とらいあんぐるハート×魔法少女リリカルなのはA's









魔法少女リリカルなのは〜守りたいものありますか?〜A's

第二話 始まりの夜











 夜中になって、慌しくなった……恭也はそう心うちでもらす
 鍛錬も終えて、皆、休息の時を迎える
 なのはは上で勉強中……俺は俺で剣を構える
 目の前じゃなく、海鳴が見える場所へと移動する
 高い場所は周囲を確認するのに使える
 そして、家も効果範囲内に入ったようだ
 ベルカの騎士、ヴォルケンリッター




 上空に浮かんでいた犬と赤い少女
 その二人は相談を終えると、犬は消えて少女は結界を張った
 その結界の内側へと入ったものの魔力反応を確かめるために

「見つけた!」

 入ったものの中でもっとも強い魔力
 そして、飛ぶ。名前をヴィータ
 消えた犬のほうは、ザフィーラ
 なのはの方へと飛んでいく赤い少女を見上げていた

『神風をあちらに預けたが、俺も戦ったほうが良いのだろうか?』

 微妙に恭也はそんなことを考えていた
 だが、実際問題としては、恭也は考えていることがあった

『レイジングハートでは、あれに勝てない』

 ベルカ式とミッドチルダ式、その差ではなく、純粋な力勝負の世界の中で
 恭也の考えはあながち間違ってない。まず対人特化
 それが、あの杖には見受けられた
 魔力で強化した視力なのだから間違いないだろう
 そして、恭也は変身のためのキーワードを唱える

「日銀(にちぎん)の世界、自らの檻にて棺を開ける
 その名を告げて、我を一つの王を成す
 サンライズセットアップ」

 恭也の声に反応してか、恭也の姿が変わる
 変身というよりも、はっきりといえば、その姿は大きさすらも変えた
 体はなのはと同じ位になり、そして手にデバイスを握っている
 こんな体になりたくないと思うことなかれ
 恭也はそのまま手にデバイスを持つ。10歳くらいの恭也は髪の毛が金色に染まり
 後ろからは真っ黒な翼、白の防護服に手には白銀の篭手、指には小さな指輪が片手3つの6つ

「いこっと」

 可愛い声をして、恭也飛ぶ……どうやって見ても別人だが
 翼をはためかせて、飛んでいく……そこでは誰も居らず見えていない





 なのはとヴィータが戦っていた……そして、その間に助けるためにフェイトが入っていった
 ヴィータの前に立ち、フェイトはなのはを守るように立ち塞がる
 そして、そこに更なる敵だろう者が現れる
 そして、現れる二人の敵
 恭也は飛びながら、なのはを守るように戦ってるユーノとアルフを見る

「ふむ、あれじゃあ、手は無いな」

 恭也はそのまま空を飛びながら、一人の影を見つけた
 シャマルである。影に隠れてみている先は戦闘区域
 小さな恭也はそのまま後ろに気づかれないように飛び、ビルへと移る
 戦いは激化をたどる……そりゃそうだろう
 なのははユーノの回復と防御のところで留まっている

「こんにちわ、お姉ちゃん」

 シャマルは電話を切った後に来る声に慌てて振り返る
 そこに立ってる少年は小さい……だが、シャマルは後ろを許した覚えは無い
 でも実際はその子が誰かも分からない

「なんで人が消えたか知らない?」

 首を横に振るシャマル
 闇の書を開けて、相手のリンカーコアを喰らえば……この子は何もせずとも良い
 だから、闇の書を開け、相手の前へと行く
 まずはそれからだ

「お姉ちゃん、どうかしたの?」

 少年の姿はどこか可笑しい……羽が生えてる時点でそうなのだが
 それ以上にどこか不可思議
 それに気づけない

「蒐集」

 声をかけるが、闇の書は反応しない

「夜天の魔導書……」
「え?」
「違うの?」
「なんで!?」

 シャマルは慌てて距離を取る
 恭也はにこりと笑顔になる

「声が聞こえただけ……あのね、ぼくからしたらね、早く眠りたいの
 現実に戻してほしいんだけど」
「えっと、それは」

 シャマルは悩む。それが出来れば苦労しないと
 そして、あちらの方は激しい戦いの一途をたどる
 一対一なら負けないと……

「お姉ちゃん」
「何?」
「ぼくは、きょうって言う名前なの、お姉ちゃんは?」
「シャマルよ」

 有無を言わせないような言葉……きょうと呼んでという少年
 シャマルは侮れないと考えていた

「女の子たち負けるね」
「え?」
「……ベルカとミッドチルダだっけ」
「何で知ってるのかな?」
「……これが教えてくれたの」

 小さなペンダント、そしてシャマルは目の色を失う
 いや、違う……ペンダントを見た瞬間、シャマルの意識ある目は違う色に染まる

「恭也、遅いです」
「悪い……のっとりできたんだな」
「数分です。どうしましょうか?」
「なのはのリンカーコアを奪ってくれ……それと手直しどうなってる?」
「ええ、だいぶ進みましたが、魔力を吸わないことには無理ですね」
「んじゃあ、なのはたちには悪いけど」
「はい」

 シャマルの話し声じゃないが、声はシャマル
 だが、恭也はそれに頷いてペンダントを元に戻し、飛ぶ
 もう此処に居ても仕方ないから、シャマルの体を借りて、神風が魔法を発動
 なのはの胸から腕が生え、リンカーコアから魔力を大量に奪い取る
 恭也はそれを見ずに飛んでいく
 誰にも見られず、低い位置を……鳥と同じように

「なのは、悪いな」

 それは、恭也にとっても辛い決断だった
 恭也の魔力を使えたら良いが、そんなことは出来ない
 シャマルは意識が戻れば何時のまにか増えてるページ
 そして、記憶も多少残っているが、きょうのことは思い出せない
 そう仕組んだから。そう入力したからだ。神風の仕業で




 なのはとフェイト、ユーノとアルフは傷付きながらどうにか管理局へと帰還した
 といっても、なのはは来たっていう方が強いが
 そして、傷付いたレイジングハートとバルディッシュは直すためもある
 アースラが以前の戦闘で壊れたのが痛い所だろう
 嘱託扱いのフェイトとなのはの問題もあった……何よりまた付き合わせることになるのだから
 フェイトとなのはが仲良く話し、皆、それぞれの再会などを喜び合う
 ああいう結果になったことに驚きを隠せない




 その頃、ヴォルケンリッターの騎士たちも家に戻っていた
 はやてと共に居て、家族のような関係を築いていた……お風呂やらご飯やら




 そして、恭也はというと、なのはがまた出かけたからって事を伝えていた
 確かに急に居なくなっては問題があるだろうから、それも確かなんだが
 翌朝急に戻っていたというのも、普通に気づく家庭なのだから、恭也はナイスフォローである
 そして、早朝の鍛錬、恭也は空を見上げる

「また、厄介なことが起こるか……間に合わないだろうなぁ」

 その言葉は神風に送っている
 ちなみに、神風はもともと恭也の声くらいは聞きたいので、聞こえてたりする

『間に合わせたいけど、一度完全にならないと無理ですっ!』

 そう断言していたので、一度、魔導書のページを全て埋めなくてはならないのだ
 それははっきり言えば魔力集め頑張ってねって事にしかならない
 早朝の鍛錬を終えて、何時ものような日常が始まる。なのはは居ないが……
 寂しそうな家族が写り、恭也は少し悪い事したなと考えている




 リンディ艦長のはからいでアースラスタッフは引越しすることとなった
 本局となのはの世界では遠いからだ……恭也の持っていた乖離剣ならば距離すらも斬るのだが
 それこそ恭也相手に説得というか工作しなくてはいけないので難しいだろう
 臨時に開かれるアースラ隊員たちの警備などをかねてだ
 駐屯するというときには惜しみなく使う……実際、どんな事件でも
 誰でもどこか住んでる場所は良いものだ
 引越しは早めに行われていった
 作戦会議も始り、それぞれが動く……何より、これからの事を踏まえて







 なのはの回復はあと少し、バルディッシュ、レイジングハートの回復も後少し
 ただ、二つのデバイスは願う……新たな力を、自分たちの主を守れるように……












 つづく








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