『フェイトにメイド服を着せてみよう(邪笑』





それは約束を果たすとき。剣士の約束は口だけの約束だった

それでも、守ると決めたのはお互いが剣士としての高みを知りたいからだった

それを見守る、それらの友人たちと見てみたいと集まった人たち

管理局の面々が、楽しそうに見ている

シグナムという、ヴォルケンリッターの将にして凄腕の剣士。

挑むは、違う世界から来たという剣士。本人たちは負けるといわせるほどの凄腕

何も無い空間にお互いが立ち、得物をぶら下げてる

片方は片腕に、片方は腰に




『はじめるけど、合図とかは?』

声をかけるが、反応なし

「合図はいらない。もう始める」

シグナムはそう漏らし、自分の甲冑を装備。更に剣を構える

「約束を守ってくれてありがとう」
「いや」

純粋に力を試したいと考えた二人だからこそだ




 魔法剣士対御神の剣士
 それは、お互いを剣士として認めたからこそなせる一つの技

「デバイスは起こさなくて良いのか? 確か受け取ったと聞いたが」
「必要とあらば」

 恭也は小太刀をそのままに駆け出す。片手は小太刀に
 シグナムは迎え撃たんと構える
 無手で挑む。なんと無謀か
 周囲は恭也が倒れることを予想する。だが、それは予想だった
 未来は変化するもの

「ふっ」

 横振りの一撃。フルスイングとも取れる一撃だ
 だが、恭也はそれをしゃがむ。いや、しゃがむだけでは頭に当たる
 シグナムは更に下を見る。スライディングしている恭也
 小太刀が引き抜かれる

「地上戦なのに、下から!?」

 なのはの驚きの声に、フェイトですら驚く。あんな方法があるなんてという意味だ
 ヴィータやザフィーラですら、あの一撃は上空かバックステップを思い浮かべる
 シグナムはただ、それを見ているのみ。小太刀の一撃を篭手で受け止める
 シールド強化を余儀なくされた一撃
 すぐに、飛びのいたことでダメージも軽減させた

「浸透してくる攻撃か」

 シグナムは冷静であるが、一対一で戦う美学というのも分かってる
 だからこそ、先ほどの一撃は試されたという事も分かっている

「なるほど。この攻撃は通用するみたいだな」
「……確かにデバイスがあるほうが恐ろしいな」

 シグナムは苦笑い。恭也も苦笑い
 ただ、二人とも楽しそうであるのは変わりは無い

「行くぞ」

 シグナムは剣と鞘を出し、攻撃を繰り出す。それは一重に確実な一撃のために
 恭也は数を当てなければならない。ただ、シグナムは違う
 一撃を当てれば、恭也の力を奪えるのだ
 恭也には防護服など無いのだから

「レヴァンティン!」
『ja』

 射出音と共に薬莢が出る。そして、一撃必殺の炎の魔剣
 恭也はその事を少しだけ驚いた目で見るが、すぐに普段の目になる
 戦闘中こそ冷静に……どうでるか
 今度は恭也は大きく避け始める。先ほどは寸で避けていたのに、今回は距離を取っている
 ただ、冷静に得物と動きを見ている
 たった一撃の動作を目を凝らし、少しでも長く見ている

「飛竜一閃!!」

 シグナムの強力な一撃は地面に大きな一撃となりクレーターを作る
 恭也はその土砂に紛れてはいるが距離をある一定以上から離さない

「ちぃっ」

 シグナムが当たらなかったことに少しだけ苛立った
 だが、すぐさま後ろを振り返り、鞘を出す
 小太刀と鞘がぶつかり合う

「まさか、完璧に避けられるとは思わなかった」
「衝撃云々などのことは、それなりに分かるからな。見えるなら、避けられる自信はある」

 恐ろしい言葉をさらりと言う男である。見えなければ避けられない
 だが、見えるならば、避けられるということだ

「動きを見せてもらってたからな」
「なるほどな。面白い」

 シグナムは純粋に楽しそうだ。今まで此処までの剣士は管理局に居なかった
 戦える者として正直の嬉しさだ……こっちの高町恭也は自分より下だと分かった
 だが、そこの高町恭也は、別人だ。どんな事情があって、この若さでこの段階に至ったのか
 それは興味があるが、それ以上に思う。この者を倒したい、と
 レヴァンティンは自分の主が高揚してるのに気づく。自分も燃え盛る烈火のごとく、高揚していると

「レヴァンティン!」

 距離は中途半端だった。恭也は先ほどと似た攻撃かと構える
 それでも、まだ一刀。まだ腰にぶら下げてる得物は抜いてない
 シグナムは相手の力量が読めないことを少しだけ不謹慎にも考えていた
 この者は自分の予想を上回る相手では無いかと
 ただ、恭也も必死だ。一撃でも当たれば、大怪我もあるだろう
 そのあたりを考えて、必死に避けるし当たらないようにも努力する
 じゃらっと音がして、シグナムの手元
 そこには、長剣じゃないものがある。

「火竜一閃!!」

 それは、鞭のようでいて鞭じゃない剣
 恭也は瞬時に前に出て地面を小太刀で叩く
 シグナムの手の中に当たったとは思った。だが、それは、岩にだ
 岩盤を持ち上げた。剣の本を読んでたときにあったことを思い返す
 『畳替えし』、畳を盾とする方法だ
 だが、あの男は、岩を盾とした。なんとも恐ろしい技量だろうか
 自分の鞭が当たる部分までだけに岩を持ち上げた
 放り投げたとかじゃない、叩いて持ち上げたのだ

「くっ!」

 接近してきていた恭也に気づいて、レヴァンティンを元に戻す
 そして、鞘で攻撃を受け止める
 まだ一刀のまま。だが、硬直は一瞬
 恭也はもう一刀へと手が掛かる
 シグナムの脳裏に危険という言葉が思い浮かぶ
 背後を取られたことを考えれば砂埃やそこらを利用した無音移動術
 勘と経験により攻撃をかわしてきたが
 今回は更に危険と訴えてる
 だが、シグナムは一歩前に全身する。恭也の攻撃が当たるように
 それは本当に一瞬。恭也の攻撃は、シグナムの振り返り+一歩で帳消しになる
 勿論、シグナムも攻撃は出来ない
 体当たりの容量で距離を置く
 恭也は腕を振る。シグナムは一瞬固まる

「なっ!」

 鞘封じ。左手に持っている鞘じゃない。左腕に細い糸が絡み付いてる
 それへと目をやった瞬間、恭也は最高速度に達するために、走り始めた
 人でありながら人を越えた初速と速度へと身を入れる
 離れた距離ならばこその奥義
 1秒に満たない状態で砂埃を上げつつ、たどり着いた
 胸と腕、肩に衝撃が来て、初めて攻撃が入ったのだと気づく。感覚が遅い
 だが、脅威の到来は気づいた。たった、数秒の世界
 滑る体と走り抜ける体。シグナムは鎧に受けたダメージにより防護服が破けてるのを見た
 糸は取れてる。だが、先ほどの一撃は知覚を越えていた。ゆえに必殺の領域
 ただ、主の前で無様に一撃でやられるのだけは嫌だからこそ立ち上がる

「くっ」

 片腕が使い物にならない。左腕は無理に引っ張った結果で抜けてる
 右腕のレヴァンティンが頼りだ
 恭也もつかれてるのか、息を乱してる
 あの動きは魔法とかじゃない。ソニックムーブやプリッツアクションの類じゃない
 それならば、対処は出来たはずなのにだ
 ただ、それでも、あれは……魔導師ですらも脅威を感じるスピードだ

「レヴァンティン」
『ja』

 周りはまだ戦うのかと言わんばかりに二人を見る。声がかけられて止めるように言うが
 二人には聞こえない。剣士たちはお互いに最後の一撃を繰り出すために動き出す

「奥義之六 薙旋」
「飛竜一閃!!」

 小太刀の抜刀四連撃と大剣の一撃
 飛び込む恭也と迎え撃つシグナム
 それは、フェイトとシグナムの戦いのようだ





 シグナムは防護服が解除され、横倒しになっていた
 レヴァンティンは首からかけられていて、恭也も息を乱している
 砂埃が晴れたとき、そうなっていた
 決着は恭也の勝ちだ
 だが、あの間に何があったかは映像を見ても分からない
 後に二人も話さない。あの時一番詳しく知っているのは恭也一人であるが




「凄い、これが生身の人なのか?」
「違うわ」
「え? 提督どういうことですか?」

 リンディやレティも見に来ていた。気になる戦いという意味でもある
 クロノとエイミィの二人が解析を出しているのだが
 コンマの世界で動いてるのに目でやっと追いかけられるのだ

「魔法の補助はあるのよ。見せないようにしてるだけで」
「そうなんですか?」
「ええ。でも、すっごく隠蔽されてる」
「そうなんですか?」
「Dランクしか魔力を持たない恭也くんにとって一撃でも喰らえば即倒れる
 だからこそ、自分にとある魔法をかけ続けていた」
「とある魔法?」
「知覚強化と身体強化。そのどちらかでしょうね」

 エイミィの質問にレティは答えた。

「デバイスを渡したけど、そのデバイスには二つしか魔法を入れてないの」
「完成された知覚強化と身体強化!?」
「そういうことよ。身体の負担をゼロにしつつ、知覚強化して
 恭也くん自身の動きを良くした。いえ、動きやすくしたってのが正しいわね」
「でも、それだけでこの強さって」

 出される結果。



総合魔力 D
総合戦闘力 anknown
攻撃力 C〜AA
守備力 D(防御方面は無いとも取れる)
空間把握能力 AAA〜SS
肉体能力 SS
精神能力 S

ほかは分からないとのこと


「なんか、凄い結果だな」
「シグナムさんには悪いけど、彼女じゃなかったら、この結果は搾り出せないわ」
「そうね」

 シグナムだからこそ恭也と戦い、これだけの能力を引き出したのだ



恭也のデバイス
シルフィード『風と加護の杖』
だが、形状は指輪状のもの



「恭也さん、大丈夫ですか?」
「まぁ、少し傷は負ったがな」
「シグナムは?」
「一応、防護服がほとんど守ってくれた。最後もシールドが最後の二撃を守ったから大丈夫だろう」
「そう、ですか。良かった。最初、倒れたって心配したんですよ」
「まぁ、俺も魔法を使っていたからな
 なれない事でさすがに疲れたが」

 そういって、指輪を見せる。小指にある小さなリング

「これがデバイス?」
「シルフィードだ。まぁ、ほとんど何も入って無いと言っていたが、肉体と知覚の強化だ」
「それだけですか?」
「だが、それだけでこの戦闘だ。魔法は偉大だな」

 恭也がしていたのは、神速の状態の維持
 知覚の強化。それは、見切りなども凄く必要とされるもの
 そして、肉体強化。これにより神速に耐える
 そして、最後の二度は奥義のための神速をもう一つかけること

「シグナムが負けた理由わかるぜ。これはわたしらでも勝てないな」
「ヴィータちゃん」
「空飛んで逃げるね」
「あはは、私も上空から攻撃するよ」
「魔砲使いだな」
「あはは」

 ヴィータとなのはは苦笑い。だが、ヴィータはあれを見て分かる
 空からの砲撃。それも避けられるのではと
 もしも、こいつが敵だったならばとヴィータは考えぞっとする
 自分たちが斬り殺されるイメージ。負けないと思ってても、この者は強いのだから

「しかし、恭也さんは強いんやね」
「そうでもない。俺も今回は魔法を使ってだ。もしも本来の状態なら
 最初の一撃は無事だろうが、二撃は無理だろう」
「それでも一撃は避けるんだ」
「まぁ、多分避けられる、だ」

 それは謙遜だと皆分かる。この面々でこれだけの近接戦闘が出来るものは居ない
 攻撃が多少当たることは織り込んでの攻撃方法だから
 ただ、恭也は逆だ。一撃でも喰らえば駄目ならば、喰らわなければ良い
 それが、デバイスとの優位だ

「私が弟子にして欲しいくらいですね」
「動きは覚えておいたほうが良いかもな、なのはも」
「後でちゃんとチェックしよう。ほとんど見えなかったし」

 たった数分でこの状態。ある意味で恐ろしいのは御神の剣士かもしれない








 ただ、この後、恭也はリンディから養成学校の先生にならないかと話を振られた
 理由は管理局員で居て、尚且つ戦場だとフェイトが心配するからという単純極まりないことだったのだが
 それは誰も知らない胸のうち

「確かに恭也くんが居てくれるなら、近接の技術は飛躍的に高まるわよね
 しかも、カウンターテロ、罠設置とか」

 レティも大賛成のようだ。恭也に一度試しに日本語で書かれた教科書を見てもらい
 簡潔かつ大胆に、だが繊細にそれらを一問ずつ解いたのだ。教科書の問題を見て
 ほとんど中身をぱらぱらと見ているだけで
 だからこそ、欲しい人であるとも





 さて、元の高町恭也の世界、高町家では、恭也がフェイトとリンディから管理局員にならないかと連日押しかけられてるのだった
 ただ、フェイトは色々な思いもこめてきている。恭也が振り向いてくれますように、その意味も込めて
 優しい金色の少女は女性となるころ、恭也はどうしてるやら







 おわり






 あとがき
 という話がありました。神速平常使用。それがデバイスの力です
 Dランクでそんなことが可能かどうかですが、その数分の戦闘のみの特化能力だと思えば可能だと思います
 それに、恭也も座って休んでることを考えれば、休まないと眠いってことで
 さて、まぁ、この後本当にどうなるかは脳内で補足お願いします
 自分も幾つか考え出したけど、書くとまたイメージが違うので
 でわ、これで〜ノシ





もっとメイド姿で出てきても良かったのに……。
美姫 「いや、本当にそろそろ落ち着いて」
さてさて、冗談はさておき。
美姫 「目は本気だったけれどね」
さておき! 遊び人さん、ありがとうございます。
美姫 「ございます」
今後の色々を妄想させられる。
美姫 「とても楽しめました」
メイドで、メイドが、メイドを……。
美姫 「いい加減にしろ!」
ぶべらっ!
美姫 「それじゃ〜ね〜」
で、ではでは。



▲頂きものの部屋へ

▲SSのトップへ



▲Home          ▲戻る