『フェイトにメイド服を着せてみよう(邪笑』









 フェイトさんは、あれからメイド服では来なくなった。私服だろう服で来るようになった。とりあえず、良かった。看護師の人たちからの冷たい視線が遠のいて……
 幾日か経って、俺は病院から退院して、そのまま自宅療養になった。かあさんたちも気を使ってくれてるのが分かるのだが……

「……恭也さん、お茶入りました」

 何故か、家にメイドさんが居るようになった。

「フェイトさん、何故に今度はメイド服なんですか?」
「えとですね、桃子さんやフィアッセさんが恭也さんがメイドを好きだし、気にいってるようだし、着てあげてねって言われて」

 かあさんとフィアッセには後で何かしよう。全力マッサージとか……いやいや、此処は優しく美由希の料理試食だな

「それも嘘だからな。俺はメイドさんが好きだってわけでもない」
「そうなんですか? 私、もしかして悪い事しましたか?」

 フェイトさんはちょっと沈んだ表情で俺を見ている。俺の方といえば、それに困ったようにお茶をすするしかなく

「別に邪魔とかも思ってない」
「でも、本当は似合ってないとか……ううぅ」
「い、いや、似合ってるぞ」

 女性の涙と世間体は御神流といえど敵わない領域なんだ
 というか、普通に考えてフェイトさんは美人だと思うのだが

「恭也さん。それじゃあ、何かお茶菓子持ってきますね。お茶のおかわりも」

 笑顔になってフェイトさんは台所へと行った。歩く分には松葉杖とかあれば何とかなるので平気なんだが、いざ、何かしようとなれば片足が無いのは痛い
 フィリス先生には義足はどうかって言われてる。ただ、さすがに剣士としては難しいかもしれないと言われた

「おまたせしました」
「ありがとう」
「恭也さん、あのですね」
「なんだ?」
「非常に言いにくい事なんですけど……」

 フェイトさんはどこか少しだけ困った顔をしながらも、ちょっとだけ考えて言い切った

「膝、私たちの世界の医療なら治るらしいんです」
「はい?」
「その、私も話を聞いてやっと分かったんですけど、医療担当の方がそう仰ってました」

 フェイトさんは俺の前に深々と頭を下げて(土下座に近い)、俺へと視線(頭も)むける

「私がもっと早く聞いていたら……ただ、医療担当の人が、その、しばらく時間がかかるのでって」
「時間はかかるけど、治るって事か?」
「はい」

 それは、いいかもしれない。今でもこれ以上は無いと思ってるが……
 それならば、俺もいいんじゃないかと

「それじゃあ、頼めないか?」
「はい。でも、その、あの、お兄ちゃんとお母さんが、その会いたいって」
「そうなのか?」
「はい。大丈夫です。恭也さんは私が守りますから」

 守られるのか? というより、何が起こるんだ?

「えと、他に何かすることってありますか?」
「やることが無くて暇だし、先ほど嬉しいことも聞けたからな……オセロでもしよう」
「そうですか? 私も時間があいてるのでいいですよ」
「じゃあ、しよう」

 二人してオセロをしていた。ここまでは良かったんだ。ああ、本当に……俺は翠屋の手伝いなど無理だし

「恭也さん、手加減してくださいよ」
「何事も徹底的なんだ。俺は」
「ううっ」

 不意に視線を感じて、上を見ると
 黒い人影が浮いていた。こちらを見ている。

「ご主人さま酷いです」

 フェイトさんがそう言った瞬間だった、その男の前に光る物体が現れ……
 こちらへと放たれた。

「こんのメイド萌えやろ〜〜〜」

 ……フェイトさんが何か唱えて、防いでくれた。
 よ、良かった。庭や俺の盆栽も無事だ……家も

「あ、居ない」

 フェイトさんが上空を見上げつつ、そう漏らす。確かに居ない

「誰か検討はついてるので、また注意しておきますね」
「ああ。じゃあ、もう少ししよう。それと先ほどのせりふは?」
「気のせいにしてください。ちょっと気になったんです」

 色々あるんだろう……その日、なのはとフェイトさんが打ち解けていた
 フェイトさんのメイド服について、皆、気にしない方向になった。ただ、かあさんが
 『恭也はそっちなのね〜』などと言ったので、美由希クッキーを食べさせた
 勿論、フィアッセにもおしおきをこめて食わせた。二人とも首を横に嫌がったが、その後10分ほど倒れてた




 つづく(後書きは後ほど大量に書くことにします)







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