KanonSS







設定……名雪エンドでお願いします
秋子さんは、名雪と祐一の仲を知っています
では、どうぞ








『名雪と祐一の2人だけの時』








 あの時、俺はなんでこうしたのか未だに分からない部分がある
 ただ、あの時、名雪は綺麗で、可愛いと思ったんだ(祐一・愛の日記高校生編)





「って、何で日記なんだ?」
「祐一どうしたの?」
「いや、なんでもない……ちょっと心の中の突っ込みが声に出てしまっただけだ」

 というわけで、今日は秋子さんが夜中まで仕事がかかるということで
 名雪と俺とで料理となったのだ
 俺には料理のスキルが無いので、名雪の料理姿を見るってだけなんだが

「でも、祐一が料理してる姿が見たいなんて言い出した時は驚いたよ〜」

 のんびりと名雪はいう……でも、手はきっちりと動いてる
 鍋をかき混ぜたり、野菜や肉を切ったり

「手早く出来るので悪いけど、シチューにするね」

 名雪はそういったけど、ホワイトソースを最初から作り出す時点で
 やっぱり名雪も秋子さんの娘なんだなと納得してしまった

「クリームシチューってさ、名雪の肌を思い出すな」

 名雪はきゅうにお玉を鍋に落としてしまった

「な、なんてこと言うんだよ!!」
「え? あっ」

 ぽつりともらしてしまった言葉に対して、俺はすぐさま恥かしい大全が出来てる事に気づいた
 いや、大全は出来ないが、恥かしい台詞ではある

「すまん」
「もう、いいよ」
「いや、陸上してるわりにはって思ったんだが」
「外で走るときはちゃんと化粧するもん……そ、それに
 祐一が来てからは頑張ってるもん」

 冬前のまだ晩秋とされる頃……それでも、あったかなシチューは食欲をそそりながら湯気が立つ

「遅刻回数減ったからな……初めて、俺はそんな事で先生に褒められたよ」
「うう〜」

 名雪もそのことではお世話になったという自覚があるのか、イチゴサンデーもたからなくなった
 そのことを聞いたら、意外な答えが返ってきたのだ
 というよりも、俺自身が驚いてしまったのだ

「お母さんが『男性に奢ってと頼むでは無く、奢ってやると言わせて一人前の女性なのですよ』って」

 秋子さんの一言の偉大さ
 名雪の性格を見越して言ったのだろう……意識が戻って言った名雪も名雪だが
 俺はもう少し体調が良くなってからって思ってたが
 名雪が意識戻ってしばらくしてから、言ったそうだ

「祐一、シチューもうすぐ出来るよ」
「そっか」
「お皿出して」
「おう」

 俺の出来る事はお皿を出すくらいだ
 名雪は何時の間にか、もう一品作っている
 ご飯とシチューとサラダ……それと、ベーコンエッグだ

「お肉とかお魚とか、もう少しいるかな?」
「いや……もう3年だし、頭しか使ってないから良いよ」
「うん、ありがとう」

 名雪は推薦で大学を決めている
 遅刻回数の事が引っ掛かったそうだけど、3年の巻き返しのおかげで取れたそうだ
 そして、俺は名雪を追いかけるかどうか悩んでいたりもした
 でも、大学に行くと決めた……専攻は名雪と違うし、行く先も違う
 お皿を先に置く

「でも、祐一って意外とダイエットとか気を使うよね」
「まぁ、気にしてるし……綺麗なままで居てなんて言葉あるけど
 それって、男も協力しないと無理だとおもってな」
「それ、誰の受け売り?」
「香里」
「ああ」

 納得する名雪
 香里は受験戦争の真っ只中で俺と同じだ……推薦枠取れたと思うのだけど
 狙ってるところが違うらしい……大変だなぁ
 もっと多くの勉強をしないといけないらしい
 名雪のところも同じなんだけど、学部が違うから……
 ま、俺も俺なりに夢というか、なりたい物があるし
 支えたいと思える相手が居るからな

「祐一、どうかしたの?」
「いんや……こんな感じで良いだろう」
「うん、ありがとう」

 お皿を渡して、よそってもらったのを受け取る

「こうしてると、家庭みたいだよね」
「そうだな」

 お互いのほほんって感じだ
 出た言葉に気恥ずかしさがあるが、事実そうなので、何も言わない

「祐一」
「ん?」
「その、手伝ってくれてありがとうね」
「いや、俺、何もしてないし」
「そうかもしれないけど……お皿並べてくれるだけで凄く嬉しいものなんだよ」
「そっか……よく分からないぞ、それ」

 分からなくても、そういうのもあるってことだろう
 俺は何も言わずに、そのまま席につく
 スプーンとお箸は出してある……サラダもあるし、ベーコンエッグのこともある

「もう、とりあえず食べよう……冷めちゃうし」
「そうだな」

 湯気が立ち上るシチュー
 確かに美味そうだ……名雪は秋子さん譲りの料理人だからな
 いちごにさえ気をつけたら、美味しいのだし

「そういえば、最近、祐一って淡白というか、夜中誘わないよね?」

 ご飯中にする会話じゃないだろうが!!
 むせかけたのを必死に抑える

「ふぅ」
「如何したの?」
「それ、ご飯中の会話じゃないぞ」

 顔が熱い

「それに、受験前ってのもあるけど、お前だって、部活続けてるし
 あまり無理させたら悪いなって思ってだ……授業中とか寝続けたら問題だろうが」
「そうだったんだ」

 驚いて此方を見る
 そりゃあ、俺だって、したい!!
 でもな、やっぱり名雪を考えてたら、出来ないと思うんだ
 それに、名雪と一緒の大学に行きたいなら勉強を頑張るしかないのだ
 無茶苦茶高い偏差値じゃないのだけど、それなりに必要で
 今だとギリギリだし、あぶないって言われたのだ
 香里も俺と名雪を見て、勉強を教えてくれたり

「ごめんね……」

 ちょっと落ち込む名雪
 自分の進路がすぐに決って、嬉しい半分って所だろう
 親友や俺が決ってないのは、まだ浮かれられないってのもある

「名雪が謝ることじゃないだろう……
 それに、俺や香里は、そういうの覚悟で受験に挑むわけだし」
「でも」
「それに、名雪が多少誘ってくれてるおかげで、息抜きにはなってるから
 ずっと勉強続きでだらけてたら、効果無いしな」
「……ありがとう」

 名雪はそう言って、シチューを食べる
 俺も続いて食べていく……本当美味しいな
 秋子さんばりに美味い料理か……何時覚えてるか気になる所だ
 そのうち謎ジャムも作れるようになってそうだけど

「祐一、どうかしたの?」
「いや……何でもない……それより、どうかしたのか?」
「ううん、祐一が何か考えてるようだから」
「何でもないぞ」
「そう」

 お互い食べていく
 食べてる最中で微妙な静けさがあるんだよな……

「祐一」
「ん?」
「早めが良いのだけど」
「なんだ?」
「その、放課後に買い物付き合って……買うのは本屋だから
 その、祐一の本買うのにもいけるかと思って」
「そうだな……その後に、百花屋寄って帰ってもいいし」
「いいの!?」

 驚いて言う名雪
 そっちが目的じゃないのだろうが、それでも、本当にたまにの息抜きだ

「香里も誘おうぜ……夜に頑張ればいいんだし
 たまには親友孝行してやれって言えば、香里も頷いてくれるさ」
「そうかなぁ……香里の場合は、『何で、2人のデートに私が』とか言って断りそう」
「ありえそうだな」

 お互いの親友だからこそ、話せる会話

「祐一」
「ん?」
「雪、少しは平気になった」
「ああ」

 もうすぐ雪が降る
 それは、此処最近の寒さで分かる……晩秋にも降るんだそうだ

「あゆちゃんのこと」
「ん、大丈夫だ……それに、名雪はそれを入れて、俺を好きになってくれたんだろう」
「あ……うん」

 嬉しそうに笑顔を浮かべて頷く名雪

「さてと、食べ終えた食器何処に置いたら良い?」
「シンクにつけておいて」
「了解」

 名雪も食べ終えたのか、持ってきた

「一杯で足りたの?」
「大丈夫だ……それより、あまり遅く寝るとまた、起きれない事態になるぞ」
「え?」

 そう言って時計を見る名雪
 時間は8時過ぎ……名雪は9時くらいには寝るので、仕方ないだろう

「お風呂入ってくるよ……今日は猫のテレビ番組もないし」
「そうだな」

 テレビ欄のチェックは欠かしてない
 帰ってきて、チェックしていく……猫好きだけど、アレルギーもちの名雪
 ある程度なら、抑える薬は出たけど、未来になったら出るよって事は嘘のままになってしまった
 でも、それが悪いことばかりじゃないので、何も言えない
 パタパタと名雪はお風呂へと入っていく
 新聞紙の社会面、経済面、地方面などといろいろ見ていく
 読み終えて、英単語の勉強へと移行
 何処でも持ち歩きタイプの、これをほとんど覚えきれた
 と言う事は、次の新たなのを買わないといけないな
 名雪のことだし無意識だろうけど……あいつなりの気遣いだ
 ありがたく受取っておこう
 香里も、そういう居心地の良さがあるから、名雪と親友なんだろうし

「お先に〜」

 名雪がのんびりとしながら出てきた
 いつもの猫の足跡パジャマ……上着みたいなのは着ていない

「そのままだと風邪引くぞ」
「大丈夫だよ……もう、髪の毛も乾かしてるし」

 そう言って、俺の手の中を見る

「勉強?」
「まぁな……名雪が居ないときだけでも、努力していかないとって」
「そっか」

 名雪が嬉しそうに笑顔になる

「愛されてるね、私」
「ん?」
「祐一は、私の隣に居るために努力してくれてるじゃない……だからかな」
「ばぁか」
「うわっ、酷いよ」
「んなの、当たり前だろう……前言ったとおりなんだから」
「あ! うん」

 嬉しそうに頷く名雪

「名雪」
「何?」
「おやすみ」
「あ、うん」

 もうそろそろ寝る時間というか、出てきた時間が時間だから
 そのために、名雪はそのまま2階に上がって部屋で寝るだろう
 男としては悲しいところもあるけど、それでも大事な彼女のためって理性で止める

「たまには暴走した方がいいんだろうが、それは受験終ってからだな」
「あらあら、お暑いですね」
「あ、秋子さん!! お、お帰りなさい」

 独り言の時に声かけんでください……って、言っても声をかけるだろう
 なんたって、秋子さんだから

「ただいまです……名雪はもう2階で寝てるのですか?」
「多分入れ違いくらいで、ですかね」
「そうですか」

 少し残念そうに言う……ほんの些細な変化だけど、見逃さず見れるようになった
 それだけ人として成長したって事だろうか

「祐一さん、どうかしましたか?」
「いえ、俺も2階に上がりますね……」
「お夜食に何か、持っていきますね」
「はい」

 秋子さんは俺と名雪の後押しをするって言ってくれた
 名雪の恋愛を応援してくれてるって事らしい
 母親として、見ていますよって事だから、まぁ、そう言う方面も出来ないと言えば出来ないのだ

「おやすみなさい」
「はい……」

 秋子さんにそう言って、2階に上がる
 自分の部屋のベットの上に名雪が寝てる

「こいつは何て無防備なんだろう」
「く〜」

 ま、いいか……勉強勉強
 数学の問題、他の大学受験問題を解いていく

「祐一さん」
「はい?」
「そろそろお風呂に入られた方が」

 時計を見る……11時前だった

「すみません、入ります」
「はい」

 席を立つ……頭すっきりさせたいし
 名雪の顔に掛かっている髪の毛を退け、額に小さくキスをする
 全く……

「おやすみなさいだぞ、名雪」
「く〜」

 起きないし
 部屋を出て、そのまま下に降りて、シャワーを浴びる
 お風呂に入っても良いのだけど、余裕が無いし……頑張るって決めたことだから
 名雪の傍に居るって……

「それじゃあ、秋子さん、お休みなさい」
「……ついでですけど、これ、持っていってください
 紅茶とクッキーですけど」
「ありがとうございます」

 ストレートティーとクッキーか……秋子さんに感謝だな
 2階に上がって自分の部屋には、やっぱりまだ眠り姫が居る

「俺も一緒に寝ることになるんだぞ、ちょっと考えろよ」
「く〜」
「ま、いいか」

 どうせ、疲れたら、名雪のこと考えられないだろうし
 その、好きだからこそしたいけど、さっき寝込み襲ったしな
 キスだけだけど……
 その日、少しだけ悶々としながら、夜を過ごした
 名雪を抱きしめて寝るのは、久々な気がする

「ゆういち」
「ん?」
「だいすきだよ」
「そうだな」

 寝言に応えて、俺はそのまま後ろから抱きしめる形で寝る
 名雪は如何思うのだろうか……
 こんな俺を……






 翌朝、名雪を起こしていつものように学校に行く
 通学路途中で、名雪は……

「祐一、ありがとうね……」
「なにが?」
「ちょっと心配だったんだよ……祐一、最近香里と仲がいいから」
「そんな心配するくらいなら、最初から言え……昨日みたいなのは困るから」
「ごめん」

 名雪の小さな嫉妬だった……こういうところ分かりにくいのは少し困る
 でも、それも名雪なのだから、仕方ないだろう

「こら、そこのバカップル」
「香里」
「よっ、香里」
「もう」

 そして、何時もの日常が始る……それが冬の終わりまで
 春の始まりまでと知っていて……










 おわり










 あとがき
 尊いって感じかな
 シオン「って、本当に日常ね」
 だから、ネタはあるけど、それだけで書いていくのは限界があるって
 ゆうひ「限界だね〜」
 全くだ……これも、前半部分だけだぞ、書いたの
 シオン「それでも、後ろ足した分だけでも、十分1つ分あるね」
 当たり前だろうが……こういうのが出来るようになってきたんだから
 ゆうひ「出来るようにって……それよりも、次は舞だね」
 ああ、ネタは決りつつあるけど、どうしようかな
 シオン「なんで?」
 ま、まぁ、色々あるんだよ、色々
 ゆうひ「??」
 気にするな……今度のが最も怖いから
 シオン「怖いって」
 ま、最近書いてる中でだけどな
 ゆうひ「それでは、また〜」
 ほなね〜(^^)ノシ




遊び人さん、ありがと〜。
美姫 「という訳で、リクエストした名雪SSね」
うんうん。こういう日常のほのぼのとしたのも良いよな〜。
美姫 「本当よね〜」
本当に感謝、多謝です。
美姫 「こんな馬鹿のリクエストを聞いてくれるなんて…」
いや、馬鹿は余計じゃないかと…。
美姫 「何か文句でも?」
いえ、あありませんです、はい。
美姫 「分かれば良いのよ。それじゃあ、またね〜」
ではでは。



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