――ラダトーム王国北西の森
   東側 街道付近――
  * * * side ???? * * *

 ――一つ、二つ、三つ……。
 銀色の刃が閃くたびに、兜を被った頭蓋骨が、騎士鎧の首が宙を舞い、切断面からそれらを動かしていた怨念がまるで血しぶきのように噴き出す。
 まだ動いているアンデットどもが倒れ込む仲間の死骸を押し退けながら敵の姿を探して忙しなく目玉を動かすけれど、その動きはあまりに緩慢。
 そうしている間にもまた一体、いや、二体、残像すら残さない程の速さで駆け抜けた二振りの銀線によって呆気なく屠られる。
 戦闘とすら呼べないそれは、酷く一方的な虐殺だった。
 更に別の場所では実体を持たない影の魔物、ホロゴーストとシャドーの集団が纏めて光の波動に薙ぎ払われる。
 魔法ですらないただの聖波動だけど、闇の眷族である影どもには一溜まりもないのだろう。実際、光が通り過ぎた後に残っている影は一つもありはしなかった。
 そこに上空から二匹のキメラ、そして、ガイコツ剣士の上位種族である地獄の騎士が一体、弧を描くように回り込みながら堕天使へと迫る。攻撃直後の硬直を狙っての強襲だろう。
 しかし、そのどれもが彼女には届かない。
 強襲降下しようとしたキメラのうちの一匹が斜め下方から飛来したスローイングナイフに翼を貫かれてバランスを崩し、もう一匹のキメラは無数の小さな石と氷の礫による十字砲火で蜂の巣にされて絶命する。
 そして、六本の手に握られた剣による連続攻撃を仕掛けようとした地獄の騎士は、一瞬早く硬直から立ち直った堕天使の抜き放った魔剣によって仮初の生命を絶たれていた。
 魔剣の刃が赤紫に鈍く輝く。切り付けた相手の魔力を取り込み、自らの力に変換する略奪の刃によって、地獄の騎士の決死の特攻は敵に更なる力を与えるだけに終わらされたのだった。
 森の中での奇襲を警戒して、あえて迂回して街道を行くことにしたわたしたちを待ち受けていたのは、五十を越えるアンデットの集団だった。
 素早い動きと多数の腕による連続攻撃を得意とするガイコツ剣士に、その上位種族である地獄の騎士。攻守共に優れ、熟練の身のこなしが脅威となる脱け殻の騎士鎧。
 そして、死と氷結の力を操り、実体を持たない影の魔物たち。
 しかし、その大群も既に半数を切っている。戦闘開始から僅か数分でこれなのだから、改めて彼女たちのでたらめぶりが良く分かるというものだ。
 ――脳裏を過ぎるのは、昨夜のノームの言葉……。
 正直、この身のことも含めて力を貸してもらえればありがたい。ただ、圧倒的な力で敵を蹂躙する様は、奴らに通じるものがあるように思えてならないのだ。
 見極めるには、もう少し時間が必要なようだった。

  * * * side out * * *

  堕天使ユリエルの異世界奮闘記
  第10章 蠢動

 ――ロト……。
 かつて、アレフガルドの空が闇に覆われた刻、異なる世界より降り立ち、仲間たちと共に闇の大魔王ゾーマを打ち倒した伝説の勇者の名前だそうだ。
 その話を聞いた時、わたしは自分より遥か以前にも異世界からの来訪者があったことに驚き、同時に歓喜した。
 まさか、こんなにも早く手掛かりが見つかるとは思わなかった。
 その勇者は結局は元の世界には帰れなかったそうだけど、それは異世界同士を繋いでいた大魔王を彼が倒してしまったからに過ぎない。大魔王について調べ、どうやって異なる二つの世界を繋げていたか分かれば、わたしも同じ方法で自分の世界に帰れるかもしれないのだ。
 ミリィは千年も前の大魔王に関する記述なんて残っているはずないって言うけれど、わたしの使う解析魔法は僅かな手掛かりでもあればそこから過去に遡って情報を得ることも出来る。
 しかし、そのためにはまず調査対象であるロトの洞窟に居座っているらしい死霊術師に退場してもらわなければならなかった。
 そもそも、ノームお姉さんが撃ち込んだマーカーを辿った先がそこだったから、わたしはその場所に関する情報をミリィに聞いた時点で勇者ロトという前例を知ることが出来たのだ。
 そんなわけで、今、わたしたちはロトの洞窟の中を歩いている。
 魔力を燃料に明りを灯す松明を手にしたミリィを先頭に、わたし、アルちゃんの順で隊列を組み、分霊たちには奇襲を掛けられるようにわたしの中に戻ってもらっている状態だ。
 しかし、ラダトーム王家が管理しているこの場所は、普段であれば事前に許可を得たもの以外が立ち入ることは叶わないはずだった。
 仮に強盗などが押し入ろうとしても、余程腕の達ものでなければ見張りの兵士によって返り討ちに遇うのが関の山。
 洞窟自体にも聖なる力の守りが働いているため、そもそも森に生息している程度の魔物では近づくことすら出来ないとなれば、自ずと現在の状況に対する答えも見えてくる。
 即ち、王国側の想定を大きく超えて強力な敵対存在による襲撃を受けたということだ。
 わたしたちが洞窟の入り口まで来た時、二人いるはずの兵士は一人しかおらず、その一人も既に物言わぬ骸と化していた。
 状況からして一人が敵を食い止めている間にもう一人に援軍を呼びに行かせたのだろうけれど、ここまでに襲ってきた魔物の規模を考えるとそれが成功したかどうかは微妙なところだった。

 周囲を警戒しつつ、進むこと暫く。洞窟自体はさほど深いわけでもなかったようで、わたしたちはすぐに最深部と思われる場所にたどり着くことが出来た。
 洞窟に入ってからは魔物に遭遇することもなく、また最近になって魔道に携わるものの手が加えられたような痕跡も見られなかったのが気掛かりではあるけれど、その理由も詳しく調べれば分かることだ。
 最深部には石碑があり、そこには魔の島と呼ばれる場所に渡るための方法が記されていた。
 しかし、虹の橋とはまた何ともロマンチックなことだ。
 石碑自体は魔法によって維持されているらしく、伝説の時代から存在しているにしては朽ちた様子もない。まるで、この石碑が持つ時間の流れだけが止められているかのようだ。
「見て、石碑に動かした痕がある」
 碑文を読むわたしのために松明を傾けてくれていたミリィが、石碑と接している箇所の地面を指でなぞりながらそう言った。
 ほんの小さな隙間だった。下の空洞から上がってくる空気の流れを感じ取れなければ、わたしじゃ気づけなかっただろう。
 わたしがそう言ってミリィの観察力を褒めると、彼女は照れながら盗賊には必須のスキルだからと目を逸らした。
「それで、どうする? この分だと相当な数のアンデットが待ち伏せしてると思うけど」
 漏れ出る空気から感じられる邪気とこれまでに遭遇したアンデットの質から推測するに、この先に待ち受けている敵の数は下手をすれば二桁じゃ利かないかもしれない。
 しかも、日中の地上での遭遇戦とは違い、暗闇からの奇襲も警戒しないといけない以上、真っ正直に正面から殴り込むのは危険だった。
 それとは別に、広大な地下空間に犇めき合う死霊の群れに突っ込むのは生理的に厳しいものがあるし、普通に考えてここは霍乱も兼ねて先制攻撃で数を減らすべきだろう。
「先制頼めるかな。洞窟を壊さない程度に派手で、なるべくたくさん敵を殺せる奴」
 ミリィのその質問に、わたしの足元で慄然とする気配が一つ。まあ、どちらにしても叩き潰すこと前提なのだ。
 彼女がまるで今晩のおかずを何にするかというような気軽さで聞いてきていることもあり、臆病な性格だというアルちゃんには酷く物騒に聞こえたことだろう。
 しかし、それを分かっていて、あえてわたしは即答する。ノームお姉さんから話は聞いているし、ならばこそ、わたしたちのスタンスを明確にしておかなければならないと考えてのことだった。
「分かったわ。……皆、あれを使うわよ」
 わたしが魂の内側にそう呼び掛けると、皆からそれぞれ微妙な反応が返される。
 ――うわっ、マスターえげつないわね……。
 ――ま、まあ、相手はほぼ無機物ですし、恐怖を感じることもないのでは?
 ――あたし、あれ疲れるから嫌なんだけどなぁ……。
 ――あらあら、まあまあ。
 まあ、わたしも理解はしているし、本格的に生き物相手には脅し以外の目的で使うつもりもない。それくらい、これから使おうとしている魔法は凶悪なのだ。
 ここを拠点にしている死霊術師にはトラウマになるかもしれないけれど、呪うならわたしたちを敵に回した自身の不幸を呪うべきだろう。

 超高温の蒸気が吹き荒れ、鋼鉄よりも硬い石の弾丸が降り注ぐ。それによって描かれるのは、阿鼻叫喚の地獄絵図。
 侵入者へと剣を突き立てていたガイコツ剣士は最初の爆発で背骨を砕かれ、とっさに盾を構えた地獄の鎧は、頑丈な鋼鉄製のはずのその身体を盾ごと鈍い輝きを放つ石の弾丸に貫かれてばらばらにされてしまった。
 同時に視界を焼いた強烈な閃光が影の魔物を掻き消し、同じように光を浴びた他のアンデットたちもまるで糸の切れた人形のようにその場から動かなくなる始末。
 他の魔物たちも多くが蒸気に肺を焼かれ、あるいは石の弾丸に身体を貫かれてもがき苦しみながら絶命していった。
「うひゃぁ、とんでもないね……」
 薄れ始めた蒸気の向こうに見えた惨状に、ミリィが口元に手を当てながら感嘆の声を漏らす。アルちゃんに至っては驚きのあまり声も出ないようだ。
 炎の爆発で周囲に石の弾丸を撒き散らすと同時に水を蒸発させて蒸し地獄を作り出し、それを風邪の渦が攪拌する。四代精霊すべての力を合わせたとてもえげつない魔法だ。
 これに合わせて、わたしの聖波動を最大出力でプレゼントしてあげたのだから、中にいたアンデットどもは一溜まりもないだろう。
 ちなみに、最初にガイコツ剣士に刺されたのは待機状態の魔法の上から被せたわたしの幻影だったりする。
 殺したはずの人間が凶悪な爆弾として弾け飛ぶ光景は、後に続く地獄絵図と合わせてまともな精神の持ち主であればトラウマになること必須だ。だけど、それでもすべてが死に絶えたわけではない。
 死霊術師らしきローブ姿は魔法によって何処かへ転移し、仲間の影に隠れて攻撃を免れた魔物たちが一匹、また一匹と犠牲になったものの死骸を押し退けて這い出してくる。
 それらとは別に、浄化の光を浴びてなおこの世に留まり続ける怨念が次第に一箇所へと集まり、新たな姿を形成しつつあった。
「皆、突入するわよ!」
 奇襲は成った。なら、後は敵が浮き足立っているところに全力で切り込んで殲滅するだけだ。
「鎧の魔物はなるべく壊さないようにね。後で回収して売り払うんだから」
 ミスリルダガーを抜いて崩れ掛けの地獄の騎士に切り掛かりながらそう言うミリィに、わたしは思わず苦笑した。
 冒険者という命懸けの職業だからこそ、一回の戦闘で得られる利益を少しでも多くしたいと考えるのは分かるけれど、敵はまだそれなりの数が残っているのだ。
 そんな状況で既に勝った後のことを考えているというのは、わたしたちへの信頼の現われと取るべきか。なら、こちらもそれに応えないと。
「リータちゃん、ディーネちゃん、シルフちゃん、ノームお姉さん。顕現と同時に散開、残った敵を各個撃破。一番多く倒した子にはご褒美をあげるわよ」
「オーケイ、マスター。……焼き貫け、ファイアボルト!」
「お任せを。……穿て、ウォーターバレット!」
「やった。よーし、負けないんだから。撃ち抜いて、エアーズブリット!」
「あらあら、では、わたしも頑張るとしましょうか。……砕け、ストーンブラスト!」
 わたしの合図で四人が飛び出し、それぞれの担当する属性魔法の中から速射性に優れたものをチョイスして解き放つ。
 無詠唱発動も可能なこれらの魔法は単発または少数の弾丸を精製して撃ち出すだけの単純なものだけど、それ故にほとんどタイムラグもなく連射することが出来、また攻撃呪文にありがちな派手な爆発も起こらないため、こういう乱戦状態で使用するには最適だ。
 炎の、水の、風邪の、石の弾丸がガイコツ剣士や地獄の騎士の剥き出しの脊柱を正確に貫き、暗闇に紛れて不意打ちしようとしていたシャドーやホロゴーストを霧散させる。
 これを見てさすがに近づくのは危険と判断したか、残った数匹のシャドーが壁際から中級氷結呪文のヒャダルコを撃ってきた。
 幾つもの氷塊が周囲の水分を取り込んで肥大しながら飛来する。その時、ミリィがわたしたちと飛来する氷塊との間に割り込んだ。
「させないよ。魔鏡の盾よ、我に向かいしすべての魔法を跳ね返せ。……マホカンタ!」
 詠唱と共に突き出されたミリィの右手を中心に巨大な円形の障壁が展開され、飛んで来た氷塊をすべて敵へと跳ね返す。複数の呪文を纏めて返されたシャドーたちは、周囲にいた他のアンデット共々氷塊に押し潰され、霧散して消えていった。
「助かったわ」
「影の魔物は魔法が怖いから優先的に倒したほうが良いよ。後、地獄の騎士は相手を麻痺させるブレスを吐いてくるから気をつけて」
「ありがとう。リータちゃんとノームお姉さんはミリィと協力してその二種類の相手を。ディーネちゃんとシルフちゃんはわたしについて来なさい。大物を仕留めるわ」
 皆にそう指示を飛ばすと、わたしは吸血剣ドラキュリーナを抜いて駆け出した。狙うは、今にも実体化しようとしている怨念の集合体だ。
 その姿は不恰好だけどドラゴンに見えなくもなく、相応に巨大なそれが動き出せばこんな閉所ではこちらが圧倒的に不利になる。カースナイトの時の二の舞を避けるためにも、こいつは今ここで仕留める。
 必殺の意思を込めて剣に魔力を流し込む。刀身に触れたものから魔力を取り込む性質を持つこの剣は、直接注ぎ込まれるわたしの魔力に歓喜し、貪欲にそのすべてを食らい尽くそうとする。思った通り、触媒としても優秀だ。
 ――ユリエル様、詠唱を。制御はこちらでいたします。シルフさんも、よろしいですわね。
 ――うん。昨日の汚名返上のチャンスだもん。ばっちり決めて見せるよ。

 ――汝が立つは永久(とこしえ)の闇、明けぬ白夜に踊る風に血潮は凍り、水は魂さえも凍てつかせる。
   求める程に望むものは遠く、その身は孤独の内に永久(とわ)の眠りに沈むだろう。
  さあ、今こそ断罪の刻。その身に受けよ、因果切断の刃……。

 解き放つは、水と風の複合属性である氷の魔法の究極奥義。二人からの頼もしい言葉を受けて、わたしは詠唱を開始する。
 この場に集積されていた怨念の量は昨日の騎士の比じゃない。形成されつつある竜の巨大さからしてもそれは明らかだ。
 おそらく、力を十全に振るうことの叶わない今のわたしでは、シグナルサンクシアルでも消しきれないだろう。だからこその絶対氷結だ。
 長い詠唱の末節にもあるように、輪廻の因果すらも断ち切るこの魔法なら、残った怨念が新たな災厄を引き起こすこともないはず。
 吸血の魔剣が多すぎる魔力の流入に悲鳴を上げ、吸いきれなくなり始めた魔力が火花となって散る。お願い、後少しだけ持ち堪えて。
 その時、吸血剣ドラキュリーナの柄部分のコウモリの目が光り、その羽根で自身を握るわたしの両手を包み込んだ。同時に暴れていた魔力も大人しくなる。
 それを見てミリィが驚いたように何か叫んでいたけれど、今はこの期を逃すわけにはいかなかった。
 怨念の竜が産声のように咆哮を上げ、鈍く禍々しいその眼光でわたしを捉える。
 それと時を同じくして、わたしの絶対氷結も完成した。

 ――解放の言葉と共に発動した魔法が生み出すのは、白く凍てついた世界……。
 長らく積み重ねられ続けた怨念によって形成された竜は、生まれたままの姿で氷のオブジェと化し、二度と目覚めることはないだろう。
 後はこの怨念が少しでも早く晴れるように、浄化の魔法陣を敷いておけば……。
「終わったの?」
 地獄の騎士の最後の一体を切り捨てたミリィが、わたしの傍らに寄ってきてそう尋ねる。
 超高速戦闘による身体への負担からか、彼女も多少息が上がっているようだけど、一見して分かるような傷を負ってはいなかった。
 そのことに安堵しながら、ミリィに頷こうとしたその時だった。不意に身体を貫いた痛みに、わたしは思わず胸を押さえて蹲った。
 ――これ、は……。
 例え呪文の一節にでも含まれていたのがいけなかったのか。あるいはもっと単純に、この場にあるよくない物に触発されたのだろう。
 それはあの戦いの中で殺しきれなかった自らの内包する闇。
 神器の片割れが齎す黒い破壊の衝動が、今再びわたし自身の心の殻を食い破って現れようとしていた。
「ちょ、ユリエル!?」
 慌てたようなミリィの声が遠くで聞こえる。それとほぼ同時、顕現させていた四人の分霊全員がわたしの中に戻って来てくれたのが分かった。
「大丈夫。……悲しき大地に癒しの風を、寂しき闇には安らぎの光を、今はただ、その胸に抱き眠れ。……揺り篭の囁き‐カナリア‐……」
 ふらつきながらも立ち上がってそう言うと、わたしは聖句を唱えて陣を敷く。かざした手の平から光が伸び、氷像の竜を囲うように六紡星を形成すると、胸を刺すような痛みも徐々に引いていった。
「……今はこれが限界ね。完全に浄化するには、わたしの魔力が回復するのを待つか、聖属性の力を大幅に増幅出来るアイテムがないと無理だわ」
「じゃあ、とりあえず今日は戻ろうよ。ユリエル、顔色悪いし、早く休まないと」
「ええ、そうしましょう……」
 心配そうに声を掛けてくれるミリィにそう答えたのを最後に、わたしは今度こそ意識を失った。

  * * * 続く * * *



  〜〜〜 オリジナルアイテム紹介 〜〜〜
 ・名称:吸血剣ドラキュリーナ
 ・分類:武器(剣)
 ・効果:攻撃力+83/攻撃力上昇(自分)・MPダメージ(相手)
 ・解説:最高級のミスリル銀と上級悪魔の血を錬金して作られた魔剣。切り付けた相手から魔力を吸い取る性質を持ち、その際に刀身が赤紫色に妖しく輝くことから吸血剣の名が付けられた。
   :奪った魔力をそのまま切れ味に転化するため、剣自体の重さはやや細身であることを差し引いてもかなり軽く、女性にも簡単に振るうことが出来る。
   :魔力を吸い取るのは剣自身の意思のようなもので、この剣を抜いたものは剣自身が満足するまで闘争本能を強く刺激され続ける(剣に憑依されるとも言う)。
   :また、剣自身が持ち主を選ぶとも言われ、選ばれたものは憑依されることなく吸血剣の性能を十全に発揮させられるが、過去にマスターになった人間がいるという記録は残されていない。
   :攻撃力上昇・MPダメージ共に与えたダメージの25パーセント。

  〜〜〜 オリジナル呪文設定 〜〜〜
 ・名称:炸裂幻影‐エレメントクラスター‐
 ・属性:土・水・火・風
 ・効果:敵全体に150前後のダメージ
 ・消費MP:38
 ・主な使用者:ユリエル or 分霊四人全員
 ・解説:四つの属性の初級攻撃呪文に幻影を被せた半自立行動する爆弾を作り出すユリエルのオリジナル魔法。
   :四人の分霊全員が連携することで初めて使用可能な多重複合魔法で、効果は本編中で記した通り。
   :幻影とはいえ、人間爆弾のようにしか見えないため、今後は倫理的な観点から使用は控えられることだろう。

 ・名称: 絶対氷結‐アブソルートプリズン‐
 ・属性:氷結(水+風)
 ・効果:敵1体・即死
 ・消費MP:68
 ・解説:水と風の複合属性である氷結属性の最強呪文で、対象を空間ごと氷付けにする。
   :相手を一瞬のうちに絶対零度の氷の中に封じ込めることから、攻撃よりも寧ろ封印に分類される。
  :またこの魔法自体は空間を対象に発動するため、相手に氷や即死への耐性があろうと関係なく氷付けにされる。
   :なお、膨大な魔力と針の穴に糸を通すような精密さでの制御を要求されるため、ユリエルはこの魔法に他よりも長い専用の呪文を用意している。
   :時すら凍る世界からの絶対的な隔絶。故に彼女はこの魔法に絶対氷結‐アブソルートプリズン‐の名を与えた。
  〜〜〜 * * * * * 〜〜〜

 皆様、新年明けましておめでとうございます。
 作者です。
 昨年中はわたしの拙作にお付き合いいただき、ありがとうございました。読んでくださっている皆様のおかげで、わたしも頑張って書き続けることが出来ています。
 まだまだ拙い部分も多くあるかと思いますが、一人でも多くの方に少しでも楽しんでいただけるものを作っていけるよう、より一層精進したく思います。
 今年もよろしくお願いいたします(2011年1月)。



ユリエルが遂に動き出したか
美姫 「まあ、まだはっきりとした手掛かりではないけれどね」
にしても、竜との戦いとはな。
美姫 「まあ、相手が相手だしね。とりあえずは撃退できたけれど」
倒れちゃったな。
美姫 「これからどうなるのか楽しみね」
だな。次回も待っています。


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