とらいあんぐるハート×マリア様はみているSS









設定……
恭也は三薔薇を知っています(以上)
恭也が高校3年生の秋頃だと思ってください
一応オールエンドで完治してます(何ていうか適当だよなぁ)
というわけでレッツラゴ〜(ちょっと頭が飛んでます)







『薔薇は優雅に咲き誇る7』










「う〜〜ん、貴重は話を聞けたわ〜」
「かあさん……」
「て〜〜〜ん〜〜〜〜ちょ〜〜〜〜〜〜」

 松尾さん(鬼バージョン)が現れた
 俺とかあさんはすくみあがった……バイトたちは逃亡した(端っこに移動した)

「えっと、松っちゃん、お、落ち着いて」
「ほ〜〜、私は十分に落ち着いてるわよ……」

 めきゃっという音が聞こえた……松尾さんの持っているものがゆがむ
 って、まてぃ!! 物理的にありえないだろう……アルミ製だがお玉だぞ(何に使ってるか謎)

「きょ〜〜〜お〜〜〜や〜〜〜くんも同じよね?」
「いえ、かあさんが全て仕組んだことであります」
「そう……も〜〜〜〜も〜〜〜〜こ〜〜〜〜、覚悟はいい?」
「ダメ」
「ふ〜〜〜〜ん、そんなこと言うのはこの口かな〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!?」
「ふあ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」

 かあさんの口から意味のない言葉が漏れる
 ちなみに松尾さんが今してるのは店内お仕置きである
 まぁ、命名は誰かでするのは毎回松尾さんだ……
 大体がミスをした人やかあさんになるのだが
 俺は精神的な苦痛をさせられた……松尾さん年齢いくつなんだ?
 頬にキスとかで楽なのだが、店内中央部でというのはやめて欲しいものだ
 そのために逃げてるといえるのだが……

「じゃあ、俺は手伝いますから」
「あ、お願いね〜」

 厨房に行くと途中で止められているお菓子があった
 斬れるものだけ斬っておくか……後数分はお仕置きだろうし
 かあさんのは厳しいからなぁ〜

「何時もの光景だよな」

 考えることは山ほどあるが、そうやって日常をしてくれる皆に感謝だ
 もしも、俺が彼女達をすぐさま選んでいたら問題だったかもしれない
 でも、俺はまだ学生だし、彼女たちだって学生だ……
 パーティの護衛は引き受けるが、それでも……問題は山積みだと思っている
 もちろん、小笠原という名前を使う気も無い
 父さんの跡を継ぐこともないわけだから、俺は俺の道があるだろうし
 それを考えたら、守りながら生きていくのは生きがいともいえる
 だが、盆栽が……って、人の命と盆栽なら人の命に決まってるわけだから
 俺は守る方に行くか……
 そして、俺はバイトを始めてしばらくの時間考えながら、色々とこなしていくのだった
 心配はしていたが、こんなことになるとは……












「恭也」
「え?」

 俺は驚いて、声をかけられた方向を見る
 大体の気配はわかるが、いきなりとなると断定できない人が居る

「リスティさん、どうかされたんですか? 庭に直接だなんて
 一瞬敵かと思って、小太刀持ってきてしまったじゃないですか」
「うっ、それは悪かったね……所で、ちょとした話なんだけど良いかな?」
「いつもなら昼に来るのに珍しいですね」
「まぁ、込み入った話だからね……誰かに聞かれても困る
 どこか別な場所行こうか」
「分かりました」

 夜中にリスティさんに呼ばれるというのは珍しい事じゃない
 ただ、電話があってからなのだが、リスティさんは直接テレポートしてきたみたいだ
 何と言うか困った人だな……
 と、俺を見て、にやりと笑う

「うまくやったみたいだね」
「そうですか?」
「小笠原の家自身が恭也を欲しいと言ってきたそうだし」
「ええ、その話は今日うかがいました」
「やっぱりね、行動が早い」

 リスティさんと公園へと行くと、2人して歩いてベンチに腰掛ける

「恭也、君は鈍感だから気づいてないかもしれないし
 気づいてるのかもしれないけど言って置くよ……僕も妹のフィリスも君が好きだからね」
「俺を?」
「ああ……でも、恭也が誰かを選んで、その人を好きなら、諦めるから」
「分かりました」
「だから、1人に絞れとは言わないけど、ちゃんと好きだって良いなよ」
「リスティさん?」
「まぁ、ちょっと後押しをね」
「どうしてですか?」
「いざ自分が過去とであった時、過去何をしてきたか
 どんな家に生まれたかとか考えてたら、人は固まるものなんだよ
 それは僕にも言える……不破に縛られるな……
 僕たちだって綺麗な面ばかりじゃない
 それは恭也だって知ってるだろう……人の黒い部分を」
「あっ」
「ま、そのための応援だって」
「そうですか……」
「うん」

 そして、リスティさんは立ち上がると俺をじ〜と見る

「本来は桃子さんの役目だろうけど、今回は僕が貰ったよ」

 確かにかあさんが毎度背中を押すだろう
 ただ、今回はリスティさんがそれをしたという事だ……
 何ていうか、あれだな……大変なんだな

「でも、リスティさん仕事は?」
「夜中まで働く必要は無いわけだからね」

 そうですかと頷くとリスティさんは照れ笑いかどうか分からないけど笑顔になる

「恭也はそのままで居てくれたらいいからね……選ぶ決断をすればいい
 その後は、それぞれの仕事って事だね」

 そして、それは俺達の間にある変化に繋がるという事だ
 そういうことなのだろう

「リスティさん」
「ま、気にしないで良いよ……今回はいつもお世話になってるお礼みたいなものだしね
 あのパーティ会場でもしも誰かが傷ついてれば、それぞれが傷を負うことになるから」
「そうですか」
「それに、他のときも……あの時だって
 だから、感謝してる」
「どもです」

 正面切っていう時のリスティさんは綺麗だと思う
 美しいとかいう形容ではなく、本当に綺麗だと思う

「じゃあね、今日は悪かったね」
「いえ……毎度のことですし」
「あははは……言うね〜」
「すみません」
「良いよ……じゃあ、そういうことだから、色々考えてるだろうところ悪いね
 みんな恭也を応援してる、恋で負けても、友達や親友で居てくれたら良いって奴らばかりだ
 僕なら奪いたいなとか思ったりもするけど、それでも恭也の幸せが一番だからね
 じゃあね〜」

 テレの境界を越えたのか、リスティさんは飛んでいった
 というよりテレポートで消えた
 早かったな……まぁ、気にしてるのだろう

「本当に色々と助かるな」

 俺はそう独り言を言うと、歩き出す
 迷うというのとは違う……悩みがあるなら悩んで悩み尽くして答えを出すべきだ
 それが、彼女たちに対しての礼儀となるだろう
 あれだけ真摯に言われたのだ……だったら、俺も真摯な対応をとらなくてはいけないのが普通だ
 俺は部屋に戻ると、美由希と少しだけ鍛錬して(あまり無理するとフィリス先生が煩い)
 布団の中で考える……
 俺は一体誰がすきなのだろうという事を……
 美由希は家族、レンや晶も同じくで……那美さんは美由希の親友
 忍はクラスメートで気が合う仲間みたいなものだ
 リスティさんやフィリス先生は特別な知り合い……いや、もっと言うなら仕事仲間みたいな意識が強い
 じゃあ、蓉子さんたちは……蓉子さんは? 江利子さんは? 聖さんは?
 それに、祥子さんや瞳子さんは?
 どうなんだろうか? どこか違うポジションに居る5人
 それはどう言ったらいいのか分からないと言っても過言でもないだろう
 誰だか言っていたか……己の心ほど良く分からないと……
 ため息などをついていては誰かが心配するのは目に見えている
 だったら、俺がするべき事は普段と同じように行動するのみだ……それでも、わかる人にはわかるだろう
 フィアッセが居なくて良かったというべきか
 居たらいたでばれそうだし……というよりばれるだろうな
 そういえば、フィアッセに似てるといえば、蓉子さんは俺とフィアッセに似てるんだな
 江利子さんはノエルに似てる気がする……出来る事が多すぎて周りを冷めた目で見てしまう
 聖さんは何か辛いことがあったのか、どうにも一歩引いてるように見えるし……
 それも強さだろうけど……
 祥子さんは男性嫌いとか嫌いなもの多そうだけどまっすぐだし
 美由希に少し似てるのか? あ〜でも、似ていないか……あの確りとしてるところは
 瞳子さんはなのはだな……うん、そっくりだ
 って、家族と似せて考えてどうするんだ?
 ん〜突出したところが無くて、悩んでるってのが江利子さんなんだよな
 俺の動きを見て、そんな感想を漏らしていた
 真似の出来る事は興味ないから……俺が勉強してるときに俺がしていたことを少ししようとしていた
 興味があったからという事だった……出来たら便利そうだからという興味本位
 でも江利子さんにとってはそれが一番なのかもしれない
 興味なさげな顔が笑顔に輝く……楽しそうに嬉しそうに
 俺もその顔を見て、少しだけほっとしたのを覚えている……
 彼女のこんな顔を見ていたら楽しいだろうなと
 蓉子さんは俺とフィアッセを足して2で割ったくらいが丁度いいんじゃないだろうか
 無表情とは違うが、表情を押さえ、みんなのことを良く見ている
 そんな彼女が凄いなと思うのは、周りへの気配りが確りと出来てるところだと思う
 フィアッセみたいだなぁと密かに思ったくらいだ……優しさと厳しさを備えたやり方
 妹には優しいが、自分にも優しい人だと……
 そんな3人だからこそ、祥子さんもああいって行動できるのだろうな
 確りとした信念を持っての行動をして、認めて包む……そして支え、支えあえ合う
 あの人たちの絆は強いと思う……俺なんかが入っても揺るがないくらいに……
 それほどまでに強い絆を持ちながらも俺を好きだという思いは本当なのだろう
 だったら、どうしたらいいのだろうか?
 応えが見つからない……いや、答えなんて無いのかもしれない
 1人を好きだといいたい……でも、俺は……
 普通でいて、それでいて輝いてる5人をずっと見ていたい
 それは違う……傍に居て、見ていたいんだ……誰に邪魔されるわけじゃなく
 ただ見て彼女たちと感じたいんだ……楽しいことを、嬉しいことを、悲しいことを、喜びを……
 なるほど……俺は……





 家に戻ると、俺は旅の準備をする……といっても、数日分の服だけだが
 かあさんには何も言えないが、今は黙っておこう……
 明日明後日と授業があるが、サボろう……多分、家に電話があるだろうが気にしない
 後で自分から電話をしたら良いだろう
 心が決まったら、あとは……携帯を取り出してある所に電話をかける

「もしもし」
『恭也くんだね……』
「加藤さん、昼ぶりですけど、今お時間いいですか?」
『構わないよ……早い決断は嬉しいものだ……
 で、どうするか決めたのかい?』
「ええ、初志貫徹で行きます……俺は彼女達を守りたいし見ていきたい
 ですから、話を通していただけませんか?」
『うん、話は通しておくよ……ただ、明日と明後日は時間を此方に預けてくれないかな?
 ほら、契約とか各種色々とあるからね』
「はい」

 それは気づいていた……契約などのことを考えたら
 テストやなにやらと付きまとうのが普通だ……加藤さんはほとんど心配してないようだが

『恭也くんがきてくれると聞いて、安心したよ』
「加藤さん?」
『僕は、何かお礼をしたかった……士郎さんのおかげで、隊長をするようになれた
 あの人の戦い方、守り方は目標なんだ……自らを危険にさらしても、帰ってきて
 更に、守るのだから……なくなったと聞いたときは泣いたよ
 本当はお参りもしたい……でもね、僕は守る人だから
 だから、君が着てくれると助かるんだ……今度、お墓の場所とか教えて欲しいから』
「はい……あの、父さんのことありがとうございます」
『いいよ……数日間一緒だったけど、あの人はお師匠様みたいなものだから
 心の師範みたいなものだけどね……行動は出来そうに無いし』
「俺もそうですよ……父さんの背中は遠いです」
『なぁに、気にしなくていいよ……』
「でわ、明日の朝には東京に着くように行きますので」
『ああ……待ってるよ』
「はい」
『出迎えは、任せてくれ』
「分かりました」
『じゃあ、頑張ってね』

 そして、電話を切ると、俺はかあさんの所に行く
 多分今はお酒を飲んでるだろう
 父さんの写真を前にして……

「士郎さん、今日は貴方の知り合いに会いましたよ……
 普段何してるか話してくれないけど、立派な貴方の話を聞けて嬉しかったわ……」

 ゆっくりと話しながらお酒を飲むかあさん
 たまにしか見せないこういう姿……父さんと一緒に闘った人たちは亡くなってる人も多い

「かあさん」
「恭也、どうかしたの?」
「ああ……明日からしばらく出かけるから」
「そう……どこに行くかとか、何日間いないとか教えてくれないのね」
「悪い」
「いいわ……その代わり約束」
「何を?」

 かあさんは酒で酔うことなく、俺にはっきりと言う

「何時か、自分の大切な者を守りながらでも、家族が居るというのは忘れないで
 それと元気でやりなさい」
「今生の別れじゃないんだから」
「いいから……忘れたら守れないでしょ」
「まぁな」
「元気でやってたら問題ないわよ……ね」
「ああ」
「リスティさんから話も聞いてたしね……だから、私からは何も出来ないけど
 頑張りなさい……」
「ありがとう」

 俺はそういって部屋を出る
 リビングを出て、しばらく歩いて俺の部屋へと戻るのだった

「あの子も素敵な恋をしてるのね……皆には辛い結果でしょうけど
 それでも、あの子が無事育って、そして、大切にしたい誰かを選んだみたい……
 頑張りなさい……貴方は私と士郎さんの息子よ、ずっと」










「お久しぶりです」

 俺はそういって声をかける
 といっても、二日ぶりくらいだ……
 彼女達は驚いた表情を見せる
 蓉子さんと江利子さんと聖さんだ
 そして、祥子さんも少し眠たそうだが居る
 驚いた顔をしている4人

「きょ、恭也さん」
「はい」
「何で此処に?」

 といわれても……

「出迎えに来たんじゃないのですか?」
「確かに夜中に電話がかかってきて、ある人の出迎えをお願いされましたけど」

 俺はさっと周囲に視線を走らせる
 誰かがじっと観察してるかのように見ている……

「ちょっと待ってくださいね」

 俺はそういって、背中で庇うようにたち、壁際に寄せる
 銃弾は切れる……見切りさえ間違わなければ

「どうかしましたか?」
「はい……でも、大丈夫ですから
 それから出迎えは俺の出迎えだと思います」
「あ、そうなんですか……こちらに用事ですか?」
「まぁ、そうなんですけどね」

 俺は苦笑いを浮かべて、ある方向からの殺気に気づく
 タンという音が聞こえたような気がした
 俺は小刀を投げて直線上の部分を弾かせる
 そして、もう一発という風にスコープの光が見える
 俺はそちらに飛針を投げておく、といっても木の奴だが
 そして、最後に背広を着ている男性の肩を叩く

「えっと、恭也さん、どうかしましたか? いきなり男性を叩くなんて」
「大丈夫ですよ……」

 そういって背広の男性が立ち上がる
 俺との目測などをつけて電話をかけていたのだ
 実際は無線だろう
 声は聞こえないが、何か話してると分かったのだ
 しかし、遠くからの射撃は厳しいものがあると思うのだが……

「あの、説明してくれますよね?」
「そうですね……恭也さんも何か気づいてますよね?」
「ええ、まぁ……ある程度は」
「じゃあ、恭也さんはコレに関しては気づいてたんだ」
「はい」

 そう、俺が此方に降りてからずっと誰かにつけられていた
 それは気づいてる……しかし、狙撃してきたやつは怒られてるだろうな
 携帯に電話している男性が携帯を切り、こちらに話し掛けてきた

「お嬢様申し訳ございません……その、ちょっとした試験でして」
「はい?」
「どういうことかしら? 私達まで危険に晒して」
「えっと、狙いは恭也くんなんですけど」
「更にどういうことかしらね?」
「うっ、えっと、それは融様からの指示でして……」
「お父様の!?」
「あ、はい」

 何ていうか女性4人からの視線でたじたじな人だ
 ん〜、どこで見たっけ?
 まぁ、よく分からないけど、あれだな……大変だ

「で、恭也くん、合格だから……行こうか?」
「はぁ……ですが、彼女たちも連れて行って構いませんか?」
「ま、リリアンの方には連絡しておいたから平気だよ」
「連絡? 何でですか?」
「4人とも体調不良で少し遅れますと連絡しておいたんだ」
「へ〜、じゃあ、どうして恭也さんがそこまで知ってるか説明してくれるんだ」
「ええ……俺から話します……いえ、俺が話させてください」
「分かったわ……車の中で良いかしら」
「はい」

 そして、車の中へと移動をする
 家では今ごろどうなってることやら……あの後家をすぐさま出て、東京手前についてホテルを取り
 その後にこちらに来たのだ……教科書などもある程度持ってきている
 復習と勉強を兼ねてだ……
 ホテルで少しだけ寝て、すぐに此方に来たということだ

「で、恭也さん、説明をしてくれるという事ですが……」
「はい……先ほど起こった事は、俺のテストだったんです」
「テスト?」
「ええ、俺が祥子さんや蓉子さん、江利子さん、聖さんを守るというための実力テストです」
「まさか!?」
「はい……護衛をさせてもらうためのものです」
「ですが、それでは……」
「パーティの時は隣に居ますし、皆様の傍には居たいですから
 我侭なんですけど、まだ4人から絞れてません……告白されてずっと考えてました
 でも、4人を見ていきたいという思いは変わらないんですが、それでも傍に居て、一緒に居たいと
 そういう風には思ってます……で、てっとり早くに傍に居るのが護衛だったので」
「ということは傍にずっと居るという事ですか?」
「いいや、恭也くんは無理だよ……だって、彼は特殊な立場だから」
「加藤さん!!」

 車の助手席に乗ってたのは加藤さんだ
 しかし、いいのか? 隊長自らが此処に居て

「如何いうことかしら?」
「恭也くんの任務はパーティの時の男性避け兼護衛
 他の時は普通の学生を装ってもらう
 一応戸籍は小笠原とつながりがあるという事で高町を使う」
「つながりって」
「不破が高町に改姓したと流せばいい……といっても嘘だというのはすぐに分かる
 だから、恭也くんに小笠原の手伝いをしてもらえばいいんだよ」
「じゃあ、恭也くんが今回来たのって」
「ああ、今回は恭也くんの警備についての力量などなどのテストだよ」

 それで驚いたように俺を見ている

「で、無事合格……これから小笠原会長自ら恭也くんに任命書とかを渡すって事だよ
 後、恭也くんは土日までの間に契約書を読んでもらい、サインをしてもらわないといけないんだ
 まぁ、その放課後には恭也くんを送るし、一応小笠原の仕事のお手伝いもと考えてる」
「恭也さんの授業はいいのですか?」
「何とかなるでしょう……優秀な家庭教師が3人も居ますから」
「あはは……期待されてるよ、江利子」
「聖もよ」

 そして、お互いに微笑みあうと

「私たちも精一杯応えないとね……全員がライバルだし」
「そうですね」
「すみません、優柔不断で」
「そんなことないですよ……私達のことを考えて出した結果なら
 私達が文句をいえるわけないじゃないですか」

 そういって微笑みを浮かべる江利子さん
 なんていうか、嬉しい……

「恭也くんもそうしてると年相応なんだがなぁ」
「加藤さん、あまり失礼なこと言うと怒りますよ」
「恋する乙女は強いな〜」
「……加藤さん、しつこい男性は嫌われます」
「うっ」

 悲しそうに俯く加藤さん
 何ていうか、瞬間的にウィークポイントを付いた攻撃だったな
 というより今のは恐かったな

「じゃあ、恭也さんは今回はそれが目的で来られたのですか?」
「ええ……」
「あっと、忘れる所だった……恭也くん、今回の此方に来る名目だけど
 海鳴にある高校の方には連絡しておいたから
 リリアンの方からちょっとした事で連れて行きますって
 授業も此方で受けますので、出席にしておいてくださいって」
「そんなこと出来るんですか?」
「まぁ、一応ね」

 それはそれで凄いな

「じゃあ、授業を受けるんですか?」
「いや、恭也くんの学力じゃあ難しいだろう」

 否定は出来ないが、何ていうか悲しいものが……

「恭也さん、頑張れ」
「祥子さんは優しいですね」
「そ、そんなことないです」

 頬を真っ赤に染めて言う祥子さん
 可愛いと思う……綺麗という意見も多そうだが彼女はこういうギャップ的な可愛さがある
 それが良いなと思ったり思わなかったり……

「でも、加藤さん、今回は完璧にサボりですよ」
「ああ、まぁ、気にしないでいいよ……うちらの事情って奴だから
 多分公欠扱いには確実になるはずだから」
「そういうことらしいので、大丈夫ですよ」
「そうですか……でも、私達をだしに使うなんて酷いです」
「それはね、恭也くんがどうやって守るか……とか、その色々と検査項目とかあって
 だから、一番適任だったんだよ……」
「お姉さま方、後できっちり確りと言っておきますわ」
「そうね、祥子お願い」

 何ていうか恐いな……加藤さんががくがく震えてるし

「でも、最初に恭也さんにあえてよかったよ」
「そうだね……江利子の言うとおりだ
 恭也さんは自覚が足りないから、ナンパされたりしそうだし」
「気づかずに付いていきそうですしね」

 どういう意味でしょうか?
 俺はそこまで軽くないし、ナンパなんてしないだろうに……

「あの、如何いう事ですか?」
「最近は男性をナンパする女性もいたりしますし、それに、恭也さんは自分がかっこいいとか思わない
 でしょうけど、私達から見れば素敵な男性なのですから、モデルの勧誘とかも……」

 簡単に言われてふむと考え込む

「ああ、海鳴でも何度か写真一緒にとりませんかとか、お菓子の雑誌でたまに載ってましたね
 俺はあまり目立ちたくないので、出版社の方や写真の方は却下させていただいたのですけど」
「そうなんですか……」
「ええ」

 なにやら4人で会話をする
 相談ごとなのだろうが、相談じゃない気がする

「恭也さんが鈍感で助かったと思うべきかしら?」
「というより、私達の好意に気づいてるだけでも奇跡に近いかも」
「本当だね」
「私は、これはこれでよかった気がしますが」

 どんな会話なんだか……

「はぁ〜、恭也くんは女性達にもてもてなんだね」
「へっ? まさか……俺はもてませんって」
「うう〜〜、俺は何でもてないんだ〜」
「多分、その性格かと……あまりしつこいと嫌われますって」
「いいよ、慰めなんて……俺はもてないということを自覚しておけばいいだけだから」

 加藤さんはふて腐れて前を見ながら、どでかいため息をつく
 少し可愛そうな気がしたが、何も言わないで置いた
 何か言うといやみになりそうだからだ……勘違いしてる相手に言われては
 加藤さん自身が傷つくだろうという俺なりの配慮なのだが……

「とりあえず恭也さん、よろしくお願いします」
「はい、こちらこそ」

 それぞれが挨拶して、俺なら近くに居ても安心という名目の元だが
 小笠原家に着く……

「大きいよね〜、相変わらず」
「うん、でも、私はここの庭好きだよ……綺麗だから」
「手のかかることだものね」
「はい」

 歩いて、中に入る
 は〜、緊張してきた

「祥子、お帰り……早かったわね、高校は?」
「えっと、お母様、その今日は……何か聞いてないのですか?」
「何か? ああ、確か、高町恭也さんという方を泊めるというのくらいしか聞いてないわ
 そちらの男性は?」
「えっと、高町恭也です……はじめまして、祥子さんのお姉さんですか?」
「えっ?」
「はい?」
「えっと」
「はぁ〜」

 色々な声が飛び交う中、祥子さんのお姉さん(?)は頬を赤く染める

「初めまして、小笠原清子です……祥子の母です
 だから、お姉さんじゃ無いんですよ……宜しくね」
「え、あ、失礼しました……」

 俺は自然と頬が熱くなるのを感じた
 と、祥子さんたちがふて腐れてるのが見えた

「あらあら……皆さん、そんな怒らないの……
 恭也さんなりのお世辞だと思うわよ
 まぁ、これで勘違いして落としていく女性は多そうだけど」

 そういって順に見ていく
 納得してるのか、聖さん、蓉子さん、江利子さんは軽く笑う

「さてと、案内しますわ……主人とお父様が待ってますから」
「はい」

 俺はかばんを持ちながら、歩いていく

「祥子たちは先に高校に行ってきなさいな……その間に大人の話も終わるから」
「分かりました……お姉さま、黄薔薇さま、白薔薇さま、行きましょう」
「そうね……あまり遅刻すると恭也さんに勉強を教えられなくなるわ」
「そうね」

 そして、それぞれが出て行くと、清子さんは真面目な顔つきになる
 その顔は1人の母親としてもキャリアウーマンみたいにも見える

「こちらですわ」
「はい」

 そこにはパーティで出会った、お爺さんと融さんが居た
 その隣にはそれぞれのガードがついている
 単体なら余裕か……2人で交互にきたら、間違いなく疲弊するかな
 と、危険な思考から離れないとな

「いらっしゃい」
「はい、お邪魔してます
「いいよ、いいよ……君なら、大歓迎だ」
「そうじゃな」

 にこにこと笑いながら言う二人
 しかし、小笠原財閥要2人を前にするって早々経験できそうに無いな
 というか、俺って結構稀有な経験多くないか?

「一応、こちらが調べたことも踏まえて言っていいかな?」
「やっぱり調べてましたか……」
「ごめんね……一応だから、気にしないでもらえると助かるのだけど」
「はい」

 そして、俺を確りと見て、秘書さんが話し始める

「最初に言ったとおり、これは私達の独断によるものです……社長と会長はする必要はないと
 そう言っていたのですが、やはり心配するのが下の者です
 ですから、責めるなら私達を責めてください」
「いえ、責めませんよ……企業間のことを考えれば、それが普通ですから」
「ありがとうございます……それでは結果だけ言わせてもらいますね」

 話し始める秘書さん
 全員が黙って聞くことにする

「高町恭也……旧姓、不破恭也……御神不破流という小太刀二刀を使うが
 その剣は一切不明……そして、身体能力という点では短期決戦に置いては問題なし
 対銃戦、対人戦に置いてはほぼ負けなし……過去、CSSの護衛にも加わり成功してます
 裏を脅かした存在を倒したとか何とかですね……ただ、ほとんどの者が口を割らず正確な確認は出来てません
 そして、学業ですが、平凡より少し下という程度です
 ただ、頭の回転は悪くなく、ある一方に偏った知識を持ってます
 たとえば身体能力の向上などの学力は抜けてると言えます
 家族構成は叔母1人が居ますが、どこにいるか掴めず、義理の妹が1人
 実の妹1人、母1人です……後は預かってる子が二人ですね
 本当かどうか分かりませんがフィアッセ・クリステラと一緒に居たとか何とか
 翠屋経営を手伝っており、バイトにもよく参加してるそうです……
 そこのバイト先で笑顔を振り撒くことも多いせいか、海鳴の女性の5歳から主婦に至るまで
 ファンが大勢います……何かのファンクラブまで出来てるようです
 うちの局員も数名落ちました……以上です」

 俺はどう応えたらいいのか悩んでいた
 というより、ほぼ全域に渡って俺のことだけを特化して調べたんだな

「ふむ、これで情報が何で流れないか分かったね」
「そうじゃの……まさか、クリステラとつながりがあるとわ」
「しかし、落ちたって……ダメだろう、それじゃあ」
「いえ、最初、男性局員が行くと言ったのですけど、翠屋はケーキやシュークリームが美味しいお店で
 そのために、その……女性が行くのが普通かと思い……
 そしたら、情報収集忘れて恭也さんを見ていたようです」

 なるほど……目的を忘れたわけか
 いいのか、それで……仕事は?

「はぁ〜、それはそれで災難だね」
「ええ……女性局員の数名といっても10名ほどが落ちました」
「おいおい、それは多いんじゃないのかい?」
「いえ、最初は3名ほどでしたのですけど、写真を見て……それで」

 なるほどカメラで撮ってたのか
 しかし、それで落ちるとか落ちたとかって言うのは?

「えっと、落ちるとかって如何いう意味ですか?」
「恭也くんは気にしないでいいよ」
「そうじゃな」

 いや、それは凄く気になるのだけど

「で、その子たちは今どうしてるの?」
「海鳴の方に住みたいとかどうとか……」
「ま、そのあたりは後で置いておいて……で、恭也くん、数日で調べた結果だけど
 悪かったね」
「いえ、気にしないで下さい……不破と聞いて分かった人が逃げたりしたでしょうし」
「ええ……私はわからなくて聞いたのですけど
 誰も何も応えてくれなくて」

 俺はそれを聞いて、やはり今でもと少し悲しくなってしまう
 不破が歩いていた道は……危険な道だった
 いや、危険というよりは……殺戮の道だ
 相手を斬るという事に特化し、相手を殺すというのを掲げていた
 だから、守るというよりも殲滅が多く、1人で敷地にしのび込み、相手を殺してきた

「俺の使う流派については置いておきまして……とりあえず、俺の過去というより現在は
 そんな感じであってますよ」
「そうか……で、恭也くんの身体能力、戦闘能力は先ほども確認したから良いけど
 小笠原の所属するガードチームに入ってもらう
 ただし、君はその立場が特殊だ……年齢も使う流派ですらも」
「ええ」
「だから、君は独自権限を持ってると言ってもいい」
「どういうことですか?」
「お主にはパーティをメインに働いてもらう……付くのは祥子たちじゃ
 そして……普段の行動はこちらからは制限せんが、蓉子さんの方にはついてもらうつもりじゃ」
「でも、江利子さんと聖さんは?」
「あの2人なら多分リリアン女学園の大学部へと行くわ
 これは女の勘だけど、間違いないと思うのよ」
「でわ、決まりだね……時間を貰って悪いけど
 此処での生活や色々な情報収集いるだろうから……色々と聞くと良いよ
 僕とお父様は忙しいからこれ以上は無理だしね」
「そうなんじゃ……すまんの、わしもこいつも忙しくて」
「いえ、そんなお時間をとらせてすみません」
「気にしないでいいよ……恭也くんと話せて嬉しかったし」
「わしもじゃ……また、時間あるときに話そうぞ
 お酒もつけても構わんしの」
「俺は下戸ですが、お付き合いします」
「うん、じゃあ、またね」
「またの」

 そういって歩いていく
 つ、疲れた……というより、緊張した
 加藤さんたちも出て行っている
 流石に、取り巻きというよりはガードが付かないと大変なんだな
 多分、祥子さんの所にも色々とあるが、何とか抑えてるのだろう
 龍などの心配ごとが増えてきてるから俺でも役立つならという事なのだろう
 彼女たちに気に入られてるというのも理由のひとつだろうが……

「前、失礼するわね」
「あ、はい」
「清子さんはいいんですか?」
「ん、私は、今日はお休み……でも、ありがとうね」
「何がですか?」
「守る事がどれだけ大変かわからないわ
 それでも祥子たちのことを心配していたのよ
 だから、ありがとう」
「そんな……俺のほうこそ、雇ってもらえるなんて思ってませんでした」
「いいえ、あれだけ出来るなら喉から手が出るほど欲しいものよ」

 そういって紅茶を置いていく
 何ていうか、清子さんも少しは緊張していたのかもしれない

「恭也くん、これから宜しくね
 それと、コレが契約書と規約書……見ておいて」

 真面目な顔をして言う清子さん
 その目からは1人の人としての力強さと小笠原の秘書としての物があった
 俺はそれを受け取ると見ていくことにする

「此処は自由に使って良いから
 喉渇いたら、誰かに頼んでね……」

 そして、俺はしばらくの間、文字を延々と読むのだった










 つづく










 あとがき
 長いな
 シオン「気合よ」
 無理言うなよ
 ゆうひ「というより、何とかしなさいよ」
 何とか!
 シオン「適当な」
 あははは〜
 ゆうひ「でわでわ、頑張って書きなさい」
 だね
 シオン「で、これ終わるの?」
 一応、次で終わらす予定だけど
 ゆうひ「ほなね〜」
 またね〜(^^)ノシ



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