とらいあんぐるハート×マリア様はみているSS









設定……
恭也は三薔薇を知っています(以上)
恭也が高校3年生の秋頃だと思ってください
一応オールエンドで完治してます(何ていうか適当だよなぁ)
というわけでレッツラゴ〜(ちょっと頭が飛んでます)







『薔薇は優雅に咲き誇る15』










「さぁ、恭也、前の時の復習よ」
「ああ……」

 前の時の家庭教師で習ったところを教えてもらい、その他のちょっとした応用問題を解く
 難しいか難しくないかと聞かれたら、難しいのだが
 以前なら解けない問題が解けるようになっているのは、嬉しい
 数学は結構分かるようになってきたと思うし、その楽しさが分かってきたように思う
 他にも、理科や社会などなど教えてもらっている
 お土産に翠屋のお菓子を忘れないあたり、俺からの贈り物に近い
 かあさんのお礼の品という言い方も出来るが……

「今週末の金曜からは恭也の所が3日間の文化祭なのよね?」
「ええ……一日目はステージのことメインなので
 見るだけですが、土曜からは一般公開に入るので、クラスのも見れると思います」
「じゃあ、行ってもいいかな? 私達も見たいし」
「確か土曜は午前が授業では?」
「大丈夫、視察目的でこれば問題ないし」

 いや、そんなはっきりと言われると困るのだが……
 しかも、視察ってどこを視察するのですか?

「他校の文化祭の研究をしてみたいのでとか言って、先生方を言いくるめることも可能ですし
 私達もそういう事が出来ますから……恭也なら分かりませんか?
 好きな人の傍に居たいって気持ち……離れるからこそ、こう近くに居るときは
 凄く大切なんだなぁって思うんです」

 それは蓉子の心情を語ったと言っても過言では無いだろう
 それほどまでに寂しいものなのか?
 それとも、俺が居た方が良いのか……だが、俺はまだ学生だし
 大学くらいは卒業しないと、融さんに迷惑が掛かる
 蓉子や江利子、聖のことを考えたら、卒業して大学いって
 ちゃんと勉強できて、少しでも心も支えられるようにしたい……
 欲張りだが、それくらいはしたいのだ

「なら、良いですよ……祥子や志摩子も誘ってもらえますか?
 俺なんかでよければ案内しますし」
「恭ちゃんの案内で無いと困りそうだよね」
「そうだね……蓉子もそう思うよね」
「ええ」

 3人はそう頷く
 今日はホテルの一室を借りて勉強会だ
 ちなみに、貸して上げると申し出た人物が居るのだ
 それが、小笠原徹さんなのだが、蓉子から今日名前が出て最初驚いたほどだ

「あのさ」
「何ですか?」
「江利子の調子は悪いのですか?」

 俺は江利子が少し顔をしかめてるのを見て聞いた
 気になるのだ……何ていうか、凄く辛そうで……

「えっと、何でも無いですよ」
「そうですか? でも何か辛そうですよ」
「ほ、本当に大丈夫ですから」

 江利子はそう言ってにこっと微笑む
 それに弱いなと思いながら俺はそれに応える
 多分何かあるのだろうが、どうかしたのだろうか?

「う〜ん、恭ちゃんは凄いね……江利子のその状態に気づくって言うのも
 私達は言われてから気づいたよね? 蓉子」
「そうね……でも、恭也だからこそ気づいたんじゃないかしら
 人の顔を確りと見て覚えておく人だから」

 俺はそう聞いて少し横をむく
 やはり褒められるのは得意ではない……

「恭ちゃん、ありがとう」

 江利子は俺の前まで来てそういうと、頭を下げる

「見てくれてると思うと、ちょっと嬉しいわ」
「いえ、俺なんかに見られても嫌でしょう」
「ううん、恭ちゃんだったら嬉しいよ」

 そういって、江利子は俺を見る
 何ていうか、可愛い……そこはそれ江利子の魅力なのかもしれないが
 俺は嬉しく思ってしまう……
 江利子は俺の目を見ている
 目を背けたくなるほどの魅力に俺は少しだけ躊躇みたいなものを抱く
 彼女を抱きしめたい……聖と蓉子が居るからダメだと制動をかける

「さてと、恭ちゃん、今日も勉強頑張ろうね」

 江利子はそういって俺の頬にキスをすると、そのまま席に戻る
 テーブルに3人が座り、俺もその前で少し頬を抑えている
 何ていうか、恥ずかしい……蓉子と聖は笑顔だ

「恭也、今度はコレをしましょう」

 そして、出された化学に少しだけ頬を引きつらせるが
 俺は頑張って覚えるために教えてもらう……
 普段教わっている先生より分かりやすい教え方に舌を巻いてしまう
 それに感謝もしている……






「今日はコレくらいで終わりましょう
 恭也も大変でしたでしょうし」
「いえ、そんなこと無いですよ」
「でも、少しは休まないと……」
「……そうですね、ありがとうございます」

 俺はお礼を言って聖さんがもって来てくれた紅茶を飲む
 といっても、頼んだものだ……ルームサービスみたいなものらしい
 融さんが幾つか話しを通していて、此処はVIP扱いと変わらないらしいが
 あまり高級感漂うと難しいだろうという優しい心意気で普通の部屋と変わらない

「そういえば、恭也はほとんど何もしてないようですけど、文化祭は大丈夫なのですか?」
「一応、担任に、その勉学が遅れてるからという理由を貰っているので
 ほとんど大丈夫なようです……一応、呼ばれてる所は多いのですが
 問題ないかと」
「呼ばれてるところ?」

 俺に不思議そうに聞いたのは江利子だ

「実は、剣道部に3日目の時の剣舞をするから、頼めないかといわれまして」
「へ〜、じゃあするの?」
「いえ、返事は保留してます……当日でも良いからと言われてるので」
「あの、出て欲しいって言ったら怒りますか?」
「いや、自分の好きな人たちの前で自分のかっこいい姿を見せたいとか言うのは
 やぶさかではないのですけど、恥ずかしいという思いもありまして」
「いいじゃない……でも、剣舞って事は神事みたいなことをするの?」
「ええ、本当の真剣を用いてするタイプの真剣をって事なんですけど……」
「そ、それだと、相手方は大丈夫なんですか? それに恭也さんも
 いくら、お互いの太刀筋が分かっていても、危ないじゃないですか?」
「お互いに剣を使う仲間みたいなものなので、そこらは問題ないですが
 それでも、俺の心の問題でしょうか……少し恐がらせてしまうかもしれませんし」

 俺はそういうと、3人は何でという風な顔をする

「私達は恭也が恐いという風なことは無いですよ
 でも、自分の心の方が恐いと思いますけど」
「自分の心?」

 ふと疑問に思い聞き返す

「軽い嫉妬です……だって、恭也を好きな自分が居るのは自覚してますけど
 それでも、恭也はもてるんです……聖や江利子、志摩子や祥子は許せるけど
 やはり他の女性となると、仲がいいなと思うだけで少しヤキモチを焼いたりもするんです」
「……それは私も同じね」
「あ、多分、それは志摩子も祥子も感じてると思う……もちろん、私も」

 俺は……言葉を捜すがコレしか思い至らなかった

「あの、俺も心配はしてるんですけど……蓉子も江利子も聖も魅力的な女性だ
 だから、他の男性になびくんじゃないかと……
 いや、他の男性の方に目が行くんじゃないかと思ってるんだが……」

 俺は一度言葉を切ると一度瞼を閉じて開く

「俺の心はちゃんと聖、江利子、蓉子、祥子、志摩子の傍に居たいと思ってます
 でも、もっと近くで居たいからこそ、望んだ結果を得られる最有力手段をとったんです
 まぁ、融さんと知り合っていたのも事実驚きましたけど」
「最初知らなかったようですしね」
「ええ」

 そして、蓉子は俺の言葉を聞いて、笑顔を浮かべる
 もちろん江利子と聖も……

「なら、いいよ……私もまさか恭ちゃんが嫉妬してるとは思わなかったし
 そこまで心配して、話を受けてたなんて知らなかったし」
「本当だよ……でも、恭ちゃんが良いなら良いかな……
 私はいつでも行くよ、心配なら声をかけて」
「ああ、ありがとう、聖」

 傍に行くといわれたとき、少しだけ嫌な予感がよぎった
 でも、それは父さんとフィアッセの間にあったこと……
 いや、アルバートさんとフィアッセの間にあったことというべきか
 でも、父さんは守るだけ守って亡くなった
 俺は、あの風になってはならないのだろう……それが、俺に課せられたものだ

「そうね……じゃあ、たまには連絡してもいいかしら?
 迷惑になるかと思ってしなかったのだけど」
「いいですよ……流石に毎晩とかなら困るかもしれませんけど
 時間言っておきますし、それで如何ですか?」
「決まりだね」

 お互いに決めることを決めて、再度勉強をする
 といっても、俺の勉強を見ててくれる凄い力を持っている女性3人
 俺より1つ下なのだが、教え方も上手く、とても魅力的な女性

「恭ちゃんもさ、自分が思っている以上に魅力的だって事を覚えた方が良いよ」
「ええ、私もそう思うわ」
「ですが、俺は……そんな人いないと思ってましたし
 かっこいいとも分かりませんでしたから」

 それを聞いて、3人がため息をつく

「少し外に出て、カップルでも女性の1人歩きでも良いから
 翠屋の笑顔で声をかけてきたら8割は捕まるね……残り2割は適当だから分からないけど」
「そんなものですか?」

 聖さんに言われて、俺はしみじみと聞いてしまった

「そういうものよ……恭ちゃんはそれくらいかっこいいんだから」
「ん〜、分からんものだな」
「でも、私は恭ちゃんのそういう所も好きなんだよね」

 江利子はそういって笑顔で俺を見る
 恥ずかしい事をはっきりと言う人だな……でも、そういうストレートな所も俺は好きだと言える
 はっきりといえるというのは強みであるし……

「恭也は魅力的な男性なんですよ……私や江利子、聖が好きになるくらいに
 妹である、祥子も志摩子も好きになるくらいに……
 だから、恭也はそのあたりを頭に入れてください
 っていっても、行動をすぐに変えられるはずないのですから
 無理しなくてもいいのですが……」
「そうですか?」
「ええ」

 蓉子はそういってニコリと微笑む……
 こうやって、はっきりといえる3人を少し羨ましく思う
 それに、勉学も確りしていて、薔薇という生徒会のトップは凄いなと思ってしまう
 リリアン女学園というのはお嬢様学園の中でもトップクラスの難しさなどを含んでるらしい
 何と言うか、凄いな……

「聖や江利子や蓉子に支えられてると思うと心強いのはいいことですね」
「そうですか?」
「ええ……俺は喜んでいますけど」
「なら良いんです……私は喜んでもらえるなら嬉しいことこの上ないですから」

 蓉子はそういって手を合わせる
 そういう姿がとても絵になっている
 やはり姉妹で似ているという点もある……絆で結ばれてる彼女たちは強い
 それで居てはかない部分があるからこそ、俺は守りたいとも思える
 その中で自分の使える力を限りなく使えるところ
 そして、自らが最も頑張れる場所がそこだとわかっているから……

「祥子と志摩子には悪いと思ってるんだけどね
 志摩子や祥子は恭ちゃんと同じところ教えようとしても難しいと思うんだ
 だから、恭ちゃん、許してね」
「そんな、また2人には会えますし」
「そうね……聞いておくわ
 令も居るし、大丈夫だとは思うけどね」
「部活があるかもしれないけど、まぁ、薔薇の館に来る方は限られてますから」

 そういって微笑んでいく
 2人には出会える……それは本心だが
 今日も着て欲しかったなと少しだけ我侭な気持ちが芽生える
 やはり、俺は俺なりに彼女たちが好きなんだとわかる……

「俺なりの好きって事かな」
「どうかした?」

 小さな声の呟きに反応したのは3人ともだった
 気づかれたら恥ずかしいのでそっぽを向く

「いえ、何でも無いですよ」
「でもね、聞こえちゃった」
「ごめんね」
「ごめんなさいね」

 聞こえてるなら聞こえてるでいいか
 って、恥ずかしいだけだ……

「恭也、ありがとう……」
「そうだね〜、恭ちゃん、ありがと」
「ありがとね」

 三人からお礼を言われて、少しだけへこたれる

「そういえば、文化祭の話になるけどさ……恭ちゃん、女装大会は出ないんだよね?」
「ええ」
「だったら私達の案内してくれるよね?」
「そのつもりですが……」
「そっか……じゃあ、お願いします」
「はい……祥子と志摩子の2人が驚くかもしれないですね」
「え? 何で」
「文化祭は色々な出店とお化け屋敷などがありますから」
「なるほどね……私達は準備を何度か見せてもらってるけど
 2人は一度だけって事ね」
「はい、それに確りと見ていたわけじゃないようですし」
「じゃあ、恭也、到着したら携帯に電話入れるわね」
「はい」

 そして、話も終えて、再度勉強を進め……今日はそのまま解散となった
 俺はこの日、そのままホテルに泊まるため、彼女たちを送って行った











 そして文化祭当日……朝一番の電車で乗ってきたという蓉子、志摩子、祥子、聖、江利子が
 始まる少し前に電話をかけてきた……俺は赤星に剣舞のOKを出した事により
 赤星と少しだけ練習をして、そのままだ
 お互いに剣を使うのには慣れてるので問題無いだろう……
 しかし、問題はその他にもあるが……

「迎えに参りました……」

 それぞれに手を振っている5人に近づく
 周りから男性が観ているが気にしない……多分彼女たちの美しさに見ほれてだろう
 しかし、誰にも渡す気は無いがな

「志摩子、祥子、1週間ぶり」
「はい、お久しぶりです」
「ごきげんよう」

 それぞれに挨拶を交わす
 まだ、始まってないので、校門のところで待っていてもらわないといけないのだ
 そのあたりが一番辛いところだ……俺も悪いなと思いつつ待ってもらう
 金曜は無理だから、土曜から日曜最後まで居ると言っていた

「江利子、蓉子、聖もお疲れ様」

 そう声をかけると、周りの男連中が去っていく
 ナンパだろうと思っていたが全員断っていたようだ
 大変だな……

「恭兄様……まだですか?」
「ん、後数分だ……まさかこんなに早く来るとは思わなかったから」
「えっと、それはその」

 祥子が頬を赤くして、上を見上げる
 それに対して、蓉子たちは楽しく微笑んでいる

「祥子は前、恭也の所に泊まったでしょう
 そのお礼を言いたくて早くに出てきたのよ……まさか朝一に乗るとは考えなかったけど
 祥子らしいわ」
「お、お姉さま」
「ま、いいですよ……でも、祥子って朝弱かったんだな」

 俺がそういうと頬を赤くして、そっぽを向いた
 ちょっとからかいすぎたか……

「悪い、祥子」
「もういいです」
「恭ちゃんなら許しちゃうんだよね〜?」
「黄薔薇さま!!」
「否定できないよね〜、祥子」
「白薔薇さままで」
「まぁ、祥子さまですから」
「志摩子っ」

 祥子は大変だな……うん

「恭也、あまり頷いてると悪いですよ……祥子が朝から元気なのは良いことですが」

 いや、冷静に分析して、しっかり言う蓉子もどうかと俺は思うが……






『これより、海鳴市風ヶ丘、海鳴中央文化祭を開催します
 校長、一言』
『大いに騒げ〜〜〜!! 歌え〜〜〜!! 舞え〜〜〜〜〜〜!!』
『では、開催!!!』





 俺は頭を抱えたくなった
 あれだけ、人に苦労を押し付けておいて、自分らは遊ぶつもりだ

「あの、恭ちゃん、こんな校長で大丈夫なの?」
「多分」
「大変ね」
「いや、他人事のように言わないでくれ、聖……これから此処に入るのだから他人事ではないぞ」
「…………」
「祥子、頼むから固まらないでくれ
 って、志摩子も〜〜〜〜〜」

 確かにこれだけ個性が出てる校長なんて勤まるのかとか思うが
 一応、これでもやり手な校長らしい……俺はそう聞いてるが
 我侭を通す際にあまり書類を必要としないらしいことは聞いている
 何ていうか、恐いな……

「蓉子、どうかしたの?」
「う、ううん、何でも無いわ」

 珍しく砕けた蓉子
 ま、大丈夫だろう……それくらいの方が多少はマシといえる

「どこから案内をしたらいいんだ?
 朝からきていたようだし、朝食みたいな軽い食事とるか?」
「あ、いいね……私もおなかすいちゃって」
「じゃあ決まりだな」

 俺はそれを聞いて、決まりだと思い、歩き出そうとした
 すると、何故か俺の両腕はホールド(抱きしめられ)、背中の部分のすそを3人に持たれる
 左に江利子、右に聖……後ろには祥子と志摩子と蓉子だ
 というより……

「離してくれないか?」
「いやです」

 即答だった……しかも、5人全員から
 視線が集中している……というか、俺が悪いのか? 俺が全て悪いのか?

「恭也、離して迷子になっても困るものね」
「そうね」
「いや、案内板くらい出てるし、携帯もあるから」
「ダメよ……やっぱり人間、最善策をとらないと」

 蓉子、聖、江利子に言われて、俺は撃沈
 もう、良いですと言って俺は歩き出す

「あ、廊下は靴脱がなくても良いので」
「え? 前は脱いでたけど、今日はいいの?」
「ええ、そのためにシートを引いてあるんです……後で大掃除ですが」
「なるほどね〜」

 そして、喫茶店をしているだろう、所につく
 看板には看護しながら接客しますと書いてある
 ちなみに、此処は1年の教室だ……というか、どういう接客だとか考えたが
 皆同じであるようだ

「これ、どうやって接客すると思う? 聖」
「さぁ……でも、此処で良いんじゃない
 他のまともな無さそうだし」

 そういってパンフレットを見る
 ちなみに俺が貰って、全員に渡した
 そのときの案内の人に……「多角関係?」と聞かれてどう応えて良いか考えてたら
 横手から、「違うよ、全員がカップル」などという聖さんの言葉により混乱に拍車がかかるという
 とても短いエピソードがあるが、コレも想い出になるに違いない
 多分……だけど

「お客さん、初めての診察ですか〜? 此方にどうぞ〜」

 そういって、案内してくれる看護師の格好をしている女子生徒
 というか、美由希……ちなみに俺と気づいてない
 俺は江利子と聖の陰謀で髪の毛をアップに上げて、セットされている

「美由希、お前、なんつう格好をしてるんだ?」
「っっっっっ!!!!!!!!!!!!!!」

 美由希は叫びにならない叫びをあげている
 というよりも、驚いて、数メートルは前とんだ気がする
 何ていうか、反射神経良くなったな〜

「知り合いなの? 恭ちゃん」
「ん〜、義理の妹に当たるが、単なる妹の美由希だ
 祥子は知ってるだろう」
「あ、そういえば……」

 祥子自身も分からなかったみたいだ

「って、祥子さん……それに、恭ちゃん?」
「ああ」

 と、何故か看護師格好の女生徒に囲まれてしまった
 というより、俺をじ〜と見ている

「ちょ、美由希ちゃん、こっちに来なさい」
「な、なに?」
「あの人は誰?」
「兄です」

 なにやらミニ会談が始まったようだ
 俺は開いてる席に座り、全員も座らす
 近くに居る子に声をかけて、メニューを貰い、サンドウィッチや軽食を頼む
 そして、幾つかのメニューがお皿に乗せられて持ってこられていた
 何ていうか普通でよかった……美由希はいまだ査問中みたいだ
 何と言うか、貼り付けの刑とか色々出ているが、そういうクラスなのだろう

「ふぅ」

 俺はコーヒーを飲みながら、朝食を堪能している面々を眺める
 何と言うか、ほっとする瞬間だな

「ん〜、まぁまぁかな」
「ちょっと味が濃い気がするわ」
「もうちょっとお塩を控えたら良いんだよ」

 薔薇さまたちは辛口な意見が多い
 というよりも、味に関してはかなり辛口なようだ
 志摩子と祥子は食べるが、もくもくという感じで言わない
 多分、周りを気にしてだろう……

「あ、此処ではスール制は無いから……上が下に教えてるという事が無いんだ」
「へ〜、部活とかではそういうのあるの?」
「まぁ、あるんじゃないかとは思うが、俺は知らないな」
「そっかそっか」

 食べながら、話て……そして、終わると、俺は美由希を呼び寄せる

「何、恭ちゃん」
「此処って何で払うんだ?」
「えっと、一応お金だけど……なんで?」
「いや、いい……はい、これでいけるだろう」
「一万円もくれるの?」

 俺は無言で美由希の頭をどついた
 もちろん、グーで……

「お、おつり持ってきます」
「宜しい」

 レシートを持って、美由希は奥へと行くと何か騒がしい声が聞こえる

「美由希ちゃん、あの人からお金取るの?
 お兄さんなんだし、彼女連れてるんだったら、妹として奢るとか考えないの?」
「そうだよ……折角楽しんでるんだから、無粋なもの出さしたらだめだよ」
「本当だよ……此処は私のおごりだからとか言ってくれたら良いのに
 一食くらいどうってこと無いんだし」
「他から取れば問題なしなんだし」
「う、うぇ」

 美由希が戻ってきた
 しかし、声が丸聞こえだったのだが、それは問題ないのか?
 ふとそんな疑問が浮かぶが

「恭ちゃん、わ、私が払うから良いよ……それに、折角彼女も居るんだし
 楽しんできてよね……皆さんも楽しんでください」
「はい」

 そらぁもう、笑顔で応える江利子
 その凛としている姿はすばらしいの一言である……
 俺は後で払うからと言って、出て行くと全員先ほどと同じような格好になる
 といっても今度は左に蓉子、右に祥子、後ろに志摩子と聖と江利子だ
 ローテーション組んでるんだな……

「次は何処に行きましょうか?」
「あ、これ面白そう」
「コレ?」

 後ろで聖と江利子が何か言い出す
 そして……

「恭ちゃん、射的行こう、射的……」
「いいですけど、少し遠いですけど良いですか?」
「もちろん」

 そして、俺達は一度外に出ると、そのまま校庭の方へと歩いていく
 射的といえば射的だが……的は、弓道で使う物
 そして、使うのは弓矢……まてぃとか思ったが、弓道部は射的にしたのだ
 黒い淵にあてるのも一般人では無理でないか?
 というか、安上がりな手段をとったのだろう?
 ちなみに、景品がかなり良かったりする
 ぬいぐるみから始まり、何故か盆栽などもある……むっ、あれは校長のお気に入りでは?
 密かに此処に転売していたのかもしれないな……
 校長が泣いてる……というか、自分の取り返すつもりなのか?

「というわけで、誰から行く?」
「私からで良いですか?」
「ああ、祥子できるのか?」
「……秘密です」

 祥子は少し考えて、そういうと弓道具一式を借りて、胸当てをつけて構える
 様になっているな……綺麗だな

「後で私もしよう」
「あ、私もします」

 してみたいという心が大きいのか、江利子と聖もしたがるようだ
 多分自分もしてみたいというのが本音だろう

「志摩子、志摩子もしましょう」
「え、お姉さま」
「たまには体動かさないと」

 志摩子も連れて行かれた
 蓉子と俺はそんな4人を見ている
 というよりも、見送るという風な言葉が正しい

「恭也はしないのですか?」
「蓉子、俺は明日の剣舞のことで頭が一杯で」
「嘘ですよね?」
「まぁ、皆さんのことを考えてます
 誰か1人を選ぶとして、誰を選ぶかとか……」
「うふふ、誰を選んでも私達は祝福しますけどね……出来るなら自分がいいかと」
「そうか……考えておく
 と、祥子がやるみたいだぞ」
「本当ね」

 祥子は儀礼をただし、そして、目を閉じ、開ける
 先にあるのは的のみだろう……綺麗だな

「流麗ね……さすがという事かしら」

 そして、ひゅっと音がなり、そのまま的に弓が当たる

「あた〜〜〜〜り〜〜〜〜」

 ドンと音が鳴り、声が響く
 お〜という歓声も聞こえる
 上手い……あれだけの射は中々観られるものじゃないかもしれない
 確か葉弓さんのも上手かったが、祥子のも祥子ので、上手いというより綺麗だ
 多分儀礼的な弓を使うからだろう……それで中てるとは……
 そして、5本中5本を的に当ててる
 黒淵は無いが、真中に4本、後一本はわずかにずれていた
 集中力は凄いな……

「ふぅ」

 息をついて、こちらに手を振る
 本来はいけない行為だが、小さく手を振っているので
 俺と蓉子は小さく手を振って返す
 子供が居たらこんな感じだろうか……
 そして、そのまま胸当てなどを外し、弓も返していく

「ただいまです」
「お帰りなさい、祥子」
「次は聖みたいだな」
「どうなるかしらね? 素人だし」
「やってないのか? 授業とかで」
「一応、儀礼は習ってますけどね」

 そういって、見ると確かに礼儀はいいのだが、弓は飛んでなかったりしている
 難しいようだ

「祥子は何か貰わなかったのか?
 あ、それは5本も中てたので、どうしようか悩んでたら、お連れさんを連れてきたらと言われまして」

 なるほど……それで、戻ってきたのか
 とりあえず、全員が終わってからだな……
 聖は1つも中てられなかったようだ
 少し落ち込んでる

「聖、気にするな」
「う〜ん、難しいんだよね〜、こう狙いを上にしてとか言われても
 弓の引きが甘かったりすると飛ばないし」
「そういうものですよ……」

 そういって、次の志摩子を見る
 志摩子は日舞をしていると聞いてるが、弓は初めてみたいでおっかなびっくりみたいだ

「志摩子、頑張れ」

 聖が小さく応援している
 大きな声でやらないあたり、奥ゆかしさが感じられる
 うむ……
 志摩子も首をかしげながらも5本チャレンジするが、1つ惜しいの以外は外れていた
 少し悔しいらしいが、それでもしてみて楽しかったのか嬉しそうだ

「次は江利子か……楽しみね」
「そうだね……江利子って何でもこなせるから」
「本人は嫌みたいだけどね」

 そういって、聖と蓉子が微笑み合うなか、そのまま江利子が立ち位置に立つ
 綺麗だな……服装はロングスカートで、袴みたいに見える
 そして……弓を引き絞る
 !!!? 祥子のに似てる……まさか!! これだけ早くできるのか?

「凄い」
「これも真似られるのね」
「綺麗」
「ああ」

 それぞれに感想を漏らし、そのまま矢を放つ
 そのまま的に中る……確か、中る時と中らない時というのは最初に立ったときに分かると言っていた
 ということは、これは自分の頭では中ると思っているという事だ
 江利子って凄いなと思う……人一倍努力しているものを確りと頭に叩き込みまねが出来る
 それも1つの有用性があると思うし、それも個性だ

「はぁ〜、これ以上はダメね」

 そういって、体の姿勢を正す
 ただ、それは江利子の普段の体の置き方だ
 多分それだと……中らない
 そして、江利子は3本中てて戻ってくる
 胸当てを外し、戻ってくる頃には俺達も合流する

「まさか真似されるとは思いませんでした」
「ん〜、でも3回くらいが限度だね……あの姿勢を常時保つのは苦しいものがあるし」
「ええ」
「ま、先輩の面目躍如って事で」
「はい」

 何ていうか、仲がいいのやら悪いのやら……
 悪かったら付き合ってないだろうが
 そして、そのまま景品選びとなった

「盆栽は恭兄様に」
「俺に?」
「何か観ていたようなので」
「まぁ、盆栽は好きだから良いが……」
「で、後は、どうしましょうか?」
「これで、残り7本分だもんね」

 そう、後7つもらえるのだが……少し考え込むと

「あの、この無料券とかどうですか?
 5枚つづりになっていますし、飲み物とかお金要らないみたいですし」
「それいいね……」
「じゃあ、3つはコレで」
「私のも、それでお願いします」

 そして、35枚の無料券を手に持ち(というか、何故か俺が持たされた)次の場所を決める
 何ていうか、嵐到来だろうな……弓道部は災難だろう
 ある意味、人災だが……少しだけ震えてたし
 渡すとき……何故か俺の笑顔で、赤くなって固まったが
 ちなみに、翠屋の笑顔を聖がしてみたらオッケーだよとか言ってしたのだが
 まさか、成功するとは

「これで、お昼ゲットだね」
「ええ」
「まさか、ああいう景品があるとは……結託組んでしてるんだろうが
 いいのだろうか?」
「いいんじゃないですか? 楽しめたら
 文化祭はそういうものですよ」

 そういわれて納得して、外のクラブ活動を冷やかしながら歩くことにするのだった









 つづく










 あとがき
 というわけで、弓です
 シオン「右前基本だね」
 ああ
 ゆうひ「何それ?」
 弓を使うときは右手を使うでしょ……で、引くときなどは右が後ろになるように向くの
 シオン「実践でも多分右を引くほうに使ってるはずって話よね」
 ああ……という話は置いておいて、祥子さんのすばらしき射でした〜
 ゆうひ「それを真似る江利子さんも最強ね」
 全くだ……弓道部泣かなきゃいいけど
 シオン「今ごろは四苦八苦してるんじゃないかしら」
 多分儲けとか気にしてないだろうから、良いだろうけど
 ゆうひ「そうだね」
 ま、文化祭なんてんなものだ
 シオン「そうなんだ……行ってないから分からないわ」
 あははは……そういうものさ
 ゆうひ「でわ、また〜」
 ほなね〜(^^)ノシ



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