とらいあんぐるハート×魔法少女リリカルなのはA's









魔法少女リリカルなのは〜守りたいものありますか?〜A's

第一話 始まりの前に










 PT事件……そう名づけられた事件は終わりを告げて、なのはは毎日の日課が増えていた

「ふぅ〜」

 息を出して、先ほどの練習を思い返す
 赤い球を使っての缶を打ち上げ、徐々に上げたりする
 アクセルシューターの練習だ

「なのは」
「ぅぇぇえ!」

 変な声を出すなのは
 そこには、恭也が立っていた……そのことになのはは良かったというため息をつく
 これが一般人だったりしたらと思うことなのだろう

「結界を張るように言わなかったか?」
「あぅ」
「せいぜい人払いくらい張りなさい」

 恭也の厳しい視線のまま、なのはを見ている
 なのはがたまに恭也に魔法の修行を教えてほしいと頼んだが
 恭也といえば『戦い方が全く違うのに、どう教えろと?』と断ったのだ
 ちなみに、それに対してすねた妹はしばらく恭也と口を利かなかった
 士郎と桃子と美由希がそのことに首を捻ってたけど、恭也はやれやれとため息をつくと
 ほんの少しだけ教えるようになったのだ

「ごめんなさい……」
「レイジングハートも再三にわたり注意したのにまだ懲りないのか?」

 ちなみに、レイジングハートは恭也がとても苦手……理由は、恭也がしたことである
 レイジングハート曰く『あれは注意じゃなく、壊すつもりでしたか?』などと半分泣き声みたいな
 震えた声で言わしめたほどである
 恭也の加減抜き力一杯握るはとても効果があるみたいだ
 握力80に握られたら、確かに痛そうである

「sorry」

 謝るレイジングハートに恭也は頷く
 仕方ない奴らめって事が含まれている

「なのは、あまり教える事は無いが、小さな技で時間を稼ぎ
 大きな技で相手をふっとばす。それが基本だ。先ほどの魔法は良いと思う」
「はい」
「だが、注意すべき点は、その間、他の事が出来ないことだな」
「うん」
「一対一なら問題ないが、二人や三人居たら問題だから」
「気をつけるよ」
「実際は俺が居たら良いが、俺は居ないものとして考えろよ
 それから、もしも一対一じゃなくなったら、それは使わないこと」
「はぁい」

 なのはは頷いた。確かにその通りだと思ったからだ。まだ多対一はしたことが無いが
 恭也が言うのだから間違いないだろう……戦闘のスペシャリストが言うのだから
 ちなみに、このときクロノと他の隊員も恭也の戦闘講義を〜ってな事があったのだが
 恭也が即効、即決、即断でイヤだって事を伝えていた
 そのことに内心喜んだなのはだったりするのだが、まだまだ気持ちに気づくのは先のことだった

「さ、そろそろ帰らないと学校に遅れるぞ」
「はぁい」

 恭也に言われて、なのはと恭也は帰る
 といっても、此処から家までそこそこに距離がある

「なのは、ちゃんと捕まってろよ」
「うん」

 なのはは恭也の背中におんぶされていた。恭也の体力強化のためのおもりだとか
 『なのは重たくないもん!』と女性的発言をしたのだが、なのはが走っていては間に合わないのだ
 朝は比較的弱いなのはなので仕方ないともいえるだろう
 朝早くから修行して、家に帰るとき、なのはは走って戻っていた
 魔法使って戻る事が出来ないため走っていたのだ
 恭也なら10分の距離が、なのはが走っていては25分かかるのだ
 ちなみに、肉体的な差やらもあるのだが、根本的な体力差が出てくる
 更に体力が少ないなのはにとって、難しいだろうということだ
 で、一日目にして遅刻ぎりぎりという危険を冒したために、恭也がランニング途中で拾ってくる
 そんな事で何とか士郎と桃子も納得したのだ
 ちなみに美由希に頼まないのは、美由希がなのはを背負ってこけたらしゃれにならないからだ
 『ありそうだし』『ないと言い切れないでしょ』が士郎と桃子の言葉で
 美由希が部屋の隅でしばらく『の』の字を書き続けていたのは、家族の記憶には新しい
 なのはにとってはちょっとした至福の一時……父親の背中より恭也の背中に背負われてる時が多かった
 桃子がそういうと、微妙に落ち込む士郎とそうだったのかと納得する恭也が見られるほどなのだが
 なのはも兄である恭也の背中を気に入ってる
 小学生にもなってと考えるが、その前に遅刻が入るので諦めてはいるが、喜んでも居るのだ




 家に着くと、何時もの準備をする
 大学生が良いなぁなどと美由希となのはに言われてるが恭也はお風呂でシャワーを浴びて
 すぐ出てくると、朝食もそこそこに出て行った
 何でも用事があるとか……

「そうそう、美由希」
「なに?」
「なのはと一緒に登校してみたらどうだ? 遅刻したら鍛錬追加な」
「あぅ〜」

 言うなれば、なのはを友達ところまで送って、その後、風ヶ丘へ行けって事なのだが
 士郎は苦笑いだ……ちなみに恭也にも似たようなことをさせた士郎なのでもんくは無い
 常日頃から鍛錬を忘れないのが剣士としても必要なことだ

「お姉ちゃん、頑張って」
「なのは〜」

 優しい妹だと美由希は思っているが、たまに冷たいなぁとも思ってたり
 桃子は何も言わない……元より鍛錬というものには口出ししないようにしてるのだ
 なのはがそれをし始めたらどうなるだろう程度の予想はしてるが
 運動会やら、体育の成績を考えると無いかなと納得してたりする
 どうしてもなのはと御神流がくっつかないのだろう
 そして、何時もの日常が始まる
 ちなみに、恭也の時は、なのはを保育園まで送ったり、バス停まで送ったりした
 迎えもしてたのだから、美由希より大変だったはずだ
 この頃におんぶとだっこを大量にしていた

「いってきま〜す」
「いってきます」

 なのはと美由希が出て、士郎は朝食の片付けを終えて、仕事へと出て行く
 翠屋のことを桃子に任せきりだからだが……桃子は少し早めに出て、仕込みを急がないといけないからだ
 士郎も先に行く桃子の負担にならないように、色々と手伝ってるのだった
 鍵を閉めて士郎も出て行った
 高町家は今、誰も居ない状態となるのだった




 先に出た恭也はというと、図書館により本を返却し
 次に大学病院を訪れていた……膝の整体の受付を済ませる
 それを終えると、また出て行って図書館へと向かう
 時間がまだ先だから構わないのだが、大学講義は大丈夫なのか?
 その頃大学では

「高町」
「はい」(忍特性ボイスチェンジャー、恭也の声)

 代返者がしっかりと返事していた……ちなみにノートも取ってもらっている(ノエル男装が)
 なんだかんだで大学生活の必要なことはこなしてる恭也だった
 ただ、間違った方向でもあるのだが

「あ、恭也さん」
「ん、はやてか……今日は診察か?」
「いえ、ちょっと本を返しに……時間開いて暇やさかい」
「そうか……俺は資料を借りに着たんだがな」

 といいつつも、盆栽とかが混じってるのは気のせいじゃないだろう
 一応はそれなりの本も手で持ってるのでレポートの資料を借りには間違いでは無い
 車椅子を押してる女性に頭を下げる

「おはようございます、シャマルさん」
「おはようございます、恭也さん……その大丈夫ですか?
 恭也さんが此処に居るときって足の整体とレポートしかいないでしょうし」

 失礼だが事実なので恭也は苦笑いで応える
 ちなみに、その顔に反応してシャマルは頬が熱くなるのを感じてはいたが、必至に隠していた
 全然隠れてないので、恭也も何時もの事だということで慣れた
 最初の頃は熱かなぁとか思っていた

「大丈夫だと思います。今日は整体のほうですし、学校側にも伝えてありますから
 それに大学は意外と自由が利くんですよ」
「そうなんですか」
「シャマル嬉しそうやね」

 シャマルと恭也の様子を下(座ってるため)から伺っていたはやてはそういってシャマルを見る
 シャマルの頬が一気に赤くなる……恭也は首を捻る。同じようなことがあるが
 大体の人は大丈夫と答えるから分からないでいるのだ
 鈍感、朴念仁とののしられる所である

「は、はやてちゃん」
「ははは、も〜、そんな焦らんかってええやん……恭也さん、資料探すの手伝いましょうか?
 うちは単に返却とまた借りようか考えてたし」
「そうだな。頼めるか?」

 少し騒がしかったかなと考えつつも本を借りて、三人は別れる
 一人と二人で別れるのだが、シャマルとはやては図書館の中で恭也と別れる
 恭也はこの後、女医の整体を受けて、しばらく苦悶するのだが、その様子を二人は知らない

「恭也さん」

 はやてはシャマルがそう呟くのを聞いていた……シャマルも恋する年齢なんやなぁ
 てっきりそんなの過ぎてると思ってたなどと、結構失礼な事を考えてるのだが
 知らないというのは幸せなことかもしれない





 そして、夜になって動き出す……それぞれが、夜の闇の中……







 つづく








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