾をおおくりしました。

フィーア「今回はガルガンチュワへの調査ね」

うん、そしてミュリエルと謎の女達との邂逅。

フィーア「最後に出て来たあの3人の女と竜は一体何者なのか」

まぁ、多分この小説を最初から読んでくださっている人たちはもう判っているとは思うけどね…

フィーア「確かにね」

それで次回は、ミュリエルがついに……!

フィーア「どうなるわけ?」

ネタバレになるため詳しくは言いません。

フィーア「まぁ、多分皆判ってると思うわよ?」

うぅ、サプライズをかけない自分が恨めしい……

フィーア「はいはい、落ち込むのはあとあと」

Oui

フィーア「ではでは〜〜〜」





ああ、一体彼女たちは何者なんだ!
美姫 「ガルガンチュアの調査で見つけた召還器。次回はどうなるのかしら」
……コホン。ああ、彼女たちは……ぶべらっ!
美姫 「次回もどんなお話になるのか楽しみです♪」
……た、楽しみに待ってます。
って、酷いよ美姫。
美姫 「わざと過ぎるアンタが悪い」
うぅぅ、シクシク。
美姫 「それじゃあ、また次回を待ってますね〜」



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