とらいあんぐるハート×魔法少女リリカルなのはA's









魔法少女リリカルなのは〜守りたいものありますか?〜A's

番外編2 月村邸のお風呂











 恭也はどうしてこうなったのかを、考えていた
 恭也のただいまの状況……腰にタオルを巻いた状態で、お風呂の中
 もしもこれが、普通の自分の家のお風呂なら違和感も何も無いのだが
 実際は違う……高級感あふれる邸宅のお風呂場
 無駄に広いというわけじゃないが、大人が5名ほど入っても問題なく広い
 作った人は何を考えているんだというくらい
 高町家の風呂も大きいのだが、それについては父さんが考えた程度に恭也は思っている
 手足が伸ばせるのが気持ちが良いのだが……何故こうなったのか?

「ふむ」

 確か……思い返していく




 今日は月村に呼ばれて、月村の家まで来た
 途中で急な雨が降らなければ……一時的だったのだがずぶぬれになった
 日天の魔道書は置いてある
 それで、月村の家で何故かある着替えを借りようと電話を掛けたら

ププー、プシュー

 壊れた……ちなみに、恭也はその時携帯を手に取りふむと頷いた
 そしてたどりついた先での危険なガードロボットを破壊し
 家の中に入ると、ノエルとファリンは恭也が濡れてることに気づかなかったのだ
 メイド失格とか言いながらもすぐさま着替えとバスタオルとお風呂の準備を済まし恭也を入れた
 まぁ、此処までの経緯は良いのだが……

「失礼します」

 お風呂にちゃぷとつかるすずか





 ということになり、何故かすずかが隣にいる状態でお風呂に入ってるという状態になった
 すずかとしては、念願の恭也とのお風呂に正直なところほわほわして気持ちよかったりする

「あの、それで、恭也さん」
「ああ、どうした?」
「その、体洗ってもらえませんか? 髪の毛とか私苦手て
 いつもならファリンが手伝ってくれるので良いのですけど」
「What's」

 恭也、欧米化してどうする?
 とりあえず、その言葉に一番顔を赤くして照れてるのはすずか
 恭也からしたら『この年齢でそれを言うのは確かに恥ずかしいのだろう』が思いなのだが
 すずかからしたら『い、言っちゃいました……恥ずかしいです』というのが思いであったりする
 あの旅行の時から、いや、もっと前から狙っていた恭也に洗われるという事

「お願いします……その、迷惑かもしれませんけど」
「あ〜、だが女の子なわけだし」
「……大丈夫です。その、誰にも言わなかったら二人だけの秘密です」

 すずかは小さく微笑んで言って、恭也もこれ以上は悪いと思ってスポンジを取る
 その際にすずかは恭也の傷付いた腕が見える……服に隠れるようにつけられた傷
 その全ては恭也の鍛錬の成果かもしれないし、違うのかもしれない
 でも、そのために身をはって、守ってくれた証

「そういえば、すずかは何度か見たことあったな」
「はい……家族を守ってくれましたから」
「……あれはたまたまだ」

 月村忍とノエルと月村すずかは秘密を抱えていた……そして、月村忍の秘密を恭也は意外な事で知る
 そして、すずかたちは避けられるかもしれないと恐れたが、恭也は気にしなかった
 更に、事件が起きた際に恭也は助けてくれた……イレインを連れ出した月村安次郎
 だが、それは失敗し、自らを殺され、更にイレインも暴走した
 それを止めたのが恭也だ……いくつ物分身を切り倒した
 その姿は騎士だった……ヴォルケンリッターの騎士たちも同じ志を持つ者も居るだろうと
 はやてを守るためにああやって傷付くだろう事も理解していた

「じゃあ、お願いします」
「その前にだ……ゴムあるな」

 恭也は丁寧にすずかの髪の毛を団子にして、後ろをくくる
 背中を見やすくするためもあるが、髪の毛にボディソープは合わない

「手馴れてるのですね?」
「なのはの髪の毛をたまに俺が結んでやるときがあったからな」
「なのはちゃん、たまに機嫌よくて、その時リボンを触るんですよ……恭也さんに結んでもらえた時かな」
「だったらちょっと嬉しいな」

 恭也のその言葉に、どっちもシスコンでありブラコンだと思ったすずか
 だが、声に出すことはしない……どちらも大事にしてると分かるから

「じゃあ、洗うな」

 背中などに一度シャワーをかけて、あわ立てたスポンジで拭くかのように洗っていく
 その手つきにすずかは小さく声を漏らす

「ん、嫌だったか?」
「いえ、なんか気持ちよくて……あ、ん」

 小さな声が漏れる中、恭也は『苦行だ』ともらすだろう
 なんせ、小さいながらも、その声はどこか官能を刺激するような声だからだ

「脇を先に洗おう」
「お願いします」

 軽く腕を上げて、洗ってもらうすずか
 更に腕や首筋なども洗っていく
 後は前だけだけど、それくらいは自分で出来るし、まだ、見てほしいような体型じゃない
 忍くらいになったらどうどうと頼もうなどとすずかは考えていた
 だが、その頃になればもう一緒にお風呂というのは難しいかもとと考えていく

「次は髪の毛だな」
「はい、恭也さんは良いんですか?」
「体は入る前にちょっと洗ったからな」
「あっ」

 普段ならそうしてたが今日は緊張していたのか、すずかもうっかり忘れていた

「すずかのことだし大丈夫だろう……まぁ、それに濡れたし汚れはそうそうついてないさ」
「ありがとうございます」

 恭也の言葉の優しさに感謝をとすずか
 そして、髪の毛を下ろして恭也は浴室手前のところからタオルを取ってくる
 まず毛先から水をなじませて毛先をシャンプーで洗い、次に上に上にと洗っていく
 その手つきにすずかは目を細める

「ファリンより気持ち良いです」
「後でファリンがすねるぞ」
「いえ、ですが、癖になりそう」

 すずかはそういって、洗われて行く
 自然と目も閉じて後ろへと倒れてしまいそうなのを抑える
 恭也に迷惑になるのが分かるからだ
 髪の毛を洗って、次に丁寧にリンスをつけられていく
 恭也も出来るだけ丁寧につける

「髪は女の命らしいからな……小さな頃に何度かなのはを入れたこともあるし」
「でも、なんか温かい気分になります……なのはちゃんも嬉しかったんでしょうけど」
「そうかな? よくわからないが、なのははそのうち一人で入るって言ったから
 まぁ、俺は数回しか入れてないが、父さんがだいぶ構いたがっていたから」
「良いな……お父さんとか」
「すまん」
「いえ、でも、恭也さんがこうやって今日は入れてくれましたし」
「そうか」

 リンスを流し、二人の間に微妙な静寂
 水の音が響く
 恭也は流し終えたと思い髪の毛をタオルで包む

「あうっ」
「ああ、ちょっと揺らしすぎた」
「いえ……でも、どうして?」
「体が冷えるからな……もう一度お湯につかるのに洗った髪の毛がお湯につかるのは困る
 せっかく久々に綺麗に出来たと思うのに」
「えっと、恭也さんって猫でも同じことしませんでしたっけ?」
「ああ……あいつらもすぐ汚すからな
 まぁ、洗うときに気合が入るのだが」

 恭也はたまに月村の家で飼ってる猫を洗うことがある
 その時ノエルたちも手伝うのだが、捕まえてきて恭也に託すだけだ
 ファリンやノエルたちは引っかかないか気になってるのだが、恭也は一度として引っかかれない
 何より気持ちよさそうに鳴いてる
 水が苦手な猫なのに恭也だとおとなしいのがすずかには分からなかった

「恭也さん」
「ん?」

 すずかは恭也の腕に抱きつく
 水面が大きく揺れる……すずかは恭也の横で腕に抱きついて気持ちよさそうに頬を寄せ付ける

「猫のつもりか?」
「はい」
「大きな猫だな」
「にゃん♪」
「ちなみに、猫は浴槽につけるとおぼれるからな」
「そうなんですか?」
「ああ、だから猫は泳げる奴も居るかもしれないが、ほとんどが泳げない」
「そうなんですか……でも、恭也さんがいたら大丈夫な気がします」
「そんなことは無いんだがな」
「忍お姉ちゃんは言いませんけど、あれで意外と慌てんぼうで、一度猫をお風呂に漬けて
 凄い引っかかれていたことがあったんですよ……あの時寝ぼけてたのって言っても
 分からないみたいで、しばらく近づきませんでした」
「忍らしいな」
「はい、お姉ちゃんらしいです」

 すずかと恭也はそのまま少し話し、脱衣所で面と向かうのは危ないということで先にすずかが上がった
 恭也もあがってよかったのだが、恭也がふらけたら困るし後でって事ですずかが先に上がったのだ

「良かった……というより、危なかった」

 恭也の心臓はばくばく言っていたようだ……何よりすずかが女性に見えたことが一番の原因だろう
 一応は体を大きめのバスタオルでは隠してはいたが、それでも背中洗う時
 髪の毛を洗う時にいやおうでも女性らしさが目立つのだ
 そのために恭也も心臓が大きく聞こえたのだ
 恭也はそのまま落ち着けた心臓で上がり、何事も無いかのようにあがり
 忍に文句を少し言いつつも、いつものように受け止めるのだった





 ただ、数日後、不覚にもこのことがばれてしまうのであった
 それは、聖小ですずか、なのは、アリサ、フェイト、はやての五人が一緒にご飯を食べてるときに起きた
 はやては車椅子ながらも小学校へと復帰していた……体育などはしてないが
 授業に遅れるから行きたいというわがままが叶った結果だった

「そういえば、なのはちゃんってお兄さんである恭也さんとお風呂入った回数って少ないの?」
「え!? うん、大体がお父さんかお母さんだったし
 でも、お兄ちゃんに背中流してもらったり、髪の毛洗ってもらうのは好きだったよ」
「そうなんだ……確かに気持ちよかったし」

 失言、そう気づくのが遅れたすずか
 アリサ、フェイト、なのは、はやての四人から視線がすずか一人に集中する
 口を押さえるが、駄目である

「気持ちよかったってどういうことかな? すずかちゃん」
「な、なのはちゃん、目が怖いんだけど」
「へ〜、すずかってば、どういうことしたのかしら?」
「あ、あれは事情があって」
「どういう事情か知りたいな」
「ふぇ、フェイトちゃん、目が笑ってないよ」
「あはは、すずかちゃん、はよ言わなあかんで〜」
「何時の間にハリセン持って来たの?」

 ちなみにそのハリセンを入れたのは、ヴィータだ
 シャマルとテレビを見ていて、ハリセンを見て、作って入れたのだ
 単なる突っ込みのために……だが、用途が違うようになりそうなのだが
 すずかは最大のピンチを迎えていた
 なんせ、あの時のことを思い出してしまい、ぽぽっと顔が赤くなる
 そのことを見過ごせるほど、此処の4人は甘くなく

「す・ず・か」
「あぅっ……そ、その、恭也さんなら頼めば入ってくれるかと」

 苦肉にもそう言ってしまった事で、恭也に迷惑が行ってしまうと考えてしまった
 すずかも前の四人が怖かったようである……もうすでに後の祭り




 その後、恭也はアリサ、はやて、なのは、フェイトにお風呂に一緒に入ろうとせがまれ
 更には、ヴィータまで一緒に入ろうといわれるのだった

「恭也さん、今度は私が中学生くらいになったら入りましょうね♪
 その時は恭也さんの事少しは受け止められると思うから」

 すずかは後に恭也にこのように言ったそうな……









 おわり








 あとがき
 ちょっと大人風味なすずかを書いてみようと思って書いてみました
 A'sの最後の方で出てきたすずかの真顔はとても小学生に見えなくて、ちゃんとした考えがある
 そんな風に見えたのでこうやって書いてみました
 大人というか、そういう思考で書くならフェイトもちょっと書いてみたいと思いましたが
 最初に書いたときに『すずかと恭也のお風呂』が浮かび、それを書いてみました
 ちなみに、この後際限なくループになるのを止めたのは
 忍や美由希やシャマルやシグナムたちです。リンディも一緒に入れてほしいなぁなんて言葉を漏らし
 フェイトとクロノを大いに慌てさせたというサブエピソードもありますが
 まぁ、そのことはあまりにも短く面白みにかけるので省きました
 でわ、これで……ほなね〜(^^)ノシ







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