とらいあんぐるハート×マリア様はみているSS









設定……
恭也は三薔薇を知っています(以上)
恭也が高校3年生の秋頃だと思ってください
一応オールエンドで完治してます(何ていうか適当だよなぁ)
というわけでレッツラゴ〜(ちょっと頭が飛んでます)







『薔薇は優雅に咲き誇る13』










「で、此処で、こうなって、こう持つといいわけです」
「ああ、そっか」

 お盆の上にカップやケーキなどを乗せる方法を簡単にレクチャーしてから
 俺は、すぐに接客の方に向かう
 蓉子、聖、江利子は俺を見て、覚えたのか、そのまま真似事のようにしていく
 ああ、このあたりで俺との違いが良く分かる……
 彼女たちは、俺に教えてもらうことなく、していく
 バイトとかで彼女たちを雇えたら、そこは繁盛するんじゃないだろうか?
 綺麗だし、流麗と言えるし……物覚えもスポンジが吸収するような感じだ

「恭ちゃん、メニュー誰に言えばいいの?」
「厨房の方にメニュー書いた紙とメニューを言えばいいんですよ」
「そっか……ありがとう」

 そういって、聖さんが厨房の方に声をかけていく
 飲み物は俺の方に来るようにしてある……松尾さんとかあさんだけでは手が足りないのだ
 それは仕方ないのかもしれない……

「て、手が足りない〜〜〜〜」
「も、桃子さん、お、落ち着いて……」
「神ほどの速さで果物切れたらいいのに」
「そんな風にきったら果物が壊れるわ」

 何やら漫才の声が……昼時や忙しい時にかあさんが壊れて松尾さんが突っ込みをするときがある
 江利子と蓉子は此方に視線を向けて、どうしようという目をしている
 普通に声をかけても大丈夫ですよと頷くと、声をかけて離れた
 同類に見られるのは困るからだろう……
 聖さんは喜々としてるが
 江利子さんも喜んでるようだ

「そういえば、恭也……これは何ですか?」

 蓉子が持ってきたのは、恋人限定メニューだ
 っていうか、こんなのあったんだな……

「恋人の限定メニューですね……翠屋の裏のメニューです
 知ってる人はメニューの最後のページを見た人だけですかね」
「へ〜、そういうのあるんだ〜」
「ね、ね、恭ちゃん、私達もしたい」

 聖と江利子が横から見に来て、言う
 俺は顔を赤くしたと思う……これって、基本的に2人分の量を出し
 スプーンやストローはハートのマークや曲がり方をしているという
 超カップル専門食事なのだ……俺も数度ほど見たことがあるが
 写真に撮るかあさんが目撃されている……
 そして、そのカップルに後日送ってるのだ

「あ、でも私達2人きりじゃないから、何個か頼まないといけないか」
「そうだね」

 そっちの問題なのだろうか?
 と、俺はお客さんに出すものが完成したみたいなので、かあさんから受け取り持っていく
 松尾さんも終わったのか、出していく……ん〜、これは2時までかかりそうかな
 俺達おなか空いて着ているのだが……志摩子と祥子は何か話してる
 基本的に、仲はいいんだよな……というか喧嘩とかするのだろうか?
 そんな疑問がわいてしまいそうなくらいに仲がいい

「ありがとうございます」
「いえ、お店手伝ってもらってますから」

 俺は意識的に使う店専用の笑顔で接客に当たっている
 かあさん曰く「売上のために、笑顔笑顔」なんだそうだ……
 無愛想だと接客業としては良くないということなのだろう
 出迎えるときは笑顔でというのが一応のマナーなんだそうだ
 俺も最近出来たのかと思ったら、大分前から出来ていたみたいだが……知らなかった

「蓉子、聖、江利子、順番で少しずつ休憩を取ってくれ」
「はぁい」

 声が聞こえて、そのまま何か話すと聖さんが祥子と志摩子のところで休憩をする
 といっても、座ってジュースを飲むだけだが……
 志摩子と祥子が聖から話しを聞いている

「祥子、まだ恭ちゃん以外の男性ダメならやめておいたほうがいいよ
 ここ、男性客も多いし」
「そうみたいですね……人も多いですし」
「にぎわってるからね……志摩子もしてみたいんじゃないの?」
「したいですけど、恭也さんがダメって言う事は何かあると思うんです
 だから、いいんです」
「そっか……私が分かる範囲でいうけど、恭也さんはナンパ目的の人も居るからってことだと思う
 私達はそれなりの街に出て、過ごすから、声かけられても無視するか
 ほかに方法はいくらか知ってるけど、志摩子とか祥子は分からないでしょう
 志摩子はたぶん知ってても、お店の中だと思うと出来ないと思う
 江利子と蓉子見ててみ……面白い断り方してるから」

 祥子と志摩子は蓉子と江利子を見る

「お嬢ちゃん、どうだいこれから、一緒に……」
「すみません、この後、あそこの人に此処の仕事を教えてもらわないといけないので」

 蓉子はそういって断りながら微笑みを忘れない
 礼儀正しいというか何と言うか……しかも何気に俺を話題に出すあたり
 彼氏だというのもアピールしてるのかもしれないが……
 アピールの必要性がないのだから分からない事だ

「綺麗な女性よ、この後バイト終わったらどうだい?」
「この後、恭ちゃんと一緒にお出かけする用事がありますから……」

 笑顔で対応していくが、何と言うか、俺が睨まれてる
 恭ちゃんで俺だと分かるのも凄いが、俺の名前って、効果あるのか?

「あんな黒いのがいいのか?」

 黒い服を着てるからな……黒いのといわれても否定は出来ないが

「あの人は見た目と反して凄くいい部分が多いんです
 だから、ですよ……でわ、失礼します」

 そういって歩いていく……江利子って慣れてるのか?
 それとも、人を良く見てるのか……興味なさ気に過ごしてるのをよく見ていたからかもしれない
 興味があることにはとことんまで、その様子を観察してしまうのかもしれない

「ね、面白いでしょ」
「恭也は私達のよってアピールですか?」
「女性客から聞かれまくってるからね〜……恭也さんの何って感じで」
「何て応えてるのですか?」
「恋人になろうと必死になってる人ですよって
 まだ恋人じゃないし、恭ちゃんは一生懸命考えてるからね
 押し付けじゃないほうがいいじゃない……誰かを選んで欲しいし
 全員選んでも私はOKだしてしまいそう」
「そうなんですか? お姉さま」
「ま、そこらは志摩子も同じでしょう
 全員と仲良くしていたいから……恭ちゃんが誰を選んでも恨みも無ければ
 諦めもつくけど、もし叶うなら全員を選んで欲しい……違う?」
「そうですね……お姉さまの言うとおりです
 お姉さまには適いませんね」
「当たり前よ、志摩子のお姉さまだもん」

 その言葉に志摩子は嬉しそうに微笑みを浮かべている
 俺は頼まれている飲み物をつくり終えて、すぐに出してもらう
 ホールの一部はすでに蓉子と江利子に任せておいてもいけそうな気がしてきた
 多分、かあさんからダメだしは出るだろうが……

「聖、交代よ」
「そっか……ま、もうすぐ昼休憩も終わるから何とか終わるよね」
「そうね」

 聖と蓉子さんが交代する

「お姉さまは大変ですね」
「ああ、ああいう男性相手は疲れるわ……精神的にですけどね」
「それを優々とこなすお姉さまが凄いと思う」
「私もですね……これだけの人を確りとまとめながらは中々出来ないと思うのですけど」
「薔薇のつぼみがそういう事は言わない方がいいわよ
 私は立ちは生徒会みたいなもののトップよ……なら、これくらいこなせると思ってたら
 意外とこなせるものよ……恭也はそのあたりも考えてると思うけどね
 即戦力になりそうな人を選んだのと、志摩子は年齢的に危ないと思ったんじゃないかしら」
「そうなのかしら?」
「さぁ、でも……志摩子はしないほうがいいわね……すぐ声かけられるわよ」
「お姉さまも声をかけられているようでしたけど」
「ま、江利子や聖もかけられてるから……恭也が少しだけ不機嫌そうだし」

 俺は不機嫌か? まぁ、少しいらいらはしてるが……
 好きな女性達で、独占したいというのと葛藤はしてるが……ぐむっ、いらいらしてるな

「不機嫌ですか?」
「そういえば、何時もより身に纏う雰囲気が少々」
「そうね」

 良く見てるな……家族でも気づかない者が居るくらいなのに
 まぁ、なのははいち早く気づいて声をかけてくるが……
 なのははいい子だ
 そして、幾つか話しを終わると、江利子と蓉子が交代する
 俺はソチラに耳を傾けながらも飲み物を造っていく
 オーダーが多く来たのだ……コーヒーから紅茶
 紅茶がメインで多く、コーヒーはたまにだから、凄く大変なのだ
 それで、ホールをほとんど彼女たちに任せてるのだ

「注文と持っていくのだけでも大分助かるものだな」

 案内は居なくても、自分達で何とか場所を作りながらになるので、俺がやっている
 やはり色々と気を使うべき場所が多いからだ……
 相席が良いかどうかなどのチェックも必要だし、そのことを尋ねないといけない
 そのときに何かあっても困るからだ……いちゃもんをつける客だと性質が悪いしだ

「恭也、これで、とりあえず、終わり?」
「みたいだな」

 江利子や蓉子、聖は客足が遠のいたときには休んでもらっている
 俺も最後になったら、自分の分と付け足して、休みを入れる予定だ
 しかし、俺やみんなの昼飯が遅れてしまう

「かあさん、俺達の飯は……?」
「テーブルのうえに準備したわ」
「注文したっけ?」
「あなたの分はしたわよ……でもね、それだけじゃあ困るだろうから
 シュークリームとケーキに飲み物と恋人限定メニューを出しておいたわ」
「なっ!!」

 俺は急いで、祥子、志摩子、蓉子、聖、江利子のところに戻る
 そこには、かあさんが言ったとおりのものが残されている
 こ、困った……まさか、本当に置くとわ……
 テーブルの上には6人分と呼べる量の食べ物が並んでいる
 甘い物が苦手という俺のために、一緒に飲むのは紅茶となっていた

「あんたのために、少し改良したんだから……あんたも心行くまで食べなさいね」

 かあさんは俺の肩をポンポンと叩いてそういうと答える
 何ていうか、1つ物申すというか……かあさんは何を考えてるのだろうか?
 彼女たちはまだ彼女というよりも、一番今、俺が傍に居たい人ということなのだが……

「私も休憩行くから……」

 かあさんと松尾さんは今日は忙しいからと厨房で休憩をするみたいだ
 しかし、ばっちりと俺達が見える場所で休もうとするあたり、極悪だ
 俺が聖、江利子、蓉子、祥子、志摩子を見ると、5人ともの頬が赤くなっている
 というか、熟したりんごみたいだ……可愛い
 普段凛としている者の5人が真っ赤というのは意外性がある上に、可愛い
 再認識だな……

「えっと、食べましょうか?」
「う、あ、え、う、と……そうですね」

 言葉を出して落ち着いたのか、江利子はそういって一度ため息をつく
 小さな声で何か言って、誤魔化している人も居るが……実際どうなのか分からない所が味噌だ
 祥子に至っては真っ赤なまま固まっている
 何か、嫌な思い出でもあるのだろうか?

「はぁ〜」

 俺がため息をつくと、スプーンが一人分足りないとか、フォークが足りないとかいう状態に置かれている
 俺が持とうとするとかあさんから、凄い顔をして睨んでくるので性質が悪い
 松尾さんも期待してるのか、楽しんでるのか、止めないし……

「恭ちゃん、ため息をつかないで……ほら、私達も恥ずかしいし」
「というよりも、俺はサンドウィッチしか食えないという計算になるのだが……」
「大丈夫ですわ、私達のフォークで食べればいいのですから」

 ダメだ、すでに了承済みみたいだ……騙されてる
 彼女たちは騙されてるよ……かあさんの悪巧みに
 なんて悲しい性なんだ……正直にきまじめに生きてるからこそ、騙されやすい
 特に彼女たちはそうなんだろう

「あの、からかわないで下さいよ……」
「え、本気ですよ……」
「私もそう思ってたのですけど」

 マジで? 俺はそんな顔をしてると思う……本気などという顔をしている
 その顔は俺をからかうというのが目的とかではなく、純粋に食べられないなら
 使っても問題ないだろうという配慮からだ
 純粋な心が生んだ結果か……だが、俺の中ではそれはどっちが先に使うのかなどの問題もある
 単なる間接キスの可能性の問題なのだから……何ていうか、問題があるなしとかだとあるような気が……

「はい、あ〜ん」

 志摩子はそういって差し出す……フォークに刺さってるのはハンバーグだったりする
 こうやって分け合って食べる二人の愛などと何か足していたのはかあさんだった気がする
 父さんにもしてたし……過去のことであまり覚えてないが、照れていた父さんを
 からかった記憶がよみがえる……も、もしも、これでなのはにからかわれたら
 俺はしばらく再起不能で呆然としてるだろう……

「恭也、どうかしたのですか?」

 この女性達に「あ〜ん」というのが気恥ずかしいといって分かってくれるのかどうか
 俺はそれを少し頭に入れて、一応聞いてみることにする

「あの、それをすると、自分の口がついてしまうので、
 その志摩子や蓉子、聖や祥子、江利子のフォークやスプーンに俺の口がついてしまうのですが?」
「何か問題があるのですか?」
「……間接キスになるんです」

 俺は大分我慢して言い切った
 言うのではなかったという後悔のものもある……
 綺麗な人に手ずから食べさせてもらうなんていうのはめったに無いことだ
 それに、彼女たちは魅力的で、普段は凛としてるのだから、今の様子は凛というより
 可愛いというような状態だ……それこそ、俺だけなら大歓迎してそうだが……
 それも、問題だよな……

「別に良いじゃない……私達がいいって言ってるんだし」
「いや、まぁ、それはそちらが良ければいいんですけど、その恥ずかしくて」
「じゃあ、恥ずかしさだけのために一食抜きますか?」
「なっ……サンドウィッチがあったと思うのですが」

 俺はそういってテーブルを見ると、かあさんが持って行っている
 何をしてるんだ? あれは……

「かあさん、俺のサンドウィッチをどこに持っていく」
「ごめん、私達のご飯足りないから貰うわ……恭也は彼女たちが居るんだから大丈夫よ」

 絶対嘘だ……そんな風に言いたくなるが、彼女たちの手前言えない
 俺がそういうことで、悲しい顔をしそうだからだ……

「あの、悪いですけど、お願いします」
「はい」

 凄く嬉しそうな声が聞こえる
 俺は、口の前に出される食べ物を食べていく
 甘い物が苦手という俺のために、紅茶でも砂糖を入れてなかったりしてくれる気使いから
 俺の味などをある程度知ってるみたいで、甘いのを避けて出してくれる
 ある程度は食べられるみたいだけど、それでもそのあたりを考えてるようだ
 昼を食べれないのは彼女たちの護衛に関して言えば、難しくなってしまう
 もちはするだろうが、この後どうなるかも分からない状態なのだから……

「あ〜ん」

 順番を守って出してくれるので、それを食べながらふと周りを見る
 見るのではなかったと思うのだが……それでも、見ないことには分からない事もある
 見てみると、お客さんのほとんどが此方を見ている……
 今俺が食べてるものが何なのか、知ってる人は少ないだろう
 カップルで来た客に対して(それと分かる客)だけに出してるメニューの一端なのだ
 俺は恥ずかしさで真っ赤になると、聖や江利子が俺の横から抱きつき
 志摩子は微笑みを浮かべる……なんで俺が……
 蓉子と祥子は俺と同じみたいで、照れを必死に書くしていた

「あ、次はコレです」

 飲み物が別でよかったと密かに心の中で涙した
 食べ物だけなら、我慢できそうだからだ
 しかし、皆さん食べるの綺麗だな……綺麗に切って食べていく

「あ〜〜ん」

 口をあけて、食べていくと、祥子が疑問に思ったのか口に出した

「そういえば、恭也、先ほどから「かあさん」って誰のことですか?」
「あっ、そうか……志摩子と祥子は知らないんだっけ?」
「え?」
「そうですね……あまりにも普通に馴染んでましたから」
「あそこで、カメラのシャッターを切って、ホクホク顔のが俺の母親です」
「そうなのですか? 何か凄く若く見えるのですけど」
「清子さんと同じくらいだと思いますけど」
「そうですか?」
「志摩子、どうかしたのか?」
「いえ……何ていうか、若いなぁって……
 私達の年ならもう40代の方が多いじゃないですか
 どうみても30代にしか」

 俺はそれを聞いて……納得した
 そっか、俺の過去の背景を話してないから、分からないんだ

「えっと、かあさんは、義理なんですよ……父さんが再婚したからなんです」
「へ〜、そうなんだ……なるほどね
 これで年齢のことや何もかも分かった……
 高校生で子供生んだことになるのに、パティシエしてたら恐いからね」

 聖、それは確かにそうだが、一応可能ではあるらしいぞ
 まぁ、難しいのも確かだそうだが……
 というより、可能性があるということなのだが

「私達が話し掛けても大丈夫なんでしょうか? お忙しそうですし」
「まぁ、大丈夫じゃないか……写真をとってるくらいだし」

 そういって、こっちに来いと無言で睨みつける
 かあさんは一度からだを震わせると、此方に来る

「この子の紹介に上がりました、高町桃子でぇす
 ただいま、20代真っ只中の此処のパティシエよ」
「嘘をつくな、嘘を……」

 かあさんから人中に向かってくるチョップを片手で防ぐ

「いいじゃない、年齢を若く言うくらい……これでも、まだ心は20歳なんだから」
「年齢を考えろ年齢を……もう、20代というのは超えてるだろうが」
「恭也……それは、私がふけたというのかしら?」
「そうは言ってないだろうが……ただ、かあさんだって精神的な成長をしてるなら
 自分が20代とか偽らないものだ……全く」

 俺がぶつくさ言うと、皆が不思議そうに俺を見る
 どうかしたのだろうか?

「恭ちゃん、あの、この人、本当にお母さん?」
「不思議に見えるかもしれないが、これが俺のかあさんなんだ
 ちょっと泣けてきた」

 かあさんが、何か言うたびに俺のわき腹が痛い……
 というか、俺のわき腹をきゅ〜〜とつねっている
 多分、俺が年老いたという事を言うと、怒っているのだろうが
 何で、こうも俺に当たるのやら……

「そういえば、祥子は出会ったことあるかもしれないぞ」
「え? 私ですか……確かに、桃子さんとは出会った感じするのですが
 どこでと言われると海外なので、そんなときあったのかなぁと」

 そういって考え込んでいるようだ
 江利子さんが、ぽんと手を合わせる……

「高町桃子……思い出した!!」
「??」

 かあさんが不思議そうに江利子さんを見る

「10年ほど前だけど、イギリスのホテルのチーフパティシエしていた日本人第一人者だ
 そのお菓子作りの才能がCSSにも認められるほどで、とても美味しいって」
「懐かしい事よね〜」

 いや、かあさん、あんたそれを言うと年齢がばれるぞ

「え、そんな凄い人なの? 江利子?」
「うん……令がこの人のお菓子を食べに行きたいとか言ってたから
 どこか引っ掛かると思ったら、こういうことなんだ」

 そういって、嬉しそうにかあさんを見る

「えっと、私有名なの?」
「お菓子作ってる人にとっては、とても有名だそうです……
 私の妹……実の妹じゃなくて…………
 令が、それで過去の文献なども見てるので、それで知ってるんです」
「へ〜、でも、お菓子作り好きなら、今度連れてきなさい……何か伝授できるなら教えて上げられるし」
「それは喜ぶと思います」

 まぁ、お菓子を作るのが上手かったらかあさんだと恐いことを言いそうだ
 それに、かあさんだしな……何を考えているのか分からないのだ
 そこが一番恐いところである

「恭也、あんた文化祭の準備は?
 今週の土曜と日曜でしょ」
「ああ……俺は行かなくても準備は何とかなるからな
 それに、彼女たちと一緒に居たいし」
「あらら……言うようになって〜、士郎さん、恭也は立派に育っているようです
 何気になのはや美由希の方が早いんじゃないかと心配してましたが、何とかなりそうです」

 何とかって何だ?

「恭也、彼女どのこ?」

 いきなり面と向かって俺に聞かれても、俺はどう応えたらいいか考えてしまう
 期待のこもった視線を向けられても困るのだが、蓉子が何故かニコニコと微笑んでいる
 悪戯を思い浮かんだようだ
 ……俺に被害が無いことを祈るが……俺が祈って通じる神なんて居るのか?

「あ〜、彼女たちは、そのそういう仲じゃあまだ無いんだ」
「まだ?」
「ああ」
「って、事は、もしかして、全員に手を出して、全員と付き合ってるという落ちとかじゃないのね」

 かあさん、何気にピンポイントを抑えてるような気がするのは気のせいじゃないか

「高町さん、そのことは内密に出来ませんか?
 私どもも恥ずかしいですし」
「あ、そりゃそうね……」
「はい」

 って、分かってたのか?
 俺が驚いた顔をしていると……かあさんが普段より真剣な顔をして俺に向かって1つ言う

「恭也は、大切な人を見るとき、見ているときって優しい目をしてるの……
 普段は決意や真剣にしている目しか見せないけど、今の恭也は凄く優しい目をしてる
 なのはに向けている視線と同じの目……
 だから、彼女たちが家族みたいに、家族以上に大切だって私にはわかるなぁ」

 かあさんはにんまりと笑うと

「恭也、無愛想だけど、悪い子じゃないので、お願いね」

 そういって、キッチンの方へと戻る
 松尾さんが少しだけせわしなく動いてる
 バイトの後半の子たちも戻ってきているので、大丈夫だろう
 俺や他の皆が手伝うような必要は無いだろうが……

「恭也のお母さんって確りと人を見る人なのね」
「そうですね……ホテルで働いていた時も父さん以外の人にはみむきもしなかったって言ってたし
 それを考えたら、普段はお菓子一筋の人なんだけど、今はって所ですね……
 だから、人を見て、からかったり出来るのだと思います
 そのうち、その毒の手が聖や江利子、蓉子、祥子、志摩子に来ると思うと
 俺はどうやって防げばいいんだ?」

 ふと、そんなことを口から出ていた
 トンボ(クレープの生地を焼くのに必要なアレ)が俺の後頭部めがけて飛んできた

「かあさん、調理器具は飛ばすな」

 俺はそういって、片手で受け取り投げかえす
 といっても、力一杯投げてないので大丈夫だろう

「桃子ーーーーーーーー!!!!!!」
「松っちゃん、ごめん〜〜〜〜」

 何やら、あっちが騒がしくなってる
 多分、松尾さんが鬼ってるんだな……たまに起きる現象だ

「さて、そろそろ駅まで送りますよ」
「はい」
「ん〜、私はもうちょっと恭ちゃんと居たいのだけど」
「今日中に帰れなくなるわよ」
「そうなんだけど……祥子は何故か此処に居る気満々なのよね」

 そうなのだ……祥子は先ほどからのんびりとお茶を楽しんでいる
 ほかにも、何か飲み物を頼んでは飲んでいる
 どういうことなのだろうか?

「あ、私のことは気になさらないで先にお帰りください」
「はっ??」
「ちょっと用事がありますので……私は大丈夫ですから」
「分かったわ……祥子、何かあれば、私を頼ってね」
「もちろんです、お姉さま」

 そういって、蓉子さんたちを送りに行って来るといって俺は歩いていく
 祥子はどうかしたのだろうか?
 蓉子は笑顔で俺に振り向くと……

「祥子は桃子さんとお会いしたことを思い出したのでしょう
 それで、お礼も言いたいのでしょうね……」
「なるほど……俺はもう1つ違う事が浮かんだのですけどね」
「??」
「それは、また話せる機会に話しますよ」
「そうしてください」

 そして、無事に駅まで送ると、俺は翠屋に戻る
 翠屋に戻ると、かあさんと祥子が何か話している

「あら、恭也……お帰り
 祥子さんなら、あそこよ」
「かあさんの話は終わったのか?」
「ええ、まぁね」

 そういって、かあさんは頬を掻くと

「ほら、融氏が来たときあったでしょ
 あの時の話よ……『すみません』って」
「他には?」
「過去の事を少しね……祥子さんって偏食だったのに
 私のお菓子だけは凄く気に入って食べてたのよ
 それで、今度もまた作っていただけませんかって聞かれたのよ」

 なるほど、そういうことか……
 確かに祥子には偏食がある
 好き嫌いのはっきりしてる彼女の唯一の人なのかもしれない
 安心して食べられて尚且つ美味しいのがかあさんの料理なのか……
 チーフパティシエとしてお菓子を作ってた頃にあっていたという事は
 そのときの原因だろう……

「祥子、お待たせ」
「いえ……でわ、恭也のお家まで案内をお願いします」
「はっ?」
「実は、お父様からメールが送られてきまして」

 携帯を弄ることに慣れてない祥子と俺が四苦八苦しながらメールの受信箱までたどりつくと
 そこに書かれてる内容を見る

『祥子と恭也へ
 急なことですまないが、祥子、高町恭也の近くに居ててくれ
 多分ガセネタだとは思うが、判断がつけられない……
 厳重警備な上での処置なので……恭也くんは仕事になる
 といっても、恭也くんに適う相手というのは中々居ないし
 此方から向かえにも行くから
 というわけで、恭也くん、見てると思うから、頼むね
 じゃあね、祥子
 君の父 融より』

 内容を見て、俺は頭を切り替える
 流石に誰かに狙われてるといわれて、普段の通りでも十分だが、コレだけじゃあ分からない
 というよりも、心配なことが増えただけだ……
 と、俺の携帯もなる
 メールか?

『恭也くんへ
 祥子お嬢様から来たと思うけど、仕事だ……君にしか頼めない
 まさか、遠距離に離れてる人を狙うとは思えないけど……
 後、祥子お嬢様の親友各位は大丈夫だ
 強力な助っ人をつけておいた……祥子お嬢様のことを任せる
 あ、別に襲っても良いとかなにか後ろで聞こえる……融氏はそっち希望かもしれんが
 とりあえず、焦らず、慌てず、祥子お嬢様を守ってやってくれ
 もちろん、恭也くんも、生きてくれ
 加藤より』

 なるほど……加藤さんのは暗号というよりは本当に心配してか
 しかし、困ったな……俺はどうしたらいいんだろうか?
 一応、武装を取りに帰らないといけないのだし……そろそろ放課後
 周りを巻き込むのが恐いから……やはり、そこは考えて、家に戻るか
 となると、篭城をするか、他にも侵入者が来ないことを考えないといけないし
 美由希にも頑張ってもらうか……いきなりの敵というのは分からない事だらけだろう
 美沙斗さんと闘った時、美由希はあまり闘ってなかったけど、誰かと戦っていたと聞いてる
 死闘というほどでないにしろ、実践で鍛えられるものもあるから……
 守る者のためには躊躇無く斬らなければいけないときがあるという割り切りが
 そこが一番難しい……たとえ、それが自らの仲間だったものでも斬らないといけないのだから
 美由希には難しいことかもしれないな……

「祥子、一度、俺の家に戻りたい
 だから、一緒に来てくれないか?」
「はい……えっと、隣を歩けばいいですか?」
「ああ」

 祥子も気づいてるのだ……どういう風にしたら、俺の迷惑にならないか
 確かにそれが一番重要なことだろう……
 高町家の全員に危害を加えてみろ……それだけでも許しがたい
 もし、蓉子たちが襲われたら、俺は……相手を殺しに行くだろう
 修羅ではなく、相手を恨むものとして

「恭也、大丈夫です……相手がわかれば、何とでもなります
 警察を動かしたり、自衛隊を動かすのも可能と聞いてますから」
「分かってる……そんなに恐かったか?」
「少し……でも、恭也は恐くないから……
 さきほどのは気になって言っただけですから」
「そうか……」

 俺はそういって歩いていく
 美由希にメールでなのはとかあさんのどちらかをレンと晶で手分けしていてくれと頼む
 多分、これだけで大分変わるだろう……
 忍にもメールを出しておいた
 何かあったら、家族のことを頼むと……何も無いとは思うが
 何かあってからでは遅いのだ

「何を?」
「ああ、友達にちょっとな……頼み事だ
 護衛に関しては、力強い仲間が居る」
「そうなのですか……それは良いことです
 恭也……1つだけ、死なないで下さい」
「ああ」

 そして、俺達は高町家に到着するのだった
 その道すがら、俺は祥子と話してるのだった……
 祥子は俺のことをさん付けで呼びたいらしい
 年上の方を呼び捨てというのも気恥ずかしいものらしい
 俺の方も恥ずかしいのだが……








 つづく










 あとがき
 さて、急展開
 シオン「本当ね」
 ゆうひ「考えてたの?」
 いや
 シオン「……どう思う?」
 ゆうひ「アホなだけでしょう」
 放っておいて……でも、あれだ……これ、最後の山だし
 シオン「後は?」
 急転直下で落ちていくって所かな
 ゆうひ「どこに?」
 ハーレム?
 シオン「スラりん、遊び人を殺っちゃって」
 ゆうひ「八雲〜、出番だよ〜」
 スラりん&八雲「きしゃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!」
 うごふっ
 シオン「ま、何だ……確かにハーレムよね」
 ゆうひ「何で?」
 シオン「だって、恭也、リリアン女学園、落としかけじゃん」
 ゆうひ「あ、確かに……」
 シオン「さてさて、どうなることやら」
 ゆうひ「本当ね……遊び人が消し炭となってるけど」
 あ、あれは、俺じゃないぞ
 シオン「って、何で生きてるの!?」
 ゆうひ「八雲とスラりんは?」
 あそこで伸びてる
 シオン「な、何で!?」
 猫はたまねぎダメだし、オームは何でも食えないからな
 ゆうひ「特性そのまま生かしたわけね」
 八雲たちは内臓弱いから
 シオン「意外な欠点っすね」
 えさには気をつけてるんだぞ
 ゆうひ「でわ、また〜」
 ほなね〜(^^)ノシ



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