マリア様がみてるSS








『白薔薇のつぼみ、焦る』









 普段は冷静でほわほわな人も時には焦る
 それは、こんな時じゃないだろうか……
 春爛漫の一時
 桜が風で舞い、木々がざわめく時……
 土筆が伸び、タンポポが芽吹き
 そして、種が舞う時期
 そのとき、植物と一緒にいい感じで大きくなるのは……虫
 そして、動物

「どういたしましょう?」

 一歩も動けないというのはこういう状況かもしれない
 いや、動けはするが、動きたくない
 それが白薔薇のつぼみに襲い掛かったことであり、本音だ
 ただいまの白薔薇のつぼみは藤堂志摩子
 佐藤聖の妹にして、白薔薇のつぼみだ
 周りを見て、ふぅとため息をついてる様子は
 深窓の令嬢をかもし出してるが、実際、その周りが確りと見えたら
 逃げるだろう……
 ボールが当たって、木から大量の毛虫が投下
 そして、それに群がる鳥達……弱肉強食がリアル体験だが
 自分の周りには落ちなかったのが唯一の救いかもしれない
 ただ、出れないが……

「どうしましょう?」

 言葉が段々と短くなっている
 焦っているのだ……
 でも、歩くのは困る
 というよりも、出来そうに無い
 鳥達は楽しげにもしゃもしゃと虫を食べる
 早く食べて、すぐに行ってくれたらいいのに、中々逝かない
 しかも、この状態で食欲は無い
 雨の変わりに毛虫が降ってくるのだ
 それは……おぞましい以外の何者でもないだろう

「…………」

 黙りこんでしまった
 そして、立ち上がる

「逝きなさい」

 そういって一歩を踏み出そうとする
 しかし、それを理性が止める
 誰か助けてくれる人を呼べば……
 誰を?
 こんな状態で誰を呼べばいいの?

「志摩子さん!!」
「祐巳さん!!」

 救世主登場……箒(しかも竹)を持ち、がさ〜がさ〜と掃いていく
 その様は道を作ってる人という感じだ
 志摩子は焦っていたのを何とか押さえつける
 このとき、志摩子の目には道を作る王子様に見えたとか何とか

「大丈夫、志摩子さん」
「ありがとう、祐巳さん!!」

 祐巳に抱きつく志摩子

「でも、びっくりしたよ……黒い雨の中に志摩子さんが居るんだもん」
「ご飯食べてたら、いきなりだったから」
「もう大丈夫だからね」

 ほうきを下ろしてぽんぽんと背中を叩いてくれる
 その優しい仕草が祐巳らしい
 ただ、1つ知らない事というのはときに重要なミスを呼び起こす

「でね、志摩子さん、今気づいたのだけど、私ってあまり虫得意じゃないの」
「ええ、帰りは私がするわ」

 そういって、2人は歩き出す
 毛虫を掃いて……







 その様子を遠くから見てる人からは……

「あの2人何してるんだろう?」
「でも、仲いいね〜」
「本当、良かったわ……志摩子も友達が出来て」
「もう、そう言いながら心配してたくせに」
「蓉子」

 そんな元3年生の会話があったとかなかったとか……
 たまたまたきていただけって事だが










 おわり











 あとがき
 なんだろう、これ
 シオン「焦ってないわね」
 内心描写を入れたら、焦ってるのが分かるよ
 ゆうひ「でも、遊び人は志摩子さんが一番好きなんだよね」
 あの、そっけなさとほわほわの髪が……一度でもいいから、梳いてみたいものだ
 シオン「恐ろしい発言ね」
 まぁ、そうだけどね
 ゆうひ「そういえば、遊び人に聞きたいんだけど」
 なんでしょうか?
 シオン「何時までかかるの?」
 ……そうだよなぁ、じゃあ、ほなね〜(^^)ノシ
 ゆうひ「逃げたな……まぁ、仕方ない、逃がしてしまったし、逃げ足が早くなってるし」
 シオン「残念……後、三センチくらいなんだけどなぁ」
 ゆうひ「投擲した剣がね」
 シオン「ね」
 ゆうひ「では、皆様、また〜」



表面は冷静でも、内心は物凄く焦っているんだよ。
美姫 「ああ、そういうのってあるわよね」
えっ!?
美姫 「何よ、その驚きは」
い、いや、別に…。あははは〜。
美姫 「私だって、そのぐらい分かるわよ。ほら、SSをいついつまでに書いてね♪ って、頼んでいたのに…」
因みに、脅していた、だ。正しくはな。
美姫 「全然できていなくて、必死で言い訳を考えている時の浩とか」
おい! 自分の事じゃないのかよ!
美姫 「他には、じっくりと弄るように浩をいじめている時の…」
また俺の話かよ!
美姫 「あの、いかにも平気ですって顔して、実際は冷や汗ダラダラ流してる時とか」
シクシク。もう良いです、勘弁してください。
美姫 「と、まあ、人の心は表面だけでは分からないというお話ね」
最後だけ、綺麗に纏めるな!
美姫 「それじゃあ、まったね〜」
無視ですか! やっぱり、無視ですか!



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