『三日月の表情5』









〜蛍視点〜

「予想以上に早い攻撃だったわ」
「ん、龍の対応か」
「うん」
「ああ、違う違う……俺は独断」

 ……独断?

「士郎くんどう言う事?」
「いや、だって、リアが捕まったなんて聞いたら、居ても立っても居られなくて
 俺に伝言する奴ぶち倒して、警防隊の前に放置して
 その後、すぐに此処まで飛んできたんだ……で、見つけたと思ったら、男と話してるから
 それに、あそこは見た事があるからな」

 なるほど〜、と言う事は

「まだ、龍にはばれてないぞ」
「驚きだわ……てっきり士郎くんが私を殺しに来たのかと思ったのに
 わざわざ来たのが独断って」
「当たり前だろう……リアのためなら、俺は……」
「後、そのリアって止めてよ」
「じゃあ、蛍で良いか?」
「うん」

 ニコリと微笑む士郎くん
 やっぱり、彼も普通にしてたらかっこいいのになぁ
 何で、こう裏の世界に居続けたのかも分からない部分が

「でも、良かった……蛍が生きていて」
「え?」
「だって、お前が死んだと報告が流れてたし
 でも、噂では男と会っていたとか、生きてるとかで、もう本当に心配だったんだぞ」
「えっと……」

 きゅっと抱きしめられる……士郎くんの心は本当に優しいと思う
 多分、それは恭也と同じで皆へと向けられるものだと思うけど
 それでも、優しい心は嬉しいものだ

「そういえば、蛍は秘密がたくさんあるね」
「美沙斗さ〜ん、私はオープンな子だよ〜」
「士郎兄さんの事黙ってたし」
「だって、士郎くんは士郎くんだよ……確かに遺伝子も記憶も一緒でも
 違う場所を歩めば、その人と一緒とは限らないから……それに、美沙斗さんは」
「ごめん、言い方が悪かった
 今度から、教えてもらえるなら教えて欲しいなと」
「はい」
「兄さんもね」
「へいへい……相変わらず美沙斗は細かい」
「兄さんがズボラなだけです!!」

 なんか、時代が変わっても、士郎くんは士郎くんって感じだね
 いや、まぁ、若いっていうか何と言うか

「なぁ、すっごく言いたかったこと言っても良いか?」
「何?」
「美由希さ、美沙斗より年上に見えるのは気のせいか?」

 美沙斗さんが美由希さんを見る
 言葉の刃は果てしなく相手を傷つけてる……私はすぐさまなのはちゃんと捕まえると

「なのはちゃん、止めたら駄目よ」
「でも、お姉ちゃんの気にしてる事だし」
「そういうということは、なのはちゃんもそう思ってる?」
「いえいえ、なのははそんな事思ってませんよ」

 そうは言いつつも、頬に汗
 可愛い

「あらら、美由希も言われてるわね〜」
「まぁ、でも、事実かな」
「確かに美沙斗さんは若々しいですから」
「そやね」
「でも、美由希の表情ないのだけど」
「それよりも、問題は士郎さんさ、恭也さんの服をきっちりと掴んで離してないみたいなんだけど」

 ……あら、本当
 恭也も逃げようと思ってるみたいね

「でも、恭也もそう思ったわけね」
「な、そ、そんな訳ないだろうが……庭弄りが趣味でおばさんくさいとか
 美沙斗さんより、年上っぽく見えるな〜なんて少ししか思ったことは無いぞ」
「少しは思ったんだ……士郎父さんにも言われるなんてね
 ふふふっ、今宵の龍鱗は血に飢えてるみたいだわ」

 あらら、これはこれで危ない気がするわ

「美由希、落ち着け……しかも、そんな事で小太刀を取り出すな」
「恭ちゃん、安心して……二人ともに攻撃するから」
「どっちにしろ、攻撃か?」
「だな」

 士郎くんと恭也の二人が頷いて、相手を見る

「たとえ妹でも、負けん」
「元、娘でも負けない!!」
「私を愚弄した愚者に、天誅と天罰を……」

 私から見たら、怒ったよ、あんた斬りますみたいに見えるけど
 まぁ、女性からしたら、若さというのもあれなのかもね

「兄さん、はっきり言いすぎだよ……」

 美沙斗さんが小さく呟きながらも、少し嬉しそう
 娘に勝てて嬉しいのですか? 美沙斗さん

「表に出なさい」
「良いだろう、愚妹」
「ま、良いか」

 そして、3人が居なくなった……まぁ、私はもう良いわ
 疲れた

「止めないの?」
「なのはちゃんは止めたほうが良いと思う」
「どっちもどっちだから……お姉ちゃんのこと否定出来なかったし」
「だよね〜、私もなんだ」
「え、じゃあ、蛍ちゃんも美由希の方が年上に見えたと?」
「おばさんっぽくですね……」

 周りが沈黙
 外では、戦闘真っ只中……剣撃の音やら、気合の声、裂帛の声が聞えてる
 元気なことだ……まぁ、いい具合の戦闘力の試しあいってのもあるだろうし

「元気ね〜」
「そうですね」
「で、蛍ちゃんは誰が好きなのかしら〜」
「も、桃子さ〜ん、何を言ってるんですか〜」
「あら、だって、気になるんだもの」

 ……気になるからって私に聞かなくても

「そうね、それは気になるわ」
「第一、私なんかを好きになってくれる人なんて居ませんよ」
「……ああも、露骨に受けて、この答え……」
「士郎くんもかわいそうにね」

 なんで、哀れみがあるんですか?
 いえ、私がどうこう言っても仕方ないですけど

「何ですか、それ……私が凄くお馬鹿さんみたいじゃないですか?」
「……馬鹿とは言わないけど……それでも、かわいそうだなぁって」
「そうね」
「報われない恋って大変ですね」

 ……なんだか、私が凄くかわいそうに思えてきた

「なのはちゃ〜ん、皆が苛めるよ〜」

 なのはちゃんに抱きつくと、なのはちゃんはため息をつきつつ

「蛍お姉ちゃん、もう少しさ、周りの男性の思いを考えてあげた方が良いよ」
「…………」

 なのはちゃんがため息つきつつ言う

「それは、恭也だよ〜、あの鈍感、周りの人たちの思いをあれだけ、無駄にしてるんだよ
 私はそっちの方が無残な気がするよ」
「……どっちもどっちだよ」
「……なのはちゃん、私のこと嫌い?」
「嫌いじゃないけど、でも、真実だと思うよ」

 なのはちゃんにまで言われたら、私はしばらく放心しちゃうよ
 ううっ、私はあそこまで鈍くないよ〜

「多分、お兄ちゃんも同じ事言うだろうけど、私や他のお姉ちゃんたちからしたら
 お兄ちゃんや蛍お姉ちゃんって無茶苦茶鈍感で激鈍さんだよ」

 ……私の体に電撃が流された
 これでも、心読めるし、平気だと思った人にしか近づかないのに
 激鈍さんとまで言われるのか……そんな……
 周りの人たちもうなずいてるし
 元気な声が、ちょっと遠のいて聞えるよ……

「ううっ、私そこまで鈍くないもん」
「でも、蛍さんは鈍すぎですよ」
「そうだね……士郎さん報われないね」

 何で周りもうなずいてるの

「同じ女性として言わせて貰えば、もう少し士郎さんや恭也さんを男性として意識した方が良いかと」
「意識って、だって、二人とも私を家族みたいとか妹みたいしか思ってないし」
「……そこで読み違いが起きてる?」
「多分」
「蛍」
「はい?」

 ティオレさんに呼ばれ振り向くと

「あなたは、すっごい魅力溢れる子なの」
「そんな、ティオレさん、嘘ついても駄目ですよ〜」
「……あのね〜」

 ティオレさんがため息つきつつ、困ったように言う
 でもね、私がそんな人だったなら、私はこんな道選んでないような気がする

「可愛い容姿とそれとは違うギャップのある姿だと思うのだけど」
「そんな、ティオレさんの方が凄いと思いますよ〜」
「ありがとう」

 ……無理って言うように手を横に振る
 首も同時に振ってるし……私が悪いの?

「まぁ、でも、これはこれで、恭也の女性版だね」
「鈍感な所引き継いでるのは確かだけど」

 それはそれで傷つきます……というよりも、何でそんなドキッパリ言うのですか?
 私は何か悪いことしましたか……って、襲ったし駄目か

「恭也の鈍感な所を女性で見るとこうなるんだね」
「フィアッセさんたちの苦労はわかりますけど、私は恭也ほど酷くないです!!
 女性の心を知ろうともしないで」
「それを蛍にだけは言われたくない」
「そうだな」

 何故か分かり合ったのか、仲良くなって戻ってくる恭也と士郎くん
 美由希さんは意識を失っていた
 どさって、そのまま廊下に放置

「士郎くん、恭也、お帰り」
「ああ、ただいま」
「おう、ただいま……とりあえず、分かったことは、お互いに蛍が鈍感であるという事が分かったぞ」

 士郎くんに一発ハリセンで叩いておいた

「恭也の方が鈍感よ、少し鈍感なのは認めるけど」
「んじゃあ、俺の愛を受け入れてくれ」
「それとこれとは話が別だし」

 士郎くんの言う事は放置して……

「それで、お前らは何の話をしてるんだ?」
「恭也と蛍が似てるって話よ……どっちもどっちで似てるのだもの」
「似てませんって……」
「……似てないぞ、俺は此処まで酷くない」
「それは私の言葉よ! 恭也の方が遙に酷いんだよ
 こんなの女性誑かせて、鈍感朴念仁エロエロキングだし」
「勝手に人のあだ名を作るな!!」
「間違ってないわよ!!」
「そっちだって、露出の上に、鈍感だし、耳年魔じゃないか!!」
「ふんっ、私は単に知識的に手に入れてるに過ぎないもの」
「それでも、耳年魔は変わらないぞ」
「そっちのより遙にマシよ……本当に枯れてるんじゃないの?」
「はっ、そんな事言うから、更に耳年魔だな」
「この、枯渇鈍感朴念仁エロエロキング」
「勝手に王様にするな!!」
「何よ、エロキン」
「なんだと、この耳年魔」
「ふぅ〜」
「ふか〜」

 お互いに猫のような掛け声をする

「士郎くんも苦労してるのね〜」
「分かってくれますか?」
「ええ、分からないでも無いわ」
「ですよね」

 ……何ていうか、何でそこで涙ぐんでるの、士郎くん
 全ての元凶は私にありみたいな顔して……しかも、他の皆さんも納得してるし
 それ言ったら、こっちの方が極悪だよ

「これなんか、私と違って、幾人もの女性を誑かせて、全く気づいてないんだよ
 私は、ほら、士郎くんのみだと思うし」
「気づいてくれてるのか!?」

 ぱぁ〜と笑顔を浮かべる士郎くん

「え、だから、私を家族みたいに思ってくれてるのは、士郎くんだけでしょ?」
「…………なんだろう、この頬を伝う涙は」
「……頑張って」
「そうだよ、私たちだって親友とか似たようなものだと思われてるんだよ」
「そうそう、頑張れば大丈夫だよ」

 何で励まされてるの?

「ふっ、ほらみろ、お前の方があれじゃないか」
「何馬鹿言ってるのよ……女性からの言葉全て、恭也に向けてよ」
「はっ、それこそ、お前の方が悪女だ
 男の純情踏みにじってるし」
「恭也だって、女の純情踏みにじって、更に押しつぶしてるでしょ!!」
「何を言うか!! 俺がそんな事するわけ無いだろう」
「どうだか……そんな男が一番信用ならないよ」

 私たちが罵り合ってると

「二人とも同類だよ」
「そうだよなぁ」
「よしよし」

 何故か、罵り合ってる私たちと、ダウナー系の恋する乙女たちと士郎くん
 そして、慰めてるティオレさん、桃子さん、なのはちゃん、アイリーンさんたち
 周りを見て、ふと分かる……

「とりあえず、1つ言わせて……」
「何だ?」
「こんなに思われてるのに気づかないのは如何かと思うよ」
「それはこっちの台詞だ!!」

 駄目だ、やっぱり分かってない……この男は駄目駄目だわ

「桃子さん、ティオレさん、ごめんなさい……大きな声出しちゃって」
「いいのよ、それくらい……言い合うくらいの方が嬉しいもの」
「そうね……まぁ、色々と分かったし」

 そう言って、二人とも笑顔で居てくれる
 護るべき人だと思える人……家族だって受け入れられる人
 美沙斗さんは此処の温かさに触れているべきだと言った

「あの、俺も出来たら、その蛍と一緒に居たいから」
「勉強だよ、大丈夫?」
「うっ」

 士郎くんはあまり勉強が好きじゃないみたい
 仕方ないよね……でも、剣術の腕やらは、私より上
 体術に置いては私の方が勝ってても、純粋な戦闘経験では、あっちの方が上

「なら、隠れながらでも護る……」
「いや、そんなお嬢様じゃないんだし……ほら働きながら待ってるとかあるじゃない」
「変な男に連れ去られたりしないでくれよ」
「路地裏連れ込んでぼこるのは?」
「いや、駄目だ……もしも、相手が睡眠ガスとか持ち出して、蛍が変なことになってたら……
 抑えきれる自信が全く無い……」
「じゃあ、ほら、携帯持つし」
「分かった」

 ……これでも、不安なんだろうか
 いや、まぁ、士郎くんは何故か私を本当の妹のように心配してくれるし
 それはそれで嬉しいのだけど……

「兄さん、本当に好きな人だと容赦ないからなぁ」
「……というよりも、俺はそれ以上に問題があるような気がしてならないのですけど」
「恭也も似たようなものだけどね」
「美沙斗さん、それって如何いう」

 何か声が聞えるけど、士郎くんが本当に心配してるのだし、良いか

「新しい携帯買わないと……それに、捨てておかないと」
「海の底で良いなら捨てられるけど」
「じゃあ、その方向で」
「破魔刀は?」
「ああ、あれは、持っていく……俺のモノだし」

 ……士郎くんの小太刀
 破魔『桜』という名の二刀小太刀……
 私は見たことあるけど、凄く綺麗な刀身をしている

「じゃあ、適当にアポートしておくよ、明日にでも」
「ああ、ごめんなぁ、蛍……蛍が俺から離れるのが辛くて」

 また抱きついてきた
 士郎くんは相変わらずだ

「もう、そんな私が一生涯あえないみたいな言い方いやだよ」
「でもな」
「大丈夫だよ……それに、こうして会えたじゃない」
「でもでも、俺たちは何時死んでもおかしく無いし」
「大丈夫だよ、ね」

 抱きしめてくる士郎くんは、私に縋りつくような感じだ
 相手の方が大きいし、私はすっぽりと腕の中という所なのにね……

「父さんのこういう姿だけは見たくなかったな」
「あら、士郎は桃子とこう言う事してたんじゃないの?」
「いや、してたからこそ、見たくなかったんだ」
「……また見せられる者って事だよね、恭ちゃん」
「ああ」

 ……感動してくれても良いじゃない

「ほら、士郎くん、もう一緒に居れるから」
「ごめん、取り乱しちゃったな」
「いいよ……それだけ頼られてるって事だもん」
「勿論だよ……俺がこの世で最も信頼してるんだから」

 嬉しい限りな事だ
 だからこそ、答えないといけないよね……

「じゃあ、士郎くんはどこかでバイト探すの?」
「ええ、明日は買い物とか色々見て回りますけど……ちょっと知り合いの人にも連絡入れてみます」
「知り合い?」
「ええ、まぁ、本当にちょっとしたことですけど、元々こっちで働いてたみたいなので
 護衛術を教える仕事とかないかなぁと」
「うちでのバイトでも良いよ……護身術教えてくれるなら、それはそれで助かるし
 女性局員も多々居るからね」
「本当ですか?」
「まぁ、でも、そんなに儲かるものじゃないけど」
「働かなくてもいいお金くらいはいくらか持ってるので」
「幾ら持ってるんだよ、君らは」

 リスティさんが呆れたように言う
 えっと……

「俺もプラチナカードくらいなら持ってますよ……こっちがアメリカでこっちは日本のデパート
 で、これは、ゴールドですけど」
「いや、それ凄いな……」
「一枚くらい欲しいくらいだよ」
「使えませんよ……これともう1組ないと使えないんですよ
 認証とか色々な物が重なりますし」
「え、もう一枚は?」
「こっちにあるので……渡しませんけど」
「ちっ」

 ん〜

「多分、80兆円くらい?」
「二人合わせてね」
「……兆!!!」

 ん〜

「多分ね……貯金通帳開けたことないし」
「俺も無いな」
「カード一括払いで全て終わってるし」
「だな」
「……君ら買い物は?」
「ほとんどしたことないね」
「無いな〜」
「……何かってそんなについてるの?」
「えっと、私は服とアンティークの時計を」
「俺は、服とかアクセサリーとかだな……後はバックとか小物系統も」

 そういえば、それら各種貰った気が……ごめん、今回の偽装で捨てちゃった

「ごめん、士郎くん、それ、今回の偽装で」
「ああ、知ってるよ……だから、また何時かプレゼントする」
「ありがと、無理しなくていいんだよ、士郎くんだって欲しいものあるだろうし」
「蛍の愛が欲しい」
「えっと」

 真剣な顔してそういうのは如何かと思うな〜

「そう言うのは、愛する人に言わないと駄目だよ」
「……」

 いや、無言で後ろ向いて、何で周りの人に何事か言うの?
 しかも、聞えない声で……
 しかも、ぽんぽんて肩まで叩かれて
 何、私が全て悪いの?

「まぁ、確かにそうだよな……そう言うのは好きな人に言うよな、普通は」
「だよね……」
「まぁ、だが、俺を好きになるような人は居ないだろう」
「またまた〜、私と同じ事いって、本当は気づいてるんじゃないの〜」
「何の事だ?」

 駄目だ、やっぱり通じてない……この朴念仁にはサッパリ全然これっぽっちも通じてません
 ごめんね、皆……私は無力です

「おい、だから何のことなんだ?」
「気にしないで……別に恭也がどんな奴でも私は恭也だって理解してるから」
「俺が犯罪者みたいじゃないか」
「鈍感も一種の犯罪者よね」
「ふっ、それなら、お前も犯罪者じゃないか」
「私は、恭也ほど酷くないわ!」
「ほ〜、どの口がそう言うのかな?」
「この口〜」

 私は自分の口を差して言う……と、恭也が今度は私の口に両手の人さし指を入れて引っ張った

「はにふるほにょ」
「良く伸びるな〜」
「はにゃへ〜〜〜〜」

 腕をパンパンと叩いてると、ゴスっという音がなり、恭也の指が抜ける

「蛍に何をする!! この、鈍感男」
「何を言うか!! 俺は敏感だ……第一、いきなり殴るとは」
「蛍に害成す者全て敵だ」
「……敵って、士郎くん、駄目だよ、喧嘩したら
 仲良くしないと私怒るよ……本気で
 フィン展開して、マジモードで」
「……ごめんなさい、それだけは勘弁してください」
「ふっ、尻に敷かれてるな」

 そう笑ってるけど、恭也は見たこと無いからだよね
 くすっ、何時か怒ったとき、恭也はどうなるかしら……うふふ

「ぞくぞくする」
「あらぁ、風邪かしらね〜、恭也」
「いや、気にしなくて大丈夫だろう……多分」

 そういえば、今日の夕飯は?

「ね、今日のお夕飯は? それに、桃子さんたち仕事は?」
「大丈夫よ……レンちゃんたちがしてくれてるし」
「俺らに任せておけば、話聞きながらでも出来ますさかい」
「そやで〜」

 何ていうか凄いなぁ……
 此処の家の人でまともなのって、なのはちゃんくらい?
 人外魔境の出入り口は玄関で、まともがなのはちゃんだけで、他は全員何かしらの達人クラス
 そして、恐ろしいほどの使い手ばかりってか






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