つよきす×とらいあんぐるハート3
『キスとハートの協奏曲』









 なのはのお手伝い









 高町なのはは、働き者である。そのことは、高町家最後の良心でもあるし
 常識人でもある……あの、喧嘩の早い晶とレンを一言で抑えたり
 平日の夕飯時と朝食時にはしょっちゅうな事だし、休みの日となればそれこそ毎食になる可能性もある
 ただ、高町なのはが働き者はそこだけに限らない
 翠屋の看板娘でもあるのだ
 フィアッセもバイトで入ってるが、それ以上になのははお手伝いとして入るし
 大体そのときには、高町恭也も入っている
 恭也はなのはに甘いと、しょっちゅう言われてるが
 なのはが甘えたいし、恭也の甘さを喜んで受け入れてる所もある
 だが、忘れないで欲しい。彼女も高町家の一員であるということを

「ん〜」

 今日は午後から兄である高町恭也がバイトに入る日
 不定期だが、大体の曜日は覚えていて、なのはも、恭也が入る日に入る
 ちなみに、恭也となのはの集客はかなり効果が高い
 妹好きな人とかっこ良い人目当てで来るのだ
 なのはも小学校の友達が居るので、手伝えないときもあるが
 手伝いは、母桃子と共に居れるし、何より、お菓子を食べれる
 休憩時間の間にだが
 恭也が入れてくれる甘いミルクティやココアなどもなのはにとっては嬉しいことだ
 美由希やフィアッセにはまず飲めない代物であり、なのはのみの特別メニューでもある
 それを知っていても、やっぱり恭也に飲み物を頼んでしまうのは、なのはらしいともいえる



 そして、今日のバイトもやっぱり恭也となのはの二人は手伝っていた
 バイトという名目が成り立つ恭也とお店のお手伝いという事のなのは
 てきぱきと指示を飛ばすフィアッセと桃子。恭也となのはは自分たちで考えて指示以外のところもしていく
 勿論、それは経験のなせる業で、レジが空いて呼ばれてるときはすぐさま気づいた人が行くし
 空かないようにも努力している
 カウンター席の一つが空いたので、なのははそこに座ってほんの少しの休憩
 学校が終わってきたら、人が一杯だ……授業後すぐってわけなのだろうが
 近くの学生たちが一杯。恭也のファンの人たちがほとんどだ
 なのはは、恭也にファンクラブがあるのも聞いてるし、この日が増える事も知っている
 恭也のウェイター姿を見るのは此処でしかできない
 しかも、皆うっとり頬を染める……なのははそんな兄を鈍感だなぁと思いつつも、そのままで良いかなとも考える
 取られるという発想は宜しくないのだが、やっぱりまだ高町なのはだけの兄で居て欲しい
 わがままと取られるかもしれないが、そういうものなのだ

「なのは、どうかしたか?」
「ううん、お兄ちゃんこそどうかしたの?」
「いや、じっと見てるから何かあったのかと思って」
「ううん。そういえばさ、この前の鮫氷さんに何したの?」
「まぁ、ちょっとな」
「傷害罪になるよ」
「大丈夫だ」

 恭也がなのはの頭を撫でて、微笑む。周囲には分かりにくいが、これで笑ってるのだ
 それを見て、なのはも笑顔で頷く。分かったという風に
 まぁ、あの変態というか、怖い人の事は早々と忘れよう
 ちゃっかり兄のお布団にもぐりこんだことは、皆には秘密だ
 恭也が朝にはなのはのベットの上になのはを戻してくれてたし

「訴える気が起こらないほどに叩きのめしたからな」
「それ、もっとダメなんじゃあ」
「なのは、父さんならきっとそうするから」

 恭也の頭の中では今、士郎が鮫氷新一もといシャークを膾にしてるだろう
 いや、それか、御神流の拷問という拷問を仕掛けるかどちらかだろうとも
 どっちもえぐいしぐろいのは変わらない

「そうなの?」
「ああ。父さんはそういう人だからな」

 なのはの中にまた士郎の新たな思いが加わるのだった
 どちらにしろとんでもない父親だったという話しか分からないのだが
 こうやって兄妹で話してるのは微笑ましく、なのはが兄である恭也を慕ってるのが良く分かる
 その光景は周りをほのぼのとさせるし、ほっとさせる
 この兄妹が喧嘩をするときはどんなときは恐ろしいほどである
 そして、なのはの休憩時間も終わり、OLたちの到着だ
 それこそ、馬車馬の如く動く。人は途切れないし、夕飯時っていうのもあって
 休憩には入れない。ただ途切れる時間がある
 なのはは小学生っていうのもあり、恭也がつれて帰る
 フィアッセと桃子が帰ってくるのは遅いし、今、お店を離れるわけには行かない
 恭也と手を繋いで帰るなのは

「今日はレオさんたち来なかったね」
「ああ。だが、霧夜さんと佐藤さんがいらしてたな」
「うん。あの人もよくうちに来るようになったよね。それに、なごみお姉ちゃんも」
「まぁ、味を盗もうと必死だからな」
「そうだね」

 椰子なごみとは、ちょくちょくお店に来る人
 桃子にお菓子の作り方をたまに聞いたりするが、桃子が企業秘密で通してる

「ま、かあさんもそうそう漏らすとは思えないがな」
「お兄ちゃんも飲み物教えないもんね」
「あれは年季と経験だ」

 紅茶やコーヒーなどの飲み物をいれる人はそのつどで決まるが
 やっぱり年季と経験がものを言うらしく、一番上手いのは桃子、ついで松尾さん、フィアッセ、恭也という順
 なのははまだそこまで行かないし、お手伝いのみだ
 クッキーなどが焼けるようになってきてる程度だ

「高町先輩」
「ああ。椰子さん、こんばんわ」
「こんばんわ、なごみお姉ちゃん」
「こんばんわ。なのはちゃん」

 椰子なごみは、なのはにも頭を下げる

「どうかしたのか?」
「あ、いえ……すみません。ちょっと散歩していたので目の前にいたので」
「ああ。すまん」
「いえ。では、またお伺いします。何時も美味しいですし」
「ああ。そういってもらえるとかあさんも喜ぶ」
「はい……それでは、これで
 なのはちゃんもまたね」
「はい」

 軽く手を振って分かれるなごみと恭也となのは
 なのはは手を振って、止めると家路を急ぐ

「お兄ちゃん、なごみお姉ちゃん元気なさそうだったね」
「疲れてるのだろう。確か生徒会に巻き込まれてたから」
「そうなんだ」

 兄と妹二人。
 その二人は歩いていく。なごみが一度振り返っていた事に気づいたのは恭也だけだった







 おわり








 あとがき
 いや、どうだろうって言うか、よく分からないのができてしまった
 まぁ、話し合いの時と全くこれっぽっちも引っかからない人のを書いちゃって
 良いや〜って言ったら怒られるだろうなぁ
 何でかけたか謎だけど、多分、違うssを考えてたからだな
 あははは、どうしようっ……自分
 でわ、これで〜ノシ




ドタバタのないほのぼのとした兄妹の一日。
美姫 「こういう静かなのも良いわね」
うんうん。今回は一応、なのはメインかな。
美姫 「そうよね。さてさて、次は誰なのかしら」
次回も楽しみにしてます。
美姫 「待ってますね〜」



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