注)この話は浩さんのクロスSS【DUEL TRIANGLE】を基にしています。

まずはそちらを読んだ上で、此方をお読みください。

本編と性格等に違いがありますが、お見逃しを。

では……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

DUEL TRIANGLE ANOTHER STORY

 

〜兄妹〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そんな……なぜ……」

ベリオが、震える声で、目の前の人物に対して言う。

その声から読み取れる感情は、戸惑い。

「何で、そんな顔をしてるのベリオさん……私がここに生きて立っているのがおかしい?」

それに対して、皆の前に立つ少女はおかしそうに訪ね返す。

「しかし……そなたが崩れ行く崖の下へと落ちていくのを拙者達は見た……」

カエデも、驚愕の声を出しながら言う。

「私を見捨てて、皆で逃げた事を気にはしてないよ……でもね」

少女は、手を翳して言う。

「そこの、そこの女だけは、許しておけないっ!!!」

そう言って……少女は……美由希は、セリティを呼び出す。

「美由希……」

それを悲痛そうな表情で見つめる、リリィ。

「あんなに、恭ちゃんの事馬鹿にしてたくせに……あんなに、邪魔だって言ってたくせに……私より後から、恭ちゃんと出会ったくせにぃっ!!!」

一目散に、神速で美由希はリリィに斬りかかる。

「くっ!!!」

リリィはとっさに炎を放つが、美由希はその炎を切り裂きながら進む。

「私と恭ちゃんの間に、後から割り込んできたくせにぃっ!!!」

炎も雷も、襲い掛かる全ての魔法を美由希は切り裂く。

「美由希さんっ!!!」

少し動揺で動けなかったカエデとベリオがリリィと美由希の間に入ろうとするが……

「邪魔はさせませんよ」

「そういうこったっ!!!」

突如現れたムドウとシェザルによって阻まれる。

その間に、リリィは段々と美由希に追い詰められる。

ベリオもカエデも、破滅の将が相手……それも因縁のある相手という事で中々リリィの元へといけない。

「これで、これで終わりなんだからぁぁぁっ!!!」

そして、美由希がリリィに斬りかかろうとしたその瞬間……

 

 

「ルインっ!!!!」

 

 

召還器の名が、叫ばれる。

それと同時に、美由希の注意が一瞬それ、その間にリリィを召還陣が包み込み、リリィの姿が消える。

「………………」

そして、美由希は狂気を孕んだ瞳で、その声のした方を見る。

そこには、未亜とリコ、ナナシと……リコに抱えられたリリィ、そして……

「美由希……」

恭也が、ルインを構えて立っていた。

「恭ちゃん……来てくれたんだね? でも、そんな人達と一緒なんて、悪い人だね……」

恭也に対しては最高の、狂いそうな笑みで……未亜達には、今にも襲い掛からんとするような、狂気の顔で。

「美由希……お前は、今自分が何をしているのかを……判っているのか?」

軽く殺気を込め、恭也は言う。

「判ってるよ……世界を作り変えるために戦ってるんじゃない……私と、恭ちゃんだけの世界に……」

もはやその笑みに、昔の美由希の面影はなかった。

そのような笑みは、恭也も……見たことなどないような……狂った笑みだった。

「美由希さんっ、正気に戻ってくださいっ!! 貴女はイムニティに操られているんです!!」

リコが、懸命に美由希に向かって叫ぶ。

「あら、私はそんな事はしていないわよオルタラ」

そこに、美由希の隣にイムニティが現れ、言い返す。

「これは我がマスターが望んだ事……」

「イムニティ、力を貸して……」

美由希はまっすぐと恭也だけを見つめつつ、イムニティに言う。

「私の力は、いつでもマスターだけのものです」

言って、イムニティもリコ達を見る。

「恭ちゃん……すぐに済むよ……ここで恭ちゃんを殺して、私は救世主になるの……そしてその力で、世界を作り変えるんだよ……」

笑いながら、フラフラと、美由希は歩き出す。

「でもその前に、そこのお邪魔虫さん達をどうにかしなきゃね……もう2度と、私達の邪魔をしないようにねぇっ!!!」

一瞬にして、美由希の姿が消える。

世界の根源から力を汲み上げる召還器の力……そして、世界を構成する【支配因果律】を司る、白の主としての力。

それらの力をフルに使える美由希は、まさしく救世主に近い力を持ち、神速の領域に入れば、正しく見えないスピードが出せるようになるのだ。

美由希は未亜達に狙いを定めるが……

「やめろ、美由希……」

恭也が、その美由希を押さえる。

恭也も美由希と同じように召還器の力と、白とは対極の位置にある赤の主としての力を持っている。

それゆえに、唯一恭也だけが……美由希と互角に戦えるのである。

「何で、邪魔するの……恭ちゃん?」

「俺がここに来た理由は一つだけだ……お前を、迎えに来たんだ」

美由希を押さえながら、恭也は言う……が。

「嘘だよ……恭ちゃん、そんな事言ってまた私を置いていくんでしょ……また、あの女のところに行くんでしょ!!!」

バンッと……美由希は恭也を弾く。

「いらない……こんな残酷な世界なんて要らない……こんな、残酷な恭ちゃんもいらない……あとで、私だけの恭ちゃんにしてあげるから……今は、殺すね」

セリティを構え、美由希は言う。

「リコ……イムニティを頼む……俺は、美由希を説得する」

「ご武運を、マスター」

リコがそう答えた後、恭也はルインを鞘に入れ、構える。

「ふふふふふ……いらない……こんな残酷な世界……いらないっ」

すぐさま神速の領域に突入する美由希。

それに対抗するために、恭也も神速の領域に踏み込む。

「美由希っ、眼を覚ませ!!!」

神速の中、恭也は剣を交えながら、美由希に向かって叫ぶ。

「覚ます? 眼ならとっくに覚めてるよ恭ちゃん……覚めてるから、やるんじゃないっ!!」

凄まじい剣戟が、恭也に向かって放たれる。

(ちぃっ!! 最後にやりあったときの比じゃない……なんて力だっ)

内心舌打ちして、恭也は美由希から放たれる剣戟を受け止める。

(的確に徹と貫を織り交ぜているな……本気で、殺すつもりか)

受け止める瞬間に武器の軸をずらし、徹の衝撃を防ぎ、今までの自分の感覚で貫を避けていく。

「思い出せ美由希っ!! 御神流は、こんな事に使うためにあるんじゃないぞっ!!!」

防御だけながら、恭也は美由希に向かって叫ぶ。

「護る者を護る剣だよね……判ってるよ、私は私から恭ちゃんを奪おうとする全てから私の恭ちゃんを護るんだよっ!」

狂気の表情を浮かべ、美由希は恭也に斬りかかる。

「違うっ!! 御神の剣はそんなものの為に振るうものではないっ、美沙斗さんや、静馬さんを失望させる気かっ!!」

恭也も美由希の攻撃を何とか受け流しながら、叫ぶ。

「思い出せ美由希っ、お前が欲しかったのは、そんな力かっ!! そんな、虚しい世界かっ!!?」

「うっ、五月蠅い、五月蠅い、五月蠅い、五月蠅い……うるさぁぁぁぁい!!!!」

恭也の必死の叫びに、美由希は絶叫を上げながら否定する。

「恭ちゃんは……いつだって私の中に入り込んでくる……こんなにも、こんなにも私は恭ちゃんを求め、焦がれているのに……」

神速の領域から抜け出し、美由希はポツリともらす。

「恭ちゃんは、そんな私の心を知らずに……私以外の女の子とばかり仲良くなっていく……こんなにも、昔から私は恭ちゃんだけを思ってきていたのに、恭ちゃんは気づかない……」

「美由希……」

美由希の想いを聞いて、恭也は美由希に近づこうとして踏みとどまる。

「皆嫌い……恭ちゃんを好きになる人は皆嫌い……そんな恭ちゃんも嫌い……それより何よりも……」

そこから先は、言わせてはいけないような気がした。

恭也は一瞬でそう考え、美由希へと近づこうとするが……

「こんな私自身が……大っ嫌い……」

言葉と共に、美由希から魔力があふれ出る。

大気を魔力が侵食していくような……そんな圧迫感に恭也はみまわれる。

「もう、私には何も残ってないんだよ……だから、壊すしかないの」

涙を流しながら、美由希はそういった。

「何も残っていないだと……だったら」

構えて、恭也は言う。

「俺が、お前の為に、お前にくれてやれるもの全てを、俺が持つ全てを貴様にくれてやる!」

左腕は突き出すように、右腕は折りたたまれた羽のように。

それは、美由希がもっとも得意とする奥義……

そして、今の美由希に届く、唯一の技……

恭也の構えを見て、美由希も左右対称のように構える。

二人が放つ技……それは……

 

 

――――――――――御神流・裏 奥義之参 射抜――――――――――

 

 

超加速の中から、御神流最速の刺突が繰り出される。

恭也と美由希、お互いの小太刀の切っ先がぶつかり合う。

「はぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

「あぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

お互いの剣先は火花を散らしながらぶつかり合う。

二人の力量はほぼ同じ、そして振るうべきのその力も同じ……ゆえに、ぶつかり合った小太刀は剣先という小ささながら逸れずに、お互いの方へ押し合う。

だが、ここで召還器の差が出る。

恭也の召還器【ルイン】は2本一組という例を見ない特殊な召還器である。

それに対し、美由希の召還器【セリティ】は普通の刀一つという召還器である。

「づぁぁぁっ!!」

均衡が崩れれば一瞬にして突き刺さるような、そんなわずかな瞬間に恭也は体を反らし、美由希の懐に潜り込む。

美由希の体は急激に支えをなくした柱のように、前へと倒れようとする。

その一瞬に、恭也はもう一刀を美由希の左足の太腿に突き刺す。

「がっ!!!」

そして、その痛みによって美由希はバランスを崩し、倒れこむ。

「美由希……」

恭也は倒れこんでくる美由希を優しく抱きとめてやる。

「俺は、お前から離れはしない……だから、戻って来い……」

優しく、恭也は美由希に言う。

「恭ちゃん……」

美由希も、逆らわずに、その身を恭也に任せる。

 

 

刹那………………

 

 

「がぁぁっ!!!?」

恭也の左肩に、強烈な痛みが襲い掛かった。

「恭ちゃんっ!?」

それの驚いた美由希が、恭也の後ろを見る。

「その手を離すがいい、赤の主よ」

赤き剣を持った女性が、その場にはいた。

「ロベリア……っ!」

痛む左肩を押さえながら恭也は立ち上がり、女性……ロベリアを見る。

「白の主よ、此方に戻って来い」

剣を突きつけ、ロベリアは言う。

「わっ、私は……」

「お前はもう白の主として世界を滅ぼす宿命だ……そして、赤の主を殺すのも、お前に課せられた使命だ」

ロベリアに言われて、美由希は少し後ろへと後ずさりしてしまう。

「イムニティ達はもう退いた……ムドウの馬鹿は死んだけどね」

言って、ロベリアは美由希に近づこうとする。

「ロベリアっ、それ以上美由希に近づくな……」

ロベリアと美由希の間に割って入るように立ち上がり、恭也は言う。

「近づけばどうなるというのかしら? 今のお前に私を倒せるとでも思っているの?」

本当におかしそうに、ロベリアは言う。

「身の程を知りなさい」

言葉と共に剣が振られ、恭也へと黒い衝撃波が飛んでいく。

「うぉぉぉぉぉぉっ!!!」

恭也は傷つき、もはや上がらなくなった左腕に鞭打ち、飛んでくる衝撃波を切り伏せていく。

「恭ちゃんっ!!!」

それを見た美由希が恭也の方へと行こうとするが……

「マスター、お戻りください」

イムニティが、美由希の前に現れる。

「くっ、リコォッ!!!」

恭也はイムニティの気配を感じ、リコの名前を叫ぶが……

「無駄よ、赤の主。 オルタラは私が異空間へと封じ込めたわ……もっとも、暫くすれば出てこられるでしょうけど」

恭也の考えをあざ笑うかのようにイムニティは言って、美由希の腕を持つ。

「やっ、恭ちゃんっ!!」

美由希はイムニティの腕を振りほどこうとするが、振りほどけない。

「大人しくしてくださいマスター、これより、我らが城砦へと飛びます」

イムニティの言葉と共に、上空を覆いつくさんばかりの何かが、現れる。

「きたか……【黒の魔道要塞(ガルガンチュワ)】」

ロベリアは上空を見て、それの名を口にする。

「ではな、赤の主よ……次にあう時は、完全に殺しつくしてあげるわ」

言って、ロベリアとイムニティは転移魔法で消えて行った……

美由希を、連れて……

「くそっ……くそぉっ、くそっ!!!」

ルインが、恭也の腕から落ちる。

「俺の、俺の甘さが……お前を……」

そして、恭也は膝をつく。

 

「うぉぉぉぉぉぉぉぉぁぁぉあぁおぁぁっ!!!!!」

 

恭也の絶叫が……空へと響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


あとがき

 

 

ふぃ〜〜〜、やっと出来た……

フィーア「っていうか、あんたは書くのが遅すぎよっ!!!」

げぶらっ!!

フィーア「これが今年の一作目ってどういうことよっ!?」

うぅぅ、スランプなんだい……

フィーア「そんな言葉は認められません」

鬼め……

フィーア「で、これはDUEL TRIANGELの3次創作ってことなのよね?」

まぁ、そうなるかな……

フィーア「あんたの考えでは白の主が美由希になるというわけね?」

原作通りで考えるとそうなるかと、思ってね。 場面は大体救世主の鎧を破壊した辺りかな。

フィーア「これから恭也達はガルガンチュワへと乗り込むのよね?」

とりあえずは……って、そこまで考えてないよ。

フィーア「ぶーぶー」

…………豚?

フィーア「一回、もとい何十回でも地獄を見てきなさぁぁぁぁぁぁい!!!!!」

ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!!

フィーア「ふぅ、それでは皆さん、今年もよろしくお願いします」





という訳で、頂きました〜♪
美姫 「アハトさん、ありがと〜」
美由希 対 恭也。
美姫 「さて、本編ではどうなるのか!?」
それはそれ〜。これはこれ〜。
美姫 「ともあれ、美由希ちゃんの暴走がいいわね〜」
良いのか!?
美姫 「愛する少女は盲目なのよ」
えっ、えっ。あれを、その一言で。
美姫 「つべこべ言っている暇があたら、さっさとアンタも頑張って書きなさいよ」
おうともさ。アハトのこの作品のお陰で、更にやる気がアップ!
美姫 「それが、執筆速度に繋がらないのが問題なんだけれどね」
それは言わないで(涙)
美姫 「ともあれ、ありがとうございました〜」
ではでは。



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