とらいあんぐるハート×魔法少女リリカルなのはA's









魔法少女リリカルなのは〜守りたいものありますか?〜A's

最終話 幸せな日常を











 アースラの一室にて、恭也と共に寝ていたはやてとリインフォース
 皆、どこかに飛んだもので、また戻ってくるなんてことをすぐさま考えなかったのが悪いのだが
 それを誰が責められるだろうか?
 何より、はやては恭也の腕に抱きつくように、リインフォースは恭也の上腕を枕にして寝ている
 この三人に罪はないようであるのだが、幸せそうに眠るはやてとリインフォースに
 頬を緩めてしまう数名がいた……ヴィータとシグナム、ザフィーラ、シャマルの四名だ
 安心しきった寝顔……はやての寝顔のそれに四名ともどう言って良いか考えていた
 だが、この時、恭也はおきていた
 寝てるふりをしてるだけなのだ……かわいそうと取れるのは恭也の心だろう

『リインフォース、当たってるし、はやてもそんな引っ付かなくても』

 そんな起きた状態の恭也だが、起きたのは凪が声をかけたからだ
 出来るだけばれないようにと言う配慮をしたのも凪だ

「しかし、起こさないわけにはいかないだろう!! まず、恭也さんだけでも起きてもらわないと」

 クロノの言葉に、なのはとフェイトは少しふて腐れながら頷く
 恭也の近くで寝てるはやてが羨ましいという、ちょっとした少女たちの独占欲だが
 恭也にとって、妹やフェイトがそんな事を思ってるなどということは全く理解してない

「でも、お兄ちゃんならこれだけ人がいたらおきてると思う」
「私もその意見に賛成だ」

 なのはとシグナムの言葉に、自然と皆、恭也へと視線が行く
 恭也は寝てるふりをしてるがおきてると

「まさか! お兄ちゃん、リインフォースかはやてちゃんが好きなの!! だからその体に当たるの悦んでるの!?」

 なのはの言葉に即否定したい恭也……というより、それを真っ先浮かぶあたり凄いものである

「そ、そんな」
「はやてちゃんには無理ですよ!!」

 フェイトが少しよろめき、シャマルがこれまた微妙にずれたことを言っている
 恭也はため息をつきつつ起きる
 二人が起きるのを考慮に入れてだ……なのはの言葉で二人の意識も起きてきたようである

「人をなんだと思ってるんだ……まさか、なのはにまでそんな風に言われるとは
 第一、なのはだってたまに人の布団にもぐりこむだろうが」
「……そ、それは、あれだよ、そう、なんていうか怖かったというか」

 フェイトの視線がなのはへと向く……ある意味でライバルであると認識したようだ

「リインフォースずるいですよ、私だって恭也さんの隣で寝たいのに」
「いや、それは、ドアが開かなかったんだ……で、恭也はというとすでに寝ていたし
 マスターのこともあり、そのままねたんだ」
「なら、あなたまで実体化して寝る必要ないじゃないですか」
「そ、それは、あれだ……マスターを寂しくないようにと」
「でも、書に戻ってれば良かったんちゃうの?」

 その一言にリインフォースは顔を真っ赤にする
 それが劇的な変化を生むというのではなく、ただ女性たちの間で共通の意識が芽生えた
 こいつも恋敵(ライバル)かと

「マスターだって、早々に腕枕して気持ちよさそうに寝てたのに
 私は仲間はずれですか? それに、姉妹型がいる傍で寝たいと思ったらいけないのですか?」
「そうやね……まぁ、うちも寝てたんやから良いけど」

 はやてはそういってのんびりと言う
 車椅子が無いから、誰かが抱き上げて運ばないといけないのだが
 恭也はのんびりと構えてる

「それで、俺に事情を聞きに着たんですよね?」
「ええ」

 リンディに対して恭也はしっかりと目を見て聞く
 クロノは一応は執務官だが、もっとも権限が高いのはリンディだ
 ならば、この場でリンディへと聞くのがもっともなのだ

「何を聞きたいんですか?」
「はやてさんとリインフォースをさらって何をしようとしたのですか?」
「俺のパートナーを返してもらいに、リインフォースを直してもらってましたから」

 その言葉にいち早く反応したのは、シグナムたち
 直すってどういうことか分からないのだ

「直すって?」
「……そのままの意味だ」

 恭也はそういってリンディに次はという風に視線を送る
 このことは後ほど分かるというか、説明できるからだ

「では、あなたをロストロギアを持つ危険人物として逮捕します」

 リンディの言葉に皆固まる
 まず、恭也を捕まえるという事に……だが、恭也は首を振った

「お断りします」
「そうですか」
「ええ、第一、あなた方に俺を逮捕しようにも武力で訴えようとも勝てませんよ」
「……私たちに大きな被害を与えるくらいわけ無いと」
「ええ」

 恭也の言葉にシグナムたちはどうするか悩む

「何より、しようと思えば、アースラくらい単体で沈められます
 ああ、それとも管理局を壊しましょうか? もともと破壊は得意ですし」

 淡々とした恭也の冷めた声

「俺のことを止めないなら、俺は何も攻撃してないと思います
 そりゃあ、まぁ、俺のしたいことの邪魔になるなら排除しますが」

 そのことにリンディは考えていた……確かに恭也は邪魔なものしか壊してなかった
 そして、自分の翼を似合わないとも
 黒い翼なら自分の血塗れた道を通ってもあまり変色しないだろうが
 白は染まる……自らの色に

「それじゃあ、私たちと無理に敵対する気は無いと」
「ええ」
「例えばなのはさんを武装局員に指定してもですか?」
「なのはの未来は、なのはが決めることだ……それが学業や社会で影響が出るなら
 しばらくは止めてほしい程度は言うでしょうけど、それ以外では言うつもりありません
 何より、なのはが決めたことなら応援しますよ」

 心配ではあるが、なのはの力量などを考えてのこと
 恭也の言葉に、なのはは少しだけ嬉しく思っている
 一人の人としてしっかりと見られているという事に……子供と思われてないことに

「父さんや母さんがどう思うか知りませんが、そうそう大きな事件はおきないでしょう
 まぁ、起きたとしても、ロストロギア関連ならば、俺は出るでしょうし」
「なのはさんを通して情報を聞けば、何とか止める方法なども全て教えてくれると」
「別にそこまでは言いません……何より俺は自分の周囲が安定してたらいいです
 次元振動での地震や自然災害は勘弁してほしいですし、自分の近くである事件くらいの露払いはしておきたい
 まぁ、気になる事があれば、動くかもしれませんが」
「今回二件とも気になる事だったと?」
「ええ……ロストロギア関連ですから、気になるという言葉だけで埋まるものでは無いですが」

 恭也はそういって、ちらりとフェイトとはやてを見る

「守りたいと思える人がいて、自分が出来る事があって、努力で自分が間に合えば届くなら
 俺は諦めず願い、実行しようと動き続けます……後悔しないためにも」

 恭也の目に嘘は無く、リンディは恭也を見つめている
 少し頬が赤いのはデフォルトだろうと思われるが、見る人が見れば気づくだろう
 のんびりしていて、心配な部分が多々あるのだが
 レティなら気づいていただろう、リンディが恭也に見惚れてしまっていたことに
 この時誰も気づかなかったのは幸せとも言える

「はやてさんとフェイトさんを守りたかったって事か?」
「そうだ……彼女たちはどちらも被害者であると俺は思ったから動いた
 何より、ロストロギアの回収を頼まれてもいたからな」
「じゃあ、どうしてぼくらにだけでも説明してくれなかったんですか!?」
「クロノくん」

 なのはは小さく名前を呼んだ

「どうして、ぼくらだって言われていたら少しは!」
「なら、あの時闇の書と呼んで、シグナムたちをプログラムと言い切っていた
 その人たちに俺はすでに知っていて全てを話せと? 俺には出来なかった
 何より、すでに直すためにと動いていたからな」
「直すために?」
「闇の書の本来の名前、夜天の魔道書……俺は知っているからこそ、教えられていたからこそ
 直したいとも思った。何より俺と同じことを起こしてはならないとも」
「それが、あの魔法ですか? ナインテイルと下から上へと打ち上げる」
「あれは、そういう魔法なんですよ……相手がばらけても中のリンカーコアが無事なら再生する
 そんなことは百も承知……ならば、宇宙空間に上げて、全力全開で叩く
 ナインテイルは日天の魔道書の秘儀ですから」

 マイ、ミネア、ルイ、アクアたちの力を借りた秘儀
 止めるために編み出されたもの
 恭也の暴走の物体でありながらにして、恭也を守るための防衛プログラム

「どうして、魔道書のことをそれにあの変身は?」
「ばれたとき恥ずかしいから……あんな姿、見られたくない」

 兄の子供の頃というよりも自分と同い年くらいの時を見たなのはとフェイト
 確かに、あれは恭也とは程遠い感じだった
 幼い言動が目立った……確か、士郎曰く『恭也は子供っぽくなかった子供だったぞ』とのことだった
 小太刀の修行やら色々あった結果だったが、何よりすぐに大人にならなければならなかった
 命を狙われるという事は、自らを冷たくするしかない
 たとえ誰が相手でも負けられない要素が加わるのだ
 自分の命というものが

「……もしかして、それだけですか?」
「ああ、日天の魔道書の欠点なんだよ……契約した時の姿に戻る
 そして、力はその頃の状態に戻るんだ」
「もしかして、それが欠点って言う事は問題点もあるということですよね」
「俺のほかの武器は大人が使うものがメインで、基本的には使いきれないものばかりだ
 それに握力やらも下がる……あの状態でシグナムさんに普通に武術で勝つのは無理だろうしな」

 シグナムもそれには頷く……魔法があれば別だが、それを抜きにしたら恭也の方が弱い

「大人のときに再契約をすれば」
「無理だ……そういうものじゃない魔道書なのは分かってるだろう? 転生システム
 今の主が居なくなれば、次の主へと変わる……日天と夜天の二つの魔道書の同じシステムだ
 一度契約を解除したら、その時点で次の主へと飛ぶ……だから、俺が押さえつける意味もあって
 今は俺が経験不足ながらも主を勤めてるというわけだ」

 今はまだという言葉がつく
 もしも恭也が託す人が現れたら託すつもりでいるから

「分かりました……こちらからも逮捕はやめておきましょう
 不服そうな人たちが数名居ますし、暴走も無いなら問題ないでしょう
 ですが、恭也さん、少し話があるので後で艦長室へと呼びますから来てください」
「え?」
「艦長どうしてですか?」
「秘密の相談です……」

 そういって、リンディは歩いていった
 もう聞くことも無いからだろう

「リインフォース、直すってどういうことですか?」
「恭也がな、あらかじめ魔道書本体に自らのパートナーを入れていたんだ
 その者がロストロギアを見つけ壊すか使って世界それぞれの平和かを考えていたんだ
 そのことに賛同し恭也も手伝っているんだろう。まぁ、そのパートナーは
 書の開発者の一人という事で、中に入って元に戻してくれたんだ
 だから……私は消えなくて良いということなんだ」
「そういうことだったのか」

 説明に納得した……何故、そのことを見せず、言わなかったかは分からない
 だが、恭也なりに何かあるからこそ言わなかったというのが憶測だが立つ

「お兄ちゃん、どうしてはやてちゃんと寝てたのかな? 普通なら起きるはずなのに」
「それはだな、疲れてたんだ……俺も色々とあって、あのナインテイルもそうだが
 最初に吹き飛ばすのあっただろ? あれも相当な疲れがあるものなんだ」

 なのはにそう説明し、恭也はため息をつく
 まぁ、疲れもあるだろうが、何より先の説明では足りない分を説明しろ〜って言われそうだから

「そうなんだ……珍しいね」
「まぁ、そうなんだがな……」

 恭也がはやてたちに心を許してるとも取れるが、疲れがあってというので皆納得する

「とりあえずリンディさんところに行ってみるから」
「分かりました……案内しましょうか?」
「いや、大丈夫だ」

 恭也は扉から廊下へと出て、アースラの内部を歩いていく
 艦長室まで知っているのではなく、ただリンディの気配のある場所へと歩いて行ってるだけだ
 ドアをノックして入っていく恭也
 なのはたちは色々と喋ることがった……無断外泊してるはやてには急がねばならないだろうが
 入院中の場所から勝手に動いてるわけだし
 そのことをクロノに話、それぞれが急ぐ中、リンディと恭也はというと

「それで、話とは?」
「お願いに近いのですけど、これからも、あの世界であの世界に起こるロストロギア事件
 それを解決してほしいのです。勿論、お手伝いという形ですし、無理強いはしません」
「それなら別にかまいませんが、ただ何かあるんですよね?」
「私たちは邪魔してしまうかもしれませんが、出来るなら殺さないでほしいんです
 たとえ抵抗しても、貴方なら可能だと思いまして……敵に殺される前に
 皆家族がありますし、守りたいものがありますから」
「分かりました……ですが、俺は何でも出来る者でもないので、それは出来る限りで宜しいですか?」
「はい」

 恭也の言葉にリンディは頷く

「本来はいけないのですけど、私の権限が届くところでの情報は貴方にリークします
 私のことを頼むのに、何も見返りがないでは悪いですので」
「分かりました……人を釣るのが上手い人ですね」
「そんなこと無いですよ……皆さんには秘密にしておいてくださいね
 情報漏えいはそれなりの犯罪ですし」

 くすっと微笑むリンディに恭也は小さく微笑む

「俺のことも秘密にしてもらえるのに、それはそれでありがたいですよ」
「悪い事なんですけどね……でも、何となく、恭也さんは似てるんですよ
 ほんと、すみません少しだけ胸借ります」

 リンディは座っていた椅子から立ち上がり、恭也の前へと移動し
 恭也の胸に顔をうずめる……泣かないつもりでいても
 恭也の顔は似てなくとも雰囲気が似ている
 何より、クロノも夫に似てきた……母としていなければならないが

「夫に全てが解決したことを話せます
 でも、寂しいです……あの時、どうして傍に居なかったのか?
 それに、どうして一人だけ助かろうともしなかったのか?
 私は意地汚くとも生きてほしかった」
「はい」

 リンディの裏……悲しく涙流すこと
 だが、それでも本音は言えないことがある
 恭也はそれを受け止めていた……

「すみません、大の大人が」
「俺の母さんも似たようなことになりかけてました……父さんがあるとき仕事から帰ってきて大怪我していて
 命を取り留めるので精一杯。後はその人の生命力次第
 そんな時母さんに俺は言ってしまったんですけど……
 守りたい者があって、生きることを諦めたわけじゃないけど
 それでも、守りたい者が大きかった場合、自分の命は二の次になるって」
「二の次って」
「家族が居ても、守りたい人が居たら、自分の命はどっか飛んじゃうんですよ
 だから、その時だけは立派な最後だと思っても、後で後悔するんですよ
 ちなみに、父さんはその後母さんから再入院させられるほど頬を叩かれましたけど
 聞きます?」

 恭也の楽しそうな声にリンディは頷く

「『貴方が死んだら、一人残される子供は、私はどうしたら良いのよ!!?』
 だそうです……俺やもう一人妹の事さえ無視してそれですからね……その後母さんは妹に私はって泣かれてました
 でも、父さんは、その後からその仕事を止めたんです……動けないっていうのもあります
 ですが、怖くなったんだそうです。自分の家族がもしも居なくなるならって」
「今でも喫茶店でマスターをしてると」
「ええ……そちらを本業に考えててって言ってましたが、本当は笑顔を見たいからって気づいたみたいです
 守って見るか、何かで見るかの違いですよ……俺は不器用ですから守ってみたいですけど
 壊すことの方が得意ですし」
「みたいですね……それよりもすみません、本当に泣いてしまって」
「仕方ないですよ」

 その一言だけでリンディにはすっと救われるものがあった
 何より、誰かに優しい言葉と厳しい言葉の両方をかけられたことは無かったし

「それじゃあ、外で気になる人たちも居るようですし、俺も戻ります」
「……私もしっかりしないとって思ってて、これですから情けないものです」
「クロノも本当は辛いのを隠してるだけかもしれませんね……まぁ、でも」
「なんです?」
「大丈夫だろうと思いますよ。良い友達、良い人にめぐり合って元気なんですし」
「そうですね……クロノにも良い人が出来たら良いのですけどね」
「なのははあげませんよ」
「うふふ、どうでしょう?」

 にこやかに親同士の会話に、なのはは少し困った顔をし、クロノは少し上を向く
 ユーノが少し不服そうな顔をしている
 外で聞いていた者たちは後でリンディと恭也の双方から正座プラスお叱りを受ける
 はやてたちは先に戻したのだが、病院で無断宿泊な事と連れ出したのがシグナムたちとなっており
 盛大に叱られていた……ヴィータも巻き込まれており
 ザフィーラが唯一何も言われなかった……ただ、皆が恭也に『ザフィーラの洗濯お願いします』
 そう声をそろえたことでザフィーラは必死で謝っていたが誰も許さなかった







 おわり







 あとがき
 重要なシーンは皆様書いてるので、それを簡単に流す形で書いてみました
 というよりも、あれをいくつも書いてもつまらないというのが遊び人本人の気持ちです
 誰かのを読めば楽しめるわけですし、何よりその重要シーンがあるから面白いでは
 本編見てたほうが楽しいと思ったりするわけです。そのために自分はあらかじめそこじゃなく
 違う部分で面白い部分をと考えて書いてます。やはり日常とかで笑いがあったほうがとか
 日常でギャグとか……そんな程度ですけど、ヴォルケンリッターの騎士たちの日常とか
 外伝でリインフォースもくわえた恭也争奪戦の状況とかを書いていけたら良いのですが
 ストライカーでしたっけ? 出てるんですよね? 遊び人は一切見てませんが
 それを考えると、どうしようか考えちゃってます……時期が飛び飛びなのも問題なんですけどもね
 後、これをもって終わりにしようかどうかも考え中というところです
 恭也の過去もいくつか書いていけたらとか少し欲張りたいというのもありますが
 でわ、今回はこれで……全部あわせて10日……最初から最後までで大体10日
 腕と手首の負担が大きかったです……でわ、また〜(^^)ノシ



うーん、前回の無印といい、今回といい。
美姫 「その執筆速度が、ね」
うんうん。羨ましい。俺ももっともっと頑張らねば!
美姫 「口だけじゃなく、手を動かして欲しいけれどね」
むぅ。…え、えっと、とりあえず、闇の書事件は解決。
美姫 「最後には幸せを」
いやー、良かった、良かった。
遊び人さん、投稿ありがとうございました。
美姫 「ありがとうございました〜」



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