『朧月の眠り5』















 目が覚めたとき、私は逃げれない状態にあった
 縛られていたから……そして、目の前には御神の剣士4人
 ティオレさん、桃子さん、仁村知佳さん、仁村真雪さん、神咲薫さん
 なのはちゃん、フィアッセさん、リスティさんが居た
 他の人は寝たか、居ないかだろう
 周囲が暗いし

「お姉ちゃん」

 なのはちゃんが心配そうに私を見ている

「大丈夫……と、思う」

 あ、隠れてたけど、フィリスさんも発見

「起きたね……」

 士郎くんも居た……
 目があわせられないので、軽くそらした

「悪いけど、能力制限のためだ……」

 少し薄暗くしてるのは、そのためか……そう言う事なのだろう

「さて、全てを話せ」
「お断りしたはずです」

 真雪さんの言葉に私は間髪入れずに答えた
 黙っていても分かる事……それでも、言いたくないのだ

「お姉ちゃん、そんな言い方したら誰だって言わないと思うよ」
「だがな、知佳……これは重要なことだぞ」
「それでもさ、全てって言っても言いたくないこともあるよ、きっと」
「知佳さん、あなたは、全てを?」
「うん、あなたは私のを見たのね?」

 同じ遺伝子だからこそ、双子だからこそありえること
 配合は同じだから、もしかしたらなんて不思議を掛け合わせたこと
 だからこそ、お互いに同じ位置にある
 そして、お互い同じだから、勝手にお互いの記憶を渡してしまう

「だから、どう言う事だ?」
「蛍さんは……」
「駄目、言ったら駄目、言わないで」

 知佳さんの言葉も止める私……言わないで
 言えば、今までしてきた罪が、彼女のせいだとも思ってしまうほど、知佳さんは優しいから

「私と同じ遺伝子をもつ、コピー……彼女の姿が似てる部分があるのは当たり前
 私と同じだから……そして、力は私と同じリア−フィン
 さっき私が倒れたのは、お互いの力の干渉が起きたからだと思う」

 それでも、記憶の混乱などは起きてない

「蛍さんが言わないでと言った理由は……蛍さんは私が悲しむと分かっていたから止めた
 蛍さん……大丈夫だよ、あなたがたとえどんな子でも、私が受け入れる
 それに、私も聞いちゃった……2人の声」

 ……ピクリと体が震える

「2人の声?」
「恭也くんと士郎くんの声だけどね」

 ……私は、目を閉じて聞くことにした
 もう、何を言っても私は聞いていかないといけないのだ

「2人とも、同じ人を好きになってしまった
 そして、その人は逃げようとしたから全力で止めようとした……」
「まさか、恭ちゃん!!!」

 美由希さんが反応して、恭也を見る

「そう言う事」

 周りは納得している……私は……

「みんなの前で言うのもなんだが、蛍、俺は君が」
「言わないで!! 私は恭也にとって、師匠、それ以下でもそれ以上でもないわ
 士郎くんも同じ……だから、私を惑わせないで」

 そう、これ以上、心がかき乱されたら……私は……

「ま、その辺りは知佳からある程度は聞いておくわ
 でも、話せる部分だけでいいぞ、知佳も」
「じゃあ、私たちもそっちの方向で」

 と、ぞろぞろと部屋を出て行く
 置いていかれる、私と恭也と士郎くん
 どうして、この気まずい面子を……

「恭也、士郎さん、頑張ってね」
「ま、2人なら、何とかなるさ……あ、此処には朝まで誰も入らないから」

 ……え〜〜〜

「じゃあ、頑張って」

 そう言って扉が閉められた
 2人はがさがさと周りを漁りテープレコーダーやらビデオなどを外していく
 何でこれだけも仕込まれてるのやら……

「これは捨てておいて……」

 厳重に袋などに詰めて捨てるって……まぁ、それは当たり前なんだろうけど
 そして、2人の顔が真剣なものへとなる

「蛍、俺たち2人はお前を愛してるんだ……それだけは分かって欲しい」
「駄目なの……私は血で汚れた人だし、裏の人なんだよ
 2人には幸せになってほしいの……私の言いたいことも分かるのでしょう」
「だが、俺ら2人の思いを知っていたんじゃないのか? だから、わざと避けていた
 その話題から……いや、故意に避けるようにしていた」

 士郎くん、何でそんな風に厳しいんだよ
 でも、言わない方が良いんだよ……私は、2人が同じくらい好きだよって
 首を横に振る……言いたくない
 言えば関係は終る……私は最低な人だ

「無理にでも吐かせる」
「それが、一番かもしれない」

 何で、何で割らそうとするの?
 何で、黙っていた方がいいって分からないの?

「蛍が答えないなら、答えるまで、待つというのも手だと思う」
「それだったら」
「でもね、知佳さんの言葉だよ……『言わない、吐かない、蛍さんは優しいから』
 『力の干渉を抑えようとも努力してた』ともな」

 そうだった……あちらに知佳さんが居れば、此方の事情なんて分かりきったも同然
 記憶だけだから、感情まで入っていったわけじゃない

「だから、無理やりにでも聞き出す」
「そうだな」
「尋問は利かないだろう……だから、蛍が最も嫌がる方法を取らせてもらう」
「え!?」

 私の声は、全く無視された
 だからこそ……2人の手が私の服に手が伸びていた……そして、髪の毛にも
 スカートにも、手が伸びていた……嘘でしょ

「言わなかったら、淫猥な事を続ける」
「うそ」
「嘘じゃないさ……しばられてるし、イヤリングさえ気をつければ、俺たちも剣士だし、男だ」

 それは……

「俺は蛍一筋なんだ、蛍意外にしたいと思った人は1人も居ない
 俺が俺として生きてきた中でね」
「士郎まで」
「俺は、蛍を好きなんだ……わからないなら、教えてやる
 体に刻み込ませてやる」
「恭也……そんな、何で……如何して?」

 でも、2人の男に私は泣きじゃくるしかないかのようにあった
 力の制限のために、電気などを消して月明かりのみ
 解放しても、たいした出力は得られないだろう
 電気は絶対つけるなとか言われてるだろうし……
 暗がりの中で奪われる、私の唇……服は、脱がされることが無かった
 顔は抑えられて、舌が私の中を蹂躙する……うぇぇぇぇん

「はぁはぁ」

 離れると呼吸が整えられない……大の男2人に抑えられて、唇奪われて
 ……首を幾度も振るけど、二人とも全然そんなこと気にしなくて
 士郎くんに唇奪われ、そして、恭也に抑えられた……

「んんっ!!」

 吐息まで全て奪うかのように、重ねられる唇
 自分の頭が混乱する……逃げたい……
 舌が舌が……あう〜〜〜〜〜〜、ふぇぇぇぇぇぇぇん……
 離れて、私はそのまま呼吸を整えるために、呼吸を繰り返す
 それがどれだけ無駄なことでも……それでも、読めてしまったから
 2人の思いが……私への感情が……
 知りたくないと思いつつ、知ってはならないと思いつつ、触れてはならない事

「何で、2人とも嫌がる女性をってタイプじゃないでしょう」

 私の問いかけに2人は、少しだけ考えてるのか、それとも単に言葉を選んでるのか
 羽の展開もままならない私には、どちらにしろ、前の男2人が暴漢のようにも見えたりするのだ
 災難とか、そんなことではなく、単なる嫌がらせ……

「蛍がわからずやだからだ」
「大まかにはそうかな……もっと言葉を選ぶなら
 お前が逃げるなら、俺たちは逃がしはしない……捕まえてやるって事だな」
「自由を主張させてもらうわ」

 冷静になれ……言い争っても変わらない
 今の状況から言って、武器の類は全て取り払われてる
 手を動かしても、感触が来ないのだ……針やらナイフやらは全て取られてる

「蛍のは我侭だよ……だから、お前が逃げれないようにする」
「そうだな……お前が最も傷つく方法だが、それが一番ベストだと理解したから」
「何で? どうして、そんな事するの?」
「お前を愛してるからだな」
「同じく……」

 士郎くんと恭也は、私を優しくなで、そして、唇を幾度となく奪っていく
 それがどう言う事か分かっているのだ……
 私へと伝える心……それが伝わればいいのだ
 2人からしたら
 私からしたら、二度としたくないことなのに……逃げたいことなのに
 人の心に触れることは嫌なことなのに……

「もう、辞めてよ……」

 幾度目かに言葉を発する……でも、2人とも全く気にしてない
 キスだけしかしてないからこそ、私は逃げたくなる
 こんなことなら、襲われた方がマシだ……逃げれないなら
 相手に慰み物となって、そのまま捨てられた方が遙にマシだ
 こんな残酷なこと無いよ……心が読める分、相手が何を思ってキスしてくるかが分かる
 それは、相手が近いから……士郎くんと恭也の心がわかるから

「2人とも、いい人なんだし、わたふむ……」

 言おうとした言葉を全て、閉じられる
 私が言っていることなんて全く気にしない
 抑える係りと、キスする係りは毎回交代なのに、キスされる側抑えられる側は全く配慮が無い
 いや、まぁ、如何とも取れないのだけど

「それでも、俺たちの心は変わらない……分かっていてそういうというのは、悪い子だ」
「そんな、違う……私は、ただ」

 そんな事しても、周囲の人が傷つくから
 私は、これ以上、他人を傷付けたくないだけで……私の存在のせいで傷付けたくないだけで
 また、言葉の途中で切られた……
 幾度目になるのだろう……数えたことは無いけど、ファースト、セカンドと奪われていった
 いい子で居たいとかそういうのでもない……ただ、皆が幸せなら
 恭也や士郎くんは大切に思っている人がいるのだから……私はフォローに回るだけでって
 それは伝えたのに……言ったのに

「フォローに回るから、幸せになって……私はフォローに回る方が幸せだから……か?
 そんなもの、俺たちには必要ない……俺たちの幸せが、お前の幸せでもあるんだからな
 だから、お前が考えを変えるまで、幾らだって心を伝えてやるよ」

 ……横に顔を振ろうとしても、通じないかもしれない
 それでも、顔を横に振る……もう、お願いだから……辛いよ
 2人の心が……

「私なんかじゃなくても、もっと綺麗な人も……居るんだよ
 もっと、可愛い人も、綺麗な人も……だから、2人とも、もっと考えたら
 私じゃなくても」
「俺の感性がずれてるからな……俺にとっては、蛍が魅力的なだけだ」
「そう言う事だな……蛍が如何思うか分からないが、俺は蛍を愛してる
 だから、蛍のためなら、なんだってしようって思えるし、お前が幸せから逃げるなら
 俺たちが無理やりにでも幸せを捕まえさせて、飛びたてなくしてやる」

 言葉が私を貫いていく……涙が溢れ、流れ落ちる
 涙は2人の手に零れ落ちる……頬の途中で指で弾かれたから……涙の跡は幾筋も出来てる

「だからってこんなこと」
「誰かに恋したら、他の誰かを傷つける……それすらも分かっていた
 だがな、俺は、蛍に恋した……奪いたいと思った
 今だって、俺たちの心が読めてるのだろう」

 読めてるよ……2人の心が、手にとるように
 ……攻撃はできなくとも、読めてしまうのだ……あまりにも近すぎる位置に居る人の心は

「知佳さんから聞いたからな……
 『もしかしたら、蛍さんは、キスとか体を重ねたら心が伝わるかもしれない
  私に起きたことじゃないから、分からないけど、HGS特有であるらしいから』
 ってな……」
「似てないよ、知佳さんの真似」
「ほっとけ」

 士郎くんは、少し不貞腐れながらも、交代なのか、私を抑える

「2人とも、そんな事しても、私の心は……」
「変わらないか? それとも、変わるかは、これからずっとし続ける」
「え?」
「蛍が逃げる前に、俺たちがお前の心を屈服させたら、良いんだからな
 俺たちは、確かに蛍からの愛を欲しいが、元は、此処に居て欲しいだけだ
 俺たちは単なる礎でしかないんだよ」

 ……なんで……如何して、そこまで……

「蛍が好きだから、居て欲しいんだよ」
「そうだぞ……逃げるなんて許さない
 それに、大学にも行き始めたのに、何をいきなり逃げる?」
「放っておいてよ……私が何処行こうと他人には……」
「そうだな……でも、他人じゃなくなったんじゃないのか?
 だから、逃げようとした……大事な人たちが傷つくのが嫌だから……違うか?」

 士郎くん、変な知識まであるから、もうどうしたら良いのか分からない
 それに、私だって、恭也や士郎くんが、他の誰かを好きになってくれれば、こんなことで逃げようなんて思わなかった
 でも、士郎くんは私を……
 恭也まで私を……心を読めるものとして、これは困った事態なのだ
 士郎くんには、桃子さんを……恭也には、他の誰かを好きになって欲しかったのに
 それなのに、こんなのって……
 それに、ダイレクトに伝わってくる内容が、黒いものから、純粋なもので多種多様で
 頭がパンクしそうで……

「俺たちだって同じだ……それでも、蛍の言い訳を全て信用しても良いと思ってる
 だがな、お前がしてるのは我侭だ……だから、これはお仕置きもかねてるんだ」
「何で、如何して!? 私のことなんて如何でも良いでしょう!!
 私なんて居なかったんだって……オリジナルが居るんだよ!!!!
 私は、所詮紛い物……わかる? オリジナルには適わないし、それを基準にして戦闘思考だけは持ってる
 だからこそ、私は誰にも愛されたら駄目なの!!!
 知佳さんには知佳さんの幸せを、私には私なりの幸せがある
 私なんかを好きになっても不幸にするだけだよ!!!」
「それこそ、今更だ……愛されては駄目といいつつ、愛に飢えていたのは誰だ?」
「そうだな……それに、甘えていたのは何処の誰だ?」

 うっ……涙がにじみ出る
 甘えていたのは、私……母親からの愛は貰っていた
 いや、あったというべきだ……綺麗な思い出がそうだから
 物心つく頃まで育ててもらい、そして、優しく教えられた
 父親は居ないという事も……それがどれだけ辛くとも、頑張ってればいいことがあるとも
 それでも、私は男の人に愛情なんて求めてなかった
 たった2人を除いて……士郎くんと恭也の2人は、父親像にそっくりだったのだ
 母さんが愛した人に……だから、私は……
 キスをされて、されて、されて……心があやふやな感じがする
 それでも、己を確りともててるのは、まだ強固なものが、譲れないものがあるから
 2人がこの先を望んでいても、私は絶対に応えれない

「第一、お前を愛して不幸になるなんて、誰が決めた?
 俺は、蛍を愛して不幸だなんて思ってない」
「俺も同じだぞ……蛍が、そう思うのは勝手だけど……それでも、俺たちは辞めない
 蛍が理解してくれるまで」

 ……なんで……どうしてだよ
 2人には愛してくれてる人が居るでしょう……
 私なんかじゃなくても……
 鋼糸は本来、斬る意外で外す術は無い
 結び目を解くなどという方法はあっても、この状態では無理だ
 もう、嫌なのに……力も使い、尚且つ、この状態で数時間経ったのだろうか?

「蛍が逃げるなら、捕まえてやるさ
 たとえ、お前が、何処に逃げようとも」
「でも、その前に、俺たちの思いを知ってもらう……
 そしたら、逃げる事が出来ない」
「蛍は優しいからな……知佳さんが教えてくれた
 『相手の心をわかってしまえば、逃げ切れない……それが深い思いであるほど』
 そう言って、俺たちに任せたと言ったんだ……あってるだろ?」

 暗がりでも分かる笑顔
 恭也と士郎くんは、うっすらと笑顔を浮かべていた
 私の完敗……いや、勝ち負けとか無いけど、それでも、私は……
 完全に敗北者だ……恭也や士郎くんが居るだけなら勝てたのに
 オリジナルである、仁村知佳が居た……そして、私の境遇を知っている
 強い力を持つからこその共振……お互いの関係
 多分、あちらはあちらで話しているだろう
 私はそのまま体を倒れさせた……途中で士郎くんが受け止めていた

「逃げないか?」
「知ってるくせに」

 もう、立ち去ろうとは思わない
 何も言わずに出て行くなんて出来ないだろう
 2人にはすでに結果が見えていたのだ
 私が心を読み、相手を思いやれるなら、残るということも
 多かれ少なかれの……思い残しがあれば、私が此処に残ってしまうということを

「士郎、とりあえず、これで終了だな」
「まぁな……しかし、お互いにダメージがあったのに、よくしたものだ」
「明日はフィリス先生の地獄のマッサージだ」
「俺もだぞ……足ががくがくだ」
「美沙斗さんや美由希なんかもダメージ残ってましたからね」
「蛍の戦闘力がそれだけ高いって事だろう
 今回は限定されてたけど、蛍があれでもっと非人道的なら、死人が幾人出るやら」
「士郎、それよりも、こっちが終ったって伝えるか」
「ん〜、だが、このまま蛍を見続けるのも」
「変態、エッチ、ロリコン、鈍感、朴念仁、エロ!!」

 とりあえず、並びたてられリだけ並び立てた

「ふっ、なんとでも言うがいい」
「そうだな……じゃあ、このまま唇の周りの唾液もそのまま放置していくか」
「卑怯者〜〜〜〜!! いいもん、あること無いこと言いふらしてやる!!」

 もう、元に戻れてる……

「言ってみろ……俺たちがどれだけ苦労したか、全てを克明に話してやる」

 恭也は、そう言って、にやりと笑う

「それにな、最後の方は女性の顔してたし……あの時はどきっとしたなぁ
 押し倒すかどうか凄く悩んだけど、それはしないって決めてたしな」
「してたら、お互いに斬るって事だからな」

 それはそれで怖いよ……しかも、2人とも容赦ないし
 私へのキスも段々容赦なくなってきたし……舌入れるの当たり前だったし

「奪われたし……貞操の危機だったし
 最初は2人にまわされるかと思ったんだよ!!」
「んなことするか!!! 嫌われたくないのに」
「そうだぞ」
「でも、2人とも、最後の方は不純な心があったし」
「恭也てめ〜」
「士郎てめ〜」

 2人とも同時に小太刀を取り出す
 何処から出したか謎だけど……私が感知できないなんて

「って、襲ってないからいいじゃん」
「そうだな」

 ばれたか……

「とりあえず、このままだと、俺たちが悪いことしたみたいだな」
「そうだな」

 そう言って、ティッシュで私の口周りを乱暴にふき取る
 乱暴っていっても、無茶苦茶乱暴って訳でもないけど

「知佳さん、終りました」

 扉越しって訳じゃないけど、ドアを開けて、少し離れたところで声が聞えた
 多分、ドアからドアまで離れてるのだろう……
 呼んだのは恭也だ
 そして、入ってきたのは、仁村知佳、桃子さん、美沙斗さん、なのはちゃん(眠そう)
 恭也と士郎くんはそのまま居るので大分人数は減ったということになる

「で、思いを寄せられてる感想は?」
「卑怯だよ……そんなの、私は知佳さんほど強くなんて無いのに」
「うふふ、まさか、本当に通じるか如何か不安だったけど
 それでも、何となく分かってたの……嫌いな人の心は読めないだろうけど
 憎からず思ってる人の心なら、近くに居るだけで気になって読んでしまうんじゃないかって」

 それでも、私の力を利用し、相手の心を利用した方法だ
 しかも、効果覿面抜群の方法

「ほとんどのことは皆に話したわ……」
「……ごめんなさい、知佳さんの心を過去を」
「私は怒ってないわよ……だって、蛍さんは努力したじゃない
 私に羽根の展開を止めろって……」
「でも、如何でもいいことなのに、私なんて知らない方が幸せなのに」
「違うわよ……世の中如何でもいいことなら出会わないと思うの
 幸せとかは、その後に自分がどう思って、それを幸せに繋げられるかよ……
 それにね、妹みたいで良いな〜って」

 がばぁって抱きしめられた
 知佳さん、明るいです……心底明るいです
 いや、まぁ、それはそれで大助かりなのだけど……反対方向から小さな手が伸びてきて抱いていた
 誰かは見なくても分かる……なのはちゃん









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