『乃木坂春香と高町恭也の秘密』
第三話 その1
黄金週間が瞬く間に過ぎ、俺は疲労感を覚えていた
春香が、俺のことをしゃべってしまわないか心配なのだ……
なんせ、ドジだし……いや、大丈夫だと信用はしてるつもりなのだが
行き成りこけるところを観ると、どうにも信用が
「ん?」
中間試験前といっても、後二週間ほどあるのだが
そんな時に俺の机の上に可愛らしい便箋が置かれていた
誰からか分からないが、置かれてると言う事は観ても構わないのだろう
中身を見る……
『放課後お時間がありましたら、音楽室まで来ていただけないでしょうか。ご相談があります』
綺麗に書かれた手紙……文章はとても綺麗だが、その隣に書かれた小さなイラストだろうもの
なのはに見せたら教育に良く無さそうだな……
まぁ、間違いなく春香だな……いや、まぁ、このイラスト見たことあるし
「何時置いたか分からないが、時間が時間だし急ぐか」
音楽室に呼び出された……まぁ、誰か分からなくとも、この手のものは無視してるが
相手が誰か分かったりした場合は断る場合もある……文章とイラストの後に『乃木坂春香』と書かれていた
なんというか品格が出てるというのはこういうのに使うのだろうけど
「む」
音楽室には多数の気配……それとピアノの音
ああ、ピアノを弾いてるって事か……で、誰かが聞いてると
気配を殺し、後ろのドアから身をくぐらせる
1年から3年まで勢ぞろいしてるみたいだ……女性ばかりというのが少し引くが……
百合だったかな? 確か、忍がそう言っていた
で、女生徒たちが春香を見つめる瞳の色は『憧れ』
大変だな、人気者は……
ピアノの演奏を聞き、ピアノが終わりを告げ、女生徒がきゃいきゃいと騒ぐ
プロ並の腕だな……シーラさんと同じくらいかな
「今の曲、とっても綺麗でした。何て曲なんですか、春香先輩」
「はい。今のはラヴェル作曲『水の戯れ』です」
「わ〜、うんうん、ほんと水って感じだった。あたし、思わず聞き惚れちゃったよ」
「川のせせらぎとか、渓流とかを思い出しちゃいました」
なんというか賑やかだな……いつもこうだと春香も疲れるだろうな
押しに弱そうだし……確りしてるところは確りしてるのだけど
俺の前だとボロを出しまくっていたみたいだし……
それにいまだに誰も俺の存在に気づいてない……ある意味凄いなぁ
最初からピアノの演奏を聞いてたわけだから気づかない方も凄いが、気づいてない集中力もまた
俺もそう言う部分の集中力は見習うべきかもしれない
「あっ」
春香が周りとなにやら会話してる時に軽く頭を振り周りを確認する
まぁ、誰か来ていたらという確認だろう……俺と目が合う
軽く会釈すると、春香は戸惑いながらも声をかけてくる
「恭也さん」
こちらに小さく手を振り
「いらしてたんですね。お待ちしてました」
「待たせてしまったようで……」
と、周りの女性たちがこちらを見ている
「あれって、高町先輩だよね!?」
「うそ〜、高町先輩って、誰とも仲良くならないしクールだから良いのに!」
「う〜、でも春香先輩嬉しそう」
なにやら黒い考えなようだ……しかし口に出してる時点でだめな気がするのは俺だけか?
「あの、みなさんすみません。約束していた方がいらっしゃいましたので、
残念ですけど、今日のところはこの辺で……」
春香の言葉に周りの人たちは不平というか不満を口に漏らすが
まぁ、言われて仕方なくという部分もあるのだろうが、そのまま大人しく帰っていった
それでも、俺に対して何かしたら怒るみたいな内容のことをいわれたが……
まだ死ぬ気も無いので気にしない事にした
殺意ある目で見られた気がして、体が反応しかけたけど、皆春香が好きなんだな
「……で、話というのは?」
全員が音楽室から出てから声をかけた……流石に誰か居るときに声をかけてはダメだろうし
何より、俺自身が何となく、今回の用事は俺に頼ってるものだろうという憶測がたった
「恭也さん……明後日の日曜日、お暇ですか?」
そう訊いてきた……日曜日か
「日曜日……か」
バイトというか、翠屋を手伝ってくれって言われそうな気がするのだが……
まぁ、出かけておけば良いか……しかしなぁ
「あの、できればですけど、私に付き合っていただけませんか?」
そう言われて少し考える……そういえば、なのはがその日に欲しいものがあると言っていたな
予約を2つして俺の分も買ったとか
って、俺は要らないのだが……何でも俺にもして欲しいとか何とか
なのはが自ら選んで、誕生日でもないのにくれるなら買うくらいはしてくるが
もしかして、俺、なのはの策に嵌ってる?
「買い物か何かか? 俺もちょっと出かけるつもりだったし、行く方向が同じなら多分」
「本当ですか!!」
いや、まだ一緒に行くと言ったわけじゃないのだけど
しかし、本人は行く気満々か?
本当に嬉しそうだから水はささない方が良いだろう
「初めて行く場所で心もとないので、恭也さんがいけない場合はやめておこうと思ったんです」
元から1人での行動は少なそうだからな
「いや、だが方向が同じとか一緒でないと、一緒にいけないと思うのだが」
「あ、そうですね……」
なにやら考え込んでるみたいだ
「行く場所を聞いて良いか?」
「あ、はい……アキハバラに……」
……なのは、何で俺が行かねばならいかわかった気がする
まぁ、予約したものをとりにいくだけで良いんだろう
確か、忍はノエルさんが取りに行くとか言っていた気がするけど
ゲーム好きなんだな……晶とレンもしたいとか言っていた気がするが
買うものが何か分からない分は何も言わない方が良いだろう
「方角というか、方向というか、行く場所は一緒のようだ
その、寄る場所が一緒かどうかわからないが、予約してる場所に行って荷物を受取ればいいだけだから」
「あ、そうなんですか? それじゃあ、ご一緒願えますか?」
「まぁ、俺も妹に頼まれたので……」
「妹思いなんですね……私も美夏が居ますから」
「美夏?」
「あ、妹なんです」
気苦労多そうな妹だ……春香が春香だし
「葉月さんは元気ですか?」
「え? ああ、はい」
ちょっとした身内の話
「そういえば、恭也さんってご家族は?」
「父親が居ないだけで、俺が長男で、母親と姉的存在と美由希、なのはが妹で、晶とレンっていう妹的存在が居ます」
「そうなんですか……ところで姉的、妹的というのは?」
「うちの家族全員がそうなんですけど、実の姉や妹というわけじゃないんです
俺は父さんの連れ子でしたし」
「あ、それは訊いてはいけませんでしたか?」
「いや、そんなこと無い……大したことじゃないからな」
「でも」
「大丈夫さ、大分前のことだし」
そう、大分前のことだから
そして、日曜日の予定が入ってしまった
まぁ、なのははかあさんのお手伝いをしたいって言ってたし丁度良いかもしれない
俺はなのはと話をして、明後日の日曜日に行くということで決った
かあさんが何故か渋っていたけど……
つづく
あとがき
その1終了っと……そういえば、0は書いてないな
シオン「書かないの?」
いや、書いても良いけど、恭也がガチャポンを知ってるとは思えない!!
ゆうひ「……た、確かに!! それは事実そういう感じではあるよね」
だろ! 俺もこれ見た時に凄い違和感あったんだけど、恭也がメイド喫茶なんかで喜ぶとは思えないし
シオン「ナチュラルメイド見てるわけだからね! しかもオート方式の」
そう言うこと! この時点ではノエルさんが機械だと知らないわけだけど
ゆうひ「大変だね〜」
全くだ
シオン「でも、これって恭也が事件に巻き込まれるというのは無さそうだけど」
ま、本と引き離す点を何処にするか考えてるから
ゆうひ「へ〜、考えてるんだ……」
一応ね
シオン「ま、まだまだ先は書かれてるし安心でしょう」
多少ね……夏場の2巻目が勝負かなぁとは少し考えてるけど、まだ模索中だな
ゆうひ「でわ、また〜」
ほなね〜(^^)ノシ この秘密ストーリーが最も短く書けたりするけど、長い時長いよなぁと凹む
お買い物、お買い物〜♪
美姫 「次は春香とお買い物編かしらね」
一体、どんな騒動が起こるのかな〜。
美姫 「もう今から待ち遠しいわ」
ああ〜、次回も楽しみに待っています。
美姫 「それじゃ〜ね〜」