とらいあんぐるハート×マリア様はみているSS









設定……
恭也は三薔薇を知っています(以上)
恭也が高校3年生の秋頃だと思ってください
一応オールエンドで完治してます(何ていうか適当だよなぁ)
というわけでレッツラゴ〜(ちょっと頭が飛んでます)







『薔薇は優雅に咲き誇る17』










「わ、恭ちゃんの記事がある……写真部と共同で製作したらしいよ
 あ、インタビューもある……恭ちゃんはしなかったんだね」

 聖が、慌しくないようを見ていく
 紙面を読むスピードが速い早い……何ていうか、俺の3倍くらいは早いな
 俺はじっくりと見ていくと、何故か俺が入学当初から夏休み明けの写真や他もろもろが写っている
 何気にあの写真は勘弁願いたいものもあった
 しかも、エピソードはかなり適当だ……

「わっ、桜がついてるけど、綺麗〜」
「こちらも綺麗ですよ……桜舞い散る中、たたずむ恭也さん
 しかも、背中で語るって感じで……確かありましたよね」
「ええ、私が買いましたね」

 いや、そこで心底嬉しそうに買った写真を胸に抱きしめないで欲しいのだが
 先ほどのことが俺の脳裏によぎる

「恭也、大丈夫ですか?」

 蓉子が真っ赤になりながら、俺に聞く
 というか、一番どでかい事をした本人がそれを言うか?
 俺にとってはそこのほうが突っ込みたいところだぞ……

「その原因の1人が何を言うんですか……?」
「そんな気にしなくても、ファーストですから」
「気にするわ」

 俺は小声で告げた……流石に大きな声を出すのは得策ではないと踏んでの答えだ
 蓉子は悪戯が成功したような笑顔で俺を見ている

「しかし、明日もあるのだから、明日を楽しみにしたら良いのに」
「明日は恭也の剣舞が見れますから……」

 それを楽しみにしていると言わんばかりだ……もう良いです
 俺はそんな言葉を飲み込み、紙面を見ていくと、赤星と俺のことが書かれている
 だから、内輪のことだけじゃなく、自分達の学園の歴史も書こうよ
 と、思ったら、ひっそりとだが、ちゃんと学内の歴史を書いてある物があった……
 しかも、文化祭の歴史なども確りと明記されている

「こういうのもちゃんとつくってるんじゃないか」
「あ、それは明日のためです……一般来客者の方が見てくれるかもと思って
 それでも今日も多いのですけどね……あ、コレも高町効果というものでしょうか?」

 新聞部の方だろう……何故か俺の横でにこやかにのたまった
 というか、俺は不幸だと思わないのだろうか?

「とりあえず、1つだけ聞いていいか?」
「何ですか?」
「何で、俺の個人的なことが書かれてるんだ?」
「えっと、校長先生が、涙ながらに高町恭也の記事って言われて
 私達も詳しいことは知らないのですよ……ただ、誰か個人に当ててなんてめったにしないし
 それに翠屋の方もOKくれましたよ……その代わり、広告お願いって事で
 広告渡されましたけど」

 かあさんめ……何を考えてやがる
 流石に知らない間にされるのは困るな

「ちなみに、コレは先週決めた話によるものらしいです」

 なるほどな……どおりでかあさんが俺に何も言わないし
 何気に色々と手を出さないわけだ
 あの祭り好きで元気の有り余っているかあさんがだ……はぁ〜
 我が家は相変わらずという事か……

「なんだかなぁ」

 俺は万感の思いを込めて、そういうと、同意する言葉を聞けて少し安心した
 というより、校長は何を考えてるんだか……

「それに、俺のこと書いても誰もこないだろうに」
「それが……女生徒が結構来てて、好評なんですよ……
 写真部と提携組んでやったかいありましたね」

 そういう新聞部の子はとてつもなくいい笑顔だ
 というより、普通は本人の許可が必要なんじゃないかと思えることを
 全て、かあさんの了承の下にやってしまっているのだから、何も言えないか
 癒えるはずなんだがなぁ〜、居なかった本人だし
 鬼のいぬまに洗濯ともよく言うし……
 って、俺は鬼か?

「恭ちゃん、この胸タッチ疑惑って何?」
「それは救助が足りなかったせいで、胸に手が行ってしまった時のことだな……
 あれは悪いことをした」
「へ〜、でも助けるためだったら不可抗力だね……
 とっさの事を頭で考えてやるようだったら、それはとっさと言わないしね」

 江利子はそういってにっこりと笑うと、俺の手をとる
 何故か自分の手の平を合わせる

「どうかしたのか?」
「ううん、何か恭ちゃんの手って安心するんだよね
 だからかな……こう、少しだけ不安に思ったときとか手を繋ぐと安心する」

 どういう意味だろうか? いまいち分からないが……

「……そうなんですか?」
「ええ」

 何ていうか、されてばかりなような気がするのは俺の気のせいか?

「あ、居ました……まだ隣に居てくださって助かりました……
 放送でおよびしても良かったのですけど、頑張って仕上げましたので
 写真です……後、ネガは此方になります」

 写真部の人が来て、俺達に写真を渡していく
 俺のは封筒だが、結構な量がある
 お金は一枚はそんなに高くなく、結構リーズナブルな値段で出来るのが利点だ
 何かの記念にという写真が結構な売れ行きを取りそうだ
 出張サービスもしているので、パタパタと走り回っているカメラもちの人が居る
 どこでも撮りますと腕章をつけてるあたり、すぐに分かりそうだ

「わっ、さすがに蓉子のが一番目立つね」
「というか、コレは凄いですね……恭ちゃんは真っ赤になりながらも目閉じてるし」
「わっ、祥子、幸せ度100%笑顔? 祐巳ちゃんと一緒の時くらいの笑顔じゃない」
「そ、そんなことありません」

 一気に騒がしくなってしまった
 新聞部の人も横から見ていると、頬を赤らめている
 何で赤らめる

「うわっ、高町先輩が頬赤らめてる……普段、そんなに表情変えないから、分からないけど
 かわいいですね」
「そうでしょう……もう、この顔とか結構いけるわ」

 あ、それは俺と全員が写ってて、笑顔とか言われて笑顔で取った奴だな
 何ていうか、恥ずかしいので見せないで貰いたい……

「あ、そういえば聞き忘れてました……あの、高町先輩と仲がいいみたいなんですけど
 どういう関係か? 聞いても良いですか?」

 新聞部としての性だろう……それとも、ゴシップに飢えてるのだろうか?
 何ていうか、目が鷹みたいになっている……恐いな

「ん〜、ごめん、恭ちゃんに迷惑かけたくないから、それは応えられないな」
「そうですか……って事は、高町先輩と深い仲ではあるんですね?」
「そうだね……お互いの両親を紹介したくらいの仲かな」
「わわわ」

 何か真っ赤になっている……というか、両親は紹介したが
 お互いにまだ会ってないと思うぞ……祥子の所は別だが
 と、何故か祥子が楽しげに言葉を加えた

「1つ言うなれば、私達は恭兄様がなさることなら、許してしまいそうって事かしら」
「あ、でもその条件としては、恭ちゃんが私達の誰かにってことくらいかな……」
「そうね……そのあたりが妥当かしら」

 いや、そこらで妥当とか言われても悩むところなのだが……
 というか、俺に拒否権は無いのか?
 発言権は? って、まぁ無駄な事だろうとは思うが一応言っておく

「先に言っておくが、まだ彼女たちとは親友という間柄だ
 まぁ、最も近しいと言えば近しいかもしれないが、他人でありながら家族のような人たちだ
 だから、あまり突っ込んだ質問はしないように」
「は、はぁ……(高町先輩の真面目な顔、かっこいい〜)」

 若干、違うようなものが頭によぎったが気のせいだろう
 そう、気のせいなんだ……なんだったら、なんだ!

「でも、大分時間食ってたんだね……もう、昼か」
「そうだな……昼はライブをやっていたり、校歌をロックやポップみたいに編曲して
 軽音部が演奏するとか書いてたが、何かしたいこととか行きたい所とかあるか?」
「先にご飯食べたいかな……2年の所で何か食べれるみたいだね……
 ほら、此処……えっと、『メイドさんとお食事』だって……祥子、本領発揮よ」
「白薔薇さま、それはどういう意味でしょうか?」
「いや、普段の小笠原家での行動と同じように動けば問題なし!」

 ガッツポーズまでして、言う聖
 何ていうか、かんていうか……確かに祥子からしたら、メイドさんと言われるとそうなるのか?
 いや、まぁ、本職知ってる人居るのに此処に行くのはちょっととか思ったり思わなかったり

「聖、多分違う意味だと思うぞ……このメイドさんって」
「そうかなぁ……(祥子からかうんだからね)」

 目は口ほどに物を言う……聖は俺に目でそういう
 祥子からは見えない位置に居るために、祥子は気づかない
 蓉子や江利子は何か考えてるようだ……

「聖、私もそこは行きたくないかな……恭也がメイドさんに囲まれるというのも
 ちょっと嫌だし……それだったら、私はこっちが行きたいかしら」
「ああ、海の家かぁ」
「懐かしいものをとか書いてる、このお店も気になるね」
「本当ですね……駄菓子屋さんを再現ってある意味凄いですね」

 まぁ、何故かこの学園は不思議であふれてるからな……
 風ヶ丘と海中の共同開催だが、どちらかと言えば、風ヶ丘に偏って開催されてるのだ
 で、海中はその関係上、どうしても無理が多くなってしまう
 そのために、色々と問題は多いのだが……海鳴中央の方はあまり使わず
 風ヶ丘をよく使おうという事で、運動場から何まで此方を多く利用している
 俺が海鳴中央時代もそれは変わりなかった

「海鳴中央の方は、あまりお店とか無いんだね……
 発表とかを此方に寄せてるのかな?」
「学校の関係上、授業の妨げにならないようにという配慮ですね」
「へ〜、恭ちゃんよく知ってるね」
「ああ、以前気になって先生に聞いたら、海鳴中央で授業が遅れたら大変だからだそうだ
 俺にはいまいちよくわからないが、風ヶ丘の生徒の方が掃除などを兼任して行うため
 すぐに授業に入れる海鳴中央……でも、俺達は明後日は休みなんだ」
「ふつうは片付けで一日取られるのに?」
「後は燃やすだけですからね……最後のダンパで」
「そっか……私達も自由参加だけどするもんね」

 そう、焚き火みたいな要領で、物を燃やしていくのだ
 もちろん、不燃物は燃やしてはいけないが、燃えるごみは全て、その中に投機する仕組みだ
 でないと、ごみの分別だけで時間かかるのだから、そうやって燃やしながらでないと
 冷えてくるからだ……この時期と言えど、昼と夜とでは気温差がある
 それでの事だ……先生も楽しんでるらしいが

「まぁ、俺達のばあいは大焼いも大会みたいなものかもしれないな
 芋煮会と煮てるらしいが、芋を焼いておくんだそうだ……
 で、少しの空腹を紛らわすために、振舞われるんだ」
「へ〜、考えてあるんだ」
「まぁ、帰りにどこかよって変な騒ぎ起される前の事前策なんだそうだ」
「あ、そうすれば犯罪抑制にもなるってことか」
「ああ……で、消防車も着てるが、基本的に今の所大きな迷惑も無いから良いだろうという
 とてもいいかげんな状態なんだ……」

 いいかげんだが、自主性に富んだ学校だと俺は思っている
 まぁ、俺がいくらか休んでも単位くれるし、いい所だとは思っている
 父さんが先に言ったおかげなんだが……死んでも尚、それだけの影響力を持っていたという事だろう
 多分ティオレさんあたりが圧力をかけてるだろうとは思うけど……
 いや、この場合、アルバートさんか……

「でも、焚き火って……櫓とか漁火とか」
「漁火は違いますよ」
「あれ?」

 あれじゃないです……しかし、写真で盛り上がってたのに、何でこんな会話してるんだか
 とりあえず、昼飯の話だな……

「お昼は海の家でいいんですか? 微妙に美味しくないかと思いますが」
「う〜ん、そこだよね〜……祥子も食べられる場所っていうと難しいね」
「わ、私は別に何処でも」

 と、祥子が目にしている部分を見る
 祥子もそういいながら、意見があるらしいが、年上である薔薇さま各位の意見を尊重したいらしい
 俺は祥子の近く(ほとんど近い状態だが)に寄ると、耳元で小声で話す

「どこか行きたい場所があるのか?」

 祥子にはそれでわかるのか、そのまま指差す
 そこは普通の喫茶店で翠屋と書かれている
 外でも販売で、シュークリームをメインに売ってるらしい
 決まりだな……祥子も食べれて、皆が美味しいといえるところ
 此処に目が行かないのは、場所が違うからだ……
 しかし、かあさんは何を考えてるんだか
 どうせ、「学生時代に戻ってみたかったのよ」とか言うに違いない
 なのはにお仕置きしてもらおう……それが一番だ

「あの、かあさんたちが来てるみたいなので、行けば何か買えると思うんですよ
 そこなら味も保証できますし、何かあればかあさんに文句言えるしで十分じゃないかと」
「あ、それ賛成」
「でも、何処にあるのかしら?」

 パンフレットをサーと見ていく
 すると、違う学び舎の方に入ってやっと気づく……
 なるほどと頷くと、皆がそれぞれに良いよと帰ってくる
 祥子も安堵したのか、ほっとため息をついてる
 蓉子は気づいてるようだが……何も言わない所を見ると俺のことも気づいてるな

「ありがとうございます」

 歩き出して、しばらくしてから蓉子は小さく俺に言った
 今は、みんなばらばらで歩いている……
 といっても、ほとんどが俺の周りに居るので代わりが無いが
 聖が前を歩いて、左右を見ている……志摩子も同じように歩いて行ってるので聖の隣だ
 似た者同士だな……江利子と祥子が何やら話してるが、令さんのことらしい
 多分、剣道についてと弓道についての違いだろう……
 お互いに文武両道だからな……
 で、蓉子と俺が横並びで歩いてるという状態だ
 前を見て、4人を見守るに近い……ほとんど学生だけだが、明日になれば……
 一般の方も混じるし、来賓の方も来られるし……そういえば、俺他に呼ばれた気がするんだが
 忘れてるが、良いか……問題なしだろう

「恭也は聖たちを見ててくれるから安心だわ」
「それを言うなら、蓉子だって見てるじゃないか……さっきも俺が気づかなかったら
 祥子に聞くつもりだっただろう」
「ええ」

 素直に頷く
 ちょっと反撃が恐いが……

「恭也が近づいてくれてるので、ナンパの心配もありませんし」
「ナンパ? 俺はちゃんと払えてるのか?」
「恭也と対等になろうと思うと、並大抵のことではありませんから」

 蓉子はそういって微笑みを浮かべる
 真剣な表情から一転、楽しみという顔だ

「そろそろ離されて着ましたので、行きましょう」
「……そうね」

 蓉子は少し惜しいという顔をして、歩いていく
 俺もついていくが、密かに安堵している……苛められるというよりは
 弄ばれるのはチョット嫌だからだ……

「恭ちゃん、あっちだよね?」

 聖と志摩子が指差す方を見て、俺は頷く
 すると、また歩いていく
 何ていうか、子供が増えた気分だ……
 でも、初めての所で少し遊びたい気分は分からない訳じゃない
 俺からしたら見慣れた光景でも、聖、志摩子、江利子、蓉子、祥子には初めてという事だ

「いらっしゃいませ〜、何名様ですか?
 …………5名様、ご案内します〜」

 そういって出迎えてくれる忍
 というか、ノエルさんとかあさんも来てる
 あ、なのは発見
 なのはも俺を見つけると、駆け寄ってくる

「お兄ちゃん、いらっしゃい」
「ああ……しかし、此処に出して大丈夫なのか?」
「うん、此処の教室丸々使って良いって言われて、かあさんが
 昨日か少し前くらいから準備してたんだって
 店を松尾さんに任せたって」
「松尾さん怒ってなかったのか?」
「今度休みくださいって泣いてたみたいだよ」

 そりゃそうだな……1人で店の切り盛りは大変だ
 多分、今ごろ松尾さんはぶち切れてるかもしれない
 あ、電話だ……
 何か必死に謝ってるチーフウェイトレス忍
 そして、忍はそのまま消えていった

「あ〜あ、忍お姉ちゃん、店サボってたからかな……」
「なのは、ああいう大人になったらだめだぞ」
「うん……で、お兄ちゃん、お姉ちゃんたちと居なくて良いの?」
「今から行くところだ」
「じゃあ、飲み物準備していくから……
 もう、取れたみたいだし」

 い、嫌な予感がする
 と、かあさんがニンマリと笑顔を浮かべてるし

「恭也、なのはとのおしゃべりは夕方にしなさい
 折角、恭也のために来てくれたんだから……メニューはすでに決まってるから
 というか、否定、拒否、却下の3種はございません
 当店オリジナルメニューin文化祭バージョンをお楽しみ下さい
 でわ、後ほど」

 そういってかあさんが下がっていく
 6人がけのテーブル
 外はカフェテラスにしてあって、パラソルが開いてる
 そして、中でも食べられるようにしてある
 出張店という名目で開かせてもらっているらしい
 しかし、よく許可を取れたな
 多分、学生食堂が開かないための一つの方法だろう
 こういう場所を利用したほうが良いと思う人も居るためだろうが
 しかし、なして家なんだろうか……許可が取りやすいとかあるのだろうか?
 美由希か……あの愚妹が……

「恭ちゃん、何か不道徳なこと考えなかった」
「美由希、何用だ?」
「忍さんが本店というか、店に戻ったから手伝ってってかあさんが」
「まぁ、かあさんだし……頑張れ」
「理不尽だよ……恭ちゃんだけデートって」
「まて、デートは不特定多数とするのも入るのか?」

 そっちに突っ込みを入れておく
 デートというのは2人でするものだと俺は思っているからだ
 だから、今回も皆でお出かけという名目がつく
 それに案内というのも……

「で、でも、こんなに慕われて思われてるのに返事してないって」
「それについてはいいのよ……だって、恭ちゃんがちゃんと返事くれるって言ったし」
「文化祭のこの時が最後のチャンスかもしれないですけどね」

 笑顔で言う聖と志摩子……そんなことを笑顔で言わないでくれ
 俺もたまにはそちらに行くわけだし
 祥子の所にも顔だしは幾度かするだろう
 一応就職組みになるのかな……いや、大学にいくのだから、進学クラスか……

「ライバルは増えるわ……しかも恭ちゃんがべた惚れだし」
「惚れてるといえば惚れてるが……だが、1人じゃないから、問題なんだが」
「大丈夫ですよ、恭也なら、大歓迎」
「喧嘩なくて済むなら、それもまた良し」

 美由希の言葉に俺が何か言うと、援護射撃のような言葉が連なる
 何気に先ほどのは蓉子と江利子だが……
 祥子は少し黙ったまま考えているようだ

「美由希さん、多分恭兄様の場合、特殊な状態になると思うので……
 運がよければ、全員妻という形になるかと」
「はい!!!? 何それ?」

 美由希が驚いたように祥子に詰め寄る

「これはあくまでも、『かも?』なので信じないで下さいね」

 祥子の前置きに美由希は頷く
 お前、仕事は良いのか?

「恭兄様を本格的に小笠原の近しい者にしようという話がお父様とお爺様の間であったようで
 恭兄様がどう返事されたか私は知りませんけど、それでお父様とお母様が
 とても嬉しそうなので、もしかしたらと……違うかもしれませんけど」
「えっと、それって恭ちゃんが、小笠原恭也になるって事」
「いえ、違います……恭兄様のみに限っての小笠原の権限の一部を使えるようにしようとか
 そういう考えなのだと思います……ただ、私には一切話してくださらないので
 私の推量も入ってますが」

 そういって祥子は俺をジーと見る
 俺なら知ってるだろうと言う視線だ……俺は黙っててくれと言われてるので黙っておく

「ふぅん、でもそれって恭ちゃんの努力次第とか色々組み込まれてそう
 だって、祥子の小父さんと小母さんがそういう話をしてたとしても、普通は考えないでしょう」
「ええ……もし、恭兄様と私が結婚とかしたとしても、どうなるか分からないですから
 ただの推量と考えてくださっても構いませんよ、美由希さん」

 そういって微笑みを浮かべる
 美由希はう〜とか言って唸っている
 だから、仕事はしなくて良いのか? 美由希
 かあさんが恐い顔で後ろに立っているぞ
 あ、お盆を振りかぶった
 美由希も気づいて後ろに振り返る
 振り下ろされるお盆
 美由希が逃げようと体をそらせる
 数センチずらせば大丈夫だろうが、何故か大きく避ける
 俺は、足を出していた……

「あっ」

 美由希の呟きが聞こえ、そして、そのまま地面にこけた
 何とか手をついたものの、アホだ……

「み・ゆ・き〜〜〜〜〜、手伝いによこして邪魔してどうするのよ!!!」
「は、はい〜〜〜」

 かあさんも忙しいと鬼が入るからな
 スイッチがすでにオンに入ってるようだ……忙しいんだろう

「恭也、もし良かったらだけど、手伝ってくれない
 店もこっちもテンヤワンヤなのよ」
「ちょっと待ってくれ」

 俺は皆に振り返ると、頷いている

「いいのですか?」
「明日に楽しみ置いておきたいし……それに、この後勉強を教えるから」
「そういえば、そうでしたね……祥子と志摩子はどうしますか?」
「あの、私も手伝いたいのですけど」
「わたしも」

 その言葉に俺は頷く
 素人という言い方は可笑しいかもしれないが、それぞれにキャラクターもあるので大丈夫だろう
 それに、美由希よりは遥かに確りとしているし、志摩子と美由希は同い年なのに
 全くそう見えないのが不思議だ……多分、美由希が年下に見えすぎるんだな
 ドジだし、ドジだし、天然だし、ドジだし……

「かあさん、手伝うぞ」
「じゃあ、はい……エプロン
 後、昼はもう持って行ってるから」

 そして、俺はテーブルを見る
 一度離れて、かあさんに言いに来たのだが……
 テーブルの上には6人分の豪勢な食事
 確か、ランチパックとかいうタイプのものだ

「かあさんのおごりだから……堪能してね
 皆さんにもよろしくって言っておいて」
「ああ」

 このとき知らなかった……知らないというのは幸せなのかもしれない
 テーブルに戻ると、俺は前のことを思い出すべきだったのだ
 かあさんの顔を見ながら、少しだけ思案にふけったのが悪かったんだ
 そう、全て……だから、俺の分の食器(フォーク、ナイフ、スプーン、ストロー等)が無いのも
 俺が注意しなかったんが悪かったんだ……

「なのは、フォークとスプーンくれないか?」
「お兄ちゃん、このランチパックね、松尾さんが作ってくれたんだよ
 でね、松尾さんが……『恭也くんなら笑顔で食べてくれるわ、誰かの手ずから』って
 笑顔で作ってたらしいの……なのは、松尾さんの心意気に感動してるから」

 いや、それは違うと思うが……
 なのはも成長したなぁ〜、『心意気』なんて漢字を覚えてくれて……
 って、感動してる場合じゃない……俺はそれでもこんな所で翠屋、薔薇の再臨はしたくないぞ
 ちなみに、命名はかあさんだ……
 振り返ってみると、全員やる気満々
 それぞれに切り終えて、スタンバイを終えた状態だ

「恭ちゃん、食べてくれるよね?」
「恭也」
「恭ちゃん……」
「恭ちゃんなら食べてくれると信じてるわ」
「恭兄様」

 5人ともすでに俺が食べると信じているようだ
 俺は……諦めの境地に居た……
 以前もしたんだ……恥ずかしいのは彼女たちも一緒
 断ったら、俺が悪いし、彼女たちは更に恥ずかしいだろう
 だったら……

「お願いします」

 頭を下げてお願いするしかないだろう
 幸い、他校の生徒なんだし、俺だけが責められればいいんだ
 それも案内役の1つの仕事だと思えば……
 幸せなような不幸なような……
 どう、思えばいいんだ?
 口をあけて食べさせてもらいながら、俺はそんなことを密かに考えてると
 飲み物は普通に出された……紅茶をかあさんがいれたらしい
 美由希は配膳などで、忙しそうだし、なのはも大変だ
 なるほど、かあさん、美由希、なのは、ノエルさんでは辛いだろうな
 俺達も手伝うのが道理というものかもしれない……

「恭ちゃん、そこでラブコメってる所悪いけどさ……早く食べきってくれないかな」
「俺に言うな……」
「妹として恥ずかしいよ」

 美由希はそういいながら俺を睨む
 俺を睨んでも意味が無いのだが……

「あ〜〜ん」
「どもです」

 口をあけて、食べていく
 大分食べるものも減っていっていると思う
 後20分かからずに食べられるだろう
 飲み物がノーマルでよかった
 多分、それはかあさんの気配りだろう

「はい、デザートだけど……シュークリームだとすでに食べてるようだから
 季節のフルーツを使った、ちょっとほろ苦いタルトよ
 下地を少し甘くしてあるから、コーヒーとかにも合うはずよ」
「わっ、美味しい」
「恭也は食べなくても良いわ……このあと手伝ってもらうのに気分優れないと大変でしょうしね」
「助かる」

 と、それを聞きながらも祥子が切り分けてる
 そして……

「恭兄様、あ〜ん」
「祥子?」
「食べてくれませんか?」

 上目プラス潤んだ瞳
 負けました……かあさんが目の端でにやりと笑っているのが見える
 もう、いい……多分かあさん自身もこうなると分かってたんだろう

「頂きます」

 そして、一口食べる
 甘い甘くないといえば……多分甘いのだろうが
 味がわからない……

「あの、恭兄様、返杯もらえますか?」

 そういってフォークを差し出す
 きって、食べさせてくれと……確かに、俺ばかり食べさせてもらったわけだし
 全員に返杯みたいなのをするのも悪くないかもしれない
 恥ずかしい体験をお互いにするわけだし、俺はタルトを食べなくても済むわけだ
 よし、それでいこう……

「あ〜ん」

 若干声が小さくなるが、全員に切ったタルトを口元に持っていく
 ぱくっと食べる様は少しエロチックで何もいえなかったが
 好評だった

「甘くないっていうのとは違うけど、凄く大人っぽい味だよね」
「ええ」

 そして、俺達は少し休憩を取ると、全員がエプロンをする
 店員として一肌脱ごうという事なのだ……
 許可も得てるし、祥子と志摩子は前、お預け状態だったので
 してみたかったのかもしれない……説明はある程度休んでる最中にしておいた
 後は実践あるのみ……
 出張サービス翠屋、文化祭店のウェイターとして働き出すのだった







 つづく








 あとがき
 おわらね〜
 シオン「一日長いね」
 本当だよ
 ゆうひ「でも、これで時間稼げるね」
 ああ……これなかったら泣いてるよ
 シオン「そういえば、黄薔薇のつぼみとその妹は? それに紅薔薇のつぼみの妹も」
 そこなんだよな……薔薇は優雅に咲き誇ってるんだけどね〜
 ゆうひ「難点だね」
 このまま使わないほうが無難というか、書き終えは簡単に出来る
 シオン「確か構想はすでに終わってるって言ってたもんね」
 そういうことだ
 ゆうひ「大変だね〜」
 問題は……他のところだな
 シオン「人が増えれば、その分大変って事」
 そういう事だ……ま、それは腕次第で如何にでもなることだから……
 ゆうひ「手馴れてきてるね」
 まさか
 シオン「さ、次回は出張サービスよ」
 何か考えないと……次の日はもうネタ一杯一杯だし
 ゆうひ「大変だね〜」
 大変なんだよ
 シオン「あはは〜、遊び人の腕がすでに壊れそうなので、これで」
 ゆうひ「またね〜」
 でわでわ、ほなね〜(^^)ノシ



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