とらいあんぐるハート×リリカルなのは


設定
Sts本編の少し手前からありますが、ナンバーズの2と恭也のお話
恭也は、とらいあんぐるハートの恭也で、年齢は29です
平行世界という概念はいまだ確立されておらず、恭也も闇や明暗の暗部分に属します
ほとんど誰にも知られてません
伝説の三人のうち一人の密偵







『闇』








 その言葉は目の前の人が吐いた。だが、それはとがめる行為でも何でも無い
 ただ、一言、何をしてるのかって事だけ……その人は黒い衣装に身を包んでる
 私の正体がばれた? いやいや、それはありえない
 これでもしっかりと擬態してるつもりだ
 ちょっと真面目な管理局員というのを

「で、こんな遅くまで何をしている?」

 その人は丁寧にもう一度言って来た

「いえ、仕事の残りを」
「ほぅ」

 その人にはライトが当たらず私にはライトが当たっている
 そのために私はどうすることも出来ずに立ち止まるしか無い。変なことをすれば私はすぐ捕まるだろう
 デバイスの起動は出来ないし

「どうかしたんですか?」
「警備員だからな、こんな遅くまでって思って、もしかしたらデータを盗んだりする犯罪者じゃないかと思ったんだ」

 ピンポイント! でも、あたりなのだから平静を装うしかない

「も、もう終わりますし。お先に帰ってくださっても」
「とまぁ、冗談はさておきだ……俺も同じ目的だから、データをコピーしてくれ」

 思いっきり顔面からデータ入力中のところに突っ込むところでした
 いえ、本当にこの人も根性座ってる。というよりも、同業者?

「あの〜」
「まぁまぁ良いから良いから」
「で、でも」
「黙ってたり気づかない場合は犯罪じゃないって事だ」
「それも問題ありだと思います」
「ま、良いから良いから」

 言われるままにデータをもう一つコピーして渡す
 この人、凄い不真面目? でも、近くまで来てるのに手が出せない
 雰囲気がさせない。間違いなく私はこの人と相対しても負ける
 周囲の被害を出さずに戦うなど無理な話なのに、この人は何一つ変わりなく私を死体へと変えるだろう

「貴方は誰なんですか?」
「同業者だ。まぁ、俺の方も上は誰かはいえない。お互いいえない身分同士、仲良くしよう」
「はぁ、仕方ないですね。ばれたら殺すか仲間にするかどちらかですから」
「そういうことだ」

 お互いに不利な材料が揃ってるから、此処は黙って仲間になろうって事だ
 私は裏切る気が満々だけど

「名前を伺っても?」
「コードネームで呼び合おう」
「コードネームですか。確かにそうですね……ドゥーエで」
「不破で良いか?」
「ええ。それじゃあ、不破、これから良いパートナーでありつづけましょうね?」
「そうだな……ドゥーエ」

 お互いに軽く握手をする……それから私と不破は夜中に会って、ちょくちょくと話したり
 情報を交換したりする。私にとっても美味しい情報が多々あり
 特に機動六課云々の話なんかも、色々と聞けた
 大助かりな面があるために否めない
 でも、何であの時、私は本名を名乗ったのだろう……それに、不破は昼間に一切見られない
 不思議な男である

「今度は何を調べてるんだ?」
「実力を、少し」
「ランクを縛ってるな……全力だと全壊だな」
「怖いですね」
「全くだ」

 お互いに今見てるのは、高町なのはという女性のデータ
 Sランクの魔導師。危険だからそっちでも調べてくれって要請が来て調べてるけど
 この程度ならすぐに調べてるだろうに
 一応データを取っておこう

「今回はデータ要らないのね」
「まぁ、管理局というか、エースオブエースだからな。有名でそこいらの雑誌にも色々載ってる」
「なるほどね。雑誌を買えば一発ってわけね」
「ああ」

 それもそうだった。うかつ、忘れてたわ

「それよりもこうやって集まってるけど、ある噂が流れてるの知ってる?」
「噂?」
「ええ。密会をしている男女がいるっていう噂」
「ほぅ」
「貴方と私よ」
「それはまた、えらい大変な噂だな」
「それで、警備員たちの人数が増えるらしいわ」
「なるほど」

 まぁ、私には関係ないし、この人も関係ないだろう
 どこに勤めてるかもさっぱり分からないし
 ウーノたちが事を起こしてからもう少ししたら分かってくることもあるでしょう
 私に下されるのは、レジアス中将の抹殺くらいかなぁ

「でも、貴方も不思議な人ね。いくら同業でも、普通、声なんてかけないわ」
「ああ、利用するって事か?」
「ええ」
「もうしてるからな」
「そうね」

 お互いに有益な情報があれば交換するし、知らないかどうかも聞いたりしてる
 夜中の幽霊の噂は私たちの会話だ……そのために、こうやってなっているけど
 どうだろうか?

「で、色々と見つかったの?」
「まぁな」
「貴方はどうするの? これから」
「いや、変わらないさ。闇に徹する」
「……光ある世界に戻ろうとか思わないの?」
「お前なら調べてるんじゃないのか? 俺のことも」

 そうね。調べた……でも、全てのデータベースにこの人の存在はなかった
 言うなればUNKNOWNとされたのだ
 ありえないと思う。本当に幽霊か、この男は?
 だが……触れる指先から伝わるのは人の体温だ

「どうかしたのか? 本当に、いきなり人の頬を触るなど」
「あ、ごめんなさい」

 私ったら何をしてるの!? しっかりしなさい、私!!

「もしも自分が最後まで密偵であることがばれなかったら良いと思わないか?」
「それは、そうね……それがどうかしたの?」
「まぁ、俺の場合は本当の意味で、居ない人間とされてるから関係は無いが
 お前はそうじゃないだろう?」
「そうね」
「一つ脅しておこう」
「脅す?」
「もしも誰かを此処で殺せば、お前は誰かしらの刃で沈むだろう」

 活気的な脅しだ……でも、分かってしまう
 確かに、それは沈むだろう

「一度だけ、私と付き合ってみない?」

 そうなる前にこの男を殺そう。この男は喋るだろう
 もしも私が誰かを殺すとしたら

「良いぞ」

 それはお互いが闇に徹してるからこその身の寄せ合い方
 お互いを理解なんてしないけど、ただ一度の寂しさを無くす為の合理的な方法
 一晩で人は変わるものだ……彼から最後の情報を聞きだそう
 その晩、私と彼は、一緒の部屋で眠った……お互いに身を寄せ合うネコのように





 翌朝、彼を殺そうと起きたが、彼はすでに居なかった
 相手の方が上手だったと思う。私の体をいたわりながらも、それでも愛してくれたように
 ただ、優しくじゃなく荒く、それでいて繊細なような繊細でないような
 ただ、お互いを埋めるためのやり取り
 彼がどのような人間かはさっぱり分からないが、言わない気がした
 もしも私を止めるなら、本人が目の前に現れそうだ






 そして、私はレジアス中将を殺すために刃を振り上げる
 だが、それは捕まれ止まってしまった

「誰?」

 私の手を止める人は、その人は、ただ一言漏らした

「不破」
「ドゥーエの本当の姿か……」
「何で此処に?」

 本当にどうして此処に?

「まぁ、頼まれごとついでって奴だ」
「貴様ら、此処は中将の部屋だぞ!」
「だまれ小物」

 その一喝だけで周囲は静まる。中将ですら声を出せない
 私は、彼から発する気が何時ものとは違うと気づいた
 暗い、私たちより更に暗い闇

「強行さえしなければ、お前は何とかなる」
「でも」
「命令をして命を無駄にする必要性は無い。スパイも人だ」

 その言葉は重かった。私はそのまま座り込む
 不破に腕をつかまれていた

「さ、行こう。お前はまだ光の世界へと戻れるさ」
「不破も! 不破も、一緒に」
「駄目だ」
「あの夜のこと、私、覚えてるんだよ……急に消えて
 それにいきなり現れて! 心を乱されて……だから」
「とりあえず、一度は罪を償わなきゃならないだろうが、データを取っていただけと俺が証言してやるから」
「え?」
「ま、安心しろ……お前がそこまで悪い奴じゃないのは知ってるから」

 なんでこの人はこうも……

「私が貴方を光の世界に連れ戻してやる」
「そうか」
「だから」
「ああ。分かった。今回は大人しく捕まってろ」

 そういって、その人は私を優しく撫でる。その手つきは本当に優しく




 私は捕まった違う世界の孤島で更生プログラムを受けていた
 皆も居て、私は先に皆に謝った。これまでのことがあるのだから謝らないといけないと思ったのだ
 皆は受け入れてくれた……気になるのはあの男

「そういえば、ドゥーエはなんで大人しく捕まったの?」
「何でって……諭されたからかしらね」
「うそだぁ」
「ひどっ」

 こんなやり取りも出来るようになった。と、ギンガさんが入ってきてこちらへと来る

「でも、本当に一番性格があくどいとか言っていたドゥーエが捕まったって聞いたときは
 周囲でも驚いてたものよ」
「更に酷い……というよりも、ギンガさんなら知ってるのかな」
「え?」
「黒尽くめで夜中にあってたのだけど、こういう人」

 モニタリングというか、私が描いたものだけどギンガさんは見る

「う〜ん、ちょっと分からないかな」
「そう」
「でも、この制服は警備員とかでも無いから、多分、その人、管理局員じゃないかも
 ってことは、この人、うちのデータ盗んでたの?」
「ええ。私もコピー渡してたし、報告もしたわよ」
「……何者なんだろう?」

 まぁ、私もそれには賛成。密閉空間においての戦闘は多分誰にも負けないでしょうね
 凄い広い場所だと魔導師は強い。でも、区切られた場所で戦うにはそれ相応の力が必要だから
 もしもそうならば……この人は敵に回したくない






その頃、とある場所で

「お疲れ様」
「いえ。これも仕事の一貫ですから」
「悪いね。これで、しばらくはゆっくりしてくれて良いわ」
「……そのことなんですけど、俺は新しい名前とかもらえるのでしょうか?
 今回、ちょっとあって、不破という名前を勝手につけてしまって」
「ああ。報告は届いてるわ……好きな名前を書きなさい。経歴もかなり良いの準備してあるから」
「はぁ」
「世の中ちょっとしたコネと思いつきで何とかなるものだ」
「えっと、それはどういう?」
「お前さんは良い働きをしてくれたし、今回のことは色々と教訓にもなっただろう
 何より、お前さんが明るみになり始めてる。だからね、君に地位と名誉を」
「そういうことですか」
「ま、頑張ってね……不破恭也くん」
「警備部地上部隊の主任教導ですか……上司はそちらで?」
「ええ」
「よろしくお願いします」
「ま、これくらいしか出来ないのが悪いけど、今までありがとう」
「いえ、俺はこの世界に要らない存在かと思ったのに、居場所さえも準備してるとは思いませんでした」
「後は好きにして良いわ。たいていのことは融通利くけど、無理なのもあるからね
 後、そのドゥーエさんとの面会の許可はいくらでも取れるわ。プログラムが終われば引き取れば良いわ」
「えと、了解……それでは、お三方ともありがとうございました」
「いやいや」
「これくらいはね。貴方は私たちの目として頑張ってくれたもの」
「そういうことじゃ」

 そして一人出て行く青年。周囲の警戒を解き、三人はにこりと笑う

「あいつはほんと凄い奴だな」
「そのおかげで、助かった部分もあるじゃない」
「そうだな……ありがとうな。また会おうな」






 それは一つの出会いから生まれた一つの出来事
 だけど、語られざる歴史にして、知られざるもう一つの物語










 おわり
 いや、これで目一杯頑張った結果でしょう?
 というよりも、これで良いんでしょうか? これ以上はちょっと難しいです
 この後おまけてきに言うなら、ドゥーエと恭也は再会しますよ
 色々おまけがついてですけど……なのはたちとも会ってしまったりしますが
 以上です……でわ、これで〜ノシ 無理があるなぁと反省してますorz



という訳で、一気にお届けしてくださいました。
美姫 「お疲れ様です」
うーん、ほのぼのあり、ドタバタあり。
色んな展開が色んなパターンで。
美姫 「たくさん楽しめたわね」
うんうん。遊び人さん、ありがとうございました〜。
美姫 「それじゃ〜ね〜」



▲頂きものの部屋へ

▲SSのトップへ



▲Home          ▲戻る