とらいあんぐるハート×マリア様はみているSS









設定……
恭也は三薔薇を知っています(以上)
恭也が高校3年生の秋頃だと思ってください
一応オールエンドで完治してます(何ていうか適当だよなぁ)
というわけでレッツラゴ〜(ちょっと頭が飛んでます)







『薔薇は優雅に咲き誇る19』










「ごきげんよう」

 挨拶は嬉しいのだが、江利子と志摩子が俺の腕を離してくれない
 というか、俺が辛い……寝てないし
 五里霧中だ……起すか起さないで堪能するか……
 いやいや、違う違う……俺は、平穏に寝たいんだ
 そう……寝たいんだ

「恭ちゃん、そろそろ目をあけたら?」

 分かってるさ……皆おきてて、俺も起きてるくらい
 でもさ、寝ててもいいじゃないか……と思うのはいけないことでしょうか?
 といっても、寝てないからなのだが……
 だ、大丈夫だ……そう、父さんと旅してきたときを思い起こしたら
 ………………
 …………
 ……
 よく生き残っていたな……俺

「おはよう」

 目をあけて、全員に声をかける
 お風呂にも入って寝てるので着替えはと聞いたら、全員バックに入れていた
 そして……着替えを終わったようだ……
 眠い

「恭也、やつれた? 疲れてる?」
「大丈夫ですか?」

 蓉子と祥子が心配そうに俺を見ている
 何気に抱きついていた江利子と志摩子も起きて準備し始めている
 まぁ、寝起きがいいのが良かった……悪かったら大変だからな

「というより、精神力使い切りましたって感じだね」
「聖の言うとおりだ……志摩子と江利子が擦り寄るから……
 寝付けないし、吐息は掛かるしで……全然寝てない」
「夜が明けるの待ってたんですか?」
「起せばいいのに」
「熟睡してるところを起すのは悪いかと思ったんですよ」

 俺がそういうと「あ〜」という顔をして納得する
 まぁ、そういうことなのだ……俺がおきてたのは……

「でも、今日は剣舞をするのではないのですか?」
「まぁ、そうだけど……大丈夫だろう
 あいつだって本気で剣をぶつけ合うんじゃなければ……」

 俺はそういって少しだけ考える
 そういえば、女装するって言ってなかったか?
 まぁ良いか……赤星だし、対岸の火の粉だしな……平気だろう

「じゃあ、今日は朝食を食べて行きますか?」
「はい」

 そして朝食を食べると、晶とレンと美由希は準備があるとかで早めに行ったみたいだ
 こういうときは忙しいのが常だしな……俺の方はそんなに忙しくない
 まぁ、採寸をとって、俺のクラスの女子生徒が全員総出で衣装選びから衣装つくりまでしたみたいだし
 ほとんど男子は逃亡しているだろう……
 忍から逃げられたら、全員欠席かもしれないな
 まだ入る時間までには時間があるが、かあさんは松尾さんを説得に成功したらしい
 ただ、全員に休みを明日とあさってに入れて翠屋を休みにするらしい
 松尾さんも休みが欲しいのだろう……かあさんのベストパートナーだからこそ苦労は絶えないな
 今度、何かお礼をしておこう……勤労感謝の日に何かするか……




 学校に着くとすでに学園祭二日目は始まっていた
 何故か校門に赤星待機で……逃げようとしているのか……周囲を警戒している

「赤星何してるんだ?」
「た、たたたたたた、た高町〜〜〜〜」

 驚いたようでどもりながらだが、俺に言葉をかけて指刺す
 なんていうか、俺が悪者みたいじゃないか

「お前、何で重役出勤なんてしてるんだよ……しかも、女性連れて」
「まぁ、色々あってな……で、お前は何してるんだ?」
「は〜〜、お前と剣舞するだろうが」
「ああ」

 赤星は俺が頷くのを見て、1つ漏らした

「それで、ちょっちな……仮面をつけてすることになった
 俺が牛若丸でお前が武蔵坊弁慶だ」
「ああ、それでお面はどこから借りるんだ」
「能してる部活あるだろう……あそこがそれでしてみたらどうかって話があってな
 お前の携帯に何度連絡しても電源切れてるろか言うし」

 俺はそういわれて携帯を取り出す

「あっ」
「切れてますね」

 隣で覗き込む聖がそういう
 俺も知らなかったな……

「お前のそういうの悪い癖だぞ……全く
 でだ、分かったな」
「ああ……赤星、ミスター女装コンテスト見に行くから……
 それと昼の3時だよな?」
「ああ……ミスコンの後すぐだから、俺は女装の化粧落とせないからな」
「笑ったら許してくれ」
「後で一本付き合え、それで許してやるよ」
「サンキュ」

 こいつのこういう部分は本当に好ましいと思う
 それに、コイツも笑いながらだ……純粋に文化祭を楽しんでるんだろう

「高町の彼女たちも楽しんでいってください……でわ」

 赤星はそういうと走っていく
 多分部活関係で忙しいんだろう……大変だな

「赤星さんって好青年って感じですね」
「だね……うん、柏木より十二分に話し易い」
「いい人そうです」
「まぁ、いい奴だから……」

 俺はそういって歩き出す

「今日はどうしますか? 色々とありますけど」
「じゃあ、此処は?」

 パンフレットを入り口で貰い、俺は案内をしていく
 といっても今日は二日目とあって、知ってる部分も多く歩いていく
 クラスの方によると、忍も沙絵さんも赤星も居なくて、静かに営業している

「静かだな」
「騒がしいのが居ないからね……今は赤星くんと高町くんを探して奔走してるし
 あ、私達は売ったりしないから……だって、高町くん剣道部のお手伝いと案内で大変だもんね」
「ありがとう」
「いいのいいの……(この笑顔だけで幸せものだよ〜)」

 何か視線を感じて見ると、何故か志摩子たちがジュースを飲んでいた
 というか、買ったのか?

「あ、高町くん、皆にジュース奢ったけど良いよね?」
「ああ俺は良いが、良かったのか?」
「まぁ、私達のポケットマネーみたいなものだし、それに
 昨日さ、落としたでしょう……あの綴りになっている文化祭で使える食券」
「ああ……そういえば、今朝方みたら無かったな」
「それでね……私達が使っちゃったから」
「それくらいなら良いのに」
「いいのいいの……だから、謝る意味も込めてだよ
 探してたんだけど見つからなかったし」
「悪かった」
「気にしないで……じゃあ、はい、高町くん」

 そういってブラックコーヒーを投げ渡される
 俺はそれを受け取ると、ありがとうと言葉をかけて一口飲む
 ここまで来るのに歩いてたからな……
 皆もそれぞれで飲み終えたみたいだ
 俺も飲み終わったし丁度良いだろう

「よし、行くか」

 そういって、周りたいところを片っ端から行く
 百合劇場なる演劇部の演目(単に女性だけで構成された物語)や似顔絵を書いてくれる美術部
 他にも色々と回っていく……

「そういえば、桃子さんの所は手伝わなくてもいいのかしら?」
「ああ、そこらは大丈夫だ……何かあれば携帯に……」
「電源切れてるから連絡が無いから無理じゃないでしょうか……」

 志摩子がそういって俺の携帯を指差す
 なんていうか、俺もそれを思い出して、どういっていいか悩む
 だ、大丈夫だろう……充電忘れくらいで怒るとも思えないし、今回は目を瞑ってもらおう
 それに……俺は……

「行こうか……」
「何処に?」
「そうだな……科学部とか結構面白いと思うのだが」
「でも、そろそろ恭ちゃんの剣舞じゃないの?」
「そうだった……赤星も剣舞あるしな
 じゃあ、そこで待っていてもらう結果になるけど、良いかな?」
「もちろん」
「かっこいいの期待してるよ」
「頑張ってください」

 それぞれに声を貰い、俺たちは歩き出す
 周りからの視線もあるが、それは彼女たちが綺麗だからだろう……





 剣道場に到着すると、俺は赤星を探すが居ない

「高町先輩、今回はありがとうございます」
「確か副主将の……」
「はい……赤星先輩は今体育館の方で女装コンテストがあるとかどうとかで出払ってますが」
「そうか……じゃあ、俺もそっちに顔を出してくる
 自分のクラスのことだし」
「はい」

 俺は目配せをして、出ると体育館の方へと足を運ぶ

「凄い人だな」
「本当ね……恭也、私達手を繋いでも良いかしら?」
「ああ、それは構わないが、どうかしたのか?」
「迷子になったら困るでしょう」
「そうだな」

 そういって、お互いに手を取り合う
 皆で1つの列になるような感じで、椅子に座れるが俺達はステージの近くまで行く
 まぁ、ステージの袖まで行くつもりなんだが……結構込んでるようだ
 此処だな……俺達はそのまま入る
 クラスメートだし問題は無いだろう

「忍、順調か?」
「あ、恭也……まぁまぁだよ
 恭也も女装してくれるの?」
「まさか……それに、俺は次の剣舞の方で忙しいから」
「嘘言わない……そうそう、桃子さんが携帯繋がらなくて愚痴ってたよ
 何か松尾さんから怒られたみたい」
「ああ、それくらいは気にしないでいい」

 どうせ、充電してなくて繋がらなかっただけだろうし

「私はこの後あるんだけど……なんで恭也だけフリーなのかしら?」
「秘密だ」

 俺はそういってもう1つの方へと歩いていく
 男同士だし、気にしないだろう
 祥子たちの手を離す……俺が目で言うと、手を軽く振っている
 横に振るので、多分後でという意味合いだろう
 ん〜、忍は濃いから大丈夫だろうか? まぁ、心配だが、多分大丈夫だろう

「じゃあ、すぐに戻ってくる」

 そういって、俺はそのまま反対側まで行くと、そこは女装の男連中だった
 俺を見て、睨んでいく……あ、赤星発見

「よっ、赤星」
「た、高町ーーーーーーーーーー!!!!」
「どうかしたのか?」
「お前、此処にきて大丈夫なのか? それに女装は?」
「いや、此処に来ること事態は問題無いだろう……
 女装は免除だ……一応剣舞だって本来はダメって言われるのを黙ってるだけだからな」
「くっ、なんて羨ましい……」
「ふむ……赤星、似合ってるぞ」

 赤星が憮然とした表情を浮かべ、顔を赤くすると怒りの形相をする
 恐いというより、危ない人みたいだな……
 しかも、女装してるし……藤代さんが後ろでニコリと笑っている

「はぁい、赤星君化粧とかつらつけるから動かないでね〜」
「うが〜〜〜、藤代離せ〜〜〜〜〜〜!!
 俺は剣道部の主将だったものとして剣舞もしないといけないんだ〜〜〜」
「大丈夫よ、副部長だった人と私とでサポートには回ってるし
 高町くんも着替えてもらうから……ちなみに化粧落としたら
 剣道部生き地獄の刑だからね」
「鬼、悪魔、人でなし、ろくでなし、彼氏に振られてしまえ!!」

 赤星は考えうる言葉を言ってる様だが
 ふ、藤代さんの顔がとても恐いものになっている
 というか、その左手に持っている木刀は何でしょうか?
 ちきっという音が立ちそうなほど首筋に木刀を当てる

「首を飛ばしたくなかったら言う事聞きなさい……
 それとも、彼女にあることないこと話そうか? あ・か・ほ・し・く〜ん」
「すみませんすみません……謝るから許してくれ」
「じゃあ、先ほどの言葉は撤回してくれるわよね」
「はい、もちろんです」

 赤星も女性には弱いな
 俺もだから、何も言わずに眺めてる
 藤代が俺に微笑みを浮かべる
 どうかしたのだろうか?

「高町くん、かつらかぶせてあげてくれない?
 ほら、着物でかつらが無いと辛いでしょう」
「そうだな……これで良いのか?」

 赤星の女装は着物なのだ……白塗りの顔にして、化粧をしていくと女性の顔になっていく
 何ていうか、男の顔が綺麗というのもおかしな話だが……

「このあたりか?」
「そうね……」

 そして、かつらをつける……島田髷だ
 簡単に言うと、江戸時代にしていた髪型を真似たかつらだ……
 それはそれで凄いな……
 赤星の髪の毛を結い上げてタオルで巻いて、かつらをする
 それで誤魔化すのだから、女性は偉大だ
 多分タオルとかじゃなくて、手ぬぐいだな……薄地で纏めるのに使いやすいからな
 剣道部では必須アイテムの1つだし

「高町くんがつけてると、花嫁さんに花婿さんがつけてるみたいね」
「藤代さん、それは可笑しいだろう」
「まぁね」

 笑いながら言う俺達に赤星はすでに言葉も出ないようだ

「言葉も出ないくらいに嬉しいのか……良かったな、藤代さん」
「ええ」
「じゃあ、俺はあっちに戻るわ……頑張ってくれ」
「高町、お前、後で覚えてろよ」
「剣舞に出るだけ感謝しろ」
「ちきしょ〜」
「赤星くん、頑張って」
「藤代は助けるって言葉が無いのか?」
「無いわ」

 即答だった……

「私は引っ掻き回すほうが好きだし、日本の女性の感じを表すのに、赤星くんは妥当だったのよ
 ほら、今日は楽しみね〜、お父さんやお母さんも来るだろうし
 息子の晴れ舞台よ〜、色々な意味で〜」

 すでに藤代は大暴走を開始したようだ
 沙絵も終わって、楽しそうだ……
 俺はステージの端を渡って、戻ると……忍が何やら話をしている

「え、じゃあ、恭也が傍に居て欲しいって言ったの?」
「ええ、確かにアプローチを仕掛けたのは私達だけど、恭也もそれについては
 ちゃんと許容してくれましたよ」
「多分だけどね、私達は忍さんたちより近くに居ないから……
 恭ちゃんにとっては近くに居て欲しい人なんだと思うよ
 距離が近いから、遠ざけて、距離が遠いから、近づける……相反する二つの心だと思う
 でも、それも恭ちゃんの魅力だと思ってるし……
 それに、そんな恭ちゃんを私は愛してる」

 聖たちの声が聞こえる
 しかし、当事者を抜きにしてそういう会話はどうかと思うのだが……
 しかも、恥ずかしい……「お〜」とか色々な声が聞こえる

「じゃあ、5人とも恭也が好きだと言う事?」
「ん〜、どうだろうね……何ていうか、愛してるに近いんだよね」
「そうね……だから、恭也を好きだというより、傍に居ないと寂しいし悲しいし不安だし
 私にとっては『愛してる』と思っている」

 忍が口をぱくぱくしていると、俺に気づいたのか、数名の女の人がどいていって列になる
 そして、それに先に気づいたのは志摩子だった
 祥子も気づいて、俺を見て顔を赤くする
 先ほどの話が聞こえたのではないかという思いからだろうか?

「恭兄様」
「恭ちゃん!?」
「えっ」

 みんなの顔が真っ赤になる……特に告白をしていた聖、江利子、蓉子、志摩子、祥子は真っ赤だ
 何ていうか、俺も頬が熱いが、それは仕方ないのかもしれない

「で、恭也、感想は?」
「まぁ、ありがたいというか、何と言うか……その返事は後でといってある
 今の所5人に絞ったと言うよりは、彼女たち意外というのを考えてない」

 俺はそういうと、そのまま出ようと仕切りの所に行く

「じゃあ、俺達は外で見ているから……頑張れ」
「ひど〜……恭也、いい笑顔になったよね」
「そうか?」
「雰囲気が丸くなってるよ……じゃあ、ごめんね、変なこと聞いて」
「いえ……お互い大変でしょうし」
「ありがとうね」

 忍は少しだけ目を閉じて、頭を下げる
 あ、そうするとどこぞのご令嬢に見える……
 一応本当のお嬢様なのだがな
 袖を出て、前の方は立ち見になるが、そこらに立つ
 全員たって見るのは変わらないみたいだ……

「そろそろかな」

 俺がそういうとライトが消えて、女性の声で紹介が起こる

『やってまいりました〜〜、男性は驚いて見せて、女性は新たな彼氏の発見だ〜〜〜!!』

 そして、あおりの言葉が続き、司会が現れて始まる
 流石に女装したいという人は少ないのか、ほとんどが捕獲(勝手に捕まえてきた)してきた人たちだ
 何げにうちのクラスは全員じゃなかったみたいだ
 まぁ、今回の目玉は赤星だろう……多分

『では、さっさと進ませましょう〜〜〜、エントリーナンバー1
 野球部ではとても目立つエース今年の夏はかなりの期待の中、投手として頑張った
 3年 中川くんだ〜〜〜〜〜!!』

 そして、姿を見せる男……ちなみに男だ
 聖が爆笑をこらえている
 ちなみに俺も笑ってしまいそうだ
 色黒にやけた部分を隠さずに、シャツとスカート、そして化粧とロングヘアとしているが
 やはり無理があるのだろう……ところどころに男と分かるそれがある
 つかみというわけだろう

『続いて……』

 そして、きゃ〜という声と共に、次々と現れていく男たち(女装してる)
 ゲーというのもあるようだが、それでも、面白いな……

『さて、今年の目玉はこちら!! 剣道部、今年夏の大会個人でおしくも2位
 団体では全国ベスト4に残る元部長!! 赤星くんだーーーーーー!!!!!!!』

 そして現れる赤星
 感嘆の声が漏れる……ところどころで綺麗などという声も漏れている
 赤星、良かったな……これから騒がれるぞ
 何せ女装の似合う男だし……これで、ミスター女装コンテストを終了という事が言われ
 赤星はこのまま準備に入る……着物でお互いに剣舞をするのだ
 俺の服を掴んでいる江利子や聖、蓉子の力が強くなる
 そして、この次に剣舞をするという放送が流れる
 俺は彼女たちには此方にということで袖に入ってもらう
 本来はいけないのかもしれないが、剣道部の面々も気にしてないようだ
 手伝うとか言い出したが、今回は真剣を使うので却下してもらっている

「赤星、目がマジなんだが……」
「ああ、俺はマジだよ……高町、お前を倒す!」
「その格好だと何を言っても難しいな」

 俺がそういうと赤星は苦虫を潰した顔になる
 大変だな……

「ちくしょ〜、藤代が凄く簡単に頷いたんだから裏があると思ったが
 こんなに酷いことだとは……」
「赤星、彼女も見直してくれてるって」
「絶対にありえないことを言うな!!」
「分からないんだから……それに、見てくれだけで好きな彼女ならお前は
 彼女としてないだろうが」

 俺はそういって赤星を見ると、真剣を取る
 といっても、少し長めの長刀
 赤星は日本刀だ……くっ、少し重たいが、折れそうだな
 どこから持ってきたのやら……

「一応気をつける点だけ確認してね」

 藤代さんは真面目な顔をするとそういう

「流石に流血沙汰は勘弁だよ」
「了解」
「分かってる」

 それは、お互いに力も分かってるし、それぞれの分相応な力のかけ方で変わるだろう
 俺は、もう1つ小太刀を渡される

「多分長刀は折れると思うから……戦うのこっちも必要でしょう
 美由希ちゃんが二つ届けてくれたの
 兄のだからって」
「サンキュ……」
「お礼なら美由希ちゃんにね……さ、そろそろ開幕よ!!」

 そして、藤代の合図と共に緊張が最大限まで膨れ上がる
 祥子や志摩子、蓉子、江利子、聖はそれぞれ緊張の面持ちで此方を見ている
 俺は大丈夫だからと言う風に手を振ると歩き出す
 ステージの幕が横に切られ、俺と赤星が両方の刀を前に出す

「武蔵坊弁慶……覚悟!!」

 後ろには橋の絵がある
 それだけの無骨なようなステージ
 でも、俺と赤星は剣を一度合わせる
 お互いにお面をしている……赤星は流麗な綺麗な人のお面
 俺は少し恐い感じのする人のお面
 どちらも能に使われるお面だ
 俺が最初の一刀で赤星の面を取り、二刀目は赤星の方が早く
 俺のお面が飛ぶ……

「わっ」
「凄い……きれ〜」
「赤星先輩、綺麗」
「かっこいい〜」

 何ていうか、赤星、頑張れ
 少しだけ立ち止まり、だんと音が鳴る
 それが、踏み込みの音だとわかると俺は右側に避けていた
 から竹割りの要領で俺を真っ二つにしようとする攻撃だ
 キーンという音が何合いが続くと、俺の刀はパキンという音がなり折れる
 流石に馬鹿力に対応できるほどじゃないか……
 俺は小太刀を引き抜くと、さっと構える
 片方だけを……もう片方は折れた長刀

「それで勝てると思うのか?」
「牛若丸よ……過去はおぬしが勝利を収めた
 ただ此処は戦国じゃない」

 俺はそういって一度奥に居る祥子たちに目をやり
 赤星へと走り込む

「血に溺れよ……我進む道に一縷の幸せがあれば、周囲を不幸にせんと……
 そのための努力、怠るつもりはない」
「抜かせ!! お主のせいでどれだけの犠牲があったと思う?
 お主の横暴が……」
「それこそ、お主たちの思い上がり……我は、血にまみれても尚、守れて嬉しき者
 そちが何を思おうとも……我は立ち上がり、勝利を収める
 それが死を分かつとも相手を思うと誓った」
「そんな主が羨ましくもあり、ねたましくもある……」

 そして、俺と赤星は切り結んだまま一度離れる
 赤星の呼吸は上がっている……俺も少し上がってきている
 赤星は動きにくい着物な上にということだろう
 これで終わりという旨を伝え、俺は一気に加速して斬る
 といっても、着物のたるみ部分だと思う

「我が真剣の前に敵なし……」
「負けか」

 はらりと着物の裾部分が落ち、腕の部分も垂れ下がる
 何度斬られたという思いすらなかったと思う
 先ほどのが閃だと思う……俺もいつのまにか出来るとは思わなかった
 ただ、これから先できるとは思わないが
 斬るも斬らぬも自由の閃……俺は一瞬赤星を傷つけたかと思うほどの速さで斬れた気がした
 そして、終わりを告げ、俺達はお辞儀をして、そのままお互いの控え室に行く
 これで体育館の使用は居ないので、このままだ
 彼女たちは心配そうに俺を見ている

「恭ちゃん、体大丈夫なの?」
「ああ……ところで、どうかしたのか?」
「いや、真剣でしてるから凄いなぁって」
「私も、令で見てたことはあったけど、あれだけ激しいのは初めてよ」

 そして、それぞれ感想を聞いて、外に出ようとすると藤代に止められた

「高町くん、ありがとう……それと、あの台詞ってどういう意味なの?
 なんか、赤星くんは応えてくれないのだけど」
「あれは、クラスのことと俺の事情を少々物語り調に話しただけだ」
「えっ」

 藤代さんは不思議そうに俺を見て一言漏らす

「ま、まさか……」
「ああ、そうだ……あれは、女装したことに関する苛立ちを俺にぶつけてたんだよ
 今ごろは彼女とらぶらぶしてるだろう」
「う〜ん、今その彼女が来てるから……だからこっちに来たんだけどね」
「そうか」

 そして、それぞれに少し話し、今日はこの後終わればファイアストームを囲んでダンスがあり
 片付けは明日だからと言うと、彼女たちも出来るだけ残ると言った
 それはそれで嬉しいことこの上ない

「で、この後私達は踊って終わりで駅までになるけど、いいのかな?」
「ああ」

 と、俺は携帯が動いてない事に再度危ないかもとか思い始める
 何ていうか、恐い考えがあり、それにしたがって考えるなら……
 やはり、そこはそれ……融さんたちが何か企んでるのではと邪推してしまうのだ
 と、祥子が携帯を片手に何か話している……どうかしたのだろうか?

「恭兄様……お父様から電話です」
「ん、ありがとう」
「よく分からないのですけど……代わってくれと」
「了解」

 そして、俺は電話を受け取ると声をかけようとする

『恭也くん、携帯の電源切ってるってどう言う事だよ!? 危うく間違えたかとか思ったじゃないか」
「すみません、忙しくて充電が間に合わなかったんです」
『だ〜、今度お義父さんが買ってあげるから、ちゃんと使うんだよ』
「はい? お義父さん? 買ってあげる?」
『ああ、恭也くんをね正式に小笠原の者として使うためにちょっと弄らせてもらったから』
「なんばしよっとですか!?」

 俺は周りを気にすることなく、声を荒げた

『一応、親権は桃子さんだから安心していいよ……もちろん姓も変わってない
 ただね、そのままだと周りが煩いから、黙らすために高町恭也は小笠原会長、社長のお気に入りと
 そう言っただけだよ』

 それはすでに大事じゃないだろうか?
 何気に大企業の会長と社長に気に入られるなんて事はないと
 ティオレさん以外、そんな酔狂な相手は現れないだろうと思ってたのに

『そうそう、黙ってるところ悪いけど、推薦者はティオレ・クリステラと
 アルバート・クリステラだから……僕は何にもしてないからね
 最近悪寒走るから恭也くんの悪巧みかと思ったよ……んじゃあ、お姫様方を宜しくね
 そうそう、一応、お気に入りということで多少の特権
 まぁ、愛人とか恋人とかじゃかじゃか作っても多少は何とかなるから
 僕も二号さん居るし……というわけで、よろしくね〜
 忙しいから、またね〜』

 ぷつっと切れる携帯
 俺は片手に持ったまま、どう応えていいか悩んでいた
 多分かあさんはこのことを知っていた……
 そして、俺が高校を卒業したら東京に出ることも
 この5人の中の誰かを選ぶかということも
 そして……俺は……もう選ぶ人を決めているということも

「とりあえず、帰りがどうなるか分からないので、もう一度れんら……」

 メールが届いた
 祥子に確認を取ってメールを見ると

『祥子へ
 恭也くんに伝言を頼む
 「今日は送ってもらいたいから、電車でも車でも自由に使ってくれ」
 という事で……それと、先ほどの電話は恭也くんを
 小笠原の知り合いじゃなく、本当の家族同然にしたんだよ
 結婚とかじゃなく、お気に入りと言ったんだ
 この意味で分かるよね? でわ、夜会えたら……融』

 祥子は意味がわかったのか、少しだけ嬉しげだ
 蓉子も聞いてるのか、分かってるみたいだ
 江利子と聖と志摩子が不思議そうな顔をして此方を見る
 俺は……

「まぁ、小笠原会長のお気に入りになっただけなんで、対して違いは無いですよ」
「愛人を設けても問題なしというくらいですか……
 言うなれば重婚は出来ませんけど、一緒に居るのは良いよって意味ですね」
「へ〜……祥子怒ってる?」
「いえ……どこか心でほっとしてます」

 祥子はそういって微笑む
 何ていうか、皆それぞれに抱えてるものがあるからな
 しかし、俺が悪いことをしたみたいだ

「じゃあ、踊ろう……これから」

 言葉そのままに炎の周りでそれぞれがカップルなどで踊る
 フォークダンスが基本でくるくるまわるようなのから、クラシックダンスをしてるのもいる
 ちなみに、俺たちは2人1組のクラシックダンスを選ぶのだった










 つづく









 あとがき
 夜の校舎で何かが起こる!!?
 シオン「?って何よ?」
 ?だ
 ゆうひ「……考えてないだけ(ぽそっと)」
 ぐはっ(遊び人の心に30000のダメージ)
 シオン「残りどれくらいあるのよ……(遊び人のポイントは残り20しかない)」
 何で、3万飛んで20なんだよ?
 ゆうひ「さぁ……で、あんたは次でラストにするつもりなの?」
 いや、多分後二つほど続くかもしれないかなぁなんて考えてるけど
 シオン「実際は?」
 多分、ひとつで終了できるはずだから頑張る
 ゆうひ「全部20kずつで今が19……」
 もうすぐで400kの大台だな……なんでこんなに書けてるんだ!?
 シオン「自分でいわないでよ……ノリと勢いだけの人間の癖に」
 放っておいて……でも、よくかけたな〜
 ゆうひ「あの、感慨に浸るのは最後までかけてからにしてよ」
 いや、それで、そこらの武器武装、使役獣スラりんと八雲勢ぞろいなのはなぜ?
 シオン「お仕置き?」
 え?
 ゆうひ「だって、コレ書いてると他の書かないじゃない」
 いや、疲れるし……
 シオン「確定ね」
 ぐはっ(遊び人の心に2のダメージ)
 ゆうひ「でわ、また〜……多分、次か次の次でこれラストだよ」
 そういうことですので、ほなね〜(^^)ノシ



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