美里の一発ネタ的ショートストーリー 〜無敵鋼人編〜

 注:これはギャグです。愛憎のファミリア及びその関係作品とは全く関係ありません。

   *

 ――突如、出現した新種のミタマクライ。

 奴は適当な通行人の一人に憑依すると、その心の奥底に燻る欲望を糧に巨大化した。

 破壊衝動の赴くまま、市街地で暴れる巨大ミタマクライ。

 逃げ惑う人々。

 その中に美里と蓉子の姿もあった。

「ったく、好き勝手してくれちゃって」

「蓉子、こうなったらやるしかないよ」

「えっ、やるって、何を?」

「ふっふっふっ、こんなこともあろうかと思って密かに決戦兵器を開発していたのだ」

「おおっ、やるじゃないの」

「それじゃ、早速いってみよう」

 そう言うと、美里は徐にポケットから取り出したバンダナを蓉子の頭に巻いた。

「って、何これ?」

「目には目を、巨大化には巨大化をってね」

「ちょ、待ちなさい。まさかあたしにウル○ラマンになれって言うんじゃ」

「どうだろ。えっと、具体的には増幅した妖力に質量を持たせるって代物らしいね」

 取り扱い説明書と書かれたメモを取り出してめくりながら言う美里。

 その間にも巨大化したミタマクライは街を破壊していく。

「貸しなさい!」

 美里の手から取り説を引ったくると、蓉子は必要手順の項目に目を走らせる。

「ちょっと、何よこれ」

 システム起動の方法を見た蓉子はあまりにふざけたその内容に思わず声を上げてしまった。

「何って、どれどれ……」

 横から彼女の指差したところを見て美里は目を丸くした。

 機動にはシステム開発者自身が決めたコードを叫ばなければならない。

 それは良い。システムの悪用を避けるための措置としてはありがちなものだ。

 問題はその内容である。

「訳分かんないわよ」

「そう?あたしはこれ知ってるけどな」

「じゃあ、あんたがやんなさいよ」

「無理。だって、あたし妖力も霊力も使えないごく普通の一般人だもん」

「そうだった!」

「そういうわけで、ここは一つ元気にいってみよう〜」

 頭を抱える蓉子を他所に、楽しそうにそう言うと美里はその言葉を叫んだ。

   *

「SF−YOKO、カァァァァムッ、ヒァァァッ!!!!

   *

「世のため人のため、ミタマクライの野望を打ち砕くシルバーフォックス!

 この狐火の輝きを恐れぬならば、かかってこいっ!」

 …………………………

蓉子「って、何なのよこれはぁぁぁぁっ!?

美里「何って、同人誌だよ。同人誌」

蓉子「そんなのは見れば分かるわよっ。問題は何であたしがダ○ターン3なんかになってるかってこと」

美里「あ、何だ知ってるんじゃない」

蓉子「んなことはどうでも良いの。今すぐこのふざけたマンガを滅却なさい!」

美里「残念、もう発刊しちゃった」

蓉子「こ、この、腐れ同人漫画娘がぁぁあっ!」

美里「にゃ〜ん、は、ハリセンは止めてぇ〜〜」

すぱこーん!

蓉子「ぜぇぜぇ、……で、どうしてこんなものが出来たのよ」

龍一「それはほら、前回のメールで美姫さんが」

   *

美姫「蓉子ちゃん、カムヒア〜」

   *

龍一「って言ってたから」

蓉子「こ、この外道作者が……。あんたも星になれっ!」

龍一「ぶべらっ!?

蓉子「……ったく、良い子の皆は真似しないようにね。それじゃ」

   *

  




あれの所為で…。
美姫 「いや、まさか蓉子があんな目に合うなんてね」
つくづく迷惑な奴……な、何でもありませんです、はい!
美姫 「ったく。全部私の所為にしないでよね」
しかし、変身か。いいな、それ。
美姫 「アンタが変身しても強くならないでしょうけれどね」
ふっ。誰がいつ、俺が変身すると言った?
美姫 「言ってないわね。で?」
つまり、変身させるんだ!
という訳で、メイダルフォーシス!!
美姫 「……って、何でメイド服!?」
ふっ。解説しよう。メイダルフォーシスとは、メイドへとメタモルフォーシス(変身)するという言葉を適当に縮めた最高の呪文である。
効果はご覧の通り。今のところは美姫限定という効果しかもたないが、ゆくゆくは……。
美姫 「付け加えて解説しますね、ご主人様」
おおー! まさか精神的にまで変身するとは!?
意外な効果だが、グッジョブ、俺!
美姫 「メイダルフォーシスによって変身させられた私は、無性にご主人様を殴りたくなってしまうんです
     じゃなくて、メイダルフォーシスは使用した副作用として、使用者の体力が低下し、場合によってはあちこちに怪我を負ってしまうという、
     まさに諸刃の剣みたいな魔法なのです」
えっ?
美姫 「ふふふ。もうすぐ、その副作用が出てくる頃ですね」
いや、その副作用の前にお前の手に剣が出てきているんだが……。
美姫 「あら、いやですわ。これはお掃除のためのモップですわ」
も、モップか〜。最近のモップは切っ先が鋭く尖っていて、日本刀のように反ってるんだね〜。
美姫 「ええ。特注ですから」
……ア、アハハハハ。
美姫 「うふ、うふふふ」
ぎゃぁぁぁあぁあああぁぁぁぁっ!!
美姫 「あらあら、ご主人様、こんな所で寝たら風邪を引いてしまいますわよ」
ピクピク。
美姫 「残念ながら、ひ弱な私ではご主人様をお部屋までお連れする事は出来ませんわ」
ピク…………。
美姫 「くすくす。仕方ありませんわね。このまま放置しておきましょう」



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