突然だが、この家の唯一の男性である高町 恭也の朝は早い。

早朝5時に起き、妹でもあり、弟子でもあり、従妹でもある美由希と共に早朝の鍛錬。

それから朝食というのが、この青年の大体の朝である。

だが、今日は少し違う。

一昨日休みなのを良い事に十時間耐久で鍛錬。

次の日、見事に病院から二つの奇声が聞こえたのは、病院関係者並びに、その日病院に来ていた人は皆知っている。

そしてもはや高町家かかりつけといっても過言ではないフィリス先生に三日間の鍛錬禁止を貰い受けた。

 

 

当時の様子は……

「いいですか!!今日から三日間は何があっても鍛錬はしちゃいけませんからね!!!」

ものすごい剣幕で言い寄るフィリス。

「あ〜……飛針を飛ばすぐらいなら……」

「駄目と言ったら駄目です!!!」

反撃の有無を言わせないほど言い寄るフィリス。

「もし黙ってしたら……整体のフルコースを受けてもらいます」

その笑顔は一生忘れられないであろうと、恭也は語った。

 

 

だから、昨日の夜は早めに就寝した。

だが、悲しいかな、既に日課となっている朝の鍛錬の時間には目が醒めてしまう恭也。

「う〜ん……5時…か……鍛錬は出来んから、もう少し寝ようか……」

そう考えて、隣で動く何かに気づく。

「そうか……確か昨日は…なのはが眠れないといって、こっちに来たんだったな」

自分の隣で寝息をたてて寝ている妹、なのはを見る。

「恭ちゃ〜ん」

そこに、美由希の声が響く。

いつもの時間に来なかったからか、恭也を起こしに来たのである。

「恭ちゃ…」

そして、部屋の中を見て……固まった。

「どうした、美由希?」

入り口で固まる美由希に話し掛ける恭也。

「恭ちゃん……なんで、なのはと一緒に寝てるの?」

恭也の布団で寝ているなのはを見て美由希が尋ねる。

「ああ、昨日……」

「んっ……」

恭也が説明する前に、なのはが目をあける。

「お兄ちゃ〜ん……昨日眠れなかったから……もう少し…寝たい」

いたいけな少女からのデンジャーワード。

その瞬間、何故か空間に亀裂が入ったような音が聞こえる。

そして、その言葉を聞いた恭也と美由希は固まる。

「恭〜ちゃ〜ん〜〜〜」

まるで、鬼か阿修羅か、それとも死神か。

地獄から響いてきそうな声で恭也を見る美由希。

「まっ、待てっ! 落ち着け美由希! これには訳があって、そもそもなのはが寝不足なのは俺のせいでは……」

「問答……無用っ!!!」

刹那、練習用の木刀が恭也目掛けて落とされる。

「人の話をきけっ!!」

それを持っていた五番鋼糸で絡めとり、防ぐ恭也。

この争いは、1時間30分後に起きたなのはによって終わりを見せた。

 

 

 

 

 

 

 

 

恭也のとある一日

 

 

 

 

 

 

 

 

「おししょ〜、そんなに小さい娘がいいんやったらうちが……」

「うっさい、黙ってろカメ!!」

朝、朝食時に先ほどの一件が皆に報告される。

「まぁ……どこかの誰かのせいで、朝から疲れたんだが……」

「あぅぅぅぅぅ……」

ピンポイントで殺気を飛ばされ、へこむ美由希。

「でも、恭也も恭也だよ? なのはと一緒に寝るんだったら、言ってくれればよかったのに」

台所からお茶を持って歩いてくるフィアッセ。

「いや、突然来たからな、朝早くに起きればいいかと思ったんだが……レン、もう一杯くれるか?」

「はいですー」

フィアッセに答えながら、茶碗をレンに渡す。

「それに、べつにやましい事があったわけでもないしな……んっ、すまんレン」

言いつつ、レンから茶碗を受け取る。

「そう言えば、なのちゃんは?」

辺りを見回し、なのはの姿がないことに気づくレン。

「ああ、なのちゃんなら、今日は学校休みだとかで久遠に会いに行ったぜ」

魚の塩焼きの実を解しながら、晶が答える。

「でも、なのちゃん何で桃子ちゃんのとこいかんとお師匠のとこいったんやろな」

自分も席に座り、魚の実を解しながらレンが言う。

「普段恭也に甘えられないからじゃないかしら…うぅぅ、でも、母より兄をとるなんて、なのはももう大人よねぇ…」

「そうだな、それだけ母さんも年をとっ」

 

ヒュンっ!!

 

恭也がそこまで言って、箸が飛んでくる。

咄嗟の事だったのに加え、その箸のスピードが尋常ではない。

ゆえに、恭也はその箸に直撃する。

「恭也〜〜〜言って良い事と悪いことの区別も付かないのかなぁ〜〜〜」

仁王モードの桃子がいた。

「むぅ……すまんかった……」

その圧倒的なオーラを浴びて、恭也はそう言うしかなかった。

「桃子ちゃん、やっぱり気にしとったんやな」

「あたりまえだろ、この前俺が聞いたときなんて、トレイが飛んできたぞ」

「母さん、恭ちゃんよりも強いなんて」

三者三様の意見が出る。

「それで、皆これからどうするの?」

新しく箸を持ってきた桃子が尋ねる。

「俺は一応家にいる」

「あっ、私もだよ」

「うちもですー」

「おれもですよ」

桃子の問いに、皆はいっせいに答える。

「私も桃子も今日はお店が休みだし……珍しいね、皆家にいるなんて」

お茶を飲みながら、フィアッセが言う。

「そうねぇ……だったら、たまには皆で買い物にでも行かない?」

「そうだな……それも、いいかもしれんな」

恭也のその言葉に、皆もうなずく。

むしろ恭也が一緒に行くという所が強いかもしれないが……

「じゃあ、なのはが帰ってきたら出かけましょうか」

桃子の言葉に皆賛成して、それぞれリビングを出て行く。

恭也はそのまま庭へ出て盆栽の世話を。

美由希は居間で読みかけの本の続きを読みに。

晶は昼の仕込みに入り、レンは洗濯物の準備に。

桃子とフィアッセは少しだけ店に用事があるようで、店へといった。

 

 

 

そして午後、昼食を食べた一行はフィアッセの車に乗っていく予定であった。

「しかし……フィアッセの車に7人乗るのは難しいな……」

腕を組みながら、恭也が言う。

確かに、フィアッセの車は5人乗りの車である。

(流石にここで俺がいかんなどと言えばなのはが悲しむだろうな……何せ久しぶりの家族で出かけるんだ……)

どうしたものかと恭也が考えていると、ふと携帯が振動する。

ディスプレイを見るとそこには月村 忍の文字が書いてあった。

『もしもし、忍か?』

『そうだよ、ねぇ恭也……今日は暇?』

『どうしたんだ?』

『う〜ん、買い物にでも行こうかなって思ってたんだけど、暇なら付き合って欲しいなぁ〜って思って』

その忍の言葉に、恭也は考える。

『忍、俺達は今日皆で買い物に行く予定だったんだが、車に全員乗れそうにないんだ……そこで、お前の車に何人か乗せてもらって、一緒に行かないか?』

『そうなんだ、うんいいよ。 買い物は皆でした方が楽しいもんね』

携帯越しに聞こえてくる忍の声は楽しそうである。

『じゃあ、あと少ししたらそっちに行くねー』

『判った、気をつけてきてくれ』

そう言って恭也は携帯をきる。

「母さん、ちょっといいか」

リビングでくつろいでいる桃子に恭也は声を掛ける。

「忍も一緒に買い物に行くことになったんだが、いいか?」

「忍ちゃん? 別にいいわよ」

「それと、流石にフィアッセの車に全員は乗れないであろうからノエルの車に何人か乗せてもらえることになった」

「そうなの? 流石に私もフィアッセの車に全員は無理かなーって思ってたからいいけど」

恭也の言葉に桃子は嬉しそうに言う。

「となり街に大きいデパートが出来たって松ちゃんが言ってたのよ。 だから、今日はそこに行きたいから車じゃないと無理だしね」

なるほどと、恭也は頷く。

それから10分ほどして、インターホンがなった。

「ふむ、忍がきたみたいだな」

外にある気配を感じ取り、恭也は言う。

伊達に電話がなる前から電話がなる事を察知したことはある。

そして玄関を開けると案の定そこには忍がいた。

「やっほー、今日はうちのメイドを二人ともつれてきたからね」

そういう忍の後ろにはいつもと同じようにノエルと……

「那美さん……どうしたんですか?」

美由希の親友でもある那美がいた。

「いえ、今日は忍さんのところでお手伝いをする日だったんですけど、出かけるから一緒に行こうといわれまして」

ちょっと顔を赤くしながら那美が言う。

ちなみに、その腕の中には久遠がいた。

「じゃあ、恭也となのはちゃんはこっちね」

「あぁ、判った」

「はいっ」

忍の言葉に頷き、恭也となのははノエルの運転する車に乗り込む。

このときも、恭也は護衛という職業柄か、助手席に乗り込む。

フィアッセの車の方でも、美由希が助手席に乗り込んでいる。

後部座席にはノエルの車は右から那美、なのは、忍の順で座っている。

久遠はなのはの膝の上である。

フィアッセの車の方はレン、桃子、晶の順番である。

そして車は出発した。

 

 

 

車で30分ほどして、目的のデパートへとたどりついた一行。

「流石に、となり街まで話しが来るほどだな……」

車から降りて、恭也は呟く。

「でかい……」

その一言に全てが集約されているぐらいに、大きかった。

一見、マンションぐらいの大きさに見えないこともないのだ。

「12階建てだって」

そこに、忍がやってきて言う。

言われて、恭也は改めて大きいと思い、中へと入っていく。

「まとまって移動するのもなんだから、ここからは自由行動にしましょうか」

入ってすぐの広場のような所で、桃子が言う。

「そうだな、皆はそれぞれみたいだろうしな」

桃子の意見に、恭也が賛成する。

そして、それぞれが自分の見たいもののあるフロアへと分かれていく。

(さて、俺はどうするかな……)

入り口の案内板の前で、恭也は考える。

そして……

 

 

 

1、盆栽を見に行く(乙女はお姉さまに恋してるルート)

 

2、本を見に行く(DUEL SAVIORルート)

 

3、食器を見に行く(彼女たちの流儀ルート)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


あとがき

 

 

え〜、またしても読者様参加企画!

フィーア「また無謀な事を……」

今回は私の作品、お姉様達・堕ち鴉・吸血鬼達の3作品と合体企画です。

フィーア「ただ、色々と設定が変わっているそうよ」

お姉様達編では、恭也は小鳥と付き合っていましたが、このルートでは付き合っておりません。

フィーア「堕ち鴉編だと、恭也は海鳴に帰ってきているって設定で、なのはが向こうに召喚されていない事になってるわ」

吸血鬼達編では、鳥羽莉と付き合ってるのは恭也で、恭也は吸血鬼になっています。

フィーア「まぁ、かなり無理のある設定で話が続くって事ね」

うぐっ、言い訳が出来ないのが辛い……

フィーア「まぁ皆様、お好きなのを一つ選んで投票してください」

なぜなに掲示板で募集しますので。

フィーア「期限は今月末までよ」

ではでは、皆様の投票をお待ちしております。





さてさて、久しぶりに参加企画!
美姫 「うーん、毎回迷うのよね〜」
うんうん。久しぶりの休日、デパートにやって来た恭也の運命がここで決まる!
美姫 「どれも見たいわよね〜」
うーん、俺は…………よし、1番!
美姫 「他の方々も参加してくださいね〜」
例によって、なぜなに掲示板の方で。
美姫 「フィーア、投稿ありがとうね〜」
アハトさん、ありがと〜。
美姫 「それじゃあ、まったね〜」
ではでは。



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